「朝か...」
高校二年になり、ドタバタした始業の作業も落ち着いてきた頃、眠りから覚めた荒北相馬はいつも通り学校へ向かう。
いつもの登校路だ。チャリで通うには短すぎるその道を、トロトロといつも通り歩いている。
「まだ5月だけど結構あついな...日差しのせいか」
その日はとても強い日差しで、日焼けでもしてしまいそうな日だった。
汗ばむ陽気で、ワイシャツのボタンを一つはずす。
「ふう、ボタン一つでもかなり違うもんだな。朝から嫌になる。」
「...なんかやけに見られてるな...」
相馬は、不思議な視線に気がついた。なにやら女子が熱心にこちらを見ている。
「ねえ...あの男子見てよ...」
「わっ...大胆...」
ヒソヒソとこちらを横目で見ながら話す女子を尻目に、相馬は学校へと足を運んだ。
学校に着くと、すこし肌寒くボタンは止め直し教室へと向かう。
「おはよう勇気。今日はあったかいな。」
「おはよう相馬...って、お前、下着は!?」
ギョッとした顔で身を乗り出すのは、昔からの友人の斎藤勇気。元気印のエセインテリだ。
「ん?まあいらんだろ。あついしな。」
「いらんわけないだろ!ちょっとこい!」
勇気はそう言うとバッグを持ち、相馬の手を取ってトイレへ向かう。
「お前なあ...男ならがそんな格好で歩いたら危ないだろ。今日は俺の替え貸してやるからきとけ。」
「いいよ別に...ひっつく感じが嫌なんだよなシャツって」
汗で濡れた今は余計にである。
「だから良いわけないだろって!とりあえず着ろ!」
なぜか強くいう勇気に押され、とりあえず着て教室へと戻り、その日の授業をすませた。
「ふう、なんか今日は疲れたな...妙に女子が話しかけてくるし男子は妙に静かだし。」
「相馬...お前なんか変だぞ?女子の前でシャツ脱ごうとしたりボタン外したり...」
なにがいけないのか。いつもそうだったのではないか?
「別にいいじゃねぇか。見られて困るもんでもないし」
「困るだろ!まったく...女子みたいなこと言いやがって...」
「なあ、朝から言ってるけど、どういうことなんだ?女子の前でボタン外したりしないか?」
「しない」
「女子の前でベルト直したり」
「しない」
「教室でエロい話したり」
「エッ...!しねぇよ!何言ってんだ!」
なんか...今日の違和感がなんとなくわかってきた...?
「なあ、お前巨乳と貧乳どっちが好き?」
「きょっ、きょ、巨乳!?そんなはしたない話急にするなよ!そんなのよくわからんし!そういうのは本当にすきな女子なら関係ねぇよ!」
この慌てよう。なるほど。
「相馬、お前イケメンなんだしもっと気を使えよ...そんなことばっかだと女子に変な目で見られるぞ」
完璧にわかった。朝の視線の意味、勇気の言っていること。この答えなら全て説明がつく。
「まあ、今日はもう遅いし帰ろうぜ。疲れてるのかも知れないしゆっくり休めよ。」
そしてそのまま二人は家に帰り、食事や風呂を済ませてベッドに横になる。
「この世界はなんでかはわからないが男女の性的な概念が真逆なんだ...」
「そして俺だけがそのまま...」
全てを理解した相馬は、その事実に気付いてにやり、と笑う。
「楽しくなりそうだ。」
はい、できました。
これから頑張ります。おうえんしてね