「ただいま戻りました、天都君」
「おや、思ってたより早かったね。良かったのかい?」
「はい、しっかり話せたので大丈夫です」
珍しく開店していた店の入り口から鈴の音が鳴ったので視線を送ると、そこには私服姿の寧々が立っていた。日曜日の朝になって、夜通し行為に及んで筋肉痛になった身体に鞭を打ちながら準備をして、慌てて実家へと帰っていった寧々だったが、三連休最終日の夕方、つまり、今日の夕暮れ時にもう帰ってきたようだ。
遅くなるようなら連絡してもらって駅まで迎えに行こうと思っていたのだが、どうやらそれは必要なかったらしい。
「よし、じゃあお店閉めちゃうから先に上に行ってて」
「はい、飲み物を用意して待ってますね」
「ありがと、ある物は何でも使っていいから」
何処かスッキリとした表情の寧々の話を聞くために、私は今日も寧々を家に上がっていくよう誘うと、彼女はにっこりと笑みを浮かべてパタパタと勝手知ったる場所のように上階へと早足で歩いていった。なるほど、今日は白か……。
さて、ふざけている場合じゃないな。お昼はちらほら来ていたが、こんな時間から客が来るわけないし、さっさと店を閉めてしまおう。
「────それで、お母さんは天都君と同じで甘いものが好きでして……」
寧々を抱くようにしながら二人でソファーに腰かけて、私は楽しそうに仲直りした家族のことを話す寧々を、今日学校であったことを得意気に話す子供を見る様な目で見ながら、性感を発生させない程度に撫で回す。寧々はそれを受けて、喉を鳴らす猫のように機嫌が良さそうにしているみたいだ。やっぱり可愛いなぁ寧々は。
「天都君、天都君」
「ん? どうかした?」
一時間ほど話し通しで、私は相槌を打ちながら聞き役に徹していたが、突然寧々が私の腕に抱かれながら私を見上げて呼びかけてくる。私はそれを、少し眠そうに目を蕩けさせてて可愛いなぁと思いながら応答の言葉を返した。
「私、天都君と出会えて本当に良かったです」
「どうしたのさ、そんな改まって」
頭を私の胸板に預けて擦り付けながら、寧々はそんなことを口にする。ご両親と会って何か思うところがあったことぐらいは予想はつくが、それにしたって急である。
「魔法のこともそうですけど、それ以外にも大切なことや楽しいことも教えてもらって……私、今世界で一番幸せなのかもしれません」
「ふふ、大げさだなぁ寧々は」
背中に腕を回して強く抱き着きながら、寧々は思いの丈を打ち明かしてくれる。そんなの、私だって同じ気持ちだよ。
「私も寧々がいなかったら、こんな風に深く人を愛することなんかなかっただろうし、その辺りはお互い様だ」
「えへへ、私も天都君のこと、いっぱいいっぱい愛してます♪」
その想いを私も言葉にして寧々に伝えると、彼女は嬉しそうな顔をして私を見上げて愛の言葉を綴る。その幸せで蕩け切ってしまった笑顔は、私にとって何物にも勝る宝だ。
「ずっと、ずーっと一緒にいましょうね♪」
「うん、離してって言っても離さないから」
「やったぁ♡」
最後には、絡み合うようにして抱き合って、私と寧々は甘い愛の言葉を交わし続ける。そこには世界中の誰よりも強い繋がりを感じられて、その温かさが心を満たしていって、心地の良い幸福感が胸いっぱいに広がっていった。
「あっ……」
「……する?」
「はい……っ♡」
そんな風にお互いの体温を感じ合っていると、寧々の口から小さな声が漏れるのと同時に、私はドクンと寧々の鼓動が一瞬で激しくなるのを感じ取る。寧々の胸の高鳴りを肌で感じながら、私はにこりと微笑んで彼女に問いかけると、寧々は頬を赤く染めながらその主語が無い短い問いを了承した。お互いに細かく口にしなくても、相手がしたいことぐらいは分かるようになってきているようだ。
そして、発情し切った寧々とそれに感化された私は、どちらからともなく熱いキスを交わす。今日の夜は一日空いた分、激しいものになりそうだ。
御指摘をいただいたので、Chapter.Extraは別作品として投稿することにしました。