プロローグ -不思議な転入生-
「んーっ、んんんーーっっ♡♡ んっ、んんんんっ♡」
寧々がご両親と和解をした日から数週間が経過したある日のことである。私はまず人が来ることのない特別棟の屋上へと続く扉の前で、バランスを取るために片手を壁に、声を抑えるためにもう片方の手を口元に遣った、四つん這いの姿勢で私の方にお尻を突き出す寧々の蜜壺を指で乱暴に掻き回していた。抑えられた寧々の喘ぎ声に負けないぐらい大きく淫猥な音がぐちゅぐちゅと、人気のない暗がりに響き渡る。
「寧々、気持ち良い?」
「んっ、んっ♡」
寧々の陰唇から愛液がはしたなく零れて床を汚していくのを見ながら、私が指の動きを止めずに問いかけると、寧々は必死な様子で何度も何度も頷きながら嬌声を零した。制服のままの行為であるが、スカートと水色の可愛らしいショーツは寧々の右足首辺りに引っかかっているので、汚れてこの後の部活に支障をきたすことはないだろう。何も問題はない。
「もうすぐイきそう?」
「んっ♡ んんーっ、んんんっっ♡♡」
「そっか、じゃあいっぱい気持ち良くなろうね」
明らかに腰が跳ねる頻度が高くなってきたので、寧々の絶頂も近いと判断して呼びかけると、寧々は振り返りながら潤んだ瞳で懇願する視線をこちらに向けてきたので、私はその意思を汲み取って指の動きを加速させた。ついでに空いた方の手で陰核も刺激してあげると、二点攻めで襲ってくる快楽の波が一気に増したのか、寧々のくぐもった喘ぎ声が更に大きくなっていく。
「んんんんん────ッッ♡♡♡」
そして、五分ほどの手淫──オナニーではないので正確には違うが、響きが良いのでそう表現しておく──によって寧々はオーガズムに達して、壁に縋るような姿勢のまま弛緩した身体をずるずると床へと落としていった。愛液でびしょびしょになった下半身を突き上げるようにして、ビクビクと絶頂の余韻で身体を痙攣させるその姿を見ていると、私の下半身の指揮棒でリズムを刻みたくなってくるが、ここは学院内なのでそれはグッと我慢である。
「代償は治まった?」
「はひ……らいじょうぶれしゅ……♡」
じっとりと額に汗を浮かべて、蕩け切った瞳で荒い呼吸と共に吐き出された言葉は別の意味で大丈夫ではなさそうだが、特別棟へと向かう途中で発生した代償の方はとりあえずどうにかなったようだ。それを見届けた私は改めて部活へ行くために動けない寧々の代わりに寧々の珠玉の肢体を綺麗にしていく。
「あぁぁ~~~~っっ♡♡ らめっ、舐めるのらめぇっ♡」
寧々のふとももを掴んで、スラっとしたそれに伝ってきている愛液を舌でこそぎ取るようにして私は舌を這わせて、寧々の蜜壺へと向かって動かしていった。ぬらりとした感触が寧々の柔らかいふとももから性感を発生させていき、愛液の水源へと私の舌が近づけば近づくほど、彼女の身体の反応は大きくなっていく。
「ちゅっ、じゅるっ……♡ じゅるるるるるっ……♡♡」
「啜るのもっ、らめぇぇっ……♡ んんんんんっっ♡♡」
そして、ゆっくりと動かしていった舌が寧々の下のお口に辿り着くと、私は指でそれを押し広げるようにしつつ寧々の愛液を力強く啜り始めた。それによって寧々が指で好き放題されていた時と同じように甘い嬌声を上げるが、これはお掃除なのだ……必要な行為なのだ……。決して欲望を解放できない代わりに違う形で欲を満たそうと思っているわけではない。本当だよ?
「ぷはっ……」
「はーっ……♡ あはぁぁぁっ……♡」
敏感な状態で攻め立てられた寧々は身体から完全に力が抜けてしまったのか、発育の良い双丘を床に押し付けるようにして床に這いつくばりながら艶めかしい吐息を漏らす。部活のことを考えるとこのあたりがギリギリか。
そう判断した私は今度こそ寧々の身体を綺麗にするため、荷物の中から取り出したタオルで寧々の身体を綺麗に拭き始めた。
「んっ、あんっ♡」
「あとちょっとだから我慢してね」
局部付近を綺麗にしようとすれば、当然そこに触れなければいけないので寧々の嬌声が零れるが、そこは少しの間だけ我慢してもらおう。
それで綺麗にした後は、まだ動けない寧々の代わりに脱いでいた下着とスカートを丁寧に履かせていく。高校生らしからぬお世話のされように寧々の顔は真っ赤に染まっていくが、それもまあ我慢だ我慢。
「よし、寧々、歩ける?」
「ふぅぅぅっ…………はい、十分に休めましたので」
そして、粗方準備が終わって寧々に声をかけると、寧々は大きく息を吐いてからゆっくりと立ち上がった。足取りは少し不安だが、部室はすぐそこなので支えがあれば大丈夫だろう。
さぁ、今日も元気にお悩み相談だ。…………まあ、それは依頼人が来ればの話なんだけどね。
「転入生ですか? この中途半端な時期に珍しいですね」
「親の事情で引っ越してきたみたいでね。引っ越しの準備やらを終えて、ついさっき学校に来たってところだ」
あれから二人で部室に行き、皆で依頼人が来ない部室でだらだらと過ごしていると、オカ研顧問である久島先生が部室を訪れてきてそんな話を私たちにしてきた。そもそも高校における転学というものをあまり聞かないが、別に絶対に有り得ない話ではないので、私は気持ち半分でその話を聞いている。それで、何故その話を先生は私たちの所に来てまでしているのだろうか。
「何でそんな話をって顔してるけど、実はそのことに関してオカ研にお願いがあってね」
「お願い、ですか?」
ふむ、これまた珍しい。どうやら今回の依頼は学生からではなく教師からのもののようだ。同様の感情を抱いているのか、三人も大なり小なりそういった方面の表情を浮かべている。
「早い話、その子に学院の案内をして欲しいんだ。そのついでに世間話でもして、初めからクラスに入りやすい雰囲気にでもなってくれるとよりありがたいが」
「なるほど、入ってくる時期も時期ですし、自分たちに仲良くして欲しいと」
「まあ、そういう意図もあるにはある。ちょっと変わった事情がある子だしね」
依頼内容を聞いて、因幡さんがついつい零す様にしてそう言葉を紡いだ。こんな微妙な時期に転校してくるわけだから、教師側としてはその子が孤立しないかなど、そういった心配もあるのだろう。
しかし、変わった事情持ちか。何と言うか、オカ研にはそういった人が集まる傾向にでもあるのだろうか。いや、その子をオカ研に入れるのが依頼ではないからそれはあまり関係ないか。
「そんなわけでだ、おーい、入っておいで」
先生の呼び声から少し間を置いて、部室の扉が遠慮がちに開かれると、そこから小柄な男子生徒…………んん? 待て、それにしては華奢すぎるか? 男装した女の子?
「この子が明日からウチのクラスに転入してくる子だ」
「えと、椎葉紬です。よろしくお願いします」
そして、おずおずとした様子で発せられる自己紹介の声は男子とは思えないほど声が高い。喉仏も出ていないようだし、それにあの隠す気が全く無い巨大な胸部装甲。男装をしているというならサラシか何かで潰すと思うのだが……先生の言う事情はこれか?
「天都君?」
「あぁごめん、私の番か。空閑天都だ、よろしくね」
思考を回しているうちに私の番が回ってきたので短く自己紹介をすると、何やらキラキラとした目で見られたが、それは後だ後。ええい、久島先生め、妙な案件を持ち込んでくれたものだ。
「ジー……」
「……え? あっ、ちょ、ちょっと! 何処を見てるの!?」
「おい保科、停学にしてやろうか?」
「このマジエロセンパイ」
「…………えっち」
どうしたものかと内心で溜息を吐いていると、椎葉さんのたわわな胸にガン見をキメ込んでいた柊史が女性陣から総スカンを食らい始めた。気持ちは分からなくもないがいったい何をしているのか。
「ちょっと待った! 確かに失礼な視線を向けたかもしれない。謝罪もします。ごめんなさい」
流石に分が悪いことを悟ったのか、柊史はそう前置きをしてから頭を下げる。この状況で男が勝てる可能性は万に一つもないのでそれは正しい。
「でもですよ、見ても仕方ないじゃないですか! 学ラン着てるのに顔とか声とか女の子っぽくて!」
「で、でも、空閑君だって学ラン着てて女の子っぽいし……」
「そうですわよ柊史君」
「今茶々を入れないでくれるか!?」
顔を赤らめた椎葉さんの言葉に乗っかって、中性フェイスから放たれるアルトヴォイスで口を挟むと、柊史から全力のツッコミが飛んできた。そない怒らんでもええやんか……。
「それにその、身体付きとか……とにかく、下心があって見てたんじゃなくて、あくまで確認として見てただけなんですって!」
「それは……確かに、そこはワタシの責任なんだけど……」
柊史の必死な説得に納得したのか、渋々ながらも椎葉さんは柊史を許してくれたようだ。危うく友人が性犯罪者の烙印を押されるところであったが、それはどうにか免れたらしい。
「あの、失礼を承知でお尋ねしますが、椎葉さんは女の子なんですよね?」
「……うん、男子の制服を着てるのは色々事情があるけど……でも間違いなく女子だよ。もちろん、内面も正真正銘の女の子」
騒動? が落ち着いたところで、話を進めるために寧々が問いかけると、椎葉さんは非常に歯切れが悪そうに自分が女の子であると説明していく。
しかし、色々な事情ねぇ……。
「…………教師って大変なんですね」
「全くだ。保科も綾地も気掛かりなことがあるし、何の心配もないのは既に進路も決まってる空閑くらいだよ……」
「アハハ……」
色々と学院側の調整なんかの事情を薄々と察してしまい、思わず労いの言葉を久島先生にかけると、彼女は特大の溜め息を零しながらそう口にする。とりあえず二人のことはどうにかするつもりなので頑張ってください……とは口にできず、私の口からは乾いた笑いが漏れてきた。
「まあ、とにかく、案内と服装についてのフォローを頼みたかったってわけだ。全く波風立たずに皆仲良くってのは流石に難しいだろうし、せめて軽減してやってくれると助かる」
「具体的に何をすればいいかは分かりませんが……そういうことでしたら」
気を取り直した先生の発言に、部を代表して寧々が依頼を承諾する。私としては反抗する意思も意義もないので問題はない。どちらかというと、私たちにとって目下の問題はそっちではないのだけれども。
「椎葉さん、よろしくお願いします。困ったことがあればいつでも」
「うん、ありがとう綾地さん」
そうして、二人の少女が面と向かって微笑み合って、部室に和やかな雰囲気が流れ始めた。目の保養になりますね。拝んでおこう。
「よろしく、オレが力になれることなら何でも言って椎葉さん」
「自分は学年が違いますが、見かけたら気軽に声をかけてください」
「うん、ありがとう。よろしくね、保科君、因幡さん」
続いて、二人も椎葉さんと友好の挨拶を交わす。
しかし、オレが力になれるなら何でも言って、かぁ……。川上君に全霊の感謝を受けてからであるが、柊史も前向きになり始めているということでいいのかな? そうであれば良き傾向だ。
「私も出来る限りはフォローするよ。よろしく椎葉さん」
「う、うん、空閑君もありがとう。よろしくね」
最後に私が声をかけると、椎葉さんは少し硬い調子で声を返してきた。理由は何となーく察せるので、敢えて触れないでおこう。もう地元じゃなくても初対面の子に知られてるのね……。
「じゃあ後は任せた。適当に学内を散策しながら友好を深めてくれ。椎葉も終わったら直帰していいからな」
「はい、分かりました」
そうして、一仕事終えた、という風な様子で久島先生は椎葉さんを部室に残して職員室へと帰っていった。
さて、数日振りの依頼であることだし、我々も張り切っていきましょうか。
紬ママ……。