※この作品はR-18です。

私の母は淫靡なヴィラン   作:炬燵猫鍋氏

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ヴィラン母娘物です。
原作との絡みについては、独自解釈がかなり入る予定。


綾吊伊吹と綾吊塗息

昔々、中国で生まれた光輝く赤ん坊。

それが始まりの子ども(ファーストチャイルド)。

そして、次々と生まれる不思議な力を持つ子どもたち。

 

砂を操り、正規兵を次々と生き埋めにした少年ゲリラ。

電流をまるで飴細工のように素手で扱う少女。

確率を超越した偶然をまとわりつかせ、不幸を周囲にもたらした双子の姉妹。

 

世界は震撼し、異能を持つ子どもを恐れた。

 

迫害、隔離、謀殺。

 

抵抗、逃走、闘争。

 

生まれ続ける子どもたち。

 

彼らが大人になり、第二世代に異能が遺伝することが判明したとき、人々は知った。

 

そう遠くない将来、世界は彼らの異能に塗り潰されるのだと。

 

そして、異能は個性と名を変えた。

持つ者が持たざる者を数で上回り、異常が日常になった。

 

黎明期、混乱期、安定期……。

 

その中で生まれた新たな言葉。

 

ヴィラン。敵を意味する言葉は、個性を悪用する犯罪者を指し示す。

 

ヴィジランテ。警察や軍隊で抑えきれぬヴィランに対抗するべく、民衆の中に生まれた自警団。

 

そして法整備が現実にどうにか追い付き、ヴィジランテの行動を免許制度で管理するようになり、誕生したのが……ヒーローだ。

 

個性を自由に使うことを許された者がヒーロー。

個性を許可無く使用し、犯罪を為すものがヴィラン。

 

 

私達は5世代目の個性持ち。

今日もテレビで、新聞で、Webサイトで、ヒーローとヴィランの織り成す狂想曲を眺めながら生きている。

 

ここまでは、常識。皆の生きる世界。

 

ちょっと常識と異なる私の家庭環境は……。

 

『いーぶーきちゃん♪宿題終わったぁ?ママと遊びましょー。』

 

大きな胸を揺らす母。

髪は綺麗な紫。シャギーも揺れる。

タレ目気味の、甘えるような眼差し。

黒いドレスは胸元が丸見えだし。

 

『宿題は終わったけど……母さんのお客さんは帰ったの?』

 

まあ帰ったから私の自室に入ってきたのだろう。

 

『うん。お仕事の打ち合わせは終わりぃ~。だからぁ、ママと遊ぼ?……あ、てゆーか、ママの事はママって呼んでくれなきゃ嫌よぉ。』

 

若々しい美貌と言えるだろう。

実際、14才になる私という娘がいるようには見えない。

近所でも評判だ。

 

『お仕事……大(・)丈(・)夫(・)な(・)の(・)?(・)』

 

最近、母は仕事を数こなしているようだ。

 

『だーいじょーぶよぉ。ママ、今は表にでないからー。』

 

『気をつけてよね。せっかく転校も引っ越しもなく10年以上もここで暮らせたんだから。私の高校受験も有るし。』

 

『うん、うん。そーねー。ママ、伊吹ちゃんが立派なヴィランになれるよう頑張るから。お金もコネも沢山準備するからね~。』

 

相変わらず無邪気に禍々しい事を口にする。

 

『……あのねぇ。』

 

わかっている。母は、不適合者で破綻者で犯罪者だ。

よぉく知っている。

逆らっても無駄だ。

良識的な言葉を母は理解できない。

好きなように生きてきた。

好きなように生きている。

母は私を愛してくれている。

けれど、その愛は。

 

『ね、だから遊ぼぉ♪』

 

諦めて、私は勉強机の前から立ち上がる。

 

『……どこでするの?ここ?お風呂場?』

 

『あ~、どうしよぉかなぁ。んー、あ、その前にぃ♪』

 

母はポケットからシガレットケースを取り出すと、細く長いタバコを抜き出した。

 

はぁ、やっぱり……。

 

『それはやめて欲しいんだけど……。』

 

『えぇ、だって伊吹ちゃん最近ドライなんだものぉ。ママね、伊吹ちゃんの可愛い鳴き声とぉ、トロンってした目が好きだからぁ。』

 

咥えて、銀色のライターで火を点ける母。

吸い込み、赤々と燃えるタバコの先端。

 

『はい、ふ~っ♪』

 

母が煙を、いや、タバコの煙に混ぜた個性の効果を吹きかけてくる。

甘い、香り。

頭の芯が、瞬く間に痺れて……。

 

『あ、あ……。もぅ、母さ……ママのいじ、わる。』

 

あ、ダメ。

もう、うまく、考え、られないの。

あたま、ぼーっと、気持ち、いい。

ママ、ステキ。

あ、おふろ、いくの?

うん、いぶき、おふろだいすき。

 

『伊吹ちゃん。ママねー伊吹ちゃんのこと大好きよぉ。』

 

『いぶきもママのことだいすき♪おふろできもちいいこと、いっぱいしてね~。』

 

ママ、キレイでやさしくて、いぶきのことたくさんきもちよくしてくれるの。

おふろ、たのしみー♪




……業が深いな、我ながら。
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