※この作品はR-18です。

巨根なグラン君が色んな女の子にいいようにされたりしたりする話   作:空使い

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またも難産。

ずっと平均一万にこだわってましたが、5000~7000位に減らそうか悩んでます。

読みにくいし。


ルリア、いちゃらぶ!

 

 

 

 

「わーい! 今日は私がイチバンですねっ!」

 

「くぅ~、チョキかー……!」

 

「よ、良かったね、ルリアちゃん……」

 

「う~。ウチ、ドンケツや~……みんなちゃんとウチの分も残しといてなー?」

 

喜びはしゃいでぴょんぴょんと跳び跳ねるルリア。

『パー』の形に開いた右手を悔しそうに見つめるジータ。

控えめな声でルリアを祝福するソシエと、しっぽをシュンとしぼませてうなだれるユエル。

 

時は夜半過ぎ。

所は騎空艇団の中央が一隻、特型艇の最奥、お馴染みグラン君の寝室。

キングサイズの特注ベッドの上では、今日も今日とて、可憐な四人の少女がキャッキャと楽しそうにはしゃいでいた。

 

なんとも良い匂いのしそうな空間だ。

 

そしてその四人の中心に横たわるグラン君。

全裸だ。

例によって、怪しげな薬物の混入した夕飯をたらふく食わされ昏睡状態である。

 

たまにうっかり忘れそうになるが、このグラン君は幼少の頃からあまたの女性達に日常的に睡眠レイプされ続け、騎空団を率いるようになった今でも、信頼と親愛を寄せる団員達に夜な夜な昏睡レイプされ続けているかわいそうなヤツなのだ。

しかもその主犯格が血を分けた実の妹と、旅立ちの切っ掛けにもなった一番の想い人なのだからヒドい話である。

 

あーかわいそーかわいそー(棒)。

 

 

 

さて、そんなアワレなグラン君のおチンポをレイプする順番は、エロマンガよろしく無慈悲なジャンケンによって決定したようだった。

 

今日の一番搾りを勝ち取ったのはルリアだ。

 

ベッドに大の字に寝かされたグランのお腹に横からおおい被さり、片手で巨大な竿をしごきながら機嫌よさそうにプレイ内容を考えている。

 

「えへへ……今日はどうしようかなー……♪」

 

「ウチの番まで結構かかりそうやなぁ……それまでコレもーらいっ!」

 

「あっ……じゃ、じゃあウチはコレ、借りるね……♪」

 

しばらくは見学になってしまったユエルは、落ちていたグランのパンツの股間部分に鼻をうずめて片手を秘部に伸ばし、それを見たソシエもまた、グランのシャツを拾って匂いをかぎながら、幸せそうな顔で水音を奏で始めた。

 

グランが見たら卒倒モノの光景だ。

 

「決めましたっ! 今日のテーマは、いちゃらぶせっくすですっ!」

 

「おー」

 

ルリアが瞳を輝かせながらそう宣言する。

眠りこけるグランの耳やほっぺを引っ張って遊んでいたジータも、その謎の勢いにおされてとりあえず小さく拍手している。

 

「いちゃらぶ……ええねぇ。ウチもそうしょうかな……」

 

「スンスン……ふはぁ♡ じゃぁ、今日はみんないちゃらぶせっくすやな!」

 

グランの下着で若干トリップ気味のメスエルーン二人も、赤らんだ顔でそれに乗っかった。

 

……言うまでもないコトだが、『いちゃらぶ』、とか抜かしている彼女らの行為は紛れもない強姦であり、疑う余地もなく犯罪である。

マネしちゃダメだぞっ!

 

「えーっと、それじゃあジータ、手伝ってくれますか?」

 

「うん、いーよー」

 

興奮で鼻息の荒いルリアは、ワンピースのポケットに手を突っ込むと、中から平べったい小箱を取り出した。

 

「じゃじゃーん!」

 

「わっ、それ……!」

 

ルリアが高々と掲げたその箱を見て、ジータは驚きの声を上げ、エルーン二人は顔をサッと赤らめた。

 

「えっへへー。グランサイズの、こむ……こん……こんどぉむ? ですっ!」

 

「おおー……グランのでも大丈夫なヤツなんてあったんだ」

 

「シェロさんの所で売ってました! りありてぃ……とか、いめぇじぷれい? とかのために、でぃるどと一緒に売り出したそうです!」

 

ルリアは自慢げにそう言うと、箱をくるくるとためつすがめつ、開け口を見つけ、たどたどしい手つきでピリピリと封を切った。

 

「す、スゴいね、ルリアちゃん……よく買ってこれたね……!」

 

「うわー、ウチなら恥ずかしゅうて絶対むりやわ。そんなん、コレ使(つこ)てエッチなコトしますーって(ゆぅ)てるよぉなモンやし……」

 

「はわっ!? そ、そう言えばそうです……気づきませんでしたぁ……!」

 

グランの下着をクンカクンカしながら、モジモジと照れつつそう言うソシエとユエルに、ルリアもつられて顔を赤くする。

 

君らテレるトコおかしくない?

 

「とっ、とにかく! 今日はコレを使っていちゃらぶせっくすします!」

 

「おおー、な、なんかエッチやなぁ……でもそれじゃ中出しできひんよ? ウチ、やっぱりお腹ん中いっぱいにしてもろた方が嬉しいしなぁ……」

 

「私もー」

 

「う、ウチも……」

 

三人がそう言うと、ルリアはそれを見て、分かってないなーとでもいう風に、ちっちっちーと指を立てた。

 

「それですっ! 今日はいちゃらぶせっくすですから、グランはとっても優しいんです!」

 

「……んんー? えっと、それとゴム出しにナニか関係あるの?」

 

ジータがグランの口の中に指を突っ込みながら首をかしげる。

特に意味もなく口内をかき混ぜられたグラン君がフガフガとうめくが、誰も気にしない。

 

「はいっ! えーっと、グランは私のコトがだ、だ、大好きじゃないですか?」

 

「わ、私のコトだって好きだよっ!」

 

「ジータちゃん、たぶん、そういう設定ってコトやないかな……」

 

「……はっ!?」

 

ソシエに言われて、顔を赤くするジータ。

少しだけ頬を膨らませたルリアが続ける。

 

「こほん……グランは私のコトが大好きなので、私の身体を大事にしてくれるんです。だから、旅が終わるまでは、赤ちゃんができちゃったりしないようにコンドームをしてくれるんです!」

 

「ほう」

 

「な、なるほど……」

 

「確かに……」

 

ルリアの説明にうなずく三人。

 

「私がいいよって言っても、ルリアの身体が大事だから、って……あと、赤ちゃんができたら、ルリアを独り占めできなくなっちゃうからやだ! とか! らぶらぶですからっ!」

 

ルリアが迫真の身ぶり手振りでそう言うと、三人はセイテンのヘキレキを受けたかのような顔になった。

 

「たっ、確かに……! 言うよ! グランならそう言う! 私のコト大好きだもん!」

 

「ホンマや……ゴムせっくすっていちゃらぶやってんや……!」

 

「ルリアちゃん、スゴいねぇ。ウチもそれは気づけんかったわ……!」

 

ルリアの天才的()発想に恐れおののくバカ三人。

エラそうに無い胸を張って得意がるルリぴっぴ。

 

今夜もツッコミは不在だ。

 

そびえ勃つチンポを囲んで、花も恥じらう乙女たちが実にアホな会話だった。

そして、何度でも言うが睡眠薬を盛って寝込みを襲っている時点で、それはもうただのレイプである。

いちゃらぶ壊れる。

 

「ではさっそく……あっ、色んな匂いがあるみたいです!」

 

「ホンマやね……ええと、独特のスライム臭をおさえ、女の子好みのフレーバーでエッチを彩ります、って書いとるよ?」

 

さすがよろずやシェロカルテ、その辺は無駄に抜かりない。

 

「えーっと……じゃあ私はこの、イチゴ味のにしますね♪ それでぇ……こうして……端っこを…………切って、取り出して……おー……!」

 

「わぁ……そんな感じになってるんだ……初めて見たよ」

 

ルリアが丸まったピンクのコンドームを取り出して、その初めて見るフォルムに何だか不思議なエロスを感じていると、ジータもまた初めて見るコンドームを興味深そうに見つめる。

 

「わ、わ…………! な、なんか、エッチや……」

 

「ウチも、なんかお股がムズムズするわ……」

 

アホな女子中学生みたいな反応である。

すぐ横にエグいチンポの実物がそそり勃ってなければ、だが。

 

「よーし……ではこのこんどぉむを、グランのおチンポにかぶせ…………かぶせ………………かぶ…………」

 

「……手伝おっか?」

 

「だっ、大丈夫ですっ! かぶ……かぶぅ…………せ……、ましたっ!」

 

だいぶ手こずりながら、なんとかリトルグラン君にピンクのゴムが被せられる。

 

「………………おぉー…………♡」

 

極薄のスライムが張り付いたチンポは、テカテカとイヤらしく光り、根本をゴム輪で絞られていつもより太く血管を浮き上がらせる。

うっすらとしたピンク。

無機質なツルテカ。

子作りではなく、快楽だけを目的とした交尾専用の姿。

 

(えっちです……!)

 

(えっちだ……!)

 

(え、えっちぃ……!)

 

(えっちすぎるやろ……!)

 

ビクビクと震えるエロコスチンポを見つめて、ゴクリ、と喉を鳴らす四人のスケベ娘たち。

ゴムちんのエロさに目覚めた瞬間だった。

 

「…………で、こっからどうするの、ルリア?」

 

「じゅるり……はっ!? は、はいっ、えと……まず私がこうします!」

 

ジータにせかされて、垂れていたヨダレをぬぐったルリアは、グランを脇に転がすと、自分も服を脱ぎ捨ててベッドの真ん中に仰向けになった。

 

正常位のお迎え体勢だ。

 

そして、腰の下に枕を入れ、股を開く。

ピッチリと閉じたスジまんが左右に拡がり、色素の薄いピンク色の秘裂がくぱぁっと暗い口を開けた。

 

前戯も無しに期待だけでトロトロの膣口は、色素の沈着のないキレイで幼げな色でありながら、数年に渡るデカチンセックスによってすっかり拡張され、人差し指くらいだったら膣壁に触れずに抜き差しできるほどに拡張され、ヒクヒクとうごめいている。

 

エロい。

 

「ジータ、グランを、私におおい被さるように乗っけてもらえますか?」

 

「はーい」

 

ジータは軽く返事をして、チンポをギンギンにおっ勃ててグースカと寝入っているグランをルリアにのし掛からせる。

 

ヤケドしそうな程にアツくなったゴム越しチンポが白いお腹に押し付けられ、ルリアが小さく、ひゃわっ、と声を漏らす。

 

「もうオチンチン挿れる?」

 

「ま、まだですっ! えっと、腕をこうして……こう……あとおフトンをかけて下さいっ!」

 

「ん、こんなカンジ?」

 

「はいっ……できましたっ!」

 

ルリアの作った体位は、スタンダードな正常位だった。

グランの片腕を背中に、もう片方を頭の後ろに回し、胸にかきいだくようにして密着度を高め、腰を高くして挿入しやすくしている。

 

そしてその上からフトンを被せ、あえて身体を見えなくする事で恥じらいと思いやりをプラス。

いちゃらぶ度も増して、かつお互いのエッチな匂いを中に閉じ込め充満させてエロエロ度もアップ。

 

グランの身体に力が入っていないため、押し潰されるように体重がかかってちょっと苦しいのもポイントだ。

 

「おー……」

 

「ええねぇ……♡」

 

「ええなぁ……♡」

 

普段騎乗位ばかりの三人は、その恋人感あふれるセッティングにお股をキュンとさせた。

手の込んだレイプだなぁ。

 

「えへへ……グラ~ン……♡ 『ルリア、愛してるよ(低い声)』 はいっ、私も、大好きですっ!」

 

なんか小芝居が始まった。

 

ルリアは興奮と熱と息苦しさで上気した顔で、はぁはぁと荒く息づきながらグランの背中に腕を回し、お腹をゴツゴツしたチンポにずりずりとこすりつける。

 

「はぁ……はぁ……『ルリア、もう我慢できない。挿れてもいいかい?(低い声)』 はぁ……う、うん……でも、恥ずかしいので、灯りを消してくれますか? ふぅ……『わかったよ。ルリアは可愛いなぁ(低い声)』 えへぇへぇ……可愛いなんて、そんな……はぁ……ん、……はぁ……♡」

 

だいぶトリップしていらっしゃるようだった。

 

とろけた顔で胸板に頬擦りしつつ、片腕を枕元の魔道具に伸ばしてセルフで光量を落とすルリア。

もう何も言うまい。

 

「すんすん……ルリアちゃん、めっちゃ気持ちよさそうやね……」

 

「すぅーー…………っはぁ……♡ ウチもシてるトキあんな顔してんねやろか? ハズいなぁ……すんすん……」

 

グランの下着に顔を埋めながらそう呟くポンコツメスエルーン共。

いっぺん鏡でも見るべきである。

 

「はぁ……『ほら、これで恥ずかしくないだろ?(低い声)』 はいぃ……はぁ…………♡ はぁ……ふぅ……『いくよ、ルリア(低い声)』 はひっ♡ きてっ、きてくださいっ♡ ……ジータ、キス! グランとちゅーしたいですっ♡ おチンポ挿れる前にちゅーってーっ♡」

 

「はいはい」

 

完全に出来上がった顔で鼻息も荒くそうねだるルリアに、やれやれといったふうにジータが立ち上がる。

 

フトンごとグランの背中を抱え、上背のあるグランが猫背になるように持ち上げてなんとかルリアがキスできる位置に調整する。

 

「えへへ……グラン……♡ んちゅ……ん……ぷちゅっ……はぁ……こ、このまま、そーにゅうううぅぅぅぁぁぁ♡♡」

 

「はーい、挿れるよー♪」

 

ズブブブブブブッ♡♡ っと、巨大な肉棒が膣肉を押し広げて入ってくる感覚に、ルリアはたまらず嬌声を上げた。

 

いいかげん焦れてきたジータちゃんが、ルリアが言い切るのを待たず器用にグランの腰をあやつって、開きっぱなしのルリマンコに剛直をねじ込んだのだ。

 

「ジータちゃん、いけずや……」

 

「うわぁ、ルリア、大丈夫(ダイジョブ)?」

 

「は、はひ…………ダイジョばらいれす……♡」

 

ソシエとユエルがのぞき込むと、ルリアはピンクに濁った目をぐるぐる回してはひはひと息も絶え絶えな様子だった。

 

真っ赤に紅潮した身体は小刻みに震え、布団の中からチョロチョロという音が聞こえる。

 

もわっ……と周囲に広がる淫臭。

エルーン族の鼻に頼るまでもなく、盛大にイッてしまったのがわかる。

 

「はい、じゃあ、一回イッたから交代ね?」

 

それをニヨニヨと愉しそうにながめながら、ジータがいい笑顔で言う。

 

「ええっ!? はぁ、はぁ、そんな、ズルいです! (わらし)ぃ、まだ入れたばっかりらのに……!」

 

「そうやそうや! 一回だけなんてあんまりやん!(そんなんウチ一瞬で終わってまうやんか!)」

 

ルリアが涙目で抗議すると、ユエルも慌ててそれに乗っかった。

 

ナニを隠そうこのユエル、超がつくほどの早漏ギツネなのだ。

 

もう何度もグランと睡眠レイプしてきたユエルだったが、おまんこがすっかりグランの形に拡張された今であっても、

 

グランのチンポの臭いを嗅いではアクメし、

グランとベロちゅーしてもアクメし、

チンポを喉奥に咥えてはアクメし、

ザーメンを飲んでもアクメし、

 

オメコするコトを想像して一回、

先っちょと膣口がくっついただけで一回、

挿入しながら何度も小刻みにアクメして、奥まで挿入してもう一回アクメする程だ。

 

完全に子宮が陥落していた。

ピストン中など、ほぼイキッぱなしである。

 

ユエルはおチンポにめちゃくちゃ弱いエルーンだった。

 

最近では、グランの姿を見ただけでアソコがトロトロになり、名前を呼ばれただけでもたまにアクメりそうになる。

発情臭プンプンだ。

 

鼻のいい一部団員たちには、ユエルがグランに発情してるのがバレバレ状態である。

 

……とにかく、イッたら交代なんてコトになったら一生順番なんて回ってこないコトは明白だ。

必死である。

 

「あはは、冗談だってば。じゃあ、グランが一回イッたら交代ね」

 

目頭に涙を浮かべて懇願するユエルを見て、すぐに降参してヒラヒラと手を振るジータ。

 

改めてルールを告げながら、ジータは内心ユエルのかわいさポテンシャルに危機感を感じた。

 

「ほなら、ユエルちゃんでも大丈夫(ダイジョブ)やんね?」

 

「ソシエぇ……そないな目で見んとってぇ……」

 

(むむむ……かわいいなぁ……)

 

クスクスと笑うソシエを、グランのパンツ越しに涙目でにらむユエル。

 

極上のプロポーション。

下着並みの露出度。

長くてサラサラの髪に、コロコロと表情が変わる人懐っこい顔。

白くてすべすべの肌、大きな狐耳とフッサフサの尻尾。

無駄にかわいい方言。

なにげに王族の血を引くお姫様。

 

なのにどスケベでイキ癖つき。

 

(勝てる要素が無い……!)

 

設定が強すぎて軽く苛立ちすら感じる。

 

こんなチートじみた美少女エルーン(19)が、常時発情フェロモンと好き好きオーラを撒き散らしながら子犬のようにチョロチョロとじゃれつき回った日には、あのニブちんな兄であってもコロッといきかねない。

 

結果的に、早い段階で弱味を握れたのはまったくギョウコウだったんだなぁとジータはこっそり思った。

 

(絶対グランにバレないようにしなきゃ)

 

グランの腰を抱えて、ルリアの腰にズブズブとリズムよくチンポを出し入れさせながら、そうケツイをあらたにするジータ。

 

「はひゃっ♡ あっ♡♡ グランっ♡ 深いっ♡ 深いれすっ♡♡」

 

グポッ♡ グポッ♡ と、ゆるゆるの子宮口を耕す音が響き、ルリアがうっとりと蕩けきった嬌声を上げる。

 

しかし悲しいかな、そうやってグランにバレないようにすればするほど、彼女らの恋は理想から遠退いてゆくのだが、下も上もガバガバなジータがそれに気づくのには、まだちょっと時間がかかりそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

所変わって、騎空艇グランサイファーの見張り台。

 

船団の先頭で、穏やかな夜風に薄手のナイトガウンをたなびかせ、欄干にヒジをついて退屈そうにアクビをする妖艶な美女が一人。

 

風になびき、星明かりでキラキラと輝くヤマモモ色の髪。

口元にキリッと引かれたリップと、胸元を大きく開いた色っぽいドレス。

頭にはふわふわの耳。

脇に無造作に立て掛けられた魔導弓。

 

天稟の射手、セクシーイケイケお姉さん、姉より優れた妹などいない! な、メーテラ(ねえ)様(25)だ。

なにげにケッコウな古株さんである。

あと姉よりシコい妹ならいる。

 

「はぁ~、タイクツぅ~…………イイ男でも飛んでこないかしらぁ……」

 

さて、そんなメーテラだが、今日も今日とて代わり映えのしない夜空を眺めて、あまりのつまらなさに()()()()()()な気分だった。

 

航行中の航路は非常に安定した空域で、大きな気圧の変化もなければ暗礁帯もなく、おまけに秩序の騎空団の定期航路ということもあって治安もすこぶるよろしいのだ。

どうしようもなく安全な夜間哨戒は、ヒマが売れたら一財産できるんじゃないかというくらい退屈なものだった。

 

(だいたい、この辺りの空域でウチの団にケンカ吹っ掛けてくるようなおバカさん、そうそういるわけないじゃないの……あ~あ、つまんない。こーなったらスーテラでも起こしてからかおっかなぁ…………それとも)

 

チラッ、と後ろを振り返るメーテラ。

 

歴戦の艇団の中にあって、ひときわの威容を誇る特Ⅱ型居住艇。

見通せるはずもないその最奥、夜間立ち入り禁止の特注フロアの中をのぞくように目を細める。

 

ひんやりとした夜風が、少しだけほてった頬をふわりとなでる。

 

(…………団長でも連れ出して、ちょっと夜空の散歩でもしようかしら?)

 

そういえば、初めてこの騎空団と、そして団長のグランに出会ったのも、ちょうど今日のように風の静かな夏の日の事だったか――――

 

 

 

 

窮屈で退屈な生活にうんざりして、守り人の役目を放棄して生まれ育った集落を飛び出したメーテラは、行き交う騎空艇に相乗りさせてもらって島々を転々としていた。

 

古くさい村に居たままでは決して味わえないような刺激的で感動的な体験に満ちた旅におおよそ満足したメーテラは、とうとうある決心をする。

 

『恋しよう!』

 

メーテラのいた村は、古臭い慣習やしきたりやらがうるさく、自由恋愛なんて夢のまた夢だった。

 

其々の家の家長の許しを得て、長老の許しも得て、その上で何年も清い交際を経てやっと結婚。

そして初七夜で身体と心を清めた後、初めて神前で愛を交わすコトが許されるのだ。

 

「やってらんないっつーの!」

 

そんなまどろっこしい恋愛なんてゴメンだ。

大事なトコにクモの巣でも張ったらどうしてくれる。

 

時代はフリーセックスだ。

もっとスポーツ感覚でエッチとか恋愛とかしたいのだ。

イケてる女子は経験人数二桁くらいフツーだって雑誌に書いてあったし。

 

自分クラスの激マブ(死語)女子なら三桁……いや四桁はイケる。

 

家出の興奮でテンションが上がっていたメーテラは、割と本気でそう思っていた。

 

「さーて、どっかに手ごろなイケメンでも転がってないかなぁ~…………っと……?」

 

まあ、いくらフリーセックスだからといって、お相手には妥協したくない。

将来的には千人切りするつもりでも、今はピチピチの生娘。

せっかくの脱処女なんだから、それなりのイケメンでなきゃダメだ。

 

あたしのハジメテは安くないのだ。

 

「お♡ アレなんかイイカンジじゃ~ん?」

 

そんなメーテラの視線の先には、オープンカフェのテーブルに肘をつき、飲み物を注文しているそこそこイケメンなエルーンの若者が。

 

(顔は悪くないし、ファッションもまあまあ。乱暴そうには見えないし、最初の相手にはちょうど良さそうかしらぁ?)

 

なんとも安い処女膜だった。

しかも結局同族のエルーン。

どうにも故郷の匂いが抜けきれていないというか、ちょっと都会の高校に入って一斉にビッチ化する田舎娘感がスゴい。

 

もちろん、そんなコトには気づかないメーテラは、意気揚々と青年に声を掛け――――

 

 

 

 

 

「……ちょっとぉ、コレってどういうコトかしらぁ~?」

 

青年に連れ込まれた裏町の一軒家で、複数人のむくつけき男達に囲まれていた。

 

「お~、イイねぇ! 今日はなかなかにマブい姉ちゃんじゃねぇか。良くやったなキー坊!」

 

「はいっ! いつものカフェで手ごろなのを探してたら、コイツの方から声を掛けて来まして!」

 

「ヒュ~! やるねぇ、イロオトコ。 オメェの面ぁホント役にたつわ」

 

キー坊、と呼ばれたエルーンの青年の頭を、ガシガシとなでるドラフの大男。

周りのヒューマンやエルーンの男達も、それを見て下卑た笑い声を上げる。

 

(チッ……ムカつく。そういうコトかよ……)

 

どうやら、自分は田舎からのお上りさんを狙った女狩りに引っ掛かってしまったらしい。

サイアクだ。

 

不細工な男共の目線が自分の胸やお尻を無遠慮になめ回すのを感じて、無性にミジメな気持ちになる。

 

(あーキモチ悪ぅ……ナニタダ見してんのよ……)

 

「さ、て。おう嬢ちゃんよ。逆ナンなんてお前も好きモノじゃねぇか、え? お望み通り、俺たちがたぁ~っぷりカワイがってやるぜ~?」

 

「ケヒヒ……んなぁ、名前ナンてーの? おしえてくだちゃ~い♪」

 

「あっ、そいつ、メーテラ、って言うらしいっす。匂いからして、処女っす」

 

キー坊にバカにするような目で見られ、ギリっ……と奥歯を鳴らす。

経験豊富なエルーンは、異性の性的な匂いを見抜けるようになるという雑誌の記事はどうやら本当だったらしい。

 

「はあ? こんなカッコして()()()かよ? メンドクセ~なぁ」

 

「うっわ~w 田舎娘、都会でイメチェンデビューってか? それでキー坊に捕まってんだからツイてねぇなぁメーテラちゃん?」

 

「よーし。じゃキー坊、確かお()ぇ初モンは初めてだろ? 上玉捕まえたご褒美だ、一発目はくれてやるよ」

 

「マジっすか!? ありゃしゃーーっすっ!!」

 

(……………………)

 

もうガマンの限界だった。

 

キー坊がカチャカチャとベルトを外し、パンツごと下をずり下げる。

ポロン、と、先走りを垂らす小さな(エルーン基準では平均)チンポが反り返る。

 

「へへっ……そう言うワケだからさ……メーテラちゃん、ハジメテ、貰うぜ? 安心しなよ、こん中じゃオレ、ケッコウ優しい方だからさ。抵抗さえしなきゃオレがキモチ良く――――」

 

「――――ぃん――よ」

 

「――あ?」

 

ギラっ……と、目の前で粗末なモノを丸出しにしたキー坊を、真っ赤な顔で睨む。

 

怒りと羞恥心で真っ赤な顔。

引き結んだ唇。

目尻に浮かんだ涙。

小刻みに震える長いまつ毛。

 

「っ……!?」

 

か、かわいい――――

 

一瞬、キー坊はその顔に見とれ、

 

「小っっっちぇーんだよホーケー野郎がっ!!」

 

次の瞬間、魔力を込めた鋭い前蹴りがキー坊のキカン坊にめり込んだ。

 

 

 

 

 

「あ~、クソッ! ツイてない、ツイてない、ツイてなぁ~~~いっ!!」

 

強姦魔達の棲家を飛び出したメーテラは、飛翔の術で商店街を港に向かって疾走していた。

 

先ほど、不意打ちでキー坊の玉を粉砕したメーテラは、あっけに取られたチンピラ達に魔導弓を乱射して、混乱に乗じて逃げてきたのだ。

正直、全員の股間を粉砕でもしないと自分の受けた屈辱は晴らせそうになかったが、あの場では多勢に無勢。

どんな反撃を受けるともわからないとあっては、天才のメーテラでも逃げを打つ他なかった。

 

もっとも、

 

「までやゴラァっ!! 待ちやがれぇっ!!!」

 

「舐めクサりやぁってこンのアバズレがぁっ!! ああ゛っ!?」

 

「オラッ! クソッ、ちょこまかスンなやっ!! ワレぇ、キー坊ん玉ぁツブしやがってコラ、クソアマぁぁっっ!!!」

 

その選択は間違いではなかった。

 

あの乱射をくぐり抜けられるだけの手練れが複数人、その内、逃げながらの狙撃を打ち払って追いかけてこれるようなヤツが三人もいたのだ。

 

両手にイカツいメリケンをはめたエルーンと、魔導師のヒューマン、そしてリーダー格のハルバードを担いだドラフの大男。

悔しいが、マトモにやりあえば自分もタダではすまなさそうだった。

 

相手の棲家の真ん中で怒りに任せて暴れていれば、間違いなくやられて、そしてヤられてしまっていただろう。

エロ同人みたいに。

 

「チッ……っ、テメーらに言われたかないっつーのっ! ……もぉ~、サイアク、コイツらゼ~ンゼン使っかえないんだから……っ!!」

 

口汚い罵倒にイラついて、振り返り様に五六発の矢を放つも、エルーンの男は身をかわし、ヒューマンの魔導師は風を起こして矢をそらす。

 

そしてドラフの大男が残りをハルバードで切り払って、怒号を上げながら悠々と追いかけて来るのだ。

 

メーテラの弓は、そんじょそこらの弓とは一味も二味も違う。

不規則な軌道を描き、決してあやまたず的を穿つ魔法の矢は、速度も威力も普通の矢とは段違いなのだ。

 

いくらメーテラが精神的に不調で、その上周囲の一般人に被害が及ばないように細心の注意を払っているからといって、そこらのチンピラ風情にこうも容易く打ち払えるモノではないハズだ。

ヤツら、ただの変態ヤローかと思ったが、相当の使い手だった。

 

更に腹の立つコトにコイツら、この辺りで名の通った悪党なのか、商店街の人々はおろか、衛兵すらが怯えて道を開け、誰一人メーテラを助けようとしないのだ。

 

「テメェ、オラ、観念しろやっ!! 港に出たってムダだぞ!! アソコにゃオレ達に逆らえるような艇はねぇんだよっ!!!」

 

「メスブタが、思い上がりやがって、タダですむ思うなよああ゛っ!!?」

 

「――――っ!」

 

その言葉に、メーテラは思わず振り返ってまた矢をつがえようとし、

 

「おっ! っと……!」

 

「うきゃっ!?」

 

ドスッッッ!!! っと、ものすごい勢いで誰かに激突してしまった。

 

(ヤバッ、よそ見して……っ、ってか、今のスピードじゃ――――!?)

 

「ちょっと、アンタだいじょ――――」

 

一般人をちょっと洒落にならないレベルのスピードで轢いてしまったメーテラが慌てて顔を上げると、

 

「あー…………スミマセン、大丈夫でした? 空飛ぶトキは前見た方がイイっすよ?」

 

ダークブラウンの瞳が、困ったように自分を見下ろしていた。

 

「……っ、……~~!?」

 

ふわっ……、とナニかスゴくイイ匂いがする。

なんだか良くわからないが、お腹の奥がキュンキュンするニオイだ。

 

メーテラは、自分の顔が熱くなるのを感じた。

というか、この男の子が受け止めてくれたのか?

かなりのスピードだったハズ……ってか、お姫様抱っこ!?

 

「あ、下ろします?」

 

その瞬間、ボォンッ! という轟音と、肌のヒリつくような熱風がメーテラの頬をなでる。

ブワッ、と耳が総毛立つ。

 

「ハアッ、ハアッ……! へっへっへっ……とうとう追い付いたぜクソアマぁ……!!」

 

メーテラが、ハッ、として顔を上げると、三人の強姦魔が肩で息をしながら、血走った目で其々の得物をもてあそんでいた。

 

魔導師が威嚇射撃でもしたのか、目の前の地面が円形にえぐれて、ドロドロに溶け赤熱した地面が焦げ臭い煙を上げている。

 

「ハアッ……ハアッ……どうしたよ、え? ビビって声もでねぇか? 今度はそんなガキ捕まえて、ハァッ……助けて下さいってか? ハッ!」

 

「ふぅ……おう、ガキ。そのアバズレ置いてとっととお家へ帰んな。ヒーローごっこって歳でもねぇだろ」

 

リーダー格の男がハルバードを地面に突き立て呼吸をただし、メリケンサックが少年を睨み付ける。

 

(ヤバい、追い付かれたっ!)

 

「…………言うとおりにすればぁ~? アイツらくらい、あたし一人でどうとでも――――」

 

メーテラは火照る頭でなんとか冷静に状況を分析し、少年に抱かれたまま目を伏せてそう言いかけた。

少なくとも、この状況は自分のまいた種。

いくら――――いくらちょっと腕がたくましくて、ドキッとするくらい胸板が厚くて、ちょっとカワイイ顔で、スゴくイイニオイがするからって、こんな妹くらいの年の子供を巻き込むワケには――――

 

「やべえ、マジでこんな展開あるんだ……出てよかった、旅……!」

 

「……? ちょっと、アンタ今なんか言った?」

 

少年がボソボソと小声でナニかを口走り、そして、

 

「ひゃっ……!?」

 

グッと力強く抱き抱えられた。

カワイイ顔ばかり見ていて気づかなかったが、この少年、帯剣している上、軽装だが皮鎧も身につけている。

一般人じゃない……おそらくは、騎空士だ。

 

まさか戦う気!?

 

ムチャよ――と言いかけたトコロで、間近で顔をのぞき込まれ、ふわっ……、と、オトコのコの香りがメーテラの鼻をくすぐる。

 

(えぅ……ナニよ、このコ……!)

 

澄んだ、力強い瞳で見下ろされ、メーテラはまた身体が熱くなるのを感じた。

 

急に大人びたような顔で、少年が言う。

 

「お困りみたいですね?」

 

トクン……! と、メーテラの胸が高鳴った。

ナゼだかはわからない。

だが、このオスに任せれば、全部大丈夫。

そんな気がしたのだ。

 

「…………ん、……ぅん」

 

気づけば、メーテラは自分の妹くらいの年頃であろう少年の瞳を見つめて、コクリ、とうなずいていた。

乙女か(25)。

 

「…………ああそうかよ。なら死になアっっっ!!!」

 

少年――――まあグランなのだが、彼がそんなメーテラに微笑むと同時に、突如繰り広げられたラブコメ時空にジれた魔導師が二人を巻き込む大火球を放ってきた。

 

着弾すれば、人の一人や二人、間違いなく消し炭にしてしまうだけの熱量。

それを、グランは、

 

「ふっ」

 

軽く、蹴り飛ばした。

 

 

 

 

 

「はっ! バカが――なぁっ!?」

 

おろかにも自分から攻撃に突っ込んできたグランを鼻で笑った魔導師は、次の瞬間目を見開いて後ずさった。

 

ボンッ!! と低い破裂音と共に火球が吹き散らされ、火の粉の中から無傷の少年と女が出てきたのだ。

少年が持ち上げた片脚に、赤い燐片が名残のようにまとわりついている。

 

「チッ、おい、手ぇ抜き過ぎだ。アジトにゃエリクシールだってあるんだ、女の方が死ななきゃどうなってもいい」

 

「あっ、いえっ……今のは……!」

 

大男げ忌々しげに睨むと、魔導師はたじろいで何事かを言いかけた。

 

「おまえが大将か」

 

「っつぁぁ゛ぁ゛っ!!?」

 

振り向いて聞き返そうとした所で、ふいに間近で聞こえた誰何(すいか)

にわかに全身が総毛立つ感覚に、大男は半ば反射的にハルバードを薙ぐ。

 

列泊の気合いの元、ゴウンッ!!! と横一文字に死線が走る。

剣圧に巻き起こされた風が逆巻いて、市場の一角を吹き飛ばした。

 

成り行きを見守っていた観衆が悲鳴を上げて逃げ惑う。

 

少年は見当たらない。

 

「上かっ!?」

 

「下だよ」

 

視界の外。

真下からの声。

 

見下ろすよりも速く、自身の身体が支えを失ったかのように天地を失う。

 

(足を刈られた――――っ!)

 

刹那、大男は土手っ腹を大砲に撃ち抜かれたような衝撃と共に、意識を失った。

 

 

 

 

「ほら、大将は延びちまったみたいだけど、あんたらはどうする?」

 

グラン少年は、そう言ってメーテラを抱き抱え直した。

 

ひぁっ、とかわいらしい悲鳴が聞こえた気がするが、その辺のお楽しみはコイツらをどうにかした後だ。

 

一番腕の立ちそうだったリーダー格のドラフはすでに地面にのびている。

できれば大人しくお縄に――――

 

「テメェ、舐めやがっぽめっ!!?」

 

殴りかかってきた武道家エルーンを蹴りとばして、最後の一人に向き直る。

 

「あんたもノしてから突き出してもいいけど。自首する?」

 

「……お、オーケー、オーケー……負けだ。するよ、自首する! だから勘弁してくれ……な?」

 

慌てて両手を上げて、ミジメなくらいにへコへコするヒューマンの魔導師にため息をついて、グランはゆっくりとメーテラを地面に下ろした。

 

どこかボーっとした様子のメーテラに、笑い掛けるグラン。

 

「……というコトで、一件落着でイイですか? エルーンのお姉さん?」

 

「え、ええ……助かったわ……」

 

メーテラは、そう言われても、ナゼか顔を上げられないでいた。

 

(ナニ……コレ? 顔、アッツイし、胸がドキドキして……目ぇ、合わせらんないんだけど……!)

 

メーテラ姉様(25)は、生まれて初めて感じる胸の高鳴りに戸惑いまくっていた。

 

不覚にも、危ない所を助けられ、力強い腕でお姫様のように抱き抱えられて、守られ、優しく労られている。

これまで、誰よりも強く、何者にも媚びず、気高く生きてきたハズだった自分が、まるでか弱い女の子のように……。

妹達のように、扱われている。

 

(あり得ないわ……! アリエナイ…………!!)

 

だって、そんなのおかしい。

自分の好みは、自分よりも背が高くて、イケメンで、細身でマメで、どっちかっていうと年上で、おしゃれで、耳のツヤが良くて、あたしよりちょっと弱いくらいで、かわいくて――――

 

(少なくとも、こんな、コドモじゃ――――)

 

こんな動揺するなんて、あたしらしくない。

さっさと顔を上げて、この男の子にお礼を言って、余裕たっぷりにからかってサヨウナラと言おう。

 

そう思い、チラッと目線を上げた所で――――

 

「――――っ! っあぶなっ!?」

 

降参したハズの魔導師が、少年の背中に向けて渾身の魔法を放つ、その瞬間を目撃する。

思わず悲鳴を上げる。

 

グランはその声にすぐさま振り返り、再び反対魔法をまとわせた回し蹴りで火球を打ち消した。

ボヒュゥンッ! と空気の抜けるような音。

間一髪だ。

 

(いけないいけない、ちょっと気ぃ抜いてたわ)

 

かわいいエルーンのお姉さんに気を取られ、ちょっと危ない所だった。

服に穴を開けると妹に怒られるのだ。

今度こそきっちり魔導師の意識を刈り取り、マンガみたいな出会いを果たせた運命のエルーンお姉さんに向き直る。

 

正直、今日こそイケるんじゃないかと思うのだ。

このお姉さん、ちょっとビッチっぽいし。

 

妹よ、お兄ちゃんは一足先に今日、男になります――!

(とっくに妹に男にされてるぞ!)

 

「いやー、危ない危ない、ありがとうございます」

 

そう言って笑い掛ける。

 

が、おかしい。

エルーンのお姉さんの反応がない。

 

ここは、素敵! 抱いてっ♡ ってなるトコロじゃないのん?

 

グランはお姉さんの顔を見た。

真っ赤な顔で、口をポカンと開けて、下を見ている。

下……というか、自分の股間の辺りだ。

 

周囲の観衆から、キャーキャーという黄色い声や、おおー……という動揺したような太い声が聞こえて来る。

 

そういえば、なんだか下半身が涼しいような……?

 

グランは恐る恐る自身の下腹部を見下ろした。

 

ボロボロに焼け落ちた服。

素っ裸の下半身。

ブラブラと風にゆれる、浅黒い大蛇。

 

モロ出し、だった。

 

「~~~~~~っっっっいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

その日、商店街に丸出し男の悲鳴が響き渡った。

お前が悲鳴上げんのかよ。

 

 

 

 

 

 

「…………おっきかったわねぇ……」

 

グランサイファーの欄干にアゴをつけ、メーテラは思い返した。

 

(あんなの……反則じゃん。あーあ~…………今思えばあんトキが最大のチャンスだったのになぁ~……)

 

あの事件のあと、駆けつけた秩序の騎空士に勘違いで連れ去られたグランを救いだし、そのまま退屈しなさそうとかナニか理由をつけてこの団に入れてもらったのだ。

 

それ以来、なんとかグランと初体験をすべく、手を変え品を変え、押したり引いたりと一途に恋の駆け引きを頑張ってきた。

 

イケイケ女子を目指していたエルーンの天才家出娘は、あの日、あのとき、自分を助けてくれた強くたくましいグランに――――

 

 

 

そして、この世でもっともカッコいいおチンポに、初めての恋をしたのだった。

 

 

 

ヒドイ話だなぁ。

 

気の多い女の子を装っているのも、経験豊富なフリをしているのも、ただただグラン一人の気を引くためであった。

……結果は、芳しくないが。

 

「あー、セックスした~い。……団長とセックスしたぁ~い」

 

誰も聞いてないのをいいことに、ヒドい独り言だった。

グランが聞いていれば、喜んでズボンを脱いだコトだろう。

世の中世知辛い。

 

「………………あらぁ?」

 

さて、そんな風にメーテラが乙女にあるまじき独り言を漏らしながら特型艇を眺めていると、視界の端に、珍しいモノが映った。

 

「アレは…………シルヴァ、よねぇ?」

 

居住艇の横っ腹。

外廊部を一人、ナニか小箱を抱えて奥の方へ歩く銀色の影を見つけた。

 

遠目だが、アレは確かに銃工房三姉妹の長女、狙撃手のシルヴァだ。

方向から察するに、夜間立ち入り禁止のハズの、団長の部屋のフロアに向かっているように見える。

 

「………………へぇ」

 

……怪しい。

メーテラは思った。

 

シルヴァといえば、団長のグランのコトを特別気に掛けている女性団員の一人として有名だ。

というか、アレはもう間違いなく恋だ。

そう気づいていないのは、本人くらいのモノである。

 

そんなシルヴァが、こんな夜中に、一人でナニかを持ってグランの部屋へ。

 

「…………………………へぇ~~ぇ」

 

ふわり。

 

メーテラは飛翔の術で浮かび上がった。

 

「コレは見張りなんかしてる場合じゃないわねぇ」

 

スー……っと、音もなく空を舞うメーテラ。

向かうは特型艇の外廊。

 

(抜け駆けは許さないわよぉ~!?)

 

 

 

 

 

風の静かな、夏の夜の騎空艇団。

その中心で、ぐっすりと眠りこけるグラン。

いちゃらぶセックス祭り中の、ジータ達。

そこに向かうシルヴァ。

忍び寄るメーテラ。

 

物語は、また少し、進展を見せる。

 

当の本人を、おいてけぼりにして――――。

 

 

 

 

 

 

 

 





続きは反響とやる気次第
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