巨根なグラン君が色んな女の子にいいようにされたりしたりする話 作:空使い
「おお~、いい雰囲気だね!」
「だろう! 知る人ぞ知る秘湯、とっておきの穴場だぜ!」
「こいつぁまた、さすがソリッズの旦那、良い場所知ってるねぇ」
「流石にござる」
「美味しいお酒とかお料理も出るのかにゃ~?」
「おうよ! 味の方も保証するぜ!」
力強くウインクするソリッズに、グランたちはそれぞれの歓声を上げる。
ガロンゾでの迷い竜討伐の依頼を片付け、汗やら煤汚れやらでドロドロになった身体を休めようとソリッズに連れられてやってきたのは、町からだいぶ離れた山間の老舗温泉宿だった。
年期の入った味のある佇まいは、古いながらも隅々まで手入れが行き届いてオモムキ深い雰囲気を漂わせ、漂ってくる料理と硫黄の香りが今回の依頼メンバーみんなの期待をいやおうもなく膨らませる。
「五人で一泊、朝夕メシ付きで、部屋割りは……飲んべえの姉ちゃんは団長のお守りでイイよな?」
「んにゃっ!?」
「ソリッズ、からかわないでよ……一人部屋と、四人で入れる部屋を一つ、空いてますか?」
「はい、空いておりますよ。宿帳はこちらにございます――」
一人部屋のラムレッダに宴会場で会おうと手を振って、グラン、オイゲン、ジン、ソリッズの男四人は、落ち着いた雰囲気の老女将に案内された部屋に荷物を下ろす。
四人はおしぼりで汚れた顔をぬぐいながら、口々に今日の依頼の面倒くささや、首尾よく完遂できた喜びを笑いあった。
「いやぁーしかし、はぐれのトカゲ自体は大したこと無かったけどよ、地主のジーさんには参ったよなぁ」
「うむ。団長殿が居られたからよかったものの、木を一本も傷つけずに捕獲してくれというのはあまりにも……」
「あのジジイ、イチャモンつけて報酬金を踏み倒そうってスケベな魂胆が見え見えだったんだよなぁ。だいたいあそこの土地は元々丸裸の更地にする予定だったんだろう?」
「ははは。まあお陰で報酬をだいぶ吹っ掛けてやれたし、いいお灸になったんじゃない?」
「違ェねぇ!」
今日の依頼主は年老いた大地主で、一ルピを惜しむようなセコさで小金を溜め込んできたような小ズルい土地転がしだった。
シェロカルテから、高い報酬で騎空士を釣って、理不尽なイチャモンをつけては依頼を失敗扱いにしてタダ働きの上に違約金まで払わせるという悪どい手口を繰り返している不届きなやからを懲らしめてほしいとの密命を受けて挑んだこの依頼。
グランがいれば一瞬で片がつくだろうと気楽にしていたら、コトもあろうに依頼主が個飼いのヤクザものに手を回して竜にちょっかいをかけて暴れさせ、森を焼け野原にしようとしたのだ。
無茶苦茶に吐いた火炎のブレスを、グランとラムレッダで防護魔法を重ねがけした身体でもって髪を焦がしつつ全部防いでみれば、最後にはなりふり構わなくなったヤクザものたち自らが木々に火をかけようとし始める始末。
グランが八面六臂の活躍で山中に散らばった荒くれを片っ端からひっつかまえてくれなければ、危うく依頼失敗となるところだった。
「吹っ掛けまくった報酬金に高い慰謝料、ついでにクソジジイを官警に付きだした礼金とシェロの嬢ちゃんからの依頼完遂料! いやぁ、団長のお陰で笑いがとまンねぇぜ! ……で、だ。フトコロも温まったコトだしよ、今晩あたりは四人で夜の町とシャレ込まねぇか?」
「へ?」
ソリッズからの心ときめく妖しいお誘いに、思わずマヌケな声を漏らすグラン。
ジンがあわてた様子で腰を浮かせる。
「む!? ソリッズ殿、団長殿までそのような……」
「おいおい、かったいコト言うなよジン! 団長だってもう子供って年でもねぇだろうよ。ナニもいきなり娼館になんか連れてかねえって……可愛いネエチャンとお喋りしつつウマい酒でもな? それくらいは男のカイショウってヤツだろう、なあオイゲン?」
問いかけられたオイゲンは、アゴに手をやり、むうと唸る。
「ダメだ! ……と、無下にもできねぇなぁ。確かに、最近じゃあグランもいっぱしの男の風格ってヤツがついてきたコトだし、団長殿が行きたいってんならんなら止める訳にもいかねぇか、な?」
オイゲンのまさかのソリッズ擁護に、グランは内心喝采を、ジンは焦燥の声を漏らした。
「オイゲン殿までそのような……しかし確かに一理ある、か……? いやいや! やはりこういったコトを某達が教えてしまうのは!」
「っかーーーっ! お堅いねぇジンよぅ! こういう男のロマンを正しく教えてヤンのが大人の役目じゃねぇか! で、どうすンだ団長? オメエさん、顔はそれほどワルくねぇし、ガタイもいい。しかも凄腕の騎空団長で金持ちとくりゃあ、色街のネエチャンにもモテモテだぜ?」
「も、モテモテ……」
グランはゴクリと生唾を飲み込んだ。
最近、シェロにククルにクムユと、ニワカにモテ期が到来してきたグランではあったが、それでもグランの並み並みならぬ性欲を満足させるには至っていなかったようだ。
モゲればいいのに。
だいたい、団内には美人や美少女が山ほどいて、中には自分に対して思わせ振りな態度や言動をするコまでいる状況であったのに、勘違いが怖くて四年近く手の一つも出せなかったヘタレなグラン君である。
何度か意を決して、立ち寄った島の娼館に足を踏み入れようとしたコトもあったが、毎回直前になっては、
まず入ったら何て言えば?
俺って挙動不審じゃないか?
そもそもどんなコトしたらいいんだ?
作法とか暗黙の了解とかあるのか?
笑われたり、イヤイヤされたりとか……初めてなのに好みじゃないコとか、お婆ちゃんとか来ちゃったら……
などとぐるぐる考えた末に、毎度ヘタれてはスゴスゴとおフネに戻る筋金入りの童貞っぷりであった。
そんないまだ心はプロの童貞なグランにとって、この道の大ベテランなソリッズの誘いは一も二もなく飛び付きたいものであったが、
「だ、団長殿! 確かに団長殿はもう立派な大人! 某はコレを否と捨てる筋合いにはござらんが、団長殿に夜遊びさせたと知ったら、副団長殿やルリア殿はなんとお思いになるか……!」
「うっ!?」
「あー……そりゃぁ……」
「うぐぅ! た、確かに妹の嬢ちゃんを怒らすのはコエぇかも知れねぇけどよぅ……」
ジンの必死の指摘で、一斉に顔色を変えるスケベ三人。
グランの妹、鬼の副団長こと我らがジータちゃん。
旅の始めから今に至るまで、バケモノ揃いの騎空団でずっと副団長の座を守り続けているのはダテではない。
ほぼ人外なグランには及ばないにしろ、彼女もまた騎空団最大戦力の一人だ。
普段笑顔な彼女を怒らせても何一つ良いことがないと重々承知しているソリッズオイゲン両名は即座に思い直したのだった。
こうして、ガロンゾの花街の平和は今日も守られたのであった。
(ああ……また挑戦しそびれてしまった……ジータめ、くそぅ)
夕食までの間にひとっ風呂浴びてはどうかとソリッズに進められ、名物の露天風呂に入ろうとうなだれながら板張りの廊下を歩いているグラン。
オイゲン達は、後から行くと言ってグランを部屋から追い出したのだが、グランはきっと残った三人で夜の相談でもしているんだろうとふてくされていた。
「結局ジンさんもあっち側なんじゃん……サラに言いつけてやろうか……っと、ここか」
グランが顔を上げると、脱衣所の入り口が二つ、それぞれ男、女と、藍地に白く染め抜かれた暖簾がかかっている。
(何年か前に混浴を廃止したって言ってたよな……おのれ、無粋なコトを)
主にお前みたいなヤツのせいだよ! なコトを考えつつ、女の一文字の暖簾の先に心惹かれながら男湯の暖簾をくぐるスケベ団長グラン。
脱衣所には旅館中にうっすら漂っていた硫黄の匂いが充満していて、グランは思わず鼻をむずむずさせた。
暗い気持ちを切り替えて、名湯と評判の温泉に期待を膨らませながら浴衣を脱ぎつつ棚から空のカゴを引っ張り出す。
帯を解きつつ見回すと、空っぽのカゴが並ぶ中一つだけ浴衣が放り込まれたカゴがある。
(先客が一人、か)
そう思いながら、素っ裸になったグランは胯間の長剣をブラブラさせつつ備え付けの手拭いを一枚引っ掴んで引き戸を開けた。
そのとたんに、むわっ、と真っ白い湯気が熱気とともに顔をなでる。
(おおー……これはなかなか)
外を見渡せば、背の高い飴色の竹柵と種々こもごもな木々がしげる庭園に囲まれて、石作りの大きな露天風呂が広がっていた。
空を見上げればそよぐ枝葉の間に銀色の月が覗き、洒落人とは言いがたいグランをしてもののミヤビとやらを感じさせる見事な景観だ。
(いいなぁココ。今度はビィとか団のみんなも連れて来なきゃ)
すっかり気分を良くしたグランは、さっそく掛け湯でもしようと端に積まれた木桶を手に取り、ペタペタと湯船に向かった。
湯船には小柄な先客が一人、こちらに背を向けて浮かせたお盆から手酌でトックリを傾けている。
湯気でよく見えないが、頭から伸びた角を見るにきっとドラフのおじさんだろう。
グランはその人影になんとなく違和感を覚えつつ、湯船を揺らしてお盆をひっくり返してしまってもいけないと思い、桶を湯に入れる前に先客に一声掛ける。
「失礼します、お湯、揺れるんで気をつけて下さいね」
「んにゃぁ? ああ、どーぞどうぞにゃ――あれ?」
(あれ、男にしちゃなんか声が高い、というかひどく聞き覚えのある……)
湯をすくいながら、ナゼか背筋に冷たいモノを感じつつ顔を上げると、くるりと振り返って笑みを凍らせたドラフのお姉さんとバッチリ目があった。
ざばぁ、と肩から湯を掛ける。
「…………えーっと」
「……だ、だだっ、団長きゅんにゃ? ありゃ? え? こここっココお、おんなゆ……にゃ……!?」
お湯とお酒で赤らんだ顔をまじまじとグランの顔に向け、その目をツツツとじょじょに下げてゆくお姉さん……というか、ラムレッダ。
そりゃそうだよなードラフの男がこんな小さなシルエットなワケないじゃんなーと現実逃避するグランをよそに、ラムレッダの確かめるような視線が顔、胸、腹と下がってゆき、元々赤かった顔が更に赤くなってゆく。
そして、その視線がとうとうグランの下腹部に達すると、
「――きゅぅ」
目を見開いて変な声を上げたラムレッダは、目をぐるぐる回してフラッと身体を揺らすと、ザパァン! と仰向けに倒れてお湯に沈んでしまった。
「あ! ちょ、ラムレッダさんっ!?」
ラムレッダは、熱と酔いでぼんやりとした頭で、自分がいつの間にかまどろんでしまっていたコトに気がついた。
なんだかすごくイケナイ夢を見ていたような気がしたラムレッダは、少しドキドキしながら夢の内容を思い出そうと、角を引っかけないように気をつけつつ寝返りをうって、なんだか柔らかくてゴツゴツした枕に顔を埋めた。
ぐにゅっ
「あっふっ!?」
枕が湿っている。
そして枕カバー越しに顔に感じる、熱くて固くて、なんだかどくどく脈打っているナニかの感触。
いつもの枕と全く違う感触で、しかもなんだかすごく安心するイイ匂いが脳をジンジンさせる。
「あのっ、ラムレッダさん、目、覚め、ふぅぅっ!?」
確か今日は依頼を片付けて、温泉に入って、のんびり月を見ながら美味しいお酒を飲んで……
寝ぼけた頭で少しずつ思い出しながら、イイ臭いの枕にうずめた頭をぐりぐりするラムレッダ。
顔に当たるフニフニの感触とツンとした匂いに、足の付け根の奥がキュンとして、自然と太ももがこすり合わされる。
(そうにゃ、そしたら後からお客さんが入ってきて、それが団長きゅんで……団長きゅんで、それで、それ……で……!?)
ピタッ、と固まるラムレッダ。
顔に感じる濡れた手拭いと、熱く脈うつ太い棒状のナニか。
回した両腕に感じる、ゴツゴツした筋肉と体温――
「んに゛ゃああっ!!?」
「うわっ!?」
勢いよくガバッと顔をはねあげると、ペタンと尻餅をついた団長と目が合う。
「えっ、だだだ、団長きゅん!? あ、アらシ、なん、なんで――」
のぼせ上がった頭が急速に冷えていくにつれ、状況がどんどん視界のモヤを払ってゆく。
そうだ、今日は依頼を片付けたあと、旅館で一泊するコトにして、ソリッズの爺さんにからかわれて、頭をスッキリさせようと露天風呂に入って、月見酒をしながらなんとなく団長きゅんのコトを妄想しつつ幸せな気分に浸ってたらナゼかその団長きゅんが女湯に入ってきて、団長きゅんの団長きゅんが全然団長きゅんじゃなくて、なんかすっごく太っとくて長くて、なんか頭がぐるぐるして、そしたら団長きゅんが膝枕でアタシがソコに顔を、顔を――!?
「ふぎゃっ――もがっ!?」
「すす、ストップ!! ストップ!! しーーっ!!」
ラムレッダが自分のしでかしたコトに思わず絶叫しかけたトコロで、素早く近づいてきたグランがラムレッダの口を塞ぐように手を当てる。
(だだだ、団長きゅんっ!? お、おか、犯されるにゃ!? アタシ年下のオトコノコに犯されちゃうにゃ!?)
男らしい筋肉質な裸体をさらけ出したまま至近距離で顔を覗き込んでくるグランに、ラムレッダは羞恥やら緊張やら興奮やらでまたもパニックになり掛けるが、
「ら、ラムレッダさん、落ち着いて! 落ち着いて下さい! ヒトが! ヒトが来ちゃいますからっ!」
そう言いいながら、口もとに指を立ててシーっ、シーっとジェスチャーをしているグランになんとか叫ぶのを抑さえ込んだ。
ついで、赤い顔をチラチラと自分の胸元やそのもっと下に向けているグランの視線で、ようやく自分もまた全裸なコトに気がついた。
「ふにゃっ!?」
胸とアソコを手で押さえて、ペタリ、と座り込む。
あっ……と残念そうな声を上げるグランに、なんだか泣きそうな気分になりながら足元に落ちていた手拭いを手繰り寄せて前を隠す。
ラムレッダは、酔いとは違う熱さで自分の顔が真っ赤になっているのが分かった。
いつもは(割と)平気なのに、今は恥ずかしすぎてグランの顔が直視できない。
自分の、最近ちょっと、ちょぉ~っとだけ太っただらしない身体を見られてしまった……そして見てしまった。
っていうか触ってしまった。
いや、顔を擦り付けちゃった気がする。
気がするというか絶対頬ズリとかしてた。
匂いとかスゴい嗅いじゃったかも。
思ってたより固かったし、なんかスゴくエッチな匂いで、ビクビクしてた。
あの腕みたいなサイズって絶対普通じゃないよね……?
…………じゃなく!
じゃにゃくて!!
「な、な、な、なっ……!」
「…………な?」
すうーっ、と深呼吸する。
「……なんで団長きゅんが女湯にいるにゃ!? の、覗きにゃ? いくらなんでも堂々としすぎにゃ!」
「えっ!? いや、こっちは男湯で……入り口の暖簾……」
「の、暖簾もちゃんと、オ、ン、ナって書いてたにゃ!」
「ええっ!? いやっ、確かに男って――」
グランが焦ったようにしどろもどろな答えを口にしたところで、柵の向こうから大きな声が聞こえてくる。
「おーーい、グラン!! 確かにそっちは女湯だぜぇーーっ!!」
ガバッ! と前を隠したまま顔を上げると、露天風呂の真ん中を横断している四五メートルは有りそうな竹柵の上から、白いひげ面をニヤつかせたソリッズがこちらを見下ろしていた。
「ナッハッハッ! 今日はご苦労様だった団長にオレからのプレゼントだぜ! なあに、ちょいと先回りして暖簾を掛け替えておいたのよ! まあ飲兵衛のネェチャンしか入ってなかったみてぇだけどよ、ラムレッダもなかなかイイチチとケツ――っグワッ!?」
スコーンッ! といい音を立てて木桶を頭に直撃されたソリッズは、頭を大きくのけ反らせて向こう側に落っこち、ドボンと大きなお湯柱を立てた。
「セイっバイっにゃっ! 団長きゅんにナニさせてるにゃこンのエロジジイっ!」
腕を振り切った体勢で片手と手拭いで器用に前を隠しつつ肩を怒らせるラムレッダ。
そのラムレッダに見えないようにグッと親指を立てるグランは、柵の向こうでもひっくり返ったままのソリッズが同じようにサムズアップしているのを感じた。
(ソリッズさん……アンタ最高だよ……!)
(フッ……イイってコトよ!)
変態と変態が心で通じあった瞬間だった。
お秩序さんコイツらです。
「……団長きゅん」
「あっ、その――」
「あーーー、そういうワケだ! 団長はワルくねぇンだしよ、ひっぱたくくらいで勘弁してやってくれなネェチャン!」
再び向こうから聞こえてくる大声に、ラムレッダは肩から力を抜いた。
「…………はぁ」
「ご、ごめんなさい、俺、気づかなかったとはいえ……」
「気にしてないにゃ。……アタシも、な、なんか色々やっちゃったし……」
思い返して、むしろ自分の方がマズイコトをしていたような気がしたラムレッダは、ゴニョゴニョと口を濁らせた。
一回り下の男の子の股間をガン見してぶっ倒れるという、いつもお姉さんぶっているクセにいい年こいて処女丸出しな体たらく。
しかも寝ぼけて、介抱してくれていたグランの股間に顔を擦り付けて匂いを嗅ぎ倒し、あげく自身のハダカを見せつける。
これ通報されたらアタシが捕まっちゃうんじゃないかにゃ? と、今更ながら背筋に冷たいモノを感じたラムレッダは慌ててかぶりを振って、自分が冷たい手錠の上から布をかけられて項垂れながらリーシャにしょっ引かれてゆく恐ろしい妄想を振り払った。
「今何か……」
「なんでもないにゃ!」
「はいっ!?」
ピシッ! と気をつけの姿勢になったグランの、大きく手拭いを盛り上げている股間に目をやらないようにしつつ、ラムレッダは口を開けた。
「……まあ団長きゅんが悪くないのはわかったけど……お姉ちゃん、そんなにまじまじ見られると恥ずかしいにゃ……ほ、他のお客さんが来る前にさっさと出てった方がいいにゃ!」
「は、はいっ! スミマセンでしたっ!」
グランは赤い顔を上に向けたままそう謝って、バっと振り返って脱衣所へと走っていった。
ピシャン! と閉められた引き戸をしばらく見つめてから、ラムレッダはもう一度、はあぁぁーっ、と大きく溜め息をついた。
「今日イチバンのビックリだったにゃ……」
湯船のヘリに腰かけて足を湯につけ、プカプカと漂っていたお盆を引き寄せて、トックリをひっ掴む。
(団長きゅん……カワイイ顔して、スッゴいオチンチンだったにゃ……)
そのままトックリを口許に運び、まだだいぶ残っていた中身をグイッとあおる。
(オチンチンってあんにゃに固くてアッツぃんらにゃぁ)
続けて、もう一本のトックリに手を伸ばして、こちらも水でも飲むかのようにぐびぐびと飲み干してゆく。
(しょれにぃ、スッ……ごく、エッチなひおぃがひたにゃぁ……あんにゃの、らメにゃ……ハンザぃにゃ)
なにやら思考がおかしな方向にそれてゆくのにも気づかず、酔っぱらいの手は三本目のお酒に伸びてゆく。
(らんちょぅきゅんのオチンチン、ふ、ふくらんれたにゃ? ぁらしぃのセイかにゃ? らんちょーきゅん……ぉ姉しゃんのハらカれ……しぇきにん……れもぉ、あ、あ、あんにゃのひゃぃらにゃいにゃぁ……れもしぇきにん……むりぃ……しぇきにん……)
グビッ、グビッ、グビッ……
(…………)
グランは困っていた。
脱衣所に飛び込み、頭二つ分以上は小さいクセにやたらとエロい身体つきをしたメスドラフなお姉さんのハダカを思い出してはニタニタと気色悪い笑みを浮かべつつ身体の水気を拭き取り、浴衣に袖を通し、いざ帯を結ぼうとしたトコロで、
「ヤバい、まったくおさまらねぇ……」
完全に戦闘準備に入ってしまった股間のブツが、戦わせてもらうまではおさまらんぞと言わんばかりにギンギンにそそりたってしまって、浴衣を大きく押し上げていた。
とてもではないが外に出ていける状態ではない。
姿見の前で足を肩幅に開き、キリッとした顔で口を引き結び、腰に手をやってグッと胸を張ってみる。
浴衣姿のレスラーグランくんの股間で、いきり立ったチンコがブルンと頭をふる。
変態だ。
タイヘンなヘンタイである。
「うん、捕まるわコレ。どうしよう、これじゃ外に出れないぞ……」
もういっそ捕まっちゃえよ。
さっさと出ていかないと、他の女性客がいつ入ってきてもおかしくない。
高い塀の向こうでケツの純潔をつけ狙われながら一生臭い飯を食い続ける未来を想像して、グランは身震いした。
「なあ、今日だけはおとなしくしといてくれないか?」
ムリダナ、とでも言うように、ビクンと揺れる相棒。
しずめようにも、瞳を閉じればマブタの裏にラムレッダの柔らかそうなわがままおっぱいと、その淡い色合いの、大きめでぷっくり盛り上がった美味しそうな乳輪、陥没気味なチクビ、くびれを維持しつつ程よく肉付いた腹部に、アソコに淡く繁った薄い直毛までがありありと――
「はぁうっ!? ……うう、くそぅ、ラムレッダさん、ただでさえ普段から陽気な赤ら顔でちょっと可愛いのに、あんなエロいカラダ犯罪だろ……寝てる間に揉んでおけばよかった」
思い返したとたん、玉袋が大きくドクン、と脈動してメスを孕ませる気満々の特濃精液を充填し、背筋にシビレるような快感が走る。
先程までより更にずっしりと重くなって、だるんだるんに垂れ下がった特大クラッカーにどうしたもんかと途方にくれていると、
ガラララっ
と、後ろから引き戸を開ける音がして、グランは思わず振り返った。
そこには、さっき以上に真っ赤になった顔で、手拭いで前だけをいい加減に隠したラムレッダがフラフラと突っ立っていた。
「ヒック……らんちょぅっぷ……きゅん……」
トロンとした目でグランの顔を見て、その視線をスッと下に下げるラムレッダ。
「え!? なんっ……ご、ごめんなさい、すぐに――」
グランは慌てて股間を押さえつつ、その目はラムレッダの身体に釘付けになった。
ナニせ、あれからどれだけ飲んだというのか、ゆらゆらと揺れるラムレッダは裸体の肝心な部分がほとんど隠せていないのに気付いていないようなのだ。
手拭いの端からチラチラと胸の先端やらアソコの茂みやらが見え隠れしている。
赤みの差したしっとりとした肌に水滴を纏わせ、上気した頬に濡れた髪を張り付け、ホカホカと湯気を上げる酔っぱらったほぼ全裸のメスドラフお姉さん。
(エロすぎるだろっ!? なんで出てきてんだこの酔っぱらいありがとうございますっ!!)
グランのグランに身体中の血液が集まり、はち切れんばかりに膨張して貧血で脳がクラクラする。
「ら、らんちょぅきゅん……ヒック、や、やっぱりぃ、くるひひょぅらにゃぁ……お、お姉ちゃんのしぇい……しぇぃれ……♡ ……ヒック」
しかし、ラムレッダはそんなグランの隠しきれない程に勃起したチンコを見ても悲鳴を上げないどころか、どこか蕩けたような小声を漏らしてグランの股間をチラチラと盗み見ながら、フラフラとおぼつかない足取りで脱衣カゴに近付いてゆく。
そして、濡れた身体も拭かずにカゴから浴衣を引っ張り出して肩に掛けると、帯も結ばずにまたフラフラとグランの方へ歩いて来る。
「え、ら、ラムレッダさん!?」
(え? 何? ナニ? 確変なの!? サービスタイム入っちゃうの!?)
突然の嬉しいナゾ状況に、動揺しつつワクワクが込み上げてくるグラン。
しかし、そんなグランのスケベな期待をよそに、ラムレッダは相変わらずチラチラとグランの股間を気にしつつ、グランの脇を通り抜けてしまう。
あれ? とグランが拍子抜けを感じていると、ラムレッダは鏡台の端に立て掛けてあった立て看板をひっつかみ、
「ひょっとまっれれにゃ……ヒック」
と言って、千鳥足で出口に向かっていく。
そしてその、
『清掃中』
と書かれた立て看板を女湯の入り口に立てると、今度こそフラフラとグランの目の前まで歩いてきた。
真っ赤な顔に、妖しい色気を漂わせて、頭二つ分高いグランを見上げるラムレッダ。
(あ、やっぱりコレ絶対エロいヤツだ俺わかるもん神様天使さまありがとう)
罪をなすりつけられた天使達はきっと泣いている。
ゴクリ、と、どちらともなく生唾を飲み込む。
お互いがお互い顔を見つめる。
一瞬の静寂。
ラムレッダはおもむろに、赤く上気した顔でグランを見上げたまま手を伸ばし、グランの浴衣のあわせを掴む。
ラムレッダの、肩に掛けただけの浴衣の前が開き、紅潮した裸体があらわになる。
むわっ、と広がる湯気とお湯の香りに混じって、甘いような発情の匂いがグランの鼻をくすぐった。
ラムレッダの大きな胸の先端は、すっかり赤く充血して膨らんでいる。
(エッッッロ!!)
チラリ、と、緊張したようにグランの顔色を伺い、グランに拒絶する様子が無いことを確認するラムレッダ。
何度か逡巡するように口を開け閉めしたあと、思いきったようにグランに訪ねる。
「……え、エッチなおねぇひゃん、キライにゃ……?」
「大好きですっ!!!」
思わず大声で答えるグランに、ラムレッダは赤い顔を一瞬キョトンとさせて、遅れてフニャッとはにかむと、照れたような様子でグランの浴衣の前をゆっくり開きながら口を開いた。
「にゃははー……しょえじゃぁ、おねぇひゃんがしぇきにん――」
ボロンっ、という音が聞こえそうな勢いで、ラムレッダの目の前に飛び出すオメガウェポン。
金色の茂みから伸びる、張り裂けんほどに膨らんだ竿。
黒光りする幹にのたうつ太い血管。
赤黒く充血して、大きくエラを張ったカリ首。
ダルンダルンに垂れ下がり、ピクピクしている拳大の二つの玉。
「しぇ、しぇき……」
鈴口からダラダラと溢れる透明なカウパー腺液が棹全体をテラテラと光らせ、限界まで集まった血流で湯気を立てる巨大な凶器。
周囲にオスの匂いがムワッと広がり、鼻の奥からラムレッダの脳髄をガツンと貫く。
ジュンっ、と、身体の奥が一瞬でアツくなるのを感じる。
気づけばグランの浴衣を掴んだまま、鼻先がくっつくほどにちんぽに顔を近づけていた。
すでにラムレッダの中から、当初考えていたお姉ちゃんの責任だとか、一度ヌいてスッキリしてもらうだとかいう考えは吹っ飛んでいた。
「…………らんちょうきゅん」
「……?」
ちんぽ越しにグランの瞳を見つめるラムレッダ。
口の端から一筋のヨダレが垂れてアゴを伝い、大きなおっぱいのうえにパタパタと水滴を落とし、ピンク色のモヤがかかった瞳の中には、ハートマークが浮かんでいる。
呼び掛けられたグランがちんぽにかかるアツい吐息にもどかしさを感じながら見下ろすと、発情しきったメスドラフが蕩けきったような顔で蕩けきったようなコトを口走った。
「……けっこんしてくらしゃい♡」