プロローグ
季節は秋……
色鮮やかな紅葉がひらひらと舞うその村は、至る所に天然の温泉が湧き出、硫黄のツンとした匂いが鼻をくすぐる。
高く切り立った緑豊かな山に挟まれた場所に築かれていた。
東西北を囲む山を天然の城壁とし、残る南側のみ外敵に対し無防備となる谷筋には様々な迎撃装置を配置し、万全の対策を取る。
全ては村の外を徘徊するモンスターの脅威に対処するためだ。
この地の恵みを活かしながら生活するため、外の危険を防ぐ境界線。中に作られた村で人々が安全に暮らすためにこれだけの備えが必要なのだ。
山から吹き降ろす風と湧き出るミネラルたっぷりの豊富な水で美味しい作物を育てる。
こうした人と自然との調和が均等に取れた美しく安全な村には人や物が集まり賑わう。ほかの街や村との交通の便はそれほど良くなくても街はひとりでに大きくなっていった。
すると、狩りを生業とするハンターたちもここで腰を据えるものが増えていく。ハンターが増えるとモンスターによる被害も減り、そうして村は他に類を見ないほどの繁栄を遂げた。
ーーーその村の名前はユクモ村。
豊富な石材や木材を使い、いくつもの可愛らしい建物が林立している。
朝は夜が明け切る前から人の姿が現れ、日が昇るとともに村の住人、物売り、職人、街や村を渡り歩く商人などの姿が増えていく。
日が暮れても遅くまで通りや街角から人の姿はなくならず、村が静まるのは本の短い間だけ。
中でも村の1番高いところに鎮座するお湯屋かつ、大衆酒場の賑わいは他から抜き出ていた。
出口から入って中央には大人数が同席できるテーブルがいくつも置かれ、これを埋める客が入れ替わり立ち代わりやってくる。
向かって右側には獣人アイルーが仕切る温泉。
左側にはハンターたちが仕事を受けるギルドカウンター。
ここでハンターたちは温泉で疲れを癒し、契約を交わし狩りに出かけていく。
夜ともなれば、一日の仕事を終えた人達もハンターの中に加わり大衆酒場はさらに賑わう。広い店内に所狭しと置かれたテーブルに空席はなく、日が暮れかなりの時間が経つというのに騒々しさと酒や焼けた肉の油の匂いが立ち込めていた。
そんな中に彼女たちの姿もあった。
1人はジャギィシリーズに身を包み、傍らには2つに交差された双剣が。もう1人はユクモ村伝統の和服に腰には柄が木で出来た刀をさしていた。
2人とも木製のジョッキを片手に上機嫌の様子。
頭の防具は脱いでテーブルの上に置かれていた。普段なら防具の下に隠れているであろう素顔は少女から大人へと変わる途中といったおもむきである。
明るくてワイワイ騒いでいる方は赤毛のショートカット。瞳の色は燃えるような紅色。それを苦笑いで流している方は茶髪で瞳の色は蒼色。
趣こそまだ落ち着いてはいないが瞳からは強い意志が感じられた。
2人「かんぱ〜い!」
木製のジョッキを、音を立てて合わせ祝杯をあげる。
ただし未成年のため中身はジュースだ。
2人は高揚した顔で盛んに笑い合っている。
モンハンワールド発売まで目前!ということで
物語を紡いでいくことにしました☆