ガヤガヤとしている食堂。その一角で鋼介たちは朝食を摂っていた。朝食はバイキングで、和洋の料理が好きに選べるようになっている。宿泊客はサラリーマンが多かったのか背広姿の人間が目立つ。
みそ汁と納豆、それに焼き鮭に白米と典型的な和食の鋼介。
サラダとスクランブルエッグ、コーンポタージュにロールパンと洋食を選んだ桂香。
和洋の節操なく、ただ自分の食べたいものを皿に載せている八一。
そして、オニオンスープとクロワッサンしか皿にない銀子。
一時間半後には決勝トーナメントが始まる。銀子の表情はいつにも増して硬く、緊張しているのは明らかだ。更に置かれた食事もほとんど手を付けていない。
「無理にとは言わんけど、少しは食べとかんと持たんぞ」
鋼介に諭されて無言でちぎったパンを口に運んだ銀子だったが、欠片を三つ胃に収めたところで手を下ろしてしまった。
「ごちそうさま」
「もういいの?」
桂香が心配そうに尋ねる。ここ数日食事量が減っていて、これから過酷な勝負が待っているというのに、このままでは対局中に栄養不足で頭の回転が鈍くなることを心配しているのかもしれない。
普段なら真っ先に体調を気遣うだろうが、この大会屁の銀子の意気込みを知っているだけに、桂香には声を掛けることしかできないのが鋼介にも判った。
桂香の心配を感じ取ったのか、銀子はパンをさらに細かくちぎって口に運んだ。
「桂香は解説室に居る言うてたけど、八一はどうする?」
食事を終えて部屋に戻り、支度を整え、八一たちの部屋に銀子以外の三人が集まる。それぞれの今日の予定の確認なので、将棋大会に出場する銀子には聞く必要は無い。それよりも集中を高める方が有意義に思えたので、今はもう一方の部屋で一人にさせている。
「俺も解説を見てようかな」
「ほう、八一はてっきり将棋会館に行くかと思うとったが」
「将棋会館が開くのは十時だから、大会が終わってから全員で行こうよ」
八一は銀子の敗退を微塵も考えていない様子だ。
桂香は軽く目を開いた後、苦笑いを浮かべる。鋼介も同じ反応だ。
「まあ、昼過ぎには終わるやろうからそっちのほうがええかもな」
持ち時間が少ない大会なので、一局の対局時間も短い。準決勝と決勝の三局が行われ、試合間のインターバルを含めても、おそらく五時間は掛からない。
人が少ない朝一番よりも、人が多い時間帯のほうが相手を選ぶことも出来るのでいいかもしれない。
その後いくつかの話をして、鋼介は一足先に解説室に行く八一たちを見送り、銀子が籠る部屋のドアを開いた。
閉め切られたカーテンのすき間から日の光が差しているが、照明の点いていない室内は薄暗い。
その光も避けるように、銀子は窓とは反対の壁の隅に移動させた椅子に座っている。鋼介が部屋に入ってきた瞬間に閉じていた目を開いた。
「桂香たちは解説室に行ったが、銀子はどうする? もう少しくらいなら部屋に居ても構わんぞ」
警戒するように油断なく鋼介を銀子は見上げる。つい数時間前に自分を弄んだ相手に平静に接するのは不可能だろう。
行為にへとへとになった銀子を風呂に入れ、その間に露見しそうなものは全て始末した。後は使用済みティッシュの入ったビニール袋を外のゴミ箱に捨てれば隠滅は完了する。
時刻は午前八時二十分。対局開始は九時からなので、まだ部屋で寛げる時間がある。肝心の会場がこのホテルの一室なのだ。移動には五分も掛からない。
少しは調子が戻ったのか、昨日よりは銀子の顔に生気が戻っている。それでもいつもよりは白いが。
鋼介が近寄ると、より表情を険しくして警戒の色を濃くした。
「今朝食えたらよかったんやけどな」
鋼介はセカンドバッグから飴の入った袋を銀子に差し出す。それはブドウ糖を固めたもので、昨日、夕食を買いにコンビニに行ったときに見つけて購入した物だ。無用の物になってくれればいいと思っていたが、今朝の食事量を見るとそういう訳にもいかないようだ。
「途中でガス欠になるわけにはいかんからな。対局の直前まで舐めとき」
プロ棋士も対局中に間食で栄養を補給する。それは銀子も知っているはずで、自分が最後まで戦えるだけのエネルギーを蓄えていないことを自覚しているのか、受け取った袋を開けると飴玉を二つ、口に放った。
小学生将棋名人戦はタイトルホルダーや高段者が解説役を務めることが多い。ここで優勝した棋士は将来プロになる確率が高く、世間からの注目もアマチュア大会にしては高い。
しかし、会場まで足を運ぶプロ棋士は少なく、せいぜいが選手の師匠や兄弟弟子くらいだ。結局は小学生同士の勝負なので、後から棋譜を見ればほとんどの手の思考をプロ棋士ならばトレースが出来る。棋力的にも参考になることは皆無と言ってよく、応援以外に来る意味はない。
対局室に向かう銀子を見送った鋼介は、エントランスの上の階にある共有スペースに置かれたソファに座って息を吐いた。
解説の邪魔になるので解説室には終盤頃を見計らって行くつもりだ。関西大会の時に粗相をしてしまい、桂佳に通しで解説室に居ることを禁止されていた。
八一と一緒に検討していただけだったのに、と鋼介は思う。それが大盤そっちのけで注目されていたのは終局してから知り、桂佳に上記の処分を言い渡された。
解説が上手く進まない苦労はよく知っているので、鋼介も納得している。
時刻は午前九時十分を回ったところで、銀子たちは、まだお互いに地固めをしている段階だろう。
手持無沙汰でチェックアウトする宿泊客で賑わうエントランスをなんとなく見下ろす。客だけではなく、清掃員や出入業者の姿もちらほらと見かけ、休日にも関わらず忙しなく動いている人影を見ると、同じス-ツ姿でも、世間と違う流れで生きていると、鋼介は解りきっていたことを改めて実感していた。
もう少し盤面が掻き乱された頃合いに解説室に行こうと決め、隅のラックから新聞を取ってくると、ソファに深く座り直す。
「会場に居なくてええんか?」
読んでいた新聞を下ろして目を上げると、仕立ての良い和服姿の鬼沢 談の姿があった。
「おはようございます。銀子の応援に来てくれたんですか?」
「そうや、って言いたいけど、東京に来る用事があったからそのついでや」
鋼介の対面の椅子に鬼沢は腰を下ろした。相変わらず好々爺然とした雰囲気は残しながらも、向き合うと文化人らしい威厳と貫禄がある。
畳んだ新聞テーブルに置く。
「銀子ちゃんの対局見なくてええんか?」
この時間に来ただけあって銀子の対局開始時間は把握済みらしい。
鋼介が関西大会のあらましを話すと鬼沢はかみ殺したようなくつくつとした笑いを浮かべた。
「入室禁止にされなかっただけよかったやないか」
「そうですけど」
慰めているつもりか分からず、とりあえず言葉を返す。
「それでここで時間を潰してると」
「他に行く宛てもないですからね」
一局に一時間もかからないだろうから、将棋会館に行くような時間はない。そのほかの宛ても弟子が戦っている最中に出掛けるには憚られる。
「まあ、ちょうどよかったから良かったわ」
鬼沢は足元に置いていた書類鞄から祝儀袋を取り出して、テーブルの上に置いた。
「これは?」
鋼介は用は済んだととばかりに立ち上がる鬼沢に尋ねる。
「ちょっと気ぃが早いけど銀子ちゃんの優勝祝いや。直接渡したいけど、これから人と会わないかんから代わりに渡しとってや」
そう言うと、鬼沢はホテルから出ていってしまった。
鋼介は小学生に贈るにはいささか分厚すぎる祝儀袋ををポケットにしまう。
おそらくこれは一種の契約金だと鋼介はすぐに気づいた。つまりはまた連れてこいということだ。
鬼沢の所へは去年一度連れていったきりだ。連れて行こうとしても、嫌と言われてしまう。それも、桂佳の居る時に返答するものだから、説得の機会がない。執拗にしていると桂佳に怪しまれる。
銀子のことなので、今大会に優勝すれば八一の後を追うように奨励会に入るのは明らかだ。そうなれば鬼沢の所に連れていっても将棋連盟からの仕事を覚えさせていると理由をでっち上げることが出来る。奨励会は会員のアルバイトを禁止する代わりに棋戦の記録係などの仕事を斡旋している。
銀子の人見知りは桂佳も良く知っているので、多少の嫌がりはそのせいだと思ってくれるだろう。
いくらしっかりしていても、まだまだ幼い銀子に任せられる仕事は少なく、公的な仕事はほとんど皆無だ。お金を稼ぐ必要があるような年齢でもない。
出来ることが限られている現状で、仕事「みたいなもの」を経験させることは、銀子にとっても何かしらの刺激になるはずだ。
とりあえず結論は先送りにして、時計の長針が六の数字を回っていることに気付いた鋼介は席を立ち、解説室になっている会議室に足を向けた。
「はあ」
トイレの個室ドアを閉めた銀子は、普段の彼女からは想像も出来ない気の抜けた声を漏らした。
メインで撮られるのは手元だとはいえ、対局風景をカメラで撮られるのは予想以上に緊張して疲れるものだった。手筋を誤るような真似はしなかったが、いつも通りの将棋が差せたかと聞かれたら首を横に振るだろう。
結果だけを見れば銀子の勝利だったが、内容はなかなかの接戦だった。慎重になり過ぎて防御を固めるあまり相手に機先を譲ってしまった。
十数手で逆襲したものの、主導権を握るまでは注意して盤面を見ていなくてはならなかったので殊更に神経を使った。目の奥がジンジンと熱い。
およそ一時間後に決勝戦だというのに、集中しきれていない自分に銀子は苛立つ。が、すぐにその焦りが判断力を鈍らせると自省して息を吐いた。
カサッ
個室から出て手を洗い、ハンカチを取ろうとポケットに手を入れると、中にあった何かが音を立てた。
ハンカチを洗面台に置いて、握り隠せるほどの小さな袋をポケットから出した。
それは今朝、鋼介から渡された袋の中にあったもので、小袋に一つづつ包装されていたので、いくつかをポケットに入れていた。
銀子は今日の深夜の出来事を思い出す。
どうしてか、普段なら絶対口にしないような弱音が出てしまった後悔に頭を振り、師匠の逸物の感触が残る下腹部に手をやった。
久しぶりに逸物を挿入されたが、相変わらず慣れるということはない。好き勝手に玩具のように扱われ、口に欲しいと言っているのに、やはり好き勝手にナカに出される。
逸物から飛び出た精子が膣壁を打つ感触。背中がぞくりとして、腕に鳥肌が立つ。おまけに電気が走ったように身体が強張り、直後に力が入らなくなる。
身体のコントロールが奪われたような気分がして嫌いだ。未知の感覚に身を任せる真似は銀子には出来なかった。
唯一の効果があったとすれば、行為後に入浴した後にすぐさま寝られたことだ。今も頭は燻っているのに、身体の調子が良いのが解る。精神よりも肉体が先に音を上げることが多い銀子は、珍しい自分の体調に表情を曇らせる。
廊下に出た銀子は袋を破って飴玉を口に入れる。甘さが口に広がる。
二個、三國と食べるうちに落ち着いてきて、頭の冴えが戻って来たような気がする。
単に栄養を補給したから頭が働き始めただけだが、そんなことを知らない銀子は改めて味わうと甘くて美味しいおやつをもう一つ口に運んだ。
「こんなところにおったんか」
ぶらぶらと館内を歩いていた鋼介は、トイレから出てきた銀子を見つけて歩み寄る。
今、二人のいる廊下は会場から離れており、人の姿はない。大会の雰囲気もここまでは届いてこない。
時間を見計らったつもりで解説室に行くと、既に銀子の勝利で決着していた。形勢は完全には傾いていなかったが、どうやら銀子のカウンターが上手くはまって相手の戦意を挫いたようだ。一度勝ちが見えた状態から劣勢に追いやられるのは精神的にかなりきつい。
対局者控え室に銀子の姿はなく、静かな場所に居るだろうと見当を付けたが、まさか本当に遭遇するとは思わなかった。人の流れから離れた場所を探していたがビンゴだったらしい。
条件反射的に「おめでとう」と言いそうになり、すんでのところで口をつむいだ。その言葉を聞いたら、銀子が肩の力を抜いてしまうような気がした。
どれだけ社交辞令だと解っていても、労われると人は安堵してしまうものだ。一度弛んだ緊張と集中の糸を締め直すのは非常に手間が掛かる。
鋼介たちプロ棋士は、普段、公式戦を一日に複数局する機会は少ない。しかし、アマチュア棋士である銀子はそうではない。それは鋼介もよく承知している。
にも関わらず言いそうになったのは、銀子の纏う空気が、まるで僅差で負けたことを頭の中で整理しているプロ棋士のようだったからだ。
表情こそいつもの無愛想なそれだが、いつもの強気な雰囲気は失せ、心ここにあらずといった様子で物思いに耽っている。
時折、聞き取れないような小さな声を漏らしているが、どうやら頭の中で先ほどの対局を暗譜しているようだ。
あまり良い状態ではない。すぐに次の決勝戦がある。
勝った勝負だとはいえ、いつまでも終わった将棋を引きずっていて勝てる試合ではない。それは本人も理解しているはずだ。
対局を冷静に分析する几帳面な部分と、自覚はないだろうが軽い逃避心理が混ざりあって思考の沼にはまってしまったらしい。先の不安を考えないように、手近な問題で頭を満たすのに、将棋の検討なんて格好の課題だろう。相手をより早く詰ます手を考えていれば、時間はいくらでも潰せる。
とはいえ、休みなくそんなことをしていては疲れてしまう。
疲労で判断力を鈍らせる前に止めるのも師匠の役割だ。
「ややこしいこと考えとるみたいやけど、とりあえず今は休んどき。対局にまで影響したら銀子もいややろ?」
顔を上げた銀子は頭を横に振った。
「無理」
先ほど将棋が頭から離れてくれないと銀子は言った。
鋼介は上を向いて顎に手を当て考える風な仕草をした後、銀子を歩いてきた方向に目をやると、何かを思いついたのか銀子を見下ろす。
「トイレに行こうか」
「?」
唐突な提案に銀子は珍しく目を丸くする。
説明を求める視線を無視して、銀子の背中を押してトイレに向かう。
男性トイレに。
重心を後ろにやり、足取りを重くして抵抗する銀子だったが、床が絨毯からタイルに変わると僅かに抵抗が弱まる。
始めて内側から見るであろう男性トイレに視線が散っている。
大便器が置かれた個室に銀子の背中を押して入った鋼介は、後ろ手にドアを閉じて鍵を掛けた。
換気扇の音がトイレを支配している。
「やってしもうてなんやけどドキドキするな。」
「……」
鋼介は深呼吸しながら言った。カメラや人の目に注意したが、いつもより数段犯罪めいたシチュエーションに緊張して、内心気が気ではなかった。
それに反比例するように仄暗い興奮と高揚が身を包む。
小便器寄りに取り付けられた蛍光灯が間接照明のように個室を薄暗くしている。
二人の距離は五十センチも離れていない。僅かに粗くなった銀子の吐息が鋼介の耳を撫でる。銀子も緊張しているのか、顔が強張っている。
沈黙が一分弱続く。
堪えきれなかったのか、声を潜めて銀子は口を開いた。
「それで次は?」
「次……」
そう言われても思い付きの行動なので鋼介は答えに詰まる。少しばかり取り乱させて、頭にある棋譜を吹き飛ばさせるつもりだったのだが、予想外に冷静な銀子は訝しんだ表情をしただけだ。
更に数十秒の沈黙。
「じゃあスカート上げてくれるか」
どっしりと便座に座って見る体勢になった鋼介は、手のひらを上にして銀子のスカートを指差した後、その指を曲げた。
捲り上げられたスカートを鳩尾の所で押さえさせる。真白い肌と茶色い太線があった。
「トイレから出てきてたけど、取らんかったんか?」
鋼介が太線の端を掻くと、線がめくれて、白っぽい裏面と隠れていた白肌が顔を出す。。
太線の正体は布ガムテープだ。昨日、旅行鞄の応急修理用に購入した物だった。
ぺりぺりと音を立ててテープが剥がされていく。
見える所は剥がしきり、残るはショーツの中だけになった。
「パンツ下ろしや」
銀子は言われた通り膝下までショーツを下ろす。
「敏感な場所やからな。他人に剥いでもらうより、自分でした方がええやろ」
鋼介は、まだ下腹部から下が張り付いているガムテープを銀子に渡した。
銀子は受け取ったガムテープをそろそろと剥がしていく。
個室にテンポが遅くなったペリペリと音が響く。
「ちょっと赤なってしもうたな」
テープが貼られていた場所をなぞりながら鋼介は呟いた。肌がかぶれてしまったようだ。
遊んでいた方の手でトイレットペーパーを巻き取ってずり下げられたショーツの上に置く。
腹部を撫でていた指が骨盤をすり抜けて、柔らかい外陰を割り開いた。
ぱっくりと開かれた肉の蕾から雨垂れのように滴が落ちる。
ただの白く濁った水のように見えるそれは深夜に注いだ精液だ。時間がたった精液に出したてのような粘りはない。銀子が執拗に口に持っていくものだから、体の中にあればいいのだろうとテープで蓋をしたのだった。
膝の高さにあったトイレットペーパーに染みが出来、同じ場所に滴り落ちる白濁が薄くなった精液で染みが広がる。
静寂を破るように入り口ドアは開かれ、銀子が身体を震わせる。
相変わらずの固い表情の銀子だったが、鋼介が見上げると、慌てたように顔を反らした。
「しかし、去年も優勝したのが小三なのも驚いたけど、今年の勝ち上がってきたのが小二なのも驚きだよな。二年連続で最年少優勝の記録更新するのかね」
「しかも二人とも清滝八段の内弟子らしいぜ」
「みたいだな。今時内弟子なんてって思ったけど、将棋に集中させるにはいいのかもな」
どうやら将棋大会の観客らしく、先ほどの試合の銀子の筋の良さを褒めている。本人が聞いていないと思ってか、誉め言葉が手放し気味だ。
鋼介は指を曲げて、銀子の膣から精液を掻き出す。立った状態の膣内は狭く、爪先が膣壁を擦っているのが解った。
銀子は唇を口の中に巻き込んで耐えている。両手は膣をまさぐる鋼介の腕の上に置かれ、身体が震えると引き離そうと下に押しやる。しかしその動きも、鋼介は肘を曲げていなしてしまう。
用を足した男たちがトイレから出ていくと、鋼介も膣から手を離した。指が精液で照っている。
その指を銀子の口の前に運ぶ。数秒眺めた銀子が鋼介を一瞥する。視線を向けられた鋼介は小さく頷いた。
銀子は口を指が入る分だけ開いて、唇を尖らせて指を含む。舌がチロチロと指を舐ている。
指を動かして全体を舐めさせる。その間を縫うように舌下を撫でた。
頃合いを見て指を引き抜く。銀子はいつの間にか口をすぼめていて、離れることを惜しむように唇が音を立てた。
「そんじゃ、そろそろ行くか」
「え?」
指をトイレットペーパーで拭きながら鋼介がそう言うと、銀子の口から呆然としたような声が漏れた。
「そろそろ対局も後半に入るやろうからな。銀子みたいに思ってたより早く決着したら会場の見学者も一回バラけて、こっちにも人が来るから、その前にトイレから出とかんと」
腕時計を見る。時刻は午前十時半を回ろうかとしていた。便座から立ち上がった鋼介が鍵に手を掛けると、うつ向き気味に顔を伏せた銀子に袖の上に手を置かれた。
「どないした?」
「……欲しい」
銀子の視線が鋼介の股間に向けられる。
「でもな、時間が……」
言い切る前にファスナーに手が伸びてくる。
慣れた手つきでトランクス越しに逸物を触る銀子は鋼介の顔を見上げた。無表情に近いが、纏う雰囲気でなんとなく弱気になっていることが伝わってきた。こんな気休めにすがるのだから精神が相当ナーバスになっているのだろう。
「……手早くな」
トランクスから出した逸物に銀子は顔を近づけ、竿の根元を掴んでくわえる。
生暖かい口内で、小学生とは思えない舌使いで的確に情欲を刺激する。頭を前後に動かしている。
時間がないことは銀子も理解しているのかいつもより積極的に舌で逸物を舐めている。カリのの裏を小さい舌が這う感触が気持ちいい。
しかし、便座を横に見ながらの空間は狭い。縦長の空間をわざわざ横に使っているせいで背中がトイレの壁に接触する。銀子のほうも逸物をくわえるために腰を曲げた拍子に突き出した尻が壁に当たって窮屈そうにしている。
鋼介は個室のドアを背中にして銀子を便座に座らせた。自分が座ってしまうと銀子をタイルの上にひざまづかせるからだ。
銀子は便座の縁に尻の位置を調整して浮いていた足を地に着けた。
銀子は自然な動きで差し出された逸物を口に運ぶ。頬を窪ませ、口内全体でしごいている。
「出すぞっ」
もっと奉仕させてから射精することも出来たが、時間がないのでせりあがってくる性欲に任せた。
銀子のこめかみ辺りを掴んで逸物を深く呑み込ませる。鼠径部に当てられている手に力が入り、喉奥を突かれないようにしていた。
逸物が震えて、精液は口内を留まることなく直接銀子の体内に流れていく。
銀子はいつの間にか口を開けた状態で臙下できるようになっていて、平然と精液を胃に納めていく。
逸物を口から引き抜く。よだれが糸を引いて滴り落ち、タイルに小さな水溜まりを作った。