パチッと乾いた音を立てて鋼介は駒を指した。
相対している銀子は相変わらず表情は乏しいが、駒に手を伸ばす気配は無く、盤面を読んでいる様子も見られない。
紅く染まった頬に潤んだ瞳をしていたが、これは対局する前からだ。
「いくら負けたからって相手に当たったらあかん」
突拍子ないが温かい普段と打って代わり口調は非常に冷淡だった。銀子は鋼介の顔を見れないのか俯いたまま口を結んでいる。重い沈黙の中で盤面は進んでいく。
原因は日課になっている八一とのバーサスだったそこで、銀子は初めて五タテ、全敗を経験したのだ。
それはプライドを深く傷つけたようで、普段どんなにひどい負け方をしても静かに不機嫌になる彼女が駒を投げた事からも判然としていた。
そうしたい気持ちも解らないではない。棋士は誰しもが負けず嫌いだし、プロを目指すからにはその気性が強いのは悪いことではない。表に出すのも身内であればそこまでの問題は無いと鋼介は思っている。
ただ、駒を投げてしまったということは反省して欲しかった。
二人が本気でケンカを始める前に八一を買い物に連れていった桂香に感謝しなければならない。機嫌を損ねた銀子は手が負えない。だからこそ、年上の八一に引いてもらったのだ。
駒は勝負に使う大切な道具であり、それを雑に扱うのは礼節以前に棋士としての心構えの問題だ。いくら幼いとはいえ甘やかす訳にはいかない。むしろ幼いからこそ徹底して大事にすることを教えなくてはならない。
それを解らせるために多少荒療治だが一つのやり方を試す。
「こっちに来ぃ」
対局はまだ途中だが、呼ばれた銀子は立ち上がり、鋼介の脇に立つ。
「膝の上にうつぶせに寝なさい」
これから何をされるのか察した銀子は唇を小さく噛みながらも自分の非を理解しているのか素直に鋼介の膝の上に腹這いになる。
鋼介がスカートを捲るとバックプリントされたキャラクターが顔を出した。
「解っとるな? これはお仕置きやぞ」
銀子の頭がうなだれるように縦に動いた。
それを確認した鋼介は白い綿ショーツに手を掛けると、膝の所まで一気に下ろす。銀子の身体は上半身は膝の上だが下半身は膝を畳に付いた格好のために楽々とショーツは下がった。
もっちりとしながらもきめの細かい白い肌にはまだ青々とした蒙古班が残っている。
普段は駒に触れる指がまさぐるように白肌を撫でる。
時折首をもたげる銀子だったが、何か言う様子は無い。鋼介の顔のある方向とは逆、さっきまで自分の座っていた方向の駒置きに顔を向けている。
「じゃあ銀子。お仕置き行くぞ」
鋼介が振りかぶると銀子は身体を固くし、その拍子に膝に力が入ったのか尻の位置がわずかに高くなる。
バチンッ
「っ!?」
薄い肉付きの内の一番厚そうな場所を選んで叩くと小気味良い破裂音が鳴り響き、銀子は悲鳴とも言えない声を上げた。
バチンッ
バチンッ
バチンッ
数発しか叩いていないにも関わらず、銀子の肌は赤く染まる。
予想外に赤くなりやすい肌に鋼介はまだ続けようとして上げていた手を下ろした。
普通の少女ならば羞恥と苦痛で泣きそうなものだが、銀子は涙を目に溜めて泣くのを堪えていた。
(やり過ぎたか)
熱を持った尻に手を乗せながら反省する鋼介だったが、股の間が濡れているのを見つけると気持ちを切り替えた。
「反省したか、銀子」
コクンと銀子が頷く。
「そしたら次は八一の分や」
バチンッ
鋼介は言ってから間髪入れずに手首のスナップを使って赤くなった場所を狙って叩いた。
「うっ」
声に構わず何度も打つ。
尻に白い場所が無くなる頃に打ち止めた鋼介は痺れた自分の手を振った。
「もうせんて約束するなら終いにしたるぞ」
涙を流しながらも最後まで泣かなかった銀子は真っ赤な顔で頷く。
「ワシも好きでこんなことしとるわけやない。それは銀子も解るな?」
銀子が頷く。
「もうせんて言いや。そしたらパンツ履いていい」
「……もう、駒……投げない」
「よし」
鋼介は銀子の横腹を掴んで膝立ちさせてショーツを引き上げる。
そのまま正座しようと膝を曲げる銀子だったが、尻が踵に着くと跳ねるように膝立ちに戻り、踵が触れた場所を擦り顔を歪ませる。
(こりゃ、まずいな)
痛くない場所を探して何度も正座に挑戦した銀子は結局、割り座…女の子座りをして尻を浮かせて座る。
このままでは痛いと桂香に訴えることは容易に想像ができる。そうなれば腫れている理由を説明しなければならず、事態が露見するのは避けられない。
「銀子、今日のは内緒にしてくれるか?」
鋼介は上手い理由が思い付かず、思いきって正面から銀子に相談する。
しばらく考えるように鋼介の顔を見ていた銀子は、
「……いい」
と言って元の対局位置に戻った。
夕食の席でも八一と銀子はお互いに気まずそうにしながらも、きっかけを掴めない様子で無言で箸を進める。
能天気な八一もさすがにケンカ手前まで険悪になってしまって振り上げた拳を下げられないのだろう。明日になれば気持ちも落ち着いて銀子を許すだろうが問題は銀子の方だ。
負けず嫌いが行き過ぎて強情な性格な彼女が素直に謝るとは想像しにくい。
いくら八一が年上らしく、下手に出ていても限界がある。
「八一」
「なに、銀子ちゃん」
食べ終えて食器を流し台に持っていく八一を銀子が箸を置いて呼び止める。
鋼介と桂香はひやひやしながら見守る。
「ゴメン」
短く素っ気ない言葉だったが、八一は意外そうな表情をした後、
「いいよ」
と言って流し台に向かった。
鋼介たちは目を合わせてお互いに安堵する。
せっかく高め合えるライバルがいるのに下手に距離をつくられずに鋼介は安心する。
もしここで八一が自分も悪かったと反省してしまっては銀子の劣等感が増し、八一の方も銀子と勝負するときに無意識でも勝敗を調整してしまう懸念があった。今夜にでも八一に諭すつもりだったがその必要はなかったみたいだ。
とりあえず一安心して自分の分の夕食を片付けると鋼介はコップに注いでいた晩酌の一杯を一気に飲み干した。
「お父さん、飲みすぎ」
厳しい顔をした桂香は鋼介をたしなめて一升瓶を取り上げた。
鋼介は研究の手を止めて時計をみると、12時を過ぎていた。
そろそろ終わろうかと駒を取ろうと手を伸ばした時、襖が開き銀子が奥に立って鋼介を見下ろしていた。
「どうした銀子。眠れないんか?」
銀子は答える様子は無く、鋼介の隣に座る。彼女の口数の少なさにはなれているが、いつも座る対面ではなく隣に座ったのが鋼介には気になった。
「ホンマにどうしたんや。あ、もしかしてまた尻叩いてほしいとかか?」
からからと笑う鋼介だった、銀子が膝の上に手を置いかれて声が止まる。
「まさか、アタリか?」
頷くその姿は入ってきた時よりも小さく見えた。
「いや、でも、桂香がいるし」
昼間は家の中に自分たちしかいなかったからこそ音を気にせずに尻を叩いた。しかし、今は就寝しているとはいえ身近に桂香がいることを考えるとリスクがはね上がる。
万が一にもこの事がばれる事態は避けなければならない。
「明日、桂香たちがいない時でエエか?」
銀子の身体は全く動く気配は無い。長考している時のように斜め下を向いている。
(こんな時にまでその頑固さは出さんでも。なんとか音を立てない方法は無いか)
鋼介は腕組んで考える。
「そういや銀子。尻叩かれた時濡れとったよな?」
「……濡れてた?」
やっと口を開いた銀子は鋼介の顔を見てキョトンとしている。どうやら言葉の意味が解らないらしく、教えてと言わんばかりの顔で鋼介を見上げた。
「ここや、ここ。今はサラサラやけど尻を叩かれて股んとこ濡れとらんかったか?」
銀子は自分の股間に手をやると、パジャマ越しになぞるようにしてスジを撫でた。
服がたわみが伸びてうっすらと白いショーツが透けている。
痕跡があるはずもなかったが銀子の手は何かを探すようにスジの上を移動する。
「濡れてない」
「そりゃ、風呂に入ってパンツ変えたし、時間もだいぶ経っとるからな。そや。前みたいに銀子の中に指入れて濡れんかったら尻を叩くって言うんはどうや?」
「……痛いからやだ」
「前みたいに処女膜破ったり……ゲフッ、痛いことはしないって約束するからな。な、エエやろ?」
「……わかった」
銀子はそう言うと立ち上がり、恥ずかしげもなく堂々と薄生地のズボンを踝まで下げ、足を抜こうと腿を上げると鋼介が制する。
「すぐに穿けるように全部は脱がんときぃ」
銀子もこれは恥ずかしいのか、コクリと首を縦に振ると足を下ろすとこれからどうするのという視線を鋼介に送る。
鋼介は盤に座らせようとして思い留まる。昼に駒を丁寧に扱うように言ったのに同じ将棋の道具である盤を自分がぞんざいに扱っては示しが付かない。
盤を端に寄せてスペースを作る。
「ここに寝や」
指指して指示すると銀子は小股で数歩足を進めて出来たスペースに寝そべると、脱ぎかけのズボンが鋼介の膝に当たり足が伸ばせずに膝を立てた。
いくつあるのか解らないが昼に見たときと同じような綿のショーツを穿いている。桂香もそうだったようにこの年頃の下着としてはこんなものなのだろう。
「尻上げや」
鼠径部を絞めているゴムが伸びているところから露見することを用心して、鋼介はショーツを膝まで下ろす。
ぴったりと閉じた綺麗な一本筋からクリトリスが確認できる。
つきたての大福のように柔らかそうな恥丘は一際白く見えた。
「したら入れるで」
予想通りの感触の肉丘を割り開いて指を挿入していく。その中は絡み付くように纏わりついて狭い。
銀子は目を閉じていたが、膣内を刺激されることの違和感からからひくひくと瞼が動く。
既にその大半を喪失している処女膜を気にせずに指を奥に差し込んでいくと弾力のある壁に触れた。
「っ!」
空を掻いていた銀子の手が止まる。
鋼介はが弾力の表面を指で探り凹み、子宮口に指先を添えた。
「銀子、どこ触られてるか判るか?」
指先で口の表面をくすぐる。
「……お腹の奥」
「痛いとかこしょばいとかは?」
「……無い」
銀子は違和感が我慢できる程度に慣れてきたのか、目を開き、指が膣内を這っても反応は薄くなる。
頬を赤くしている彼女は、膣壁を押されるとさすがに顔を歪めるが、すぐにひきつって止まった息を深く吐いた。
「それじゃあゆっくり動くで」
鋼介の人差し指が少しずつ引き抜かれていく。指はうっすらと愛液らしき物で濡れている。
あと少しで抜けるという所で動きを止めると銀子が頭を上げて鋼介の顔を見た。
「なんや?」
「別に」
銀子が頭を下ろす。
鋼介は再び指を膣内に挿入していくと、今度は細かくピストンを繰り返す。
「はっ、はっ」
最初は無反応だった銀子も幼いなりに感じたらしく、ほんの少し愛液を分泌し息を上げる。刺激が強いようで鋼介の腕に手を伸ばししたが、長さ的に手首を掴むのがやっとでほとんど意味は無かった。
銀子の身体が痙攣する。伸ばした手を畳に付いて足首が伸びた。
身構えていた身体から力が抜けて、深い息をするのもどことなくリラックスしているように見えた。
虚ろな目をして口を半開きにした銀子は余韻に浸るように自分のスジを指でなぞる。
深夜の静寂の中に銀子の息使いだけが響いている。
「イッたみたいやし、これで今日は終いかな?」