暗く落ち込んでいく心を引きずり起こし、手の甲で部屋の扉を二度軽く叩く。
「誰だ」
「――――私だ」
「…入れ」
部屋の主―――――憎んでも憎み足りない男。その返事を受けて、廊下の左右に人がいない事を軽く確認して素早く部屋に滑り込み静かに扉を閉じる。
「…鍵はいいのか」
「…」
揶揄するような男の声に、軽く唇を噛みながらかちりと鍵を捻る。
鍵をすると言う事は、この後にされる事について認めたも同然と言う事。
それでも他者に知られるよりは、――――万が一にも蓮花様に見られる事に比べれば、まだましだ。
「遅かったな」
「…全体調練の指揮だ」
臣民の為にと自ら降り、この男に臣従の礼を執った蓮花様。その玉身が実質的な軟禁だけで済むよう、この身と引き換えに取引をしたのは他ならぬ私自身だ。
今でも奴の蓮花様を見る眼つき――――この男の前に傅く時に露わとなる豊かな胸元。歩く後ろ姿で女性的に揺れる、男から見れば扇情的とさえ言えるであろう臀部回りを嘗め回すように見つめるあの視線には、心底肝が冷える。
奴の部屋を密かに訪れ、私は何をされてもいい、蓮花様だけには危害を加えるなと交渉しに行った夜。
あの男は薄ら笑いを浮かべながら『良いだろう、蓮花の方から抱いてくれと言われない限りはな』と言った。
そして『但し今日から、お前は俺の奴隷だ』とも。
この後ろの言葉の意味を、私は舐めていた。いや、この男の変態性、鬼畜性を理解していなかった。
そもそも私は自身が女である事など意識していなかった。
奴隷にする、という事は私を性欲のはけ口にするということでもあるのだろうが、それは正直どうでも良いと考えていた。
戦の世界に身を置いていた私には好いた男がいるわけでなし、この男が私の体を弄びたいなら好きにするがいい。刃で蓮花様を御守りできなかったこの私の身体が、蓮花様の操を御守りする為に役に立つならむしろ望むところだ。
初めての交接は痛むと聞くが、痛みには慣れているし蓮花様の御為と思えば何ら苦痛ではない。そう思っていた。
―――――それは、あっさり覆された。
「裾をめくれ」
「………何?」
―――――今夜から躾けてやる。月が出たら寝室へ来い。
昼にそう呼ばれ、ついに来たかと思った。しかし何の恐れも無い、この身を孫呉の為に、蓮花様の為に捧ぐのだから。
いつかは蓮花様はこの鳥籠から逃れ、虎より生まれし鷹となって大空を羽搏くその日まで、如何なる事にも耐えてみせよう。
そう思い決め、奴の寝室を訪れて寝台に腰掛ける奴の前に立たされると開口一番訳の分からない事を言い放たれた。
「聞こえなかったか。裾をめくれと言ったんだ」
「…………何の意味がある?」
「奴隷に主人が答える義理があるのか?」
「…馬鹿か貴様は。ふざけてないでさっさとする事をしろ、私は暇ではない」
「ふざけているのはお前だ。まぁ別にしなくても構わんがな、その時はお前に代わって蓮花にやらせるだけだ」
「………っ!」
蓮花様の名に今の立場を思い知らされ、奥歯をぎり、と噛み締める。
「蓮花なら喜んでやってくれるだろうぜ?かわいい部下がそれで助かるならな」
「…約を違える事は無い。蓮花様の名は出すな」
にぃ、と口の端を吊り上げた男を睨みつけ、覚悟を決める。
「………」
前垂の裾を指でつまむ。別に特に隠している訳でも無い、戦闘時には見えているものではないか。ゆっくりとそれを上へとたくし上げるだけ。
それが何故、こうも羞恥と屈辱を感じるのか。
股間への男の不躾な視線に太腿が知らず戦慄き、無意識に膝頭を閉じようとする。
沈黙。それは余りにも長く、数秒であったのかもしれないが、耐えきれずに声を発したのは私だった。
「こ…これで満足かっ」
「ふん…そんな訳ないだろう。次はそのまま裾を咥えて、褌を脱げ」
「な、なあっ……!」
あまりな男の指示に顔に血が上り、言葉が出ない。
「お前は褌したまま男女の営みが出来るとでも思っていたのか?ガキか」
「ふ、ふざけっ…!」
「何度も言わすな?」
私の反駁を待たずに男の目が細くなり、右手を上げ指を鳴らす形に構える。
「いいか?俺がこの指を鳴らせば五分後には俺の忠実な狗共が蓮花を引きずって来て、俺の目の前で下着を脱ぐ見世物をやることになる。まあ本人が抵抗するなら力づくで下着をずりおろして市に晒すだけだがな。分かったなら早くしろ」
「ぐ……」
事ここに至り漸く私は自分の置かれた立場を、この男の悪辣さを理解し始めた。
―――――蓮花様が、この男の前で、羞恥と悲しみにくれながら、御自身の下着を。
許されない。その様な事は許されない。ならば私の執るべき行動は。
「…下種め」
小さく呟き、自身の前垂の裾を咥える。
腰脇の端部を解き、尻の方から解いていく。腰回りが十分に緩み、後はこの指を離せば勝手に落ちる。
「…っ」
意を決して震える指を無理やり開くとぱさりと褌が落ち、陰部が外気に、――――男の視線に晒される。
「足をもっと開け」
「…」
紅潮する顔を伏せ、足を肩幅程度に広げると内腿がひやりとした空気に触れる。改めてこの身を、恥部を隠すことは出来ない事を思い知らされる。
この身は呉に、蓮花様に捧げたもの。自分を木石と思え。この程度の屈辱など、他日の蓮花様の雄飛を思えば何という事でもない。
「ほう…これが呉の大将軍様の雌穴か。ん?」
「だ、黙れっ」
「そうがなるな。これからお前はじっくり時間をかけて、自分が所詮盛りのついた雌だって事を思い知るのだからな」
「なんだと?…ひっ!?」
何の前触れもなく、男の指が自らに――――草叢に隠れた小さな肉の突起に触れた刺激に悲鳴を上げ、腰を引いてしまう。
「な、何をするっ」
「…人の言った事を聞いていないようだな。まあそれはいい、これを言うのは最後だ。蓮花に同じ目に遭って欲しいんだな?そうでないなら手を頭の後ろで組んで腰を突き出せ」
「ぐ…わ、分かった…」
蓮花様をこのような浅ましい、自らの恥部を見せつけるような恰好をさせるわけにはいかない。苦渋の思いを飲み込み、腰の後ろで両手首を握りしめ、男の眼前に女の部分を突き出した。
「よぉしいい子だ。逃げるなよ」
「…呉の将は逃げぬ」
男の指が自身の股に再び伸ばされる。精一杯気を張り、歯を食いしばって先程の刺激に備える。
―――――が。
サリ…。
「ふあぁぁっ!?」
そっと肉芽を撫でられただけで、固く閉じられた筈の口から自分のものとは思えない甘い叫びが漏れ出した。
「どうした?呉の大将軍様よ」
「はぁっ、はあぁあっ、や、やめっ、やめろっ」
惑乱。
悩乱。
自身の秘唇に与えられる正体不明の刺激に完全に混乱していた。
自分の意志と関係なく、甘く――――媚びた、女の声が喉を押し通って行き、触れられた部分から下腹の奥に何かがこみ上げる。
「ふぁっ、はぁっ、やめろっ、嫌だっ」
次第におぼろげに、その姿を現し始めた『感覚』。それがなんであるかに気付き始め、背筋を恐怖が抜けていく。
しかし逃げれば、この辱めを蓮花様に受けさせる事になる。その思いが私をその場に留まらせ男に弄ばれるがままにさせていた。
「ククク…なかなかいい反応をしてくれるじゃないか」
「や、やめろっ、やめてくれっ」
次第に撫でる動きから揉み、擦るような動きへの変化に思わず懇願する。
なぜなら、既に私は気づいていたからだ。どんなに目を背けても、『その感覚』が何なのか、私自身の身体が理解してしまっている。
「正直じゃないな呉の大将軍様は。やめろじゃないだろ?んん?」
「あっ、あふっ、はぁんっ、ああっ、ああああっ!やめっ、駄目だっ、ううううううっ!あああっ!」
腰の奥に渦巻いていく、余りにも甘美な疼き。
膝ががくがくと震え、喉の奥の方から何か――――超えてはいけない、しかし超えずにはいられない何かがこみ上げてくる。
「堕ちろ、思秋っ」
「ああっ、ああっ、あああああああああっ!」
きゅーん、きゅーんと腰の奥を突き抜けていく痺れに合わせて、内腿がぶるぶるぶるっ、と震えながら力いっぱい男の手を挟み込む。
固く閉じた瞼の裏が明滅し、びくん、と全身が大きく一度跳ね、激烈な何かが峠を越える。
息を止めてしまっていたのか、荒くなってしまっていた息が少しづつ整っていき、目を開けると。
「『気持ち良かった』だろ?憎い相手に、身体を可愛がられてなぁ?」
悪魔のような笑みで囁く男の顔を前に、羞恥と怒りと情けなさに苛まれ首から上を朱に染めつつ、何も言い返す事は出来なかった――――。
今日はここまでだ帰れと言う一刃の言葉に、蹌踉としながら自室へ戻り寝台に身を投げ出す。
…こんな筈ではなかった。
のしかかられ、股座に男のものを突っ込まれてしばらく痛みに耐えて好きにさせていれば終わる事ではなかったのか。
それがどうだ。男に、一刃に肉芽を少し撫でさすられただけで娼婦のように甘い声で喘がされ、果てには恥辱の絶頂まで味わわされた。
…あの男は、ただ私を犯したいだけなのではない。私を快楽で支配し、辱め、屈服させたいのだ。その目的に気づいた時、背筋を冷たいものが伝った。
しかしそれに耐えなくてはならない、私が耐えねば蓮花様にその辱めが及ぶ。蓮花様をあのような淫獣から御守り出来る事を思えば、どのような責め――――どのように弄ばれようとも必ず耐えて見せよう。
この身に与えられる多少の快楽など、鋼の意思で必ず押さえこんで見せる。
――――――そんな私の決意など、奴の卑劣極まりない責めの前では何の役にも立たなかった。
翌日から三日連続で、今日と全く同様に肉芽をいじられると簡単に悦びの声をあげさせられ、絶頂を揶揄され、お前は淫乱な雌なのだと嗤われた。
「今日は褌を外したら、尻をこちらに向けて四つん這いになれ」
四日目にはそう命令された。前日に逆らおうとし、正に蓮花様を呼ばれた恐怖が私を大人しく従わせた。
「くくく…こうして敵の前に自分から尻の穴まで見せつけて、〇ンコをちょっと擽られただけでだらしないイキ顔晒してるのは本当に呉の大将軍様なのか?いやはや浅ましいことだ」
無様に尻を突き出した格好で女の身体に悦楽を嫌と言うほど味わわされ、歯噛みして悔しがれば悔しがるほどあの男はいやらしい笑みを深めた。
五日目には寝台に仰向けになり、自身の両脚を抱えて大きく股を開かされた。
今日こそは。今日こそはこの男の卑劣な陰核責めになど屈しない。自ら秘部を見せつける姿勢を取らされながら決意を固くしていると、奴は予想していない言葉を呟いた。
「慣らしのお遊びはここまでだ」
「…何?」
「今日からは、憎たらしい相手に犯されて悦ぶ雌奴隷になる為の調教が始まるんだ。嬉しいだろ?」
「…知らぬ」
今までのも私を辱め、屈伏させる為の責めではなかったのか。顔を背け吐き捨てたが、例によって奴の狡猾で淫猥な指使いに前日と同じく悶え狂わされた。が、今日は違った。今までは一直線に絶頂に追いやられていたのが、今日は妙に刺激が緩やかだった。耐えられそうでもあり、しかしいつまでも打ちのめされず、直火で煮られるような責めに違和感を感じ、ふと奴の顔を見ると目が合ってニヤリと嗤われた。
―――――焦らされている。
私が楽にならぬよう、私がより激しい責めを求めるように、弄ばれている。
内心を見透かされた羞恥に顔を朱に染めると、口の端を釣り上げたまま
「そう焦るな。今日からはこっちだ」
と囁かれると、肉芽の下の方に違和感を感じた。
「ひっ…!?」
にゅるにゅるにゅるっ、と何かが自身の中に侵入してくる感覚に、思わず小さく悲鳴を上げてしまう。
その直前まで男の指が自身の肉芽を摘んでいた事を思えばそれは男の指だろうという事は直ぐに理解出来た。
「簡単に飲み込んだな。中はどうだ」
「あぅっ!?」
胎内に埋め込まれたその指がちゅぷ、と水っぽい音を立てて肉の内襞を擦ると、肉芽を嬲られるのとはまた違った雷撃が体奥から背筋を走り抜け、甘い叫びが口をついて出てしまう。
「ぐしょ濡れじゃないか、この淫乱め」
「う、五月蠅いっ、ああっ、中っ、擦るなぁっ、ううっ、うぁっ、ああっ」
どんなに堪えようとしても、男の指が膣内で曲げ伸ばされてくちゅ、ちゃぷ、と水音がする度に官能の呻きが容易く喉を押し通っていってしまう。
「甘寧将軍は外も中も弱点だらけか。掻き回されるのもお好みか?」
「し、知らぬっ、ああっ、あぁんっ、あはぁっ、やぁめぇっ、やぁめろぉっ、やぁんっ、ああっ、やめっ、やめてくれっ」
肉芽を弄ばれるのも耐え難い屈辱だが、胎内に侵入を許しその内部を蹂躙されて快楽を与えられる恐怖感に知らず哀願していた。
「イけっ、大股広げてぐちょぐちょ〇ンコの中を掻き回されて、情けない恰好でアヘ顔晒してイキ狂えっ」
「い、嫌だっ、ああっ、やめっ、やめろっ、ああっあああああああぁぁっ!!」
耐えようがない。堪えようがない。容赦なく絶頂へ追いやろうとする指の凌辱に広げた両脚を寝台につっぱらせ、より深くまで男の指を咥えこもうとするように股間を中空に突き出してびくんびくん、びくんびくん、と大きく腰を震わせ、自身が女として悦ぶ様を男に見せつけてしまった。
ややあってがくりと腰を落とし、無慈悲な凌辱者の視線から逃げるように視線を背けると、見ろ、と言われて顔を正面に向けられると、ぬらぬらと粘液に光る男の指があった。
「これがお前が淫乱な証拠だ。戦しかしてこなかったネンネのお前に教えてやるよ、女はな、スケベな事を考えたり気持ちいいと股から涎を垂らすのさ。男の〇ンポが欲しい、欲しいとな」
絶望の凌辱は、まだ幕を開けたばかりだった―――――。
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「…見事だ、鐘会」
「お褒めにあずかり光栄に存じます。ですが甘将軍、御鼻より出血なさっておられます。御手当てなさった方が宜しいかと」
「やはり凌辱物は身体は堕ちても心は堕ちぬに限る、何度でも同じ設定で楽しめるからな。愛紗の奴は快楽堕ちからの愛奴化が最高だ等と言っていたがその次からはどうするつもりなのか、多少分かってきたとは言え所詮愛紗は素人よ、この道のなんたるかはまだ理解が浅いのだ」
「仰せの通りに御座います。ところで血が将軍の上着に垂れてしまっております、早々に御手当てを」
「この続編は何時頃出せる」
「なにぶん同人誌に御座いますれば、陳琳様の本編の御執筆進捗具合を見ながら夏の後宮同人誌即売会までにはと。血痕付きでは入稿出来ませぬゆえ、その草稿には御血を付けられませぬようお気をつけ下さいませ」
「そうか。一刃×思秋物は少ないのでな、期待している」
「承知致しました。つきましては本作と御引替えでお願いさせて頂きました若手の後宮枠割り振り検討委員会の件ですが」
「うむ。呉からの固定枠要求は取り下げさせ実績に基づき割り振るよう意見しよう、私としても実力主義であるべきと考える所だ」
「有難う御座います。将軍のお言葉に私も筆が進みます、是非御期待下さいませ」
「ところで、あー、この後の展開だが?」
「日々ねちっこく恥辱責めにて開発されてゆき、屈辱の後背位中出し絶頂処女喪失迄は構想が御座います」
「うむ、責め抜かれ蓮華様…いや蓮花を人質に取られては屈服せざるを得ぬな、思慮純忠の思秋ならばやむを得ぬ成り行きだ。裏腹に身体はどんどん過敏な雌にされてしまうのだろう?」
「お言葉の通りで」
「それに恥辱責めか。『貴様にはこれで十分だ』等と言われ爪先で弄ばれて絶頂させられるのも良いな」
「…流石甘将軍、是非取り入れさせて頂ければと」
「媚薬も使われてしまうのだな?いや、花開かされた身体には焦らし責めだな」
「…ははっ」
「しかも尻穴も開発され揶揄されるも尚心は堕ちず」
「(ほんと歪みねーなこのおばはん)」
「ん?何か言ったか?」
「いえ。将軍の御構想に感じ入って御座いました」
「うむ、想像するだに堪らぬな。重ねて励めよ」
「奮励致します。話は変わりますが将軍の御顔が女性がしてはならない表情をなさっておられます、洗面で鼻血を止め御顔をお洗いなられてから御執務にお戻りになられますよう」
「うむ。ではな」
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「…どうした士季。食事中に遠い目をして」
「いえ、何でもありません仲達様。ちょっと他人事ながら呉の将来が心配になりまして」
「そうか。他国とはいえ呉も一刀様の治める国の一部ではある、何か出来る事があるなら助けてやり、特に無ければ他山の石とすると良い」
「はぁい」
「ところで聞きたいことがあるのだが。今日お前宛に郵便物があったのだが、『夏こみ当選のお知らせ』とは何だ?宛名も『さーくる晋帝国』主宰 鐘会様となっていたが、お前は何かの団体を主宰しているのか?…どうした真顔になって、箸を落として行儀悪いぞ。…なんだ急に、腹が一杯?いつもは倍は食べているだろう、…士載?叔達(司馬孚)、季達(司馬馗)、顕達(司馬恂)、恵達(司馬進)、雅達(司馬通)まで!?待て逃げるなお前達、何か隠しているだろう!な、は、伯達姉様お放し下さいっ、良いのですと言われましてもっ、痛っ痛たたたたたっ!?姉様折れますっ、折れてしまいますからっ!」