「はぁ、はぁ、はぁ」
雪山の中を一人の少年が走っていた。
息は荒く時折後方を確認している。何かから逃げているようだ。
「はぁ、はぁ、はぁ、もう、撒いたか」
息を切らしながらそう言って少年は止まった。走り続けたせいか全身汗でビショビショである。
「なんで俺がハンターに追われてるんだぁああああ!!!」
ここはポッケ村。
雪山の麓にある小さな村で、一年を通して雪に覆われている。
そんな村の中にある一軒の家。そこのベットで少年は眠っていた。
「ふぁ~...ん?んんぅ!?何処ここ??」
目を覚ました少年。髪は濃い青色で腰のあたりまである髪を紐で括ってポニーテールにしている。
そして顔はとても中性的で長い髪とも相まって女性のようにも見える。
「え?マジで何処なのここ??」
まったく知らない場所で目を覚まし、困惑する。
寝る前何をしていたか、そしてここはどこなのか考える少年。
「昨夜は確か...ベッドでモンハンをしてて、それで寝落ちしたんだよな?」
寝る前の記憶を思い出すほど今自分が置かれている状況に困惑する。
少年が意味が分からず困惑していると人が入ってきた。
「おっ、目を覚ましたんだな」
「...えっ?」
鎧を着た男が入ってきて余計困惑する少年。
状況が理解できず困惑していると男が話しかけてきた。
「俺の名前はリーグ。ハンターをやってる」
(ハンター?珍獣でもハントしてるのか?)
それより何故コイツは鎧を着てるんだと益々困惑する少年。
取り敢えず自分も挨拶をすることにした。
(何か変な人っぽいし偽名にしとこ)
「えっと、自分は木入といいます」
「うむ、キールだな。してキール、お前はなぜ雪山の中で倒れていたんだ」
(えっ、雪山に倒れてたの?てかこの人助けてくれたんだ...)
恩人に偽名で自己紹介したことにちょっと罪悪感を感じたが、なぜ自分が雪山で倒れていたのか意味が分からな過ぎて呆然としてしまう少年。しかしすぐに気を取り直して自分の状況を説明することにした。
「あの、すいません、自分が何故雪山に倒れていたのか分からないんです。家で寝ていたはずなんですけど」
「ふむ?意識なく外にでていったのか?それとも攫われていたか」
「そんな、自分男ですよ!」
「?男だからだろ?」
「えっ...?」
鎧の男との認識に差を感じる少年。
「普通は女性が攫われるんじゃ…?」
「いや、普通は男だろ。女なんて攫っても意味ないだろ」
「男を攫ってどうするんですか?」
「どうするって...犯すんだろだろ」
「女じゃなくて男を?」
「男は女ほどマセてないだろ。だが女は違うアレは性欲モンスターだ」
男との認識の差が明確になった。男と少年では男女の価値の差が真逆だった。
少年はそのことに困惑する。いや、自分が雪山にいたことも謎だが。
少年がしばらく考えていると男が口を開いた。
「けどお前は運がいい。女に攫われたら気絶するまで犯されるからな。それに無防備で雪山に居たのにモンスターにも襲われてなかった。お前はついてるよ」
そう男に言われて何か引っかかった。
「モンスター...?」
「ああ、あそこの山だとギアノスやファンゴなんかだな」
(ギアノス、ファンゴ...)
聞いたことのある名称に募っていた疑問が解け出す。
「もしかして雪山にはフルフルやブランゴ何かもいますか?」
「よく知ってるな、ハンターなのか?」
「いや、違います」
今のやり取りですべてを理解した少年。
(俺は何故か男女の価値観が逆のモンハン世界に来てしまったようだ)
少年の心は踊っていた。何せ自分の好きなモンハンの世界に来たからである。
だがそれと同時に不安もあった。何せモンハンである。
モンスターハンター、その名の通りモンスターを狩るハンターたちのいる世界である。
普通の人間では持てないようなバカでかい剣を持ち、自分の体より何倍も大きいモンスターを討伐するパワーインフレを起こしている世界である。
ただの人間である自分がこんな世界で生きていけるのかそんな不安もある。
しかし何の冗談かこの世界に来てしまっている。もしかすると夢かもしれない。
それだったら少し冒険してみてもいいんじゃないかと思う少年。
「よしっ!」
「うおっ!急に声上げてどうしたんだ?」
「俺、ハンターになりたいです!」
「...急だな、何故ハンターになりたいんだ?ハンターというのはモンスターとの命のやり取りをする。生半可な気持ちで成るとすぐ死ぬぞ?」
真剣な顔で男が言う。
だが少年はハンターになると決めていた。
「いえ、それでも俺はハンターになりたいです!」
「...覚悟はできているんだな?」
「はいっ!」
「よし、ならお前をハンターにしてもらえないか俺がハンターズギルドに聞いてみてやる」
「えっ?いいんですか?」
「ああ、これも何かの縁だろう。俺が面倒を見てやる」
「ありがとうございます!!」
少年はキールに成ることを決めた。
ここからキールのハンターとしての物語が始まる。
...はずだった。
1か月後。
自分を助けてくれた恩人、今では師匠のリーグに様々なことを教わった。
モンスターの狩り方、素材の剥ぎ取り方、薬の調合や、武器、防具の特性まで様々なことを教わった。
その中でもリーグが一番多く言ってきたことは『女には気をつけろ、特に女ハンター』である。
自分は貞操が変わる前の世界、男女の価値観が普通の世界からきているためハーレムひゃっほい程度にしか考えてなかったが、実際女性と会うとリーグの言っていた言葉の意味が分かった。
目つきがヤバいのである。まるで獲物を見定めるかのような目で見られる。
普通の女性でこれとかヤバくないですかとリーグに聞いたら『漸く分かったか、けどお前顔良いから襲われないよう気をつけろよ』と笑いながら言われた。いや笑い事じゃないって。
そして今日。
ハンターになって初めてのクエストを受けに集会所へ逝く。
正直怖くて仕方がない。女ハンターがどんだけヤバいのか。
しかし集会所に行かなくてはクエストを受けられないし、ハンターに成った意味がない。
キールは意を決して集会所へ入った。
集会所の中はゲームと全く同じ、ではなくゲームの集会所よりも広かった。
そして様々な装備を見に包んだハンター達で賑わっていた。
集会所の中には女ハンターしかいないと思っていたが普通に男ハンターもいた。
貞操が変わっているため男のハンターは少ないと思っていたがどうやら違ったようだ。
そのことに安堵しながら受付へ行く。
「ハンターズギルド・ポッケ村出張所へようこそ!受注されるクエストのレベルを選んで下さい」
ゲームと全く同じでセリフを受付嬢が言う。
ここは同じ何だなと思いながらもクエストレベルを選ぶ。
「レベル1でお願いします」
「現在、受注して頂けるクエストは、こちらとなります」
そういわれ紙を見せられる。
クエスト内容はどれもゲームと同じで一番最初にドスギアノスの狩猟クエストがあった。
取り敢えずこれにするかなとクエストを決め受注をお願いする。
「このドスギアノスのにします」
「こちらのクエストは、契約金として100z必要です。宜しいですか?」
「はい、お願いします」
「ではこのクエストに参加するメンバーを募集しますか?」
受付嬢がそう聞いた瞬間一斉に女ハンター達がこちらを見た。
その視線に恐怖しながらもメンバーを募集することにした。
パーティの募集はゲームと違いメンバー募集に上限がなかったが、4名にした。
そして募集メッセージには{狩り初心者です。色々教えて頂けると嬉しいです}と書いた。
そしてその紙を受付嬢に渡した。
「募集用紙をクエストボードに張り出しました。クエストの達成をお祈りしています」
お決まりのセリフを聞いてからメンバーが集まるまで椅子に座っていることにした。
すると早速声をかけられた。
「君、パーティメンバー募集してるんでしょ?」
三人の女ハンターがいた。
一人目はクロオビ装備に太刀を装備した黒髪を後ろでポニーテールにした女性。
二人目はザザミ装備にボウガンを装備した茶髪のショートヘアーの女性。
三人目はハイメタ装備に弓を装備したシルバーの髪色をした女性。
全員言わずもがな美人である。
「私たちが一緒に組んであげるよ!」
「本当ですか!お願いします!」
ザザミ装備の女性にそう言われる。
自分としては完全な初心者のため、ありがたくお願いする。
その後お互いに自己紹介した。
クロオビ装備の女性はヒビキ。元気がよく頼れる姉のような女性だ。
ザザミ装備の女性はリッカ。ツンツンしてるけど面倒見のよさそうな女性だ。
ハイメタ装備の女性はフレンシア。落ち着いており笑顔が綺麗な女性だ。
ちなみに身長はキールとリッカが同じくらいで、ヒビキとフレンシアはキールより10cmほど高い。
キールの身長は160cmなので170cmほどだろう。
その後装備を確認して準備を終える。
パーティメンバーにも準備を終えたか聞きに行く。
すると三人が何やら話していた。
「何話しているんだ?」
「あ、ああ、討伐するか捕獲するかで話しててね」
「ドスギアノスのこと?」
「そ、そうよ、あんたはどうしたい?」
「うーん、初めてだし討伐かなぁ」
「分かりました。なら討伐する方針で行きましょう」
なんだ捕獲するかで話してたのか、それだったら俺もいるときにしてほしかったな。
と思うキール。しかし彼は知らなかった。その会話はキールについての会話だったことに。
「なら準備できたなら行きますか!先に村の出口で待ってますよ!」
そう言って出ていくキール。
すると三人はお互いに目線を合わせ、無言で頷いた。
彼女たちの手には怪しいビンが握られていた。
荷車に乗ってベースキャンプに着いた。
ゲームと全く同じ風景がベースキャンプから見えた。そのことに軽く興奮するが何とかその興奮を抑える。
因みにゲームと違い50分の時間制限などは無い。
期間として5日の間にクエストをクリアできなければクエスト未達成となる。
初めての狩猟に胸がドキドキだが心強い仲間もいるし大丈夫。
キールはそう思いクエストに挑んだ。
結果から言おう。クエストはすぐにクリア出来た。自分以外の三人がとても強かったのである。
流れるようにモンスターを切っていき、ドスギアノスが出てきた瞬間に弓とガンランスで集中砲火した後太刀で切り倒した。
その光景に唖然としながらも無事最初のクエストをクリアできたので喜んだ。
その後剥ぎ取りを終えてベースキャンプに帰って、さぁ、帰ろうというときである。
三人に『せっかくだしもう少しここに滞在してから帰ろう』と言われ二つ返事で快諾した。
せっかく美少女とここまで来たんだしもう少しいてもいいだろうと思い至っての考えだったがキールは一つ大事なことを忘れていた。
ここが貞操逆転世界だ、ということを。
キールが完全に寝てしまった深夜。
ベースキャンプで動く三人の影があった。
「うひひ、今回は上玉だねぇ」
「考えもなしに滞在のばすからこんなふうになるのよ」
「無防備で眠る顔可愛いです。食べちゃいたいです」
口を三日月のようにゆがめて笑う三人の姿があった。
そしてキールの装備をゆっくり脱がしだす三人。
キールの装備はリーグのおさがりのマフモフシリーズである。
帽子、ブーツ、胴と脱がしていく度に興奮する三人。
そしてついに下半身に手が掛かったときキールが目覚めた。
「...ふぁ、あれ?三人とも何して...」
自分が裸になっていることにきずいたキール。
そして三人を見ると皆興奮しており鼻息が荒く、口からは涎が垂れている。
自分がナニされようとしていたのか理解したキールは
「いやぁあああああ!?」
叫んだ。
そしてベースキャンプから逃げようとしたが腕を掴まれて引き戻された。
そして押し倒され息の荒いヒビキから
「色々教えてほしいって書いてたよね?だから気持ちイイことを教えてあげる」
と口を三日月のように歪め涎を垂らして言われる。
美少女なら大歓迎で犯されようと思っていたキールだったが怖すぎて声が出ない。
はぁはぁと息を荒くして耳元で呟かれる。
「大丈夫、すんごい気持ちよくなるだけだから」
そしてリッカは何か怪しいビンをフレンシアから受け取りそれを注射器に入れヒビキに渡した。
注射器を持ったヒビキがこちらを見つめながら言ってくる。
「大丈夫、大丈夫、ちょっとテンションが上がる薬だから、ね?」
(目がイってるやつに言われても全然あんしんできねぇ!?)
そして注射器が近づいてくる。さすがにこれはマズイと思いヒビキの気が緩む瞬間を狙って
「うりゃ!!!」
「うわぁ!?」
何とか脱出した。
装備など来ている暇など無いので急いでキャンプから逃げる。
キールの頭にはモンスターがいるから危険などという考えは無かった。
キールが逃げた後のベースキャンプ。
「あ~あ、逃げられちゃった」
ヒビキがそう言うが彼女はとても楽しそうに嗤っていた。
「はぁ、ヒビキってホント趣味悪いわねぇ。逃げる男を捕まえて犯すのが好きなんて」
リッカは呆れて言う。
「まぁまぁ、ヒビキちゃんの気持ちも私は分かるかなぁ。だって可愛いじゃない?」
そうヒビキと同じように嗤いながら言うフレンシア。
「まぁ、私も分からなくはないけど」
三人は装備を整えていた。
まるでこれからモンスターの討伐でもするかのように。
そして装備を付け終わった。
「じゃあ、狩り始めますか」
「ええ」
「どこに行ったのかなぁ~?」
夜の雪山でキールを捕まえるためのパーティが組まれた。
そして物語は冒頭へとつながる。
女ハンターに追われる主人公キール。
果たして彼は無事夜の雪山を脱出することができるのだろうか?
はい、完全見切り発進です。R-18にするかで迷ってます。
追記:誤字報告ありがとうございます。公園の遊具は無事モンスターになりました。