読み込む時間が無駄な文字の羅列 作:幻のSoxマン
やぁ、こんにちは。
――え、僕? ただのしがない旅人だよ。
――いや、失礼。しばらく水しか飲んでなくてね。
――おや、これをくれるのかい? 本当に? そうか、ありがたくいただくとしよう。
お礼といっては何だが、ちょっと昔話をしようか。
あの時はあんなクソみたいな病院で隠れてタバコなんか吸ってたけどね、そのちょっと前まで僕は……もっと複雑なところにいたんだ。
そうだな。例えるなら、東京スカイツリーとバッキンガム宮殿とホワイトハウスと零戦を足してチンパンジーの顔をかけて43度度傾けた感じと言えばイメージしやすいかな。ははは、大人になったら探してごらん。見つかるかもしれないよ。
そういえば君は知っているかい?
イギリスにはアフタヌーンティーの文化があるけどね、オペラとかフリップも見に行かないのに間食するのは現代では意味が無いよね。滅入っちゃうぜ。
急にこんな話をしたのには意味があるんだ。
僕はあの時、アフタヌーンティーをしながら追いかけてくる3人の男女から逃げていたんだ。
え? 意味が分からない? こっちが言いてぇよ、ボケが!! ……おっと、ごめん。今となってはいい思い出だよ。
しかも、逃げている途中に黒塗りの高級車にぶつかってしまった。
中から仰向け四足歩行と女の子走りするいかつい男3人が出てきて、計6人に追いかけられる破目になっちまってね。もう半ベソだったよ。
それでもティータイムは止めなかったな。もうスコーンもなかったし、クリームなしのダージリンは個人的にはキライだけど、大切な文化だしな。
傍から見たらこっちが煽ってるようにしか見えなかったと思う。ティーセットを持ってちょくちょく振り返りながら走っているなんて、どう考えてもこっちが悪く見られるだろうね。おっと、話が逸れたね。
その時僕は気づいたんだよ。おや、後ろにいるのは友達だったSとYじゃないか、ってね。
めっさキモいと思いながら空港に行ったね。
その時にはニューオリオンズにいたけど、ロンドンに飛んだよ。
これで逃げられると思ったら、
皮という皮は爆風でビロビロにたるんでいて見ていられなかったな。
あと、六人が全員片方の翼につかまってるうえに、運悪く強風に巻き込まれて機体が錐揉み回転し始めた時はさすがに、もう逝っちまうのか、なんて思っちまったよ。ははは。
それでもくっついて来たんだからホモは恐いんだよなぁ。
ロンドンに着いたらロンドンアイに乗ったよ。
まあデカイ観覧車なんだけどさ、80m位あるのに登ってくるんだよ。そん時は傘をパラシュートにして降りたよ。
僕にも若い頃ってあったんだよ、信じる?
それからネス湖に行ったよ。そしたら野郎どもどうしてたと思う?
ネッシーに乗って僕を待ってたんだよ。
もはや思考が読まれてきているのが分かって、思わずちびっちまったね。
そういえば僕の自己紹介がまだだったね。
僕の名前はカフー。フリーのカメラマンさ。
リンパ腺を掻き毟って死ぬなんて事はないから悪しからず。
ところで気づいたんだけど、彼らヘブライ語喋るんだよね。そして、もうティーは無くなって、ペソのコインを舐めてたよ。
もう卑しいなんてモンじゃない。
コインの形が無くなるまで舐めたら、他の旅行客の財布からピンポイントでコインだけを抜き取ってたよ。その奇妙なスキルを、僕を追うんじゃなくて他の事に使えって話だよね。
そういえば野郎ども、僕の家まで来やがったんだよ。
もうどうしたらいいか分かんなくてさ。
TENGAとミルクティーをやってオアシスを流したら大人しくなってビックリしたよ。
なんで大人しくなったか気になってさ、一個一個試したのよ。
ミルクティーとオアシスの時はやばかった。
白目ひん剥いて体中に血管浮かび上がらせながらこっちに寄って来るんだぜ?
もうバ○オとか、サ○コブレ○クとかそこら辺域のに達してたさ。
そう……。つまり奴らはTENGAが欲しかったんだね。アヘってる姿は最高にキモかったぜ。
僕はダッチワイフだけを持って家を出たんだ。これで終わりだな、って思ってたよ。
だけどね。そしたら野郎ども、追って来るんだよ、TENGA着けてさ。
つまり、まあ、そういう事さ。野郎ども、僕を見て45ってたのさ。
だから僕は、思わず人様ん
とは言え人様のショットガンだからね。
あんまり使う気にもなれず、最終手段として、抱えて逃げてたのさ。
でもね。
背中にダッチワイフ、両手にショットガンで逃げれるわけも無いじゃないか。
どんどん距離は詰まっていって……。
グシャッ、ってさ。
……なーんてね。僕が肉塊になってたら今話してるのは誰だって話じゃない。
僕の村は周囲が山でさ。
森の中に逃げ込んだってワケ。
余談なんだけどさ。その森の木々が気持ち悪かったんだよね。
なんか木の模様がどんどん自分の顔に見えてきてさ。
その内自分が畑か何かで栽培されているような気分になってきちゃったんだよ。
でも奴ら、森の中に隠れててもどうやってか察知してくるんだよね。性欲の成せる業だよね。
まあ木々のおかげで距離は縮まなくなったんだけど。
だから運が悪かったとしか言いようが無いんだろうね。
たまたま開けた所に出ちゃったんだよ。
しかもそこが崖だったの。
もう絶望が胸中を渦巻いたよ。
急いで引き返そうとしても時既にお寿司ってね。
……あれ、面白くない? 最近覚えた渾身のジャパニーズジョークだったんだけど。
ああ、君はジャパニーズだもんね。聞き飽きてたか。
話を戻すよ。
まあ、振り返ったら5人が僕を包囲してたんだよ。
距離はそうだな。5、60m位だったかな。
絶体絶命って言うんだよね、こういう事をさ。
でも僕にはアレがあったからね。そう、ショットガンさ。
十分引き付けてから、ズドン!
奇跡さ、その時はね。
五人全員に命中したんだよ。
動かなくなったのは二人だけだったんだけどね。他の奴も身動きは取れなくなってたよ。
これ幸いと逃げ出そうとした時にね。
そうそう、その時は勝ったって思ってた。
慢心と言うか、わざわざ変態どもの顔を覚える余裕が無いというかでね。
ちょっと思い出してみようか。
最初僕が追いかけられていたのは三人の男女。次に黒塗りの高級車から出てきたのは三人の男。僕が倒したのは5人。
……ふふふ、分かったみたいだね。そうさ、一人足りないんだよ。
いくらなんでもあそこまで肝が縮み上がったことは無かったよ。
ガッ、と崖側から足を捕まれたんだ。
なんのホラゲーかってね。でも現実に起きてるんだから恐ろしいもんだ。
でもさ、崖にしがみついた状態で引っ張ったりしたら踏ん張り効かないじゃんね。
お察しのとおりさ。二人して真っ逆さまだよ。
……だから僕を殺すなって。誰が話してるのよ、今はさ。
あの時ほど買ってよかったと思ったことは無かったよ、ダッチワイフ。
ダッチワイフが衝撃を殺してくれたおかげで、一命は取り留めたのさ。
僕を掴んだ女は一瞬先に潰れてたよ、即死さ。
あとはどうなったんだろうね。気づいたら病室のベッドの上さ。
退院してからは不思議な直感に突き動かされてね。世界中を旅して回ったよ。
そういえば、ある時どこかの国で、僕を崖下に引き込んだ女の一部を調べてもらったんだよね。
そしたらさ、ホントにゾンビと同じ性質だったの。傷つけられたら何かの病気が感染するってやつ。
世の中何が起こるかわかんないよね。
え? その研究機関はどうなったかって?
鋭いね〜。でもね。この世の中には知らない方がいいこともあるんだよ。
はは、君も大人になったら分かるさ。
――――どうだった、楽しんでくれたかな。
なに、ただの懐古さ。僕らが知り合った記念のね。
ん? 僕が今どこにいるのかって?
僕は今日本を旅行してるよ。
そうそう、たまたまイギリスに戻った時に5人の男と知り合ってね。
その5人の中に旧友も二人入ってたんだよ、嬉しいね。
意気投合して、六人で世界を回ってる。
その中の一人の高級車、乗り心地がよかったなぁ。
良い奴らだよ、本当。
さあ、これで僕のお話はお仕舞い。
付き合ってくれてありがとうね。ほら、もうお帰り。
また会ったらお話しようね。
そうだなぁ。今年一杯は日本にいるから、もう一度ここに来ようかな。
――うん。じゃあね。
――ところで君。ほらほら、画面の前でこっちを見てる君だよ?
君、とても僕好みの顔だね。
僕、君と仲良くなりたくなったよ。
心の隅から隅まで、ね。
――ふふふ、大丈夫。僕は初めてでも優しくしてあげられるから。
さっきからこっちを覗き見てばっかりだったからね。
心の奥底までさらけ出さしてあげるよ。
もう他の五人は居るよ……。僕もすぐに行くから……。
ほら――
モ ウ ツ イ タ カ ラ ……