※この作品はR-18です。

読み込む時間が無駄な文字の羅列   作:幻のSoxマン

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まさか更新されるとは
どうやってたかも覚えてないです


その伍 『全面青い』

俺の心には青い空が広がってる。それは形容しがたい青。もう病気レベルの青。頭がおかしくなりそうなくらいの青。

青。青。青。

「ほら、みろよみろよ」

そう声が響いた

「これが青か....」

「楽しみにしていたぞ。いきなりだが君に頼みがある」

「どうか私の願いを引き受けてくれないだろうか。頼むよーちくわ大明神。」

真っ青を背景に彼はそう言った。

彼は両性具有の天使のような目をしていた

「なに、とても簡単だよ。ある男から荷物を受け取ってほしいんだ」

彼はその魅力的な見た目から想像出来ないような低い声でそう頼むのだった

荷物……とは?

僕は彼にそう問うた

「え?」

「荷物?が何かって?荷物ってのは彼女から送られてくるものさ。それは諦めのいいヘラのような、孤独なゼウスのような女。ディルドを愛している人さ。それより昨日はよく眠れたかい?」

「ええぐっすりでしたよ。そんな風に寝れた日の朝はコーヒーがうまくてね。」

「年中うまいわボケ。なにわろてんねん。」

 

そうやって話しているとどうやら彼は極東にある青いコーヒーを目指して旅に出るということがわかった。

「私が旅から戻ってくるまでに荷物を届けてくれ」

「荷物をって……あなたがどこに居るわかりません」

「私はどこにでもいるさ

きみが「青」を望めば、私はどこでもね。

君が望む青に、私は為れるだろうか」

彼はそう言って旅に出た

 

 

いつの間にかベッドから目が覚めた

机の上には箱がある

変な夢だった。そして、いやにリアリティのある夢だった。白昼夢と言ったほうが近いかもしれないくらいには。

「これが荷物?」

独り言を呟く

「なんだか寒いな」

本当は寒くもないし熱くもない

そもそも暑いか寒いかなんて人間が決めたもので誰が暑い寒いもあったもんじゃない

彼は禁断の荷物を開けた。

プレゼントを見る子供のように

中には何もない。ただの箱。虚無。

箱には何も入ってないのだ。

「なんだ?何も入ってないぞ」

「何もないはずがないだろ、奴は荷物を送ってくると言った。」

そう。彼の言うとおりなのだ。何もないはずなんてない。

見えているはずの物が見えていない。

あるはずの物がそこには無い。

箱の中に手を入れると不思議な感触がした

ぐじゅりと歪む。手にへばりつく。

取り出した手にはなにもついてはいなかった

箱を閉じた。考えることが多すぎる。これをだれに?何処に?私は届けるというのか。

考えていくうちに、この箱には一つの規則性があると言うことに気がついた。

この箱手を入れる毎に表面の色が変わっている

中身は……よく分からない。変わっているのか、変わっていないのか。或いは、僕自身の感覚が歪んでいるのかとも思えてくる。それくらいに〝よく分からない〟としか形容できなかった

考えても仕方ない。どうせ腐る程暇な田舎の文系大学生だ。だが旅に出るにも足がいる。ユフーを訪ねようと思った。

ユフーは小さな町で小さな車屋を営んでいるしがない若者だ。今は彼も社会という歯車の片隅で無邪気に笑っては寝ている。

私は彼に声をかけようとした瞬間。箱が震えたように思えた。

「やぁ、久しぶりだね。お茶漬けでもいかがかな?」

そうして箱を見つめている間に彼はこちらに気づく。なぜお茶漬けなのだろうかという疑問は口にはしなかった。

「いやあ悪い。今はそんな気分でもなくてね。紅茶と茶菓子でも用意してくれたほうがありがたい」

 

 

彼とは廃れたスナックバーで出会った。ユフーとはあだなだが、彼は僕に本名を教えてはくれなかった。冗談とマルボロとビールが好きな男だ。

彼とは4年ぶりに会う。久しい感覚はあるが出来れば会いたくない部類に含まれる類いの人間だ。

 

 

「箱...ねえ。」

そんな私の気も知らず彼は事情を聞いたあとその箱を勝手に手に取り眺めている。

「大したものでもないように見えるけどね。おかしなところがあるわけでも無ければ中に何か特別なものが入ってるわけでもない。ただの木箱じゃないか。ところで4年ぶりだが君の目はブルー色だったけ?黒だと思っていたのだが?」

「えっ?」

僕の目は青くなっていたらしい。片手では僕にtシャツの襟に引っ掻けていたサングラスをわたしてきた。

「これを届けなくちゃいけないんだ」

「誰に?」

「わからない」

「ふむ…」

そう言って彼は背もたれに倒れ込んだ。そして思い付いたように言った。

「いいぜ。車を貸すよ。でも俺も連れてけ。」

「は?あてはないんだぞ?」

「どうせ暇だ。よくわからんけど、ノーヒントって訳じゃねぇんだろ?」

見透かしているようだった。

「ああ…」少し笑って僕は言った。

「青をめざすんだ。」

僕らはトヨタ カローラで町を出た。

町を出てからいくら時間が経っただろうか。もう辺りは暗闇の支配が始まり、地平線には別れを惜しむ橙がさみしく光を放つ。周囲の状況が掴めなくなったその時。

眠気がくる。昨日の夢を見る前に感じた気だるいような眠気を。

「お、おい? どうした、おい!?」

ユフーが焦ったように肩を揺らしてくるがハンドルを握る手からもどんどん力が抜けてくる。ユフーが必死にハンドルを押さえるのが、最後に見えた気がした。

 

 

「やぁ、久しぶりだね。荷物を運び始めてくれたんだね。」

「あんた!?…ここは?」

「君の夢だよ。夢の中で僕らは会えるんだ。」

あの荷物運びを依頼した男がたっていた。いや、正確には立っていないのだが、そこに居ることは確かだった。

「君は次起きたら、またひとつ青を感じる。他が透明になっていくよ。」

 

 

目を覚ますと、路肩に止められた深夜の車内で、ユフーが僕を、呼んでいた。

「おいカフー!カフー!」

僕は起きて、安堵する彼に言ったなぜかわかった。

「東の海に行こう。」

「何言ってんだベイビー俺たちの行く先は決まってんダロウゥ!?俺たちは永遠に止まらねぇ!」

何言ってんだこいつは。

俺も何言ってんだ。

東の海には青がいるという伝説がある....そんな話を大学で聞いたことがある。

確かめに行くにはあまりに情報も足りない。そもそもそんなことに裂いてやる時間なんて物も無い。荷物は荷物だ。届けなければならないのは確かだ。

ところでさっきのは本当にあのあいつなんだろうか?そもそもあいつとは誰なのか。思い出そうにも思い出せない。

考えて行くうちに自分が自分で居られなくなるような....酷い頭痛に襲われている。

「おい箱の色…」

そう言われて確認すると箱の色がまたもや変わっている。それは頭の激しい痛みを表すような荒々しい赤だった。

箱に手を入れてないのにどうしてなのか。

どうして箱の色は変わるんだろう。どうして箱の中身は見えないのに、たしかに手に触れる感触が残るのだろう。

だが今度の中身は打って変わって少し固まり始めているように感じる

とにかく僕らは進まなければならない。近くのコンビニでビールと煙草を買って、僕らは海へ、北東へカローラを駆った。助手席でラッキーストライクを吸う僕に、それ鉛筆燃やしてるみたいじゃね?と聞き、ユフーは一般道を飛ばした。

先は何も見えない。ただ暗い、昏い道を、進む。次第に辺りは晴れていき、景色全てが蒼。一面の青、とまでは言えなくとも、それは誰が見ても青ではある。だが華風と湯風は進む。

景色の全てを蒼に失ってすぐ、とある道ばたに咲く花が目に入る。

緑色の、美しい花だ。しかしカローラに乗っている華風はそれに気がつかない。ユフーは、もう、、、

ユフーはもう...車を止めた。もう…着いたんだ海に。

「で、ここが目的地だってのか?」

「うん。なんとなくだけど……そんな気がする」

見渡す限りの水平線、天上の青々とした清々しい日差し、かつての先人達もこの景色を見ていたのだろうか、

「やっとついたかね」

夢で出てきた男がそこには居た

「おや、受取人も連れてきてくれたのかい?」 

受取人?ここには、私とユフー

そして夢の中の男だけだ。

夢の中の男はじっとユフーを見ている。

ユフーが透けていく。僕は鉄の外側に放り出される。地面が無くなっていく。

夢に落ちる。そう察した。

そして夢の中にたどり着くと、男と僕と女が居た。

「あなたは青に近づいている。でもそれはまだレイテンシーの向こう。」

彼女は言う。

「世界は環状線を喪おうとしている。だから青がいる。君は青の一部にならなければならないんだよ。」

男は言う。

彼女と性行するんだ。君の残響が彼女に触れればユフーは損なわれ、君は青に近づく。

華風は止めどない性欲を、その性を女にぶつける。

青がぐちゃぐちゃに混じり合ったのを、脈動とともに知覚していた。

そう、溶け合っているのを確信していた。そしてもう一つ気がついていた。消えたユフーは何処に行ったのか…

消えた途端に女が現れた…

私は腰を振るのをピタリとやめた。

冷や汗が止まらない。膨らむ想像にみるみるマイサンが萎えてゆく

彼女が言う。

「私に性はないのよ。彼は今私の媒体であるから、彼もまた性はないのよ。」

そう聞くと、安堵のような、新境地に達した興奮か、僕のジョニーは別生物のように生命力を放つ。

目が覚める。あの女は何だったのか。今の華風には分かるわけが無い。

分かりたくも無い。

自分は....

誰なんだ。

これはあの日と同じ感情だ。あの日を忘れるわけが無い。

 

 

「やっとここまできたのか華風」

目を覚ました華風の前に立っていたのは友人のナフーだ。

「君だったのか。全部仕組んだのは。」

そう言われると彼はクスリと笑ってこちらを見る。

「ちゃんと届けてくれたからご褒美…といいたいところだけど。もう一つ。お願いを聞いてくれないかな」

彼は申し訳なさそうに笑っていたが、その目は笑っていなかった。

「なんだよお願いって。」

「簡単さ。世界を壊してほしい。」

俺はそんなバカみたいなことを言ってくるこいつに驚きを隠せず、どう反応すればいいかわからなかったが、さらにナフーは話を続ける。

「どうやって?って聞きたいのかい。その箱を使えばいい。使い方は君次第だけどね。」

そう言って彼は煙のように消えていった

箱を見ると色は紫に変色していた。

「なんだこれ…」

奇妙な旅だった。知らない男が僕に箱を届けろと命じる。命じられるままにここにやってきた。

妙な箱だった。色は変わるし、中身は見えないのに存在している。

青に染まれと彼らは言う。

この世界を壊せとナフーは言う。

 

——ああ、考えてみれば簡単な話だった。

箱の色が変わる。この箱は僕の心を表しているんじゃないかとは気づいてた。

奇妙な出来事が起きる。当たり前だ。ここは僕の心の中なのだから。

僕をここまで導いた彼らが案内人なんだとしたら。

僕の目の前に広がるこの青は、この世界と向こうの境目なんだろう。

宙に身を投げ出す。落ちる、落ちる、落ちる。そして。

 

——とぽん

 

柔らかく、青は僕を呑み込んだ。

 

箱の色は僕のどんな心をあらわしていたんだろう。

赤が苦しみなのは、なんとなくわかる。

それ以外はよく分からないけど。

案内人は僕に言った。

 

わたしはどこにでもいる。君が望むなら。

 

この青い海が境界線で、僕をこちらに引き止める楔なのだとしたら。

紫の箱を開く。

 

「水の中じゃなきゃ、見えないわけだよね」

 

青い海に包まれてなお蒼い泡沫が視界を染め上げた。

 

「僕は望む。荷物を受け取ってもらいたい」

 

心を、あるべき場所に届ける旅は終わったんだ。

……

声が聞こえる。それは頭蓋骨の反響を失った。媒体を越えて、内的も外的も超越した声。そこに性はなく。生も無い。ロゴスすら失った声。

「次君が目を覚ましたら。君は環状の、確かに重要な一点になっている。」

 

私は蒼。限りなく青より青い。

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