入学式で登校初日という事もあって、学校での時間が午前中で終了した。
そのため俺達生徒は、昼前には解散し各々の方法で帰ったようだ。
ちにみに、俺はなのはと合流して自宅へと帰宅した。
「「ただいま〜」」
「あ、お帰り。二人共。お昼はどうする?」
家にいた桃子さんが出迎え、今日の昼飯につい尋ねてくる。
「家で食べるよ」
「じゃあ、なのはもそうする〜」
「はい、わかったわ」
了承した彼女はキッチンの方へと向かっていき、水道水の流れた音が聞こえ始めた。
「先に鞄、置いてってくれる?」
「「はーい」」
俺達は靴を脱いで、各々の自室に向かい背中に背負っていた鞄を置いた。
俺は買ってもらった勉強机の下に貰った当初に置いていたので再度そこに設置しておく。
自室の扉を開けて、桃子さんのいる下に歩く。
そうしていれば、予想してもしなくてもいつも通りのなのはの声を耳に入れた。
「ア〜キ〜くんっ」
「おうっ」
肌白い彼女の両手に己の左手を捕らえられ、彼女と共に向かった。
◇◆『新たな友人と強気っ娘』◆◇
入学式のあった昨日が金曜だったため、此を除く学校生活は週明けからだ。
そして昨夜に小学校入学祝いをしてもらい、通常より豪勢な夕飯を頂いた。
数週間前の卒園式の時と頂いた飯の内容は異なるが、大体こんなもんだった。
「じゃあ、いってきま~す」
「いってきま~す!」
なのはと二人で玄関前まで送り出してくれている桃子さんにそう声をかけて、丁度やってきた送迎バスに乗り込んだ。
「おっ、今日は空いてるみたい」
「じゃ、いこーっ!」
俺達が七時半頃に乗車するこのバスは、利用者が一番多い時間帯で空席が無いのが殆どだ。
それで二人分座れる席を見つけると、こうしてなのはが喜々として俺の腕を引っ張り共に座る。
一人分の時だと空席が全て埋まってる時の反応とあんまり変わらない。多分、一緒にいれるとしてもくっついてる方がいいからだろう。
「さて、と」
「今日からはじまり、でしょ?」
「そうだね」
授業というモノが開始されるのは実際今日からだ。だが、内容的には校内案内とか自己紹介とかじゃないかなと思ったりする。
バスの扉が閉じる音が耳に入ったため、まもなくこの停留所を出発するだろう。
俺は隣の彼女と目的地にたどり着くまで雑談で時間を潰した。
――――
なのはと別れて自分の教室に入る。黒板には忘れた生徒用なのか座席表が提示されていて、右端には月日と曜日が縦に記されていた。
一応座席表を確認してみたが、入学式のときと変わっているという訳でもなかったので、あの金髪少女の隣の席のままだ。
「流れ的にはなにやるんだろ……。さっきなのはに話した通りなんかな」
自分の予測が確実かどうか、はっきりと分からないけれど……そう思うことにする。
俺は鞄を降ろしながら自席に着席し、暇を潰すように机の中へと筆箱を入れ。
「あ、おはよう」
「おはよー」
入学式の時に会話した男子生徒が俺のもとにやってきて話しかけてくれた。
「この間は勧めてくれてありがとう」
「どうもー。んで言ったとおりだったっしょ?」
「うん。サイコーだったよ! それに君もお店側だったんだねぇ」
「お手伝いってレベルだけどね」
先日翠屋を勧めて早速土曜日に来てくれた彼に、俺とかなのはとか桃子さんで品物を提供したりしたのだ。
その時の彼とその侍女らしき人はとても華やかな笑顔で食事をしてくれたので、良かったと思う。
「持ち帰りもできるんだよね? 確か」
「あぁ、家で食べて楽しむというのもできるよ」
「お母さんとお父さんに渡してみることにするよ」
「お、是非是非」
彼と会話を楽しんでいるとそろそろ時間にでもなったのか、教師が教団の方に移動していくのが見えた。
「先生来たから、また」
「うん、また」
彼が自席に帰っていくのを少し見送り、自分の右隣を見てみると例の彼女は当然ながら着席していた。
――――
予想していた通り1限は自己紹介を含むクラス内交流である。
先に教壇にいた女教師の自己紹介からで、彼女は「月咲 輝夜」という名の黒い長髪を持つ人だ。
彼女の容姿と名で某人物が脳内に浮上したのは仕方の無いことだろう。
年齢は語っていなかったが、「外見的には」若そうで実年齢は判断し難い。
理由としては、身内にいる桃子さん然り姉御然り……。容貌的に高校生ぐらいとか二十歳ぐらいとかなのに実年齢がそれを遥かに超えていたという人物が実際にいるためである。
――女性に年齢を聞いてはいけないとは、こういうのもあるかもしれない。
というのも、どっかで思ったことがある。
まぁ、だからといってマジモンの輝夜とかではないと思う。
「じゃあ、1番の――」
彼女の簡単な自己紹介が終わり、我々生徒のターンとなった。
番号が最初の人と最後の人がジャンケンで何方かを決め、結果は最初の1番サイドからとなった。
この辺の方法自体は前世とそんな変わりないようだ。
此処が地球であり日本なのだから、それはそうか。
このクラスは男女比4:6で若干女子が多いようだ。他のクラスがどの位なのか分からないが、入学式の日に見えた光景的に全体的にも女子の方が人数が多い気がする。
クラスの在席人数は約30人ほど。それなりの金持ちの人みたいな雰囲気のある生徒が、自己紹介を聞いていると大半いるようだ。
先日翠屋に訪れてくれたあの男子も、侍女みたいな人を引き連れていたから、そう予想できる。
「――おねがいしますっ」
一つ前の番号の女子生徒による自己紹介が終了し、自分の番に回ってきた。
彼女は周囲からの拍手を耳にしながら着席した。そして俺は月咲先生から促されて、席を立ち発言を開始した。
「高町明良です。趣味は未だ特別コレっていうのは無いけど、これこらよろしくおねがいします」
全員の簡単な自己紹介が終了し、その後先生から「自己紹介カード」というものが配布された。
その紙には「名前」「誕生日」「好きな物」「やりたい事」等の欄があり、先生の説明によるとこの紙を完成させて後で彼女が後ろの壁にそれぞれ全員分貼り付けるらしい。
名前と誕生日の欄は固定で決まっているので分かりやすいものだが、「好きな物」とか「やりたい事」とかは自由に書いていいとのことなので、とりあえずで書いてみることに。
ちなみにだが、この紙の一面に記されている文字は全て平仮名で記述されている。俺を除けば、入学前から塾通いしている生徒や家庭教師を雇っている生徒であるのか、ある程度の漢字を使っている者が半数はいた。
でも、平仮名を扱えない生徒は此処には存在しなかった。
「書けたら、私の所に出してくださいね〜」
そう皆に声を掛けた先生は教卓の所に余っていた椅子を持っていき、座った。
数十分してから全員分が集まったのか、先生から皆に休憩を言葉にした。
また、それと同時に鐘についても話された。
鐘――学生にとって馴染み深くなるチャイムが校内に鳴り響いた。
10分間の休憩時間の開始を合図するこの音を認知した俺たち生徒側は、自己紹介をして興味が湧いた者や元々仲が良かった者同士の組合せ等が会話をするために席を次々と立ち始めた。
自分の場所にも、この自己紹介会が始まる前に会話していた男子生徒――
「おう、湧屋くん」
「呼び捨てで構わないよ、明良くん」
「じゃ、そっちも構わんさ」
「了解したよ。自己紹介の時に気付いたけど、僕達名前教えてなかったね」
「あぁ、普通に忘れてたわ。まぁ、気にしない気にしない」
「そ、そうかい」
楽観的に喋った俺に対して少し驚いた様子で返事をした彼は、現在空席状態となっている俺の後ろの席へと座った。
座る前に、その席の人が近くにいて許可を得る辺り律儀という感じが多少なりとも感じた。
「やっぱ、そっちの業界では夜会というか茶会という感じの大勢の人の集まりとか、あったりするものなの?」
俺はさっきの湧屋の反応と前世の情報などから、彼らお金持ち業界について少し聞いた。
「何処からそう予想できるか気になるけど……。そう、だね。入学祝みたいな感じで先日もあったよ。でも、これからは学業とか色々あると思うから、そんなに頻繁ではなくなると思うけど」
「なるほどねぇ」
俺がその質問したきっかけとか根本の情報が気になる様子を見せたが、彼はその実態は多少なり話してくれた。確かに、これから小学校生活。いや、それ以降を含む学校生活が始まるので確かに頻繁にとは行かないのだろう。その前が頻繁だったのかは気になったりするが。まぁ、親族に付き添いで向かったのだろうと予測できる。
「で、予想の出所は?」
「あ、あぁ……。本、というか小説みたいなものからだよ。後はTVかな」
「TVか。僕は情報系しか見てないから分からないけど、そういうのもやってるんだね」
やっぱり気になっていたのか聞いてきたので、取り合えず俺は小説とTVからと話しておいた。嘘は言ってない。嘘は。
実際、小説は前世で何冊か読んでいるし(今世は未だ読んでない)。TVは前世も今世も視聴しているし。
けれど、TVについて彼は情報系――いわゆるニュースとか、その辺りしか視聴していないらしい。制限がかかっているのか、偶々知らなかっただけか。分からないけども。
「あぁ、ドラマとか知らない?」
「聞いた事はあるけど……。実際目にしたことはないかな。あ、でもその収録をするための機材を提供してるなんて話は耳にはしたかな。」
彼は「ドラマ」という単語自体は聞いた事もあるし大体推測も出来るようだが、やはり実際には見ていないようだ。
けど、業界というかそういう立場にいるからか、機材を作製しているグループとは対面があるようで「この番組はコレゾ」「これワイの機材やで」という話はしているようだ。
「はえーー。すげぇもんすねぇ」
「僕、というか僕らにとっては、こういう感じは聞きなれてるんだけどね」
「でしょうなぁ」
「ドラマとかは、今どんなのやってんだい?」
ドラマ自体は率先して見ているかと言うと、そうでもない俺にとっては少し答えにくい質問である。
番組表とか雑誌とかの情報で探っているから、そう答えるべきか。
「俺としてはそんなに見ているわけじゃないんだけど。探るとしたら番組表とか雑誌とかで、かな」
「なるほどねぇ」
――彼が返事をした直後に、鐘がなった。
丁度会話の区切りとしては良いタイミングではあったと思うので、まぁ良いが。
「じゃ、また後でね。明良」
「おう、湧屋」
彼が先程座っていた席から離れ、自席へと戻っていく。
他の生徒も次々と自席へと戻っていく姿から、この学校というか雰囲気というか、初っ端から立派な感じの子多いなと思った。
――――
それから幾日か経過した。
湧屋と大分仲が良くなったと自負できる位にはなり、彼について桃子さんと話し「大事にしなきゃね」と言われた。
学力的な問題は変なところでおバカをしなければ、全然問題ミスすることは無く普通に授業にはついていっている。
聖祥の施設も大分内装を覚えてきて、なんとか一人で歩けるくらいにはなった。
なのはだが、「友達!」といえる様な関係の子は出来ていないらしい。「アキくんいるもん!」とか言われてしまったが、良いのか良くないのか。最近、少し曖昧になってきている。
スキンシップ具合だが、これは良くも悪くも変化していない。そして、この感じを未だに慣れることが出来ていない俺は、自分の股間事情に苦労している。
童貞の頃も非童貞になった頃も、そういう事になると慌てたり羞恥が発生するのは全く変化が無いのが俺である。
ちなみに余談だが、股間事情の成長が少し早いように感じるのは気のせいだと信じたい。
ゴリッパハモウスコシアトデデ、イイデス!
余談終了。
さて、具体的な日数を言うと、自己紹介があった月曜日から一週間後だ。
弁当制であるこの学校は、自分で作っている家や俺となのはみたいに桃子さんとかの親に作ってもらっている家などがある。
昼時は湧屋と、こっちに来るなのはと3人で食事をしていたりする。たまに気を使ってなのはと二人だけで居させてもらえる事もある。……ん?たまにじゃねぇや。大体殆どそうじゃねぇか。
その時の湧屋は他の男女の生徒と食事をしている姿が見える。友人は多いようだ。
今日も俺となのはで食事をしている。桃子ママンお手製弁当は優秀なので良い弁当が毎日食べられるのだ。
目の前の少女がニコニコと、食事を挟んだ箸を俺の口に前に持ってくるのをセットで。
「あの、なのはサン。そろそろコレやめません?」
「え~? だめなの?」
「うん、俺も普通というか、自分の食べたいです」
「でも、なのは。アキくんのから取ってるよ?」
「いや、そうじゃなくて……。というか、これ桃子さんにバレたら怒られるでしょ」
「……そうだね」
「毎日コレしなきゃダメですかね」
「うーん。じゃあ、全部じゃなくて、これからは4つ位にするの」
「えっ」
彼女にこれを終わりにするという選択肢は無かったらしい。
「じゃ。決定だね!」
「あ、はい」
満面な笑みで拒否しづらいので、そのまま流すことになり決定してしまう案件。ちなみにだが、コレで桃子さんに怒られるとかは俺の嘘なのだが。なんとか凌いできたのは頑張ったと思うんですよ。
まぁ、全部じゃないし半数でもないから、マシかなと思うので大丈夫だが。周囲の目線は初めの頃は歪なものを見るような感じで怖かった。
今はもう無関心勢かジッっと見る勢しかいないので、あんまり気にはならなくなった。
「そろそろ、そっち移動の時間じゃないの?」
「あっ! そうだった! 急ぐね!」
「お、おう。一気はやめろよ?」
ちょっと時間が危なくなりそうななのはにそう声をかければ、ガツガツ食い始めたので少し喉の辺りが心配だ。
だが、その俺の声を聞いてか自分の水筒の中身である麦茶を飲み、胃の中に沈み落としたようだ。
「じゃ! なのは、いくね!」
「おう、きいつけて」
「うん!」
結構な声量で彼女は発言しているが、クラス内で発生している会話の声も結構大きいものなので、周囲が静まって彼女を見るようなことは無い。
「さて、こっちも食べ終えて、準備しよ」
残っていたおかずを俺は口に運ぶのを再開しつつ、次の授業内容を思考した。
――――
「ふぅ。終わった終わった」
「お疲れ、そんなに疲れた?」
「いや。そうでもないよ。なんか口に出ただけ」
「なるほどね」
湧屋と会話しながら男子更衣室から教室への道に歩いていく。
6限が体育であったので、少々汗が出てはいたがハンドタオルで大体拭き取ったりしたので平気だろうと思う。
「次の体育から試合みたいなのを出来る運動競技を、いくつかやり始めるんだっけ」
「そうだね、何をやるかはわからないけど」
「あんまり難しくないのがいいなぁ……」
「運動苦手なの? 湧屋は」
「僕は大の苦手って訳でもないけど、出来るわけじゃないからね。でも明良は大分できそうだけど」
「まぁ、感覚つかめば」
「はは、それは真似できないよ」
湧屋は運動系はあまり得意ではないらしい。確かに今回授業としては初めてとなる球技もそんなにって感じだったから。でも、全部悪いって訳でも無さそうだと思うけど。
「……あれ? 何か声しないかい?」
「そう?」
俺は聞き取れなかったが、何かを聞いた湧屋がそう聞いてきたので風で周囲の音を拾ってみると、確かに3人くらいの女子生徒の声が聞こえてくる。どうやら何か争っているような感じだ。
それに良く聞き慣れた声が一名いる。
「あっ、確かに」
「どうする?」
「先に教室行ってて、ちょっと見てくるよ」
「平気かい?」
「あぁ、大丈夫。ちょっと遅れるって先生に言っといて」
「分かった~!」
彼と別れて、音のした方向に少し早歩きで俺は向かった。
方向先から女子更衣室から近い庭のような場所だろうと俺は思った。
「やめて!!」
辿りついて視界に入った光景は、予想通りの少女と金髪の少女が取っ組みあっていたのか対面しており、青髪というか紫髪の少女がそれを止めたと思われる叫びを上げていた。
花壇が辺りにある場所の此処で、いくつか植えられている花が咲いている。
俺は何が起こっていたのか把握するために、立ち止まって様子を伺うことにした。
「もう、大丈夫だから」
「ダメなの! この子がまだ『ごめんなさい』って言ってないもん!」
「大丈夫って言ってるじゃn――ひッ! ……う、ご、ごめんなさい。」
予想通りの少女――なのはは紫髪の娘が両目に薄らと涙を貯めつつそう言うも、強引に金髪の少女に謝らせたいようだ。その金髪っ娘は強気というかそんな感じ……って、うちのクラスの人か。あれ。
まぁ、その娘はプライドがよっぽど高く謝罪をしようとしなかったらしい。それで尚もしなさそうだったが、こちら側では頭しか見えないなのはの顔を見て何かを感じたのか、すこし間があって謝罪を口にした。
「わ、私も。その、ごめんなさい。でも、とっても大事なものだから……」
右手に持つ白いヘアバンドを大事そうに持つ紫髪の娘はそう金髪の娘に顔を向けながら言った。
「……うん」
「じゃあ、これで解決なの」
「……そうだね」
なんとか結構ヤバミのある大事にまで至らずに解決したので、俺はささっと教室に戻ることにする。
後ろからは自己紹介をし合う声が耳に入り、なのはの友人ができそうかなと少し感じた。
――――
「大丈夫だった?」
「あぁ、特にはやばそうな感じでもなかったから」
「そっか。そこの一名来たら学活開始するって」
「おけー」
そこの一名とは、俺の隣席である金髪の娘だろう。あの若干強気な感じの娘だ。
数秒後、教室の扉が開いた音がした。
入ってきたのは先程丁度話をしていた彼女であった。
「……遅れてごめんなさい」
「あ、いえ……」
彼女から謝る事を見たことがない月咲先生も少し驚いた様子であったが、それを気にもせず自席に座った彼女は、どこか決意したような顔をしているように感じた。
それから帰りの学活が終了して、月曜は帰りを早くしなければならない湧屋も先に下校し、俺も帰宅の準備をしていると右隣から声がかかった。
「ねぇ、アンタ」
「ん? 俺か?」
「そうよ。私の前なんだからそうでしょ」
「ま、そうっすね。で、何用で金髪っ娘」
「ッ!? 金髪っ子じゃなくて、アリサよ!」
「――だぁっ!!」
金髪娘呼びをしたらいきなり拳で胸部を殴られ、崩れ落ちそうになったが机に手を置いて床にまでは行かないように留めた。
「アリサ・バニングス! 自己紹介したわよ!」
「いや、興味なかったから聞いてn――痛っ!」
「聞きなさいよ!!」
若干涙声になりつつある彼女の声を耳にしながらも、こちらは打撃をくらい痛い。
いや、壁はればいいんだけど。こういう場合は、はっちゃ駄目な気がして。
「わかった、わかったから。でも金髪呼びだけで殴るのは酷くね?」
「……それは、や。そんなもんよ」
「えぇっ……。で、何用だったんすか」
「あ、えと。こ、今度のテスト! 全教科で私と勝負よ!高町明良!」
ちょっと面倒くさいことに絡まれて俺は若干引き気味の顔になっている。
「あれ? 高町? ……さっきのあの娘もそうだったような。ま、今はいいわ! 来月のテストよ!」
「嫌でs――痛いって!」
威力は抑えめにしてくれてるのか最初の一撃よりは弱めだが、痛いのは痛いのです。
ちなみに、この学校は小学校からでも中学みたいな定期考査の形で事前通達されている。
「……やるわよね」
「……はい」
「はい、決まりね!」
涙目ながらも自分の意見を押し通そうとする強気な感じであるアリサは、俺が承諾するとその自分の表情を見せないように自分の鞄を取って直ぐに教室を出て行った。
「…………」
「あ、アキくーん! そろそろ帰ろう~!」
「あ、あぁ」
入れ違いのようにやってきたなのはが俺を呼ぶ。俺は彼女に向けてそう返事をして彼女と共に帰宅をした。
ちょっと殴られたところがいてぇ。でも、あの感じだと真っ向から否定されたりとかは無かったか少なかったのだろうか。
そして、あれが「ツンデレ娘」という感じなのだろうか。今の所「ツン」しかしらないけど。俺はあぁいった人と対面するのは前世含めて初めてなのでなんともいえない。
あんま弄くると痛いの来そうなので程ほどにしたいし、なのはの新友人であるので泣かせると後が怖い。
俺は隣のニコニコして歩いているなのはを見ながら、そう思った。