機動戦士ガンダムSEED オノゴロ島殺人事件ー常夏編ー 作:index2
はじまり
C.E.71年、プラント側の発令した極秘オペレーションスピットブレイクがスパイによって連合に察知されたことで、最高権力者パトリック・ザラ議長は逮捕されその側近である数名が随時拘束された。これによってサイクロプスは不発に終わり政治的な混乱を抱えたザフトは、連合が発案した和平交渉に乗り出した。シーゲルクラインらのコーディネイターが主導し和平が進んだ。しかし、一方で謎の新兵器である俗称神の目が、ラウ・ル・クルーゼによって強奪され連合に情報を漏らした張本人である仮面の男は、行方不明状態となり直接の上司である議長に疑いの目がかかったのであった。
オノゴロ島
オノゴロ島は、オーブ首長国連邦に所属する島であるが、連合とザフトの交渉がこの中立国で行われることとなった。発案者は国防産業連合理事のムルタ・アズラエルである。彼はストライク爆発後にサハク家が手放した洋館を改築し観光ホテルを経営している。そのオープン式がちょうど和平交渉と重なったのである。
和平交渉記念式典の一週間前
アズラエルは、書類に目を通しながら現地の高校生と思われる男子生徒と会話をしている。
「ああきみ名前はなんていうの?」
男子高校生は答える。
「はい!シン・アスカです」
アズラエルはあきれたように答える。
「きみはここがなんだかわかってる?アズラエルリゾートだよ!」
「はい!」
シンは威勢よく返事をする。
「僕はこのアズラエルリゾートの経営者で、名前はムルタ・アズラエルだ!そして国防産業連合の理事だよ!」
「はい!」
「コーディネイターをバイトで雇うわけないでしょw」
シンは困ったような顔をすると答える。
「それは困ります!妹の心臓移植のためにどうしてもお金が必要なんです!」
アズラエルは資料をめくりながら話を続ける。
「ダメダメです」
「これだからオーブは困るんだよねwきみに恨みはないがコーディネイターはちょっとね」
アズラエルは困ったようにカルピスの原液を飲み始めた。
「そこを何とかお願いします!なんでもしますから」
アズラエルは目をつむると最後の資料をめくる。
そこにはシン・アスカの家族構成が書かれており写真が載っている。
その後目を開くと何やら唱え始めた。
「なになに父親モルゲンレーテ専務、母親は主婦と妹・・・」
アズラエルは飲みかけのカルピスを飲み干すとグラスを机に置き目を見開き答える。
「シン・アスカ君!」
「はい?」
アズラエルは普段にもまして神妙な顔で答える。
「きみ採用!」
「マジっすか!やった」
「ただし条件があるそれは・・・」
シンは嬉しそうに立ち上がるとアズラエルに深々と頭を下げ始めた。
しかし、これから常夏の島オノゴロ島で行われる連続殺人事件が凄惨になることをこの時彼はまだ知らないのであった。