---十文字克人---
現当主である父に代わり、当主代理として、師族会議に出席をした。海千山千の各家の当主達。穏やかな表情の裏では、どんな禍々しさが渦巻いているやら。
「今日、来て貰ったのは、ちょいと問題が起きてなぁ」
九島烈老師が声を上げた。この国の魔法師協会の重鎮で、老師として敬われている人物である。
「問題とは穏やかでないわね」
四葉家当主が、優しそうな声で言った。
「この星を破壊したいという者と、ヤリ合ってしまってな…」
老師が頭を掻いている。まさか、負けたのか?
「魔法がまるで効かない相手は難儀やな…」
魔法が効かないってことで場内がざわついた。
「ジェネレーターは出した瞬間に圧搾されてしもうたし」
ジェネレーターとは、洗脳した魔法師を強化人間化した物らしい。非人道的な違法兵器に当たる。それを老師がお持ちであることに驚いた。
「ジェネレーターがやられたのか…人間では勝てぬな」
一条家当主が頭を抱えている。
「で、この最近みつかった文書に、ソイツの正体が出ておったわい」
スクリーンに映し出された『神々の黄昏』という文書。学会では創作物の疑いが濃いと言われている古文書である。紙を年代測定すると4000年前という年代が測定された。使われたインクも同年代であり、大昔の創作物という見方が一般的である。
内容は、大昔に、天使、悪魔、堕天使、神々が勢力戦争を起こし、地上の者達に味方した一柱の神が、終戦に導いたと言う話である。科学技術が進歩した現代において、天使も悪魔も堕天使は発見されていない。なので、創作物であると結論付けている。
「儂が会ったのは、終戦に導いた神じゃ…」
ガタッ!
椅子の倒れる音がした。周囲を見回すと、四葉家当主が立ち上がっていた。何かを見つめ、目に涙を溜めている。
「迎えに来てくれたのですか?」
誰かに向かって声を掛けた。
「まだだよ、真夜♪イイ女になったなぁ~」
声の主を見て固まる俺達…金色の鬼がいた。背中には純白の翼を生やし、頭上には光輪を3つ載せていた。あの古文書に書かれていた神と同じ姿だ。
四葉家当主は、ソイツの元へ駆け寄り、抱きついた。
「連れて行ってください。あなたの世界へ…」
「まだだよ。もう一人の成長待ちだよ~ん」
連れて行く?もう一人?何をするんだ?
「烈よ。僕を退治する相談か?!」
空気の質が変わった。重苦しい…何をやったのだ?
「待て!退治では無い…対応じゃよ」
「桃太郎でも探すのか?この場で消し去ってもいいんだよ。僕は僕を呼び出した者、二名を連れ帰れれば、こんな星は消し去りたいと思っているからさぁ♪」
星を消し去る?何を言っているんだ?
「この世界の克人は頭が悪いのか?言葉通りだよ」
この世界の俺…だと?どういう意味だ?
「で、対応って何?なぁ、烈よ!」
ソイツは老師に何かを手渡した。それを見て顔色が変わっていく老師。
「響子…何をしたのじゃ?」
老師の問いをスルーして、七草家当主にも何かを手渡した。
「真由美…」
「なぁ、烈よ…足り無いぞ。どうするんだよ?」
「待て!なぁ…待ってくれ~!穴埋めはする。じゃから、早まったマネはするなよ」
老師の顔には変な汗が噴き出しているようだ。
「まぁ、敵対したら…烈!わかっているよな?」
「わかっておる…じゃから…なぁ!」
俺に背中を見せている。仕留めるなら、今しかない!
『ファランクス』
攻防一体の俺の必殺技を叩き込む。
『無価値』
アイツが何かを唱え、ファランクスが消えた…アイツに触れた瞬間に…マジックキャンセルか?
「違うよ。お前の魔法を無価値にした。2度と魔法は使えないと思え!ふふふ♪」
なんだと…
「お前の魔力を価値の無い物にした。危ないだろ?真夜に何か遭ったらどうするんだよ」
四葉家の当主を優しく抱き締めるアイツ。
「まだ、ヤリ合いたいのがいるのか?例えば、一条家とか」
一条家の当主は唇を噛み締めている。この場で攻撃は得策では無いと思ったのだろう。
「烈よ、貸し1だからな。次は無いと思えよ。この国をニューヨークのようにしたくないだろ?」
アイツは四葉家の当主の額に口付けをして、この場から消えた。
----シュウ----
入試の前日…いつもの風景。大丈夫なのか、こいつら…どう見ても、めっちん以外はE組行きが確定しているように見える。
誰かいないかな?A組に入れそうな、上の上程度のヤツは…仲間の顔を脳裏に浮かべて、考える。この世界にいる者は除外である。同化吸収してしまうから。いないヤツだと、ニパ…胸がデカ過ぎて制服が無理そうだ。芳佳…蔵の防人だしな。ベスかアスナ…いや、アスナはもう一人いるから紛らわしいか…
悩む僕の前に誰かが転移してきた。
『私の人選よ♪苦情は本人達に言ってね♪』
って、姉ちゃんの声…転移してきたのは、青髪ゼノヴィアと剣士の明日奈だった。
「シュウ、まかせろ!」
ゼノヴィアが自信満々に言う。泥船に乗った気分だよ。
「頑張ります♪」
明日奈は期待もてそうだけど、紛らわしい…
響子に言って、急遽願書を二名分、ねじ込んでもらった。めっちんと明日奈は固いかな…
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そして、入試当日。受験生と共に学校へ行き、僕は僕の部屋を内覧した。夜行性の僕の為に、ベッドが用意されている。しかも天蓋付きのダブルベッドだ♪調教道具も注文した物が棚に置かれているし。烈もやれば、出来るでは無いか。
コンコン
ドアがノックされ、真由美が入って来た。
「どうですか?希望通りの部屋になっているでしょうか?」
「ベッドの具合を見たい。相手になって♪」
「今はダメです!これから入試ですよ」
そうだった…
「いや…遊びに行かないで、ここでお待ちください」
昼間はやらかさないから、大丈夫だけど…
「で、僕の教える教科は?」
「古式魔法学はどうですか?」
古式魔法とは、魔力を用いた魔法である。それに対して現代魔法は、超能力で魔法を模した物となる。この世界での魔法は後者であるのだ。
「女体調教は?」
「えっ…課外授業でお願いします」
学科にはならないのね…凹む僕。
「あぁぁぁ~!凹まないでください。それは無理ですが、他に知識が応用できそうな物を考えておいてください」
真由美は下手に転じていた。師族会議での影響かな?真由美の恍惚な表情をした調教風景のスナップを弘一に手渡したから。烈に響子のスナップだ。
「わかった。昼間は眠い。少し寝るよ」
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騒がしいので目が覚めた。部屋には、我が家の受験生が集まっていた。
「どうだった?」
明日奈とめっちんだけが、表情が明るい。予想通りか…
「お兄様、CADがわかりませ~ん」
て、九重が泣いて縋ってきた。勉強しなかったのか?
「ネギはどうした?」
「ごめんなさい…やらかしました」
前回同様に、サイオンの測定器を破壊したらしい。テスト結果が楽しみだな…
数日後、結果発表がされた。採点が間違っていたのか、ゼノヴィアがA組に入った。明日奈、めっちんは予想通りではあるが。で、ネギ以外はE組…ネギは何故かC組だった。
「ごめんなさい…」
ネギが謝っている。前回と同じ採点基準ならA組だったのだが、この世界では、サイオン量のコントロールが減点方式で組み込まれていた。微調整が苦手のネギにとっては強敵だったようだ。はぁ~…
全員の制服を買い、全員の教科書類を買って、家に帰宅した。早速、制服を着てみる女生徒陣。
「お兄様、どうかな?」
って、九重。予想通り萌え系である。僕の好みでは無い。
「萌え系は好みでは無いのですかぁぁぁぁ~!」
すまない。この中で、いい感じなのは、めっちんと雪姫かな♪
「私はどうだ!」
ゼノヴィアが割って入ってきた。出る処は出ている。虐めがいもありそうである。
「及第点だな」
喜ぶゼノヴィア。で、雪姫はふて腐れている。
「元に戻せ!」
生徒枠である。なので、『JK化』を解除していない。コイツは元々女子高校生の身体であるが、年齢詐称薬で大人化をしている。なので、解除をすると大人化をしかねない。『Jk化』は薬で左右されないのであった。
「任務が終わるまで、その姿だ。夏凜、雪姫が飲酒しないように見張れよ。明日奈はめっちんを見張って、飲みそうになったら阻止だ!」
「「はい…」」
雪姫はワインが好きだ。めっちんは日本酒に嵌まっている。
「チェイン、お前は自分で見張れよ!」
「えっ!」
チェインは、メチル以外なら、なんでも良いドランカーである。
「任務中は禁酒が基本だ♪」
事実上の禁酒令に凹む3名…
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そして、入学式。僕も参列しないとダメらしい。晒し首になった気分で凹む。各組のクラス担任が発表されて行く。で、耳を疑う僕。
「1年E組は代羽先生が担任になります」
はぁ?聞いていないぞ…抗議をしないと…しかし抗議相手である校長も教頭も入院中らしい。検査の結果、胃に異物があったそうで、除去をしているんだとか。じゃ、誰が決めたのだ?烈が臨時の校長として挨拶をしている。あの爺…なんてことをするんだ?
式が終わり、受け持ったクラスの教室へ行く足が重い。帰りたい気分でいっぱいである。E組でおいそうなのは美月しかいない気がする…はぁ~。
「クラス担任になりました代羽です。1年間、よろしくお願いします」
と、生徒達に挨拶をした。
「お兄様♪」
スルーだな。教室がざわめく。まぁクラス一番の萌えキャラの兄が担任では…ラノベだったら、そういう関係と思われるだろう。
淡々と、注意事項、説明事項を棒読みして、教室から去った。鬱になりそうだ…
---千葉エリカ---
担任が、クラス一かわいい九重ちゃんのお兄様だと言う。似ていない…
「苗字も違ったけど」
私的には好みであるクールガイな司波達也君が訊いた。
「母の再婚相手の息子さんです♪」
フワフワな栗毛である九重ちゃん。狐のような手触りで気持ちが良い。もう一人、アスナって子もかわいい。スケバン系の子も2名いるし、何かが起こりそうな雰囲気である。
ダーン!
うん?レオが夏凜さんに吹き飛ばされた。賑やかで良いクラスだな♪
「で、君のお兄さんは何を教えるんだ?」
達也君が九重ちゃんに訊いている。彼はあぁ言う子が好みなのか?
「古式魔法学って言ってましたよ~♪」
うん?幹比古も九重ちゃんに釘付けのようだ。人気を一人占めか?
「ねぇ、帰ろうよ~」
教室の入り口に、このクラスでは無い者が現れた。誰だ?
「あぁ、ネギ君♪うん、帰ろうね」
九重ちゃんは、その彼の元へ走って行った。彼氏なのか?どことなく、達也君に似ているような顔立ちであるけど…九重ちゃんを追う様に数名が、後に付いていく。雪姫さん、夏凜さん、アスナさんだ。
「達也君は九重ちゃんが好みなの?」
気になる私は彼に訊いてみた。
「好みっていうのとは違う。ちょっと、気になったんだよ」
「私も気になりました。彼女達、違う気がするんです」
って、美月さんが口を開いた。その顔は血の気が引いていた。
「私、見えちゃいけない者が見えるんですけど…あの人達…先生も含めて、人間じゃない気がするんですよ」
って…人間で無ければ何なんだ?
「俺もそう思った」
って、達也君まで…
「雰囲気が違うんだよ。見た目に惑わされるなよ。下手すると即死レベルの気がする」
即死レベル?無茶苦茶強いってことか?あんなに可愛い子が…
---司波深雪---
学内を今日、お友達になったゼノヴィアさん、明日奈さん、メテオラさんと校内を見学して廻っていた。
「おぉ、めっちん♪」
「わぁ~、化けましたねぇ。うだつの上がらない教師って感じに…」
メテオラさんが知り合いに会われたようだ。えっ!あの方は…
「あの…以前、お会いしたこと、ありますよね?」
メテオラさんの知り合いの男性に駆け寄り、声を掛けた。
「もう少し、成熟したらだ。あせるなよ」
あの時の…約束を覚えてくれていた。耳が熱くなっていく。
「教師が生徒を紅潮させるのは、いかがなものかな?」
「ゼノヴィアならいいのか?」
「おい!ここで、触れるなよ!それでもって言うなら…」
「ここでか?まぁ、通路戦もオツではあるが、教師姿の時はやらない」
何の話をされているのだろうか?ゼノヴィアさんも知り合いなのか?
「私達全員、彼の弟子なのよ」
って、明日奈さん。弟子…彼の弟子ってなれるのか。
「あの…私も弟子に…」
「君は供物になることが先だ。弟子はその先にある。あせるなよ」
額に、あの方の唇が…一気に顔が熱くなっていく。
「だから、生徒を紅潮させるなよ、このエロ教師が!」
「この程度でエロなのか?う~ん…困ったなぁ」
あの方がこの場を去って行く。それを追う私。ゼノヴィアさん達が後から付いてきている。
「ここが僕の部屋だ。弟子達のオアシスになりつつある」
『古式魔法学研究室』と書かれているドア。そこを開けると、私達と同じ新入生達がいた。
「だから、オアシスにするなよ!」
あの方が文句を言っておられる。
「ねぇねぇ、師匠、コレって?」
「ネギ!触るなよ!まだ、説明書を読んでいないんだからな」
彼らも弟子のようだ。
「お兄様、こういうのは学内には持ち込んじゃダメでしょ?」
お兄様?あの方の妹さんかな?フワフワな栗毛の少女。
「九重!お前は見るな!もう、棚のは趣味の物だから、触るんじゃないの!」
「あっ!深雪さんですよね」
その栗毛の少女が、私の名前を知っていた。
「お兄様がお世話になるかもしれません。私、鬼門九重と申します。よろしくお願いします」
「はい!司波深雪です。よろしくお願いします」
「そうだ♪今日、入学お祝いパーティーなんです。一緒にいらっしゃいませんか?」
九重ちゃんに誘われた。頷く私。
「はい。お邪魔したいです」
引っ込み思案な私が、ぐいぐい進んで前に出ている。どうしてかな。九重ちゃんを前にすると、大胆になれる気がするんだけど…
---千葉エリカ---
教室で雑談三昧をして帰宅しようとすると、九重ちゃん達の集団に出逢った。
「お兄様♪」
その中にいた。黒髪の女の子が達也君に近寄って来た。
「深雪、友達が一杯出来たようだな」
達也君の妹さんのようだ。
「はい♪これから、お友達の家で入学パーティーがあるそうなので、行ってきますね」
「うん?お友達とは?」
達也君が何かを警戒しているようだ。まぁ、知らない男子がいたら気になるだろう。羽目を外して、あんなこと、こんなことしたら、マズいし。
「憧れの方の妹さんで、鬼門九重ちゃんって言うのですよ」
九重ちゃん…その兄って…あの先生に憧れているのか…見た目、冴えない風の男だったが。
「深雪の憧れの…アイツか?そうなると、アイツの妹になるのか?!」
目付きが変わった達也君。何かを警戒しているようだ、
「心配だ。俺も付いて行く」
達也君はわかるが、
「じゃ、僕達も行きます」
って、幹比古。僕達も?私も入っているのか?
「悪いけど、九重が誘ったのは深雪だけだぞ!」
青髪の女子が、近寄って来た。
「知らない男子達が、家に来るのは、困るんだよ」
「ここでやるのか?」
達也君は臨戦態勢のようだ。気迫でわかる。
「望むならいいぜ♪」
バキッ!
「うっ!」「何?」
青髪の女子と達也君が吹き飛んだ。
「入学早々、ケンカするなよ。深雪が怖がっているじゃないか」
担任の先生が、いつの間にか現れた。いつ来たんだ?