---七草真由美---
宗教の本で見たことのある景色…草原であり、湖があり、その畔には樹が植えられている。アイツと話しているのは大天使のようだ。ここって…エデンの園なんだ…
なんで、こんな神聖な場所に来られるの?アイツって、鬼じゃないの?
「それはねぇ、性癖だけが破綻しているだけだからよ♪」
って、いきなり巨乳の天使に話掛けられた。この天使って…
「行動だけ見ると魔なる者だけど、彼は神聖なる者であるから」
「でも鬼ですよ~」
「うん、鬼だよね、性癖は♪」
笑顔の天使様。
「でも、人間でも女神でも同じ扱いよ。平等に扱ってくれるのよ」
その場合の平等って、問題ありませんか?
「問題?無いかな…他のヤロー達は、見た目とか地位とか名誉を含めて見るけど、彼は女体だけを見てくれるんだよ。これって、スゴいと思わない?」
スゴいって言うか…
「それは生者であろうと、死者であろうと関係無い。さすがに肉体が腐敗している女体はダメらしいけど、欠損くらいなら問題無いわよ」
ド変態を庇う天使様。ドエムなのか?
「彼の前では、女体はみんなドエムだよ。あなたも素直にならないと、地獄へ行っちゃうよ~♪」
今、行ってきました。っていうか、そうだ。それを訊かないと!
「どうして、地獄へも天国へも、簡単に転移できるんですか?」
私の持っている宗教感では有り得ない。その2つは真逆な世界だから。
「簡単な話だよ。彼はその二国を統べる者だからよ」
はぁい?地獄と天国を統べている?
「彼は鬼と天使のハーフである英霊なの」
英霊…
「そうね、地上にある『星の守護者』って書物を読みなさい。そこに書かれているわよ。本当の彼のことがね」
「おい、ガブリエル!あんまりバラすなよ。動きが取れなくなるだろう?」
「じゃ、私の口を塞いでよ~♪」
目の前で、ガブリエル様がアイツの唇に自分の唇を重ね、腕をアイツの首に巻き付けた。その光景は衝撃的であった。深雪さんも目を見開いている。二人の姿は神々しくもあり、何よりも美しかったから。しばらく、ガブリエル様の好きなようにさせてから、離れたアイツ。
「おい、ミカエル。コイツがやらかしたんだぞ!コイツが堕天したら、どうすんだよ~!」
ガブリエル様の暴挙に、憤慨気味のアイツ…
「はいはい、今のはノーカウントにしますよ♪」
そして、私達は先生の部屋に戻って来た。
「どうだった?社会科見学は?」
先生の声。いつもの感じであるが、皆、ショックで固まっている。天使ガブリエルって、天使の中での一番の美女である。その天使様が、アイツと…
「ショックが強すぎたか…次回は、ショックの少ない場所を見学するか?」
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深雪さんと図書室へ向かった。『星の守護者』と言う書物を探した。だけど、学校の度書室には収蔵されていなかった。どこに有るんだ?
待てよ…彼は血族だった。もしかして…深雪さんと共にある場所へと向かった。それは古本街の路地裏にあった。『もくし』という書店。「黙して語らず」から、店名を取ったらしい。ここは迫害、粛清、弾圧などの黒歴史に関わる書物を、扱っている本屋である。
店主に書名を書いたメモを渡した。彼は頷き、奥から1冊の本を手にして戻って来た。
「原書は人間では読めない。それは翻訳版だよ」
人間では読めない?誰が書いたのだ?疑問が発生するが、店主は「黙して語らず」なので、代金を払い、店を出た。
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それは、神によって作られた『神殺し』な神の話だった。上司である神を含め、皆を平等に扱い、裁く、名の無き神。他の種族に対して優位に立っていた神々に対しても、平等に扱い、神々の怒りを買った名の無き神…
神々は彼の家族を人質に取り、無抵抗な彼に攻撃を叩き込んでいくが、神々の力では彼に傷を1つも入れることが出来無かった。そこで、彼に自害を勧める神々。自害しない場合、家族を殺すと脅していく。
そして、彼は自らの首元を斬り…しかし、家族は神々の手で殺された。神々に取って口約束は、無いにも等しいことだから。
そんな横暴な神々に反旗を翻す者達が出てくる。彼の目指した異種族共存の世界を目指して。でも、神々の横暴は止まらない。
唯一、地上の者達の味方だった名の無き神を、地上の者達は『星の守護神』として祀った。他の神々にバレないように、水面下で…隠れ信者として信仰を続けたそうだ。
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読み終えた私達は、静かに本を閉じた。すると、本が進化した。違う書物になったのだ。
「どうして?」
本のタイトルは『名の無き神』になっていた。こっちが本物なのか?共感する思いをキーとして封印してあったのだろうか?
本に手を置く私と深雪さん。その瞬間、脳裏に映像が映し出されていく。星の守護神のその後の物語が…涙が止まらない。どんなにボロボロになっても、護ることに固執する神。魂は転生すること無く、転々とイレギュラーと呼ばれる人物の受精卵に着床していく。その度に、ボロボロになるまで護ることに固執する。神だった時と同じように。
名の無き神は死んでいなかった。魂の状態で今も生きている。仲間を護る為に…異種族共存が出来る世界を護る為に。いつか、家族と平穏な日々を送る為に…弱き民から供物を貰い、願いを成就する名の無き神…アイツ…シュウの姿と重なっていく。
総てを見終えると、書物は光の粒子に分解されて霧散していった。証拠は残さずって感じかな。ふと、閃いた。口伝で伝えた真実。彼の信奉者の一人が、文字では無くて、映像で残したとしたら。文字だと違う言語体系の者には理解出来無い。だから、映像にして、真実を知りたい者にだけ、彼の生涯を見せるとしたら…種族を問わず、身分を問わず、思いが同じ者にだけ…
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深雪さんと共に帰宅した。私達を見て固まるシュウ。
「なんで、深雪を連れて来たんだよ…」
「私は来てはいけなかったのですか?」
見つめ合う二人。はっとして、何かに気づいたようだ。
「お前達…アレを見たのか…」
顔が強張っていくシュウ。
「見ました♪仲間想いなんですねぇ~」
私の言葉に怯むシュウ。どうしたんだ?躾はしないのか?では、反撃♪自ら服を脱ぎ、シュウに抱きつくと、深雪さんも同じ様に抱きついて来た。
「真由美…深雪…何をしているんだ?教師と生徒が…」
何かに怯んでいる。何に?
「イケナイ関係になりたいんですよね?」
耳元で囁くと、固まるシュウ。どうしたんだ?
「磨き上げた私を見てください。まだ供物になれませんか?」
「うっ…もう少し待ってくれ…」
今夜のコイツはおかしい。どうしたんだ?
「マズい…雪姫、あとは頼むぞ!」
そう言うと、私達を振りほどいて、どこかへ転移してしまった。
「どうして…」
「どういうこと?」
呆然とした私達。彼の仲間である雪姫に訊いた。
「今日は、アイツの娘の命日だよ。女体と交わらないことが、愛する娘への償いだと思っているのさ」
娘さんの命日…え?結婚しているのか?ド変態なのに?
「ふふふ…アイツは生殖能力を持たないんだよ。種を畑に植えれば、子宝に恵まれるんだ。亡くなった娘は、以前お守りとして授けた種で産まれた子だったそうだ。アイツの弟子の魂を救う為に、自らの魂を捧げたそうだ」
蘇生しなかったのか?
「蘇生?出来無いよ。魂を捧げてロストしているんだから」
魂がロスト…
「さすがのあいつも、ロストした魂を甦らせることはしない。それをすれば、娘の厚意は無になり、弟子が死ぬから…」
何でも出来る訳じゃ無いのか。
「戦闘に関しては無敵だ。だけど、アイツだって弱点は山ほどある。その弱点は私達、仲間が護るのさ♪」
戦闘は無敵なのか…だから、人質を取られて自害を…
---シュウ---
部屋で目覚めた。喪に服して一人で寝ていた筈だが…ぎょぇっ!全裸の真由美と深雪、そして、雪姫、九重の肉布団に包まれていた。はぁぁぁぁぁ~?
そこから転移して脱出して、服を『着衣』して、学校の部屋に逃げ込む。結界を張って、もう一眠り…あぁ、目覚まし時計をセットしとこう。
そして、正しい時刻に目覚めて、教室に向かった。教室に入るなり、
「お兄様!どうして?どうして逃げたんですか?」
萌え萌えな泣き顔で僕を見つめる九重。
「こんなかわいい子を泣かすとは、鬼教師め!」
事情を知らない生徒達から罵声が多数。
「逃げるだろ?普通はさぁ。一人で寝ていたはずが、起きたら全裸の女体に取り囲まれていたんだぞ」
「羨ましい」「夢の環境じゃないですか」「もしかして、モホ?」
男子生徒から、嫉みのオーラが攻めてきた。あぁ、鬱陶しいなぁ。
「どんな環境で生活しているんですか?」「不潔です」「九重ちゃんを全裸にしたの?」
女生徒から、糾弾気味のオーラが攻めてきた。まぁ、こっちは慣れているけど。
「あぁ、生徒会から連絡事項で…部活動への新入生勧誘が活発な季節です。人気のない場所へ連れ込まれないようにしてください…だって。お前ら、気を付けろよ!」
「先生が一番、危険ですよね」
って、声が多数。まぁ、それは言えるかな…達也とレオは休みか…エリカは珍しく無口で俺を睨んでいる。
「エリカ!アレの日か?」
「はぁ~?デリカシーってものが無いのか?!」
エリカが立ち上がって文句を言って来た。うんうん、それでこそエリカだよ♪
「僕の辞書には無い!」
断言する僕。潔いのだ♪
「で、どうした?悩みか?」
「だから、人前で悩み相談なんかしねぇよ~!」
「二人きりならするのか?」
「お前とは拒否だ!」
まぁ、そうだな。
「じゃ、しっかり勉強しろよ、みんな」
教室を後にして、部屋に戻る。暇だ…でも、学校にいないといけない。う~ん…選択授業は週に1コマ。学年を問わずに参加できるから。で授業のない日でも、質問しに来る生徒がいるから、学校にいないとダメだという。そもそも、担任ってだけで、毎日出勤って言うは問題ある。烈の罠だな。夜遊びをさせない為に…
校長室に怒鳴り込みに行く。しかし、烈は出勤していなかった。どこに行ったんだ?
---藤林響子---
祖父と共に、政府の会議に参加している。
「異種族共存できるエリアを策定して欲しいのじゃ」
祖父が政府へ要望を出した。アイツの目指す地域を作り、この星を破壊をさせないようにって作戦らしい。
「異種族って…人間以外の者の街を作るのですか?」
「そうじゃよ。ニューヨークのようになりたくないじゃろ?先行投資じゃ。敵対するのでは無く、仲間とみなしてもらうのが一番じゃ」
それは一理ある。アイツは仲間には手を出さない。躾、調教後は優しく…ハードな時もあるが、接してくれる。私にとっては、屍姦プレイだけが問題であるが。
「もし、そのような種族に襲われたらどうされるのですか?」
「あの者が統治すれば、問題は起きない。どうじゃ?」
「戦って排除は出来無いのか?」
「出来無いな。我々の想像を超える強さじゃ。それも、アイツ一人でだ。アイツの持つ部隊が来れば、この星は終わる」
たぶん、あの家にいる者だけで終わると思う。鬼が2匹、九尾の狐、バンパイア…いや、たぶん、ネギという男子生徒一人で終わると思う。八重奏持ちの完全調整体だそうだ。使徒レベルの魔法8つをアイドリング状態で保持している化け物だ。
「おい!ネギを化け物って言うな!」
突然、アイツの声が会議室に響いた。えっ!空気が変質していく。苦しい…祖父も政府関係者も皆、苦しくて悶えている。
「うん?烈よ!何をしているんだ?なんで、校長室にいないんだ?」
「いや…政府の者と会議があってなぁ…で、これは何をしたのかな?」
アイツを刺激しないように、話掛ける祖父。
「酸素の濃度を薄めた。完全に無くすと死んじゃうだろ?」
殺す気になれば、いつでも殺せるって言いたいのか?
「で、誰が僕を排除したいのかな?」
発言した議員が燃え始めた。悲鳴すら聞こえない。即死させたのか?
「で、化け物発言は、響子か?躾と調教はどっちが良い?」
下着を消失さえたド変態。ここで、調教するのか?
「どこでならいいんだ?テレビで生放送でもするか?」
やりかねない…うっ!何かが蠢いている。股間が震え始めた。足の力が抜けていく。その場に座り込んだ私。
「良い表情だよ♪」
表情?わからない。どんな表情をしているんだ?
「おい!響子に無茶はしないでくれ!」
祖父の声が聞こえる。口元から液体が漏れている。生暖かい液体が乳房へと滴っている。気持ちが良い…
「おい…響子を殺したのか?」
祖父が動揺をしている。屍姦プレイをするのね…視神経は機能していない。なので、何も見えない。
「響子ぉぉぉぉぉ~!」
祖父の慟哭…どんな死に様だったのかな…
「生き返らせてやるよ。烈、貸し2だぞ♪」
全身が冷たい。蘇生されたようだ。このプレイはダメだよ。全身から色々な物が出ているみたいだ。観客は驚いているだろうな…
「烈、で、どうするって?」
祖父を窓口にするアイツ。
パン!パン!と乾いた音がする。銃撃したのか?
「僕に攻撃?有り得ないぞ、烈よ!」
グシャ!何かが潰される音。祖父は無事かな?
「おい!総理を護れ!」
政府関係者が圧搾されたようだ。私の名前を呼び続け、私の身体を揺さぶる祖父。こんなに動揺した祖父は初めてかな。
グシャ!また、誰かが圧搾された。攻撃はダメだよ。
「いやぁぁぁぁ~!」
女性の声が響き渡る。女性SPが襲われたのだろうか。私は引き摺られていく。どこへ?
---千葉エリカ---
夕方のニュース…首相官邸が襲われたそうだ。運び出される担架に寄り添う老師の姿。九島家の誰かがやられたのか?
「被害者は議員が4名、SPが多数だそうです。犯人については、警察からまだ発表が無いそうです」
物騒な世の中になったなぁ。まぁ、私には関係無いか。私にとっての問題は、あの先生だ。冴えないのだが、気になるんだよな。う~ん…あの強さの秘訣は何かな?
道場の方が騒がしい。見に行くと、門下生の顔には悲壮感が漂っている。機動隊所属が多いので、あの現場の警備に駆り出されたそうだ。
「犯人はどんなヤツなの?」
「化け物だそうです。烈先生のお孫さんが、老師の目の前で瀕死に追い込まれたって…」
世界屈指の魔法師の目の前で瀕死か…それは、化け物だな。
「勝てる気がまるでしません。拳銃を撃ち込んでも、無傷だったらしいですよ」
武器が効かないのか?で、魔法も効かなかったりして…それは勝て無いケンカだな。
---藤林響子---
いつもされているプレイだったけど、人間からみたら異常なシーンだったのだろう。慣れているのに、病院に担ぎ込まれてしまった。
「何?いつもされているだと?」
祖父が驚きの声を上げた。
「えぇ、屍姦プレイが好きなんですよ、あのド変態はね♪」
殺してからの蘇生の無限ループ。鬼たる所以だ。
「病院に担ぎ込んで、大げさですよ」
もはや、私の感覚は人間とは違うと思う。アイツに習った。心が死んだり、魂がロストしない限り、蘇生は可能だと。
「そんなド変態なのか…」
「人間の常識で考えてはダメです」
そう、彼は人間では無いから、常識の範疇が違うのだ。
「なんで、攻撃なんかしたのですか?」
「パニックになったSP共が、発泡許可無しで撃ったのだ。あれは、マズい、マズすぎるじゃろ」
祖父の顔色が悪い。この国にも魔の手が迫っているのか?
「政治家達は、駆除の方向のようだ。馬鹿なことを…」
「軍を使うの?勝て無いでしょ?」
「勝て無いな。あいつはジェネレーター100体を一瞬で潰したんだから…」
祖父は、非人道的な違法兵器を使ったのか…それも100体も…