「あれが、[ミルスティン]か」
ミアと想いを通わせた2日後、俺達はミルスティンの街へと辿り着いた。
あれからは特にモンスターに襲われることも野党に襲われることもなかった。
移動中、ミアはずっと腕に抱き着いたままだ。
「えへ・・・アルと・・・恋人・・・」
余程嬉しかったのだろう。可愛いのでそっとしておこう
街の門を通りすぎようとしたところで声をかけられる
「おぅ、坊主 嬢ちゃんも見ない顔だな?観光に来て親とはぐれたのか?」
30後半くらいだろうか、いかついおっさんだ。槍を持って鎧を着ているから衛兵か何かだろう。
「いや、俺達は冒険者の卵だ。この街には[冒険者ギルド]があるんだろう?登録ついでにここを拠点にしようと思ってな」
「まじか、お前らいくつだよ」
「12だ」
「その年で冒険者になりてーってのか!」
俺と俺の腕に抱き着いているミアを見比べつつおっさんが驚く
「珍しいのか?」
「いや、まぁ珍しいっちゃ珍しいが全くいない訳じゃねぇ」
ならいいじゃないか
「・・・お前ら服装からすると割といいとこの子供だろ?なんでまた冒険者になんか」
そういえば防具らしい防具も着ていない。一応旅にも耐えられる服を選んだつもりだったが
「理由はいろいろあるが・・・世界を見て周りたいんだ。幸い、腕はそれなりにある」
「12のガキが言うねぇ、腕がたつって"スキル"を持ってるてのか?」
「あぁ、刀剣術と魔法を少しな」
「はぁ?刀剣術はまだわかるが魔法もだと?嘘はよくねぇぞ?」
しつこいな・・・
「ほんとだよ。それに嘘だったとしても、あんたには関係ないはずだ」
「ガッハハハハハ、気のつえー坊主だ!確かにそうだな!いや、悪かった!」
わかればいいのだ
「俺はガイエンだ!よろしくな!冒険者ギルドならこの大通りを真っ直ぐ行けば着くぞ!剣と盾の看板付きの建物がそれだ、でかい建物だからすぐわかるだろうよ」
「ありがとよガイエン、俺はアルバート こっちはミアだ」
「おう、アルバートにミアちゃんだな おっと言い忘れた。ようこそ!"ミルスティン"へ!」
ガイエンに言われた通り大通りを真っ直ぐ進む。
「ここか」
「うん」
剣と盾の看板、間違いない。ここが[冒険者ギルド]だ
若干緊張しながら扉をくぐる。
中にいた人間の視線が一斉にこちらに集中する・・・なんだってんだ。
ミアが更にぎゅっと腕を抱きしめてくる。あぁ、控えめな胸が腕にあたって・・・む、お袋の胸を思い出してしまった。
視線を無視してカウンターへ進む。人族のかわいい受付嬢が少し驚いたような顔をして問いかけてくる。16歳くらいだろうか 大きな胸がカウンターに乗っかっている。・・・素晴らしい。
「えーっと、依頼かな?」
「いや、冒険者登録を頼む。この子も一緒にな」
受付嬢が目を丸くする
「え?冒険者になりたいってことでいいのかな?」
そうだと言っている
「年齢制限でもあるのか?」
「ないけど・・・わかったわ、ようこそ!ミルスティン冒険者ギルドへ!」
それでいいのだ
「おいおい、小便くせぇガキが一丁前に女はべらして冒険者になりたいんだとよ!」
後ろからガラの悪そうな、冒険者であろう男が何か言っている
ミア、その眼はだめだ、人が死んでしまうぞ 無視だ無視
「登録はどうしたらできるんだ?」
「あ、えっと。こちらの書類にサインを。その後で血を一滴提供してください」
「わかった」
ふむ、名前と年齢、登録する理由か。理由とかいるんだな
俺もミアも淀みなく書き込んでいく
そういえばミアは理由になんと書くのだろうか 覗いてみると「アルと一緒」と書かれている。可愛くて抱きしめたくなるな
「おい、な~に無視してんだよ」
後ろから先ほどの男が肩を掴んでくる。
「なぁ、あんた。名前は?」
受付嬢に聞いてみる。
「あ、エミリアと言います」
「エミリア、この場合俺はどうしたらいいんだ?」
掴まれた肩を見ながら訪ねる
ミアは今にも飛び掛かりそうな勢いだ。うぅ~っと唸っている。かわいい狼さんだな
「あ・・・ゴホン。"ハック"さん!新人さんに絡むのはやめてください!前にも注意したはずですよ!」
私、怒ってます!という感じで俺の肩を掴んでいる男に注意を促す
「う、だってよぉ。このガキが俺を無視しやがるから・・・」
なんだそりゃ
「あんな挑発まがいなことを言ったら当然です!怒らなかったこの子のほうがよっぽど大人ですよ!恥を知ってください!」
まがいじゃなく完全な挑発だろう
「う、うるせぇ!だいたい獣人のメスガキなんざ連れて歩きやがって!色気づいてんじゃねーよクソガキが!」
瞬間、俺はミアの腕を振りほどき、抜刀すると刃を男の首筋でピタリと止める
「な!?」
「おい、おっさん。黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって、"獣人のメスガキ"だと?」
ミアのことをバカにするとは愚かな奴・・・あれ?
「・・・これ以上、アルへの侮辱は許さない。3つ数える間に訂正。しなければ殺す」
ミアは男の背後から忍者刀の先端を首に突き付けていた
いや何も殺すことはないんじゃ・・・
「1つ・・・2つ・・・「何をやっているんですかあなたたちは!剣を引きなさい!」3つ」
いかん!
慌ててミアの忍者刀を掴んで止める
刃が食い込んで血が出る・・・めっちゃ痛いんだが
「アル!?」
ミアが忍者刀を手放す。
「ばか!なんで刃を掴むの!」
「ばかはお前だ!躊躇なく殺そうとしやがって!ここは俺が格好良く収めるとこだったろうが!」
「うぅ~っ」
「唸ってもダメだ!全く・・・おーいてぇ」
血の出ている手をぷらぷらとする。やべ、血が巻き散った
「動かないで、いま治す」
ミアが目をつぶっている。どうやら治癒の魔力を練っているようだ。
「頼む」
「だ、大丈夫ですか!?」
エミリアが慌ててこちらにこようとする
「大丈夫だ」
「で、でも血がそんなに!「黙って、集中が乱れる」はいぃ」
ミアの鋭い眼がエミリアを怯えさせる。今は何も言うまい
1分程か、魔力を練り終わったミアが治癒の魔法を発動する
「ヒール」
温かい光が俺の手を包み込み。ゆっくりと、だが確実に傷が塞がっていく。う~ん、なんともいえないかゆみがする
「かいちゃだめ」
はい
「おい、ありゃ治癒魔法だぜ?」
「ああ、坊さん以外じゃ使ってるやつなんか初めてみたぞ・・・」
「それにさっきの動き・・・お前みえたか?」
「いや、坊主の手が動いた気がしたがそれ以外は・・・嬢ちゃんもいつの間にかハックの野郎の後ろに居た」
「こりゃとんでもねー新人が入ってきたもんだ・・・」
後ろで見ていた冒険者たちが口々に騒ぎ出す。ふふん、どうだ。うちのミアはかわいいだろう?
傷の手当てが終わり、手を軽く握ってみる。うむ、問題ないな。
ミアは興奮が収まったのだろう・・・今度は犬耳をぺたんとして俯いてしまっている。
「・・・ごめんなさい」
その話はあとだ。ちっとも登録が進まん。
そういえばさっきの男は・・・
「気絶・・・しちゃってますね」
エミリアの視線の先にはハックと呼ばれていた男が泡を吹いて倒れていた。・・・なにか嫌な刺激臭がするんだが・・・
「・・・漏らしちゃってますね」
おめーのほうが小便くせぇじゃねーか!
アルバート・ディレス 12歳 身長 157cm
スキル:刀剣術:6 火魔法:3 雷魔法:3 治癒魔法:2
装備 :上質な鋼の刀
所持品:銀貨50枚
ミア 12歳 身長 155cm Bカップ
スキル:刀剣術:4 風魔法:3 氷魔法:3 治癒魔法:3
装備 :上質な鉄の忍者刀×2
所持品:銀貨100枚
ミアは毎日かわいいです