小便を漏らした男が他の冒険者に引きずられていく。
エミリアはしくしくと泣きながら床をモップ掛けしていた。
「うぅ、どうして私がぁ・・・」
なんか申し訳ない
「くさい」
ミア、お前のせいでもあるんだぞ
「うう、いいですか二人とも!冒険者ギルドの建物内では暴力沙汰はご法度です!やるなら外で殺してください!」
いや、外ならいいのかよ
「あんなお漏らし男は死のうがどうなろうが知りません!まだ登録前でしたのでお二人は不問にしますが、次からくれぐれも注意してくださいね!」
年頃の私に小便を拭かせるなんて・・・とぶつぶつ言っている。
いや、まじですまん。
「ぐす、改めまして、ようこそ冒険者ギルドへ。えっと、アルバートさんにミアさんですね」
「ああ」
「それでは血を頂きますね・・・ああ、アルさんはいいです。さっき一杯出ていましたので勝手に頂いちゃいました」
仕事が早くて助かる
「それではミアさん。指の先でいいのでこの針でプスっとやっちゃってください」
「ん」
「はい、ありがとうございます。ではこれでスキルを調べて冒険者登録は完了です。明日になったら登録証をって!えっ!?」
今度はなんだ・・・
「と、と、と刀剣術・・・6!?」
何か問題があるのだろうか
「お、大有りです!12歳なんですよね!?ベテランの腕利き冒険者でも4、高くて5が精々です!6以上なんて王都にいるA級冒険者くらいしか・・・しかも魔法まで3種類も・・・雷魔法?見たこと無いんですが・・・ほんとにこれで合ってますか?」
間違いないぞ
「すみません。申し訳ないんですが信じられそうもありません。何処かで間違った血が入ったのかも・・・」
そっちのほうが可能性としては低そうだが・・・
「エミリア、針を貸してくれ」
「ふぇ?あ、どうぞ」
プスっと指先に刺して指をエミリアに突き出す。
エミリアは ハッとして俺の指から血を回収する。
「アル」
ミアから声をかけられ、なんだ?と振り向くと先程針を突き刺した指を咥えられる。
もにゅもにゅと口の中で指を転がされる。
「ん。これでいい」
なんか変な気分になったんだが
「・・・なんなんだろうこの二人。私が目の前にいるのにどうしていちゃいちゃと・・・あぁ刀剣術・・6 間違いないんですね。」
天才って本当にいるんだなぁっとエミリアは遠い眼をしている
「ミアさんは・・・刀剣術・・4。12歳の女の子が・・?あはは、うちに登録している他の冒険者ってポンコツばっかりなんですかね?・・・氷魔法?あはは、もう驚きませんよ・・・」
エミリアが乾いた笑い声を出しながらぶつぶつとつぶやいている。
俺達何もしてないのにな
「はい。どうもありがとうございました。明日になったら登録証をお渡しできます。初回登録時は無料ですが、再発行にはお金がかかりますので無くさないようにしてくださいね」
あんなに元気だったエミリアが今では無表情だ。
「わかった、依頼ってのは今から受けられるのか?」
「ええ、受けられますよ。BランクでもAランクでも好きに受けてください」
なんかもの凄く投げやりだ。
「冗談です。では冒険者ギルドについて説明しますね。いいですか?冒険者ギルドというのは・・・」
エミリアが懇切丁寧に教えてくれる
「なるほど、よくわかった」
ほんとは半分もわからなかったが ミアはふんふんとうなずいていた。あとでわからないことがあったら彼女に聞こう。
ふと外を見ると日が暮れ始めている。
依頼は明日からだな
「エミリア、俺達は今日街に着いたばかりなんだ。何処かいい宿屋を知らないか?」
「あ、そうだったんですねぇ。お金はあるんですか?」
「銀貨50枚程なら」
「あ、それならこの近くの[しっぽ亭]がオススメですよ!ちょっと料金は高めですが、ご飯もおいしいですし。何よりお風呂がついているのがポイント高めですね」
ほう、それはいいな。今日はしっぽ亭とやらに行ってみよう
少し街を探索しつつしっぽ亭に到着する。中に入ってみると1階は酒場になっていた。
「あら、坊やたちいらっしゃい!ご飯でも食べにきたのかな?」
人族の女将さんがすぐやってきた。
「いや、冒険者ギルドのエミリアからお勧めされてきたんだ。宿泊で頼む」
「あら、宿泊のお客さんなのね。うちは一人1日銅貨10枚、朝と夜の食事サービス付きだよ!」
安い宿屋が銅貨5枚なのを考えるとこの値段は正直高い。しかし朝と夜に食事が出るんならかなり良心的だろう。
「1人部屋を2部屋でいいかい?」
「2人部屋1つで」
ミア・・・
「この街に来てから余り良いことがない。子供の私たちは軽く見られてる。何かあった時のために一緒にいたほうがいい」
ミアがもの凄い速さでまくし立ててくる。言われてみれば確かにそうだなぁ
「2人部屋でいいのね?」
女将さんがニヤニヤしている。
「あぁ、それでお願いします」
「あいよ、うちは前金制でね。銅貨20枚だ・・・っと言いたいとこだけど坊やたちは二人で10枚でいいよ!」
なんと!
「エミリアちゃんから聞いてきたってことは二人とも冒険者だろう?うちにも坊やたちと年の近い娘がいるけど、その若さで苦労してるんだねぇ。おばさん応援したくなっちまったのさ!」
いや、俺達は望んで冒険者になったんだが・・・まぁいいか。
「ありがとうございます。えっと・・・」
「あぁ、わたしはラーマだよ。よろしくね坊やたち!」
とてもいい人のようだ。
「ラーマさん、俺はアルバート こっちはミアって言います。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
優しくしてくれた人には礼儀を持って接するのが当然だろう
俺はラーマさんに銀貨を1枚渡す。
「とりあえず10日程お願いしたいのですが・・・大丈夫ですか?」
「はいよ、私が言い出したことなんだから当然さね!いっぱい稼げるようになったら正規の料金を頂くことにするよ!でも命あっての物種だからね、無理はしないように!」
何があるかわからない世の中だ。少しでもお金を節約できるのは非常にありがたかった
「それじゃ改めて・・・ようこそしっぽ亭へ!アル君!ミアちゃん!」
この街に来て、初めて子供ってことで得した気がするな・・・
アルバート・ディレス 12歳 身長 157cm
スキル:刀剣術:6 火魔法:3 雷魔法:3 治癒魔法:2
装備 :上質な鋼の刀
所持品:銀貨49枚
ミア 12歳 身長 155cm Bカップ
スキル:刀剣術:4 風魔法:3 氷魔法:3 治癒魔法:3
装備 :上質な鉄の忍者刀×2
所持品:銀貨100枚
冒険者ギルドについては 初心に返って に記載があります。