「おはよう、ミア」
「おはよう、アル」
朝起きて目を開けるとミアがこちらを見つめていた
「起こしてくれでもよかったんだぞ?」
「私もさっき起きた。アルの寝顔がかわいいから眺めていただけ」
朝に弱いはずのミアが何故先に起きていたのか疑問だが・・・
どうせならかっこいいと言って欲しいものだ。
温かいぬくもりに包まれていた私は目が覚める。昨日は疲れていたから良く眠れた。
眼を開けると大好きなアルの顔が見える。
私はこの男の子の恋人なんだ・・・そう考えると顔が熱くなる。
嬉しくてどうにかなってしまいそうだ。
アルに助けられてから5年、本当に幸せだった。
厳しくも優しく刀剣術の指導をしてくれたご領主様。私がアルと同じことがしたいとお願いしたら渋りながらも許してくれた。本当の娘のように可愛がってくれた。
いつも「父様と呼んでくれていいんだぞ」と言っていた。
奥方様も優しかった。「あなたは私の娘です!」っと何かある度に言ってくれた。時々アルを変な眼で見ていたが、きっと息子としてとても愛していたのだろう。魔法も奥方様のご指導のおかげでどんどん上達した。
いつも「母様とお呼びなさいな」と言っていた。
でも、私は一度もお二人を父様、母様と呼んだことはない。
壁を作っている訳じゃない。お二人のことはほんとの親のように思っている。
でも、お二人はアルのご両親だ。
そんなお二人を私が父様 母様と呼んでしまったら、私はアルの妹になってしまう。家族になれるのは嬉しいけれど、アルにだけは"妹"として見られるのは嫌だった。
私は、アルの女として隣に居たかった。
この幸せを守る為にも 私はアルを守れるくらい強くなりたい。
「あらアル君にミアちゃん、早いのね」
「ええ、これからギルドの訓練場で少し鍛えようと思いまして」
3人でおはようございますと挨拶しながら世間話をしていく
「まだ子供なのに立派だねぇ、でも申し訳ないんだけどまだ朝食はできてないんだよ」
ごめんねぇと言いながらラーマさんは教えてくれる
「いや、気にしないでください。鍛錬が終わったら食べにきますから」
ギルドへ向かってミアと2人で歩いていく
まだ日も昇りかけだ
ギルドに入ると中には受付嬢のエミリアが頬杖をついてうとうとしていた。
「うぅ~眠い。なんで私がこんな朝早くから・・・」
ぶつぶつと文句を言っている
「おはようエミリア」
「ふぇ?あぁ、アルさんにミアさん・・でしたか。まだ登録証は出来てないですよ~。こんな朝早くからどうしたんですか?」
依頼を受けるんですか?と首をかしげている。
「いや、ギルドには訓練場があるんだろう?使わせてもらってもいいか?」
「ええ、構いませんよ!朝早くからご苦労さまです!」
これが天才なのか・・・とぶつぶつ何か言っている。
「訓練用の武器ってあるのか?」
「ありますよ、訓練場の脇に置いてありますので自由に使ってください」
訓練場に入り、脇に置いてあった木剣を掴む。ミアは少し短い木剣を2本持ってきた。
柔軟をして固まった筋肉をほぐし、少し走って体を温める。
俺達は向かい合って今日の鍛錬を始める
「さて、始めるか」
こくりと頷き、ミアが木剣を2本逆手に持って構える。
「好きなタイミングで打ち込んで来い、本気でこないと怪我をするぞ?」
「わかってる」
ミアが一度横へステップしてからもの凄い速度で突っ込んでくる。
獣人のこの瞬発力は羨ましいな、などと考えているとミアが右手で持った木剣を横なぎに振ってくる。
俺は右手で持った木剣で受け流し、態勢の崩れたミアを迎えにいくように回し蹴りを放つ。
彼女はそれを左手で持った木剣でなんとかガードし、少し後ろにステップして様子を見る。
「・・・あんな綺麗に流されるとは思わなかった」
「年季が違うからな」
むっとした表情のミアに、今度は俺から襲い掛かる
我ながらなかなかのスピードだ。正面から振り下ろす木剣を、ミアは受け流すことを諦めたのか木剣を交差させて防ぐ。ちょっとした鍔迫り合いみたいな体勢になる。
「膂力に劣る女が剣を受けていいのか?」
「ううぅぅぅ!」
俺の木剣がどんどん押し込んでいく。
ミアは必死になって押し返そうと力を込めていた。
・・・力みすぎだな
俺がふっと力を抜くとミアは剣を泳がせてせてしまう。押すように横蹴りを放ち、ミアを吹き飛ばす。体勢の崩れた彼女に追いすがるように近づき、首筋に剣先を突き付ける。
「あぅ・・・」
「まずは1本だ」
剣を引きミアを見据える
「ミア、お前のスタイルは速度を生かした奇襲と手数の多さ、片手に持った剣を受け流しに使えることが強みだ。決して相手の剣を正面から受けるな」
「・・・わかってる。アルの剣が速過ぎて流せなかった」
嬉しいことを言ってくれる
「恋人のお前に強く打ち込んだりはしたくないんだがこれとそれとは話が別だ。今日は俺の剣を受け流す練習をしよう」
「わかった」
日が昇り、人が増えてきたところで今日の鍛錬を終える。
「だめだった」
「いや、そんなことはない。少しずつだが体を泳がせれるようになってきた、ミアはやっぱり天才だな」
大体、訓練してきた年数が違うのだ。簡単に受け流されて反撃を喰らうようでは俺の立つ瀬がない。
木剣を元の場所に戻してギルドへ戻る。ふと、後ろから声が聞こえた
「・・・さっきのあの子たちの動き、お前見えたか?」
「いや、あの男の子の踏み込みの速さと剣速は異常だ・・・女の子のほうもよく反応して剣を合わせられていたな・・・」
「・・・俺達って、才能ないのかな。」
俺は何も聞いていない。
「あ、お二人ともお疲れ様です。登録証出来てますよ~」
ギルドへ戻るとエミリアが俺達を迎えてくれた。
「これからはこれを首から下げて下さいね~」
渡されたのは銅で出来たドックタグのようなものだ。
名前と冒険者ランク、取得済みのスキルとスキルレベルが記載されていた。
「エミリア、これじゃスキルがバレバレだぞ」
スキルは重要な個人情報だ。普通は隠すものだろう
「よくぞ聞いてくれました!それは特別製でして、スキルの部分は本人とパーティメンバーにしか見えないようになってます。ギルドで正式なパーティを組まないと他の人間には見えないようになってますから、安心してくださいな!」
なるほどな。確かにミアのドックタグを見てみると名前と冒険者ランク"E"の文字以外は見えない。魔道具か何かを使って作られているのだろう。
「なら、俺とミアをパーティとして登録してくれ」
「わかりました~では登録証をこちらへ」
俺とミアは登録証をエミリアに渡す。1分程でエミリアが登録証をこちらに返してくる。
「できましたよ~」
確かにミアのスキルとスキルレベルが見えるようになっていた。他にも記載が増えており、「パーティメンバー:アルバート」と書かれている。
ミアはパーティメンバーの所を見て目尻を下げていた。可愛い奴め
俺のを見てみると「パーティメンバー:ミア」と書かれていた。
なんか嬉しいな
「ありがとう」
「いえいえ、これで正式に冒険者ギルドへ登録となります!依頼はどうしましょうか?」
「すまない、依頼を受けたい気持ちはあるんだが、昨日も言った通りこの街に来たばかりでな。今日は必要なものを買い揃える予定だ」
「了解です!では好きなタイミングでまた来てくださいね~お二人には期待していますから!」
手を振るエミリアを背に冒険者ギルドを出る。
さぁ、朝飯をしっぽ亭で食べたら今日はミアとデートだ!
アルバート・ディレス 12歳 身長 157cm
スキル:刀剣術:6 火魔法:3 雷魔法:3 治癒魔法:2
装備 :上質な鋼の刀
所持品:銀貨49枚
ミア 12歳 身長 155cm Bカップ
スキル:刀剣術:4 風魔法:3 氷魔法:3 治癒魔法:3
装備 :上質な鉄の忍者刀×2
所持品:銀貨100枚