プロローグ
鬱蒼としげる森の中で、先ほど仕留めたであろう野うさぎを片手にこちらへ向かってくる少女がいた。
「アル、私は12羽仕留めた」
「お、流石ミアだ。俺は16羽仕留めたけどな」
手に持った野ウサギをミアに見せつけながら自慢する
「あぅ・・・今日は負けた。・・・アルはズルをしているに違いない」
ミアは一旦落ち込むがその後疑いの眼差しを向けてくる
・・・何故ズルをしているのがばれたのだ
狩りで勝負をする前に、事前に狩って草むらへ隠しておいたのだが・・・
ここはなんとか誤魔化そう
「してないぞ。それに今日はって言うが・・・今まで引き分けはあっても俺が狩りでミアに負けたことないだろ?」
「・・・なんで当然の様に嘘をつくの?いつもは私が勝っている。狼族の獣人の私が、
狩りで人族に負けるわけがない」
そうだっけ?
俺たちは軽口を叩きながら野うさぎの血抜きをしていた。
「それに今日は魔法なしでやったから負けただけ、魔法アリなら絶対勝ってた」
「わかってるよ、ミアの風魔法は凄いからな」
不満そうに口をとがらせる隣の少女を改めて見てみる。名前はミア 17歳。美しい銀髪は肩口あたりで揃えられていて、顔は十人が見れば十人とも口を揃えて可愛いというくらい整っている。頭からはピョコンっと犬耳が飛び出している・・・所謂、獣人ってやつだ。あと、とにかく胸がでかい
「・・・アルはまた鼻を伸ばしている。そんなに胸が好きか?」
なぜ胸をみているのがバレた。
「アルはわかりやすい。折角整った顔をしているのに、女の胸を見るとすぐだらしない顔になる」
心外な
「ははっ それは違うよ。俺はミアの胸だからだらしない顔になってしまうんだ、お前のことを愛しているからな」
「・・・ばか」
おお、照れてる照れてる
「さて、冗談はここまでとしてそろそろ行こうか。暗くなってしまうぞ」
ミアの手を引いて帰ろうとするが彼女は立ち止まったままだ
「・・・愛しているっていうのも・・・冗談なの?」
彼女は上目遣いをしながら不安そうに俺に問いかけてくる。・・・なんだこのかわいい生き物は・・・
「それは本当だ、ミアも知ってるだろう?」
彼女はほっとしたような表情をする
「うん。でも何度言われても嬉しい・・・少なくても、私はそう」
可愛すぎるだろ
「ならよかった。さ、もう行こう」
「あ・・・アル 私も・・・その・・・好き」
知ってるよ
今日の成果をマジックバッグに入れ、ミアを抱きしめる
「あぅ・・・ぁ、アル・・」
そんなウルウルした目で見上げないでほしい
抱きしめたまま、ミアの唇をふさぐ
「ん・・・」
唇を離すと 絶対離れないぞ っと強く抱ついてくる
「おいおい、これじゃ歩けないぞ」
「もうちょっと・・・もうちょっとだけこのまま・・・」
やれやれだ、抱きたくなってしまうじゃないか
先ほど狩りをしていた森を抜け、平原を通り過ぎて俺達のホームタウンに帰還する。
ミアは森からずっと俺と腕を組んだままだ。大きな胸が腕に当たって俺の理性が非常にまずい。
「ようこそ「ミルスティン」へ!お、お疲れ! 今日も仲いいねぇ!」
町の門を潜り抜けようとしたとき、馴染みの衛兵が声をかけてきた。
「よう、ガイエン 調子はどうだ?儲かってっか?」
「ばーか、衛兵が儲かるかよ!給料制だぜ?」
「そうだったな、もう暗くなるってのにご苦労さんだ」
「おう!」
「ガイエンも お疲れ様」
「おう!ありがとなミアちゃん! くぅ~相変わらず可愛いねぇ。アルバートの野郎には勿体・・・なくもねぇか。お似合いだったな二人とも」
そうだろう
「あぅ・・・」
ミアは顔を赤く染めていた
「ガハハハハっ ガキの頃から一緒だってのにまだ恥ずかしいのか嬢ちゃんは!」
ミアは恥ずかしがりやだからなぁ
「ギルドに納品があるからもう行くぜ」
「おぅ、引き留めちまって悪かったな」
「いいよ、たまには飲もう。奢るぜ」
「お、悪いな 非番の時にでも声かけらぁ」
「あいよ」
ガイエンと別れ、ギルドに向かって歩いているとミアがまだ頬染めてぼーっとしていた
「えへ・・・お似合い・・・新婚・・・奥さん・・・」
そこまでは言ってなかったと思うが
大通りを歩き俺らが所属している「冒険者ギルド」に入る。
「いらっしゃ~い。ミルスティン冒険者ギルドへようこそ~。あ、アルさんにミアちゃん、お疲れ様です!今日はどうでしたか~?」
人族のかわいい受付嬢が早速声をかけてくる
「エミリアか、今日は・・・ほれ、これだ」
「あ、野うさぎですねぇ 数えちゃうのでちょっと待ってください・・・28羽ですね。 お肉はどうしますか?」
「全部納品で、ミアもそれでいいだろう?」
「構わない。今日も外で食べる」
ミアの料理も捨てがたいけどな
「料理する場所がない。それにもう少しの辛抱」
そうだったな
「それにおいしい料理を作るには下ごしらえがいる。この時間からじゃ難しい。アルに中途半端な料理を出したくない」
なんて可愛いんだうちのミアは
「今日も熱々ですねぇ、いいなぁミアちゃん・・・私もアルさんみたいな彼氏ほしぃなぁ」
「ダメ、アルは私の」
「いいから、さっさと処理してくれ」
「はいは~い、え~っと。野うさぎ28羽で銅貨56枚です。・・・でもなんで野うさぎなんですか?アルさんとミアちゃんならもっと・・・CランクとかBランクのモンスターを狙ってもいいと思うんですが」
「今日は息抜きついでにな。こないだワイバーン倒した時に、俺もミアも武器がかなり摩耗してしまったから研ぎに出してる。今持ってるのは前に使ってたお古なんだ」
「なるほどですねぇ~ワイバーン相手じゃ仕方ないですよね。って当たり前のようにワイバーンを倒せるのはお二人だけだと思います!」
そんな強敵ってわけでもないだろう
「強敵ですよ!Aランクの!それもA級冒険者が10人以上でやっと倒せるくらいの!絶滅したと言われるドラゴンを除けば、最強クラスの魔物じゃないですか!」
そうだろうか
「ま、そんなことはいいんだ。何日かはゆっくりとしてるから、しばらくはこんな感じの納品が続くと思うぞ」
「りょーかいしました!武器が直ったらまたバリバリお願いしますね!」
「あいよ」
「エミリア、また明日」
元気な受付嬢に見送られながらギルドを出る。・・・エミリアもやはり巨乳だな
「アル!!」
痛いくらいに手を握られている どうしたというのか
「エミリアの胸、大きいもんね?」
おっと、声に出ていたか。