※この作品はR-18です。

没落貴族の三男坊が冒険者になった訳   作:フリーデン

20 / 77
冒険のはじまり 9

朝の鍛錬を終え、ギルドの中に戻る

 

昨日のデートは大成功だったと言えるだろう

 

ミアは今日になってもご機嫌だ

 

「アルさんにミアさん、今日は依頼を受けられますか~?」

 

「おう、初めての依頼だからな。何か適当に受けてみようと思う」

 

「簡単なものがいい」

 

最初だしな

 

「それでしたら手始めに常駐依頼の薬草採取や野うさぎ狩りなんてどうですか?」

 

なんだそれは?

 

「ミルスティン近辺の森ではポーションの調合に使う薬草が群生していますし、食用の野うさぎもいっぱいいるんです!」

 

でも・・・とエミリアは続ける

 

「森の中にはもちろんモンスターも生息しています。なので危険の割に実入りが少ないって他の冒険者は依頼のついでくらいでしかとってきてくれないんです・・・」

 

うちの冒険者はなんだかんだD~Cランクの冒険者が多いですしね・・・とぼやく

 

「Dランク以上の腕があるなら依頼に出ているモンスターを狩ったほうがお金になります。なので最近新人さんが少ないうちのギルドでは薬草と野うさぎの供給が不足しているんです」

 

なるほど

 

「正直アルさんとミアさんはスキルレベルを見るとうちの冒険者の中ではトップクラスなのですが・・・そこをなんとかお願いできませんでしょうか?」

 

ふむ、なんだかんだ世話になったエミリアが困っているんだし、今は特に強いモンスターと戦いたいという訳じゃない。

 

小さいことからコツコツとギルドに貢献して実績を伸ばすのも有りだろう

 

「俺は構わないが・・・ミアはどうだ?」

 

「アルに任せる」

 

なら

 

「いいよ、今日はエミリアの話に乗るよ。確か常駐依頼なら持ってくればそれだけ金になるんだったよな?」

 

ほんとですか!っとエミリアは目を輝かせる

 

「その通りです!ありがとうございます!あ、ちなみに採ってきて欲しい薬草はこんな感じのです!」

 

図鑑を取り出して見せてくれる・・・ふむ。似たような形のもので毒草もあるのか・・・

 

ミア、任せたぞ!

 

ミアのため息が聞こえた気がした

 

「今の時期でしたらモンスターも少ないと思います、いっぱい採ってきて下さい!」

 

 

 

「そらっ!」

 

振り下ろされた剣ごと相手の胴を両断する

 

「ふっ!」

 

振り向き様に背後に迫っていた剣を弾き、返す刀で斬り捨てる

 

「ミア!生きてるか!」

 

「問題ない」

 

背中を預けているミアも大丈夫なようだ

 

薬草採取と野うさぎ狩りにきていたはずの俺達は、気づけばゴブリンの大群に囲まれていた。

 

「くっそ、エミリアめ!何が今の時期ならモンスターは少ないだ!騙しやがったな!」

 

 

 

森へ薬草採取と野うさぎ狩りに来ていた俺達だが最初は問題なかった。

 

「ミア、これは?」

 

「毒草」

 

「む、じゃあこれは?」

 

「・・・毒草」

 

「・・・これは?」

 

「毒草!」

 

「ふざけるなよミア!」

 

「ふざけているのアル、なんでこうもハズレばかり引くの?」

 

俺と話しながらもミアはひょいひょい薬草を摘んでいく

 

時折引き抜いた物をじっと見つめてからぽいっと捨てているので、彼女には見分けがついているのだろう

 

「いい加減覚えて。葉の数が違う。それに根っこの数も」

 

「なんだ、簡単じゃないか」

 

「・・・何度も説明した。もうアルは野うさぎでも狩ってきて」

 

 

ミアと別れて野うさぎを探す

 

む、あれか

 

ゆっくりと刀を引き抜き近づく

 

野うさぎは臆病だ。音を立てればたちまち逃げ出してしまうだろう

 

慎重に・・・慎重にだ・・・む、この感触は・・・木の枝か・・?

 

パキっ!

 

しまった!

 

野うさぎは凄い勢いで逃げていった。

 

「・・・」

 

 

その後何度か野うさぎを見つけては接近を繰り返すがうまくいかない

 

「・・・そうだ。俺には魔法があるじゃないか!」

 

次に見つけた野うさぎに雷魔法を使おう。火は森の中だと危ないからな。

 

「いた」

 

俺は野うさぎから隠れて雷の属性魔力を練る。・・・よし、これくらいでいいだろう

 

"ライトニングボルト!"

 

ドゴンっ!と凄い音が鳴って野うさぎに命中する

 

「よしっ!」

 

近づくとピクリとも動かない野うさぎが見えた

 

「これで1羽っと」

 

「アル!さっきのでかい音はなに!?」

 

ミアが近づいてくる

 

「おう、野うさぎを仕留めたんだ」

 

狩った野うさぎをミアに見せる

 

「黒コゲ・・・」

 

「雷魔法を使ったからな」

 

「これは食べられるの?」

 

あっ・・・

 

「ち、治癒魔法を使えば・・・」

 

「もう死んでる」

 

「・・・」

 

俺は黒コゲになった野うさぎを埋めた

 

 

そんな時だった

 

ミアの犬耳がピクピク反応する

 

「アル、何か近づいてくる」

 

なんだ?

 

「足音、かなりの数」

 

人か?

 

「違う、これは・・・」

 

俺達の目に映ったのは醜悪な顔をした、人より少し小さい体のモンスター その大群だった。

 

「ぐぎゃ」「グギャギャ!」

 

「ゴブリンかっ!」

 

 

 

「キリがないぞ!」

 

話しながらもゴブリンを斬り捨てていく

 

「グギャっ!」

 

「なんだってこんな数のゴブリンがこんなところに!もっと森の深い所とかにいるだろ普通!」

 

かなりの数を切ったはずなのに全然減っているように見えない

 

「アル、このままじゃまずい」

 

わかってる!

 

「ミア、魔法でどうにかならないか?」

 

「・・・魔力を練る時間がない」

 

そうだよな・・・

 

「ミア、一度包囲を抜けよう。抜けたら後ろに下がって魔力を練ってくれ。俺が足止めする」

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫だ、お前は安心して特大のを御見舞いしてやれ!」

 

「・・・わかった。でも魔力を全部使ったら、私は気絶してしまう」

 

「・・・俺がなんとかする。信じてくれ、お前には傷一つつけさせない」

 

「・・・信じる」

 

彼女の信頼が今は嬉しい

 

「合図で飛び出すぞ」

 

「合わせる」

 

「よし、・・・・・今だ!」

 

一度深呼吸をして、俺を先頭にゴブリンの数が少ない方向へ駆けていく。

 

駆けながらゴブリンを斬り捨てて行くがいかんせん数が多い。

 

少しずつ傷が増えていく。

 

あと少し!

 

「ミア!包囲を抜けたぞ!」

 

振り向いてミアを激励する

 

「!?ミア!」

 

ミアは横から飛び出してきたゴブリンに押し倒されていた。

 

「ううぅぅ!!」

 

「待ってろ!今助ける!」

 

ミアに覆い被さっているゴブリンを斬り捨てる

 

「大丈夫か!?」

 

「大丈夫!ありが・・!?アル!避けて!」

 

ぐっ!

 

右足の太ももに熱を感じる。どうやら防具の隙間に槍を突き立てられたようだ。

 

「くそが!」

 

槍を俺に突き刺したゴブリンの首を、怒りに任せて撥ね飛ばす

 

「あぁ!!アル!血が!」

 

「そんなことは後だ!!先に行って魔法の準備をしろ!」

 

「でも!」

 

「言うことを聞け!!死にたいのか!」

 

ミアは泣きそうになりながらも駆けていく

 

これでいい。でかい魔法を使うには長く見積もって2分。

 

2分間、俺がこの場を支えるだけだ!

 

「よぉ、やってくれたな?」

 

足に刺さった槍を引き抜く。ブシュっと血が噴き出すが気にしない

 

グギャギャ!グギャ!

 

「何を言ってるかわからんが・・・」

 

一度刀を鞘にしまい、抜刀の構えをとる

 

「ミアにはもう、指一本触れさせん!」

 

ここが正念場だ!

 

 

アルが戦っている音が聞こえる。

 

目算でまだ、100匹以上残っている

 

その後ろで私は、魔力を練っていく。

 

けれど・・・今の私にあんな数を倒す魔法なんて・・・

 

ダメだ!弱気になんてなっちゃ!

 

アルは足止めすると言った!アルは今も頑張ってくれてる!

 

自分の心に喝を入れ、更に精神を集中する

 

使うのは奥方様が昔、一度だけ見せてくれた魔法

 

「ミア、この魔法はスキルレベルが5以上あれば問題なく使用できますが、それ以下だと使用するのはオススメしません。最低でも4くらい欲しいですね。制御が難しいですし、私にしてもかなりの魔力を使いますので」

 

あの"竜巻"と言われた現象

 

それを引き起こす

 

私の風魔法のスキルレベルは3だ

 

もしかしたら、失敗して死んでしまうかもしれない。

 

私が死ぬはいい、でも失敗はできない。

 

私が失敗したらアルも死んでしまうのだ!

 

アルは、私が助けるんだ!!

 

 

後ろで高まっていく魔力の渦を感じる

 

どうやらミアは風の魔法を使うようだ

 

襲い掛かってくるゴブリンを斬り捨てながら考える

 

足からは血が止め処なく流れ、無数の傷が俺の体力を奪っていく

 

俺の動きを制限していく

 

腕も鉛のように重くなった。一振りごとに体が軋む。

 

だが、倒れる訳にはいかない。

 

俺の後ろには、俺の愛する女が居るのだから。

 

「アル!離れて!」

 

きた!

 

俺は一番近くのゴブリンを斬り捨てると一目散にミアの方へ駆け寄る

 

右足が重く、速度は出ないが少しずつゴブリン達と距離を離していく

 

やっとの思いでミアの隣まで来た

 

「ミア、今だ!」

 

「ッ!トルネード!」

 

瞬間、巨大な竜巻が俺達の前に現れる

 

制御しきれない風の刃が俺とミアを傷つけていく

 

これは・・・お袋の・・・

 

「ミア、前に撃ち出せ!」

 

「ううううううぅぅぅぅぅぅ!!!ああああああああああッ!」

 

ミアが更に魔力を振り絞り、竜巻に魔力をぶつけて方向性を生み出す

 

竜巻は俺達の前方に向かってゆっくりと進み始め、巻き込むものをすべて破壊し尽くした。

 

「とんでもねぇ魔法だ・・・」

 

隣で崩れ落ちるミアを慌てて支える

 

ミアの魔法はゴブリンどころか草も木も関係なく全てを破壊し尽くし、森の一部を完全に更地に変えていた。

 

そうだ、ミア!

 

ミアは自分の魔法で傷ついていた、早く治療しなければ!

 

ミアには無数の切り傷ができていた。あぁ、ミアの柔肌が・・・

 

「待ってろ、今治してやる」

 

ポーションを入れたバッグは先程の魔法で吹き飛んでしまった。

 

俺は精神を集中して治癒の魔力を練る

 

くっそ、一度魔法を使ったせいで残りの魔力が・・・

 

だがそうも言ってられん。このかわいい女の子に傷跡などできてしまったら、俺は憤死してしまうだろう。

 

焦る気持ちを抑えつつ魔力を練り上げる

 

俺の治癒魔法はミアより低いレベルだが、魔法はイメージが物を言う

 

ミアの全身を優しく包み、癒すようなイメージで魔法を使う

 

魔法の対象を全身に広げたことで、とんでもない量の魔力を要求されるが気合で捻り出す。

 

意識が朦朧としてくるが関係ない。

 

ミアは俺の期待に応えてくれた。なら、俺もミアに頑張りに報いなければならない

 

魔力が枯渇する寸前でなんとかミアの治療を終える。

 

うん、深い傷はなかったみたいだな

 

安心すると、今度は自分の体が痛み出す

 

「あぁ、これはやばいかも」

 

だが倒れる訳にはいかない。

 

ここで意識を失えば俺もミアもどうなるかわかったもんじゃない。

 

俺はミアを背負うと、ゆっくりと街を目指して歩いて行った。

 

 




アルバート・ディレス 12歳 身長 157cm
スキル:刀剣術:6 火魔法:3 雷魔法:3 治癒魔法:2→3
装備 :上質な鋼の刀 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:銀貨21枚 

ミア 12歳 身長 155cm Bカップ
スキル:刀剣術:4 風魔法:3→4 氷魔法:3 治癒魔法:3
装備 :上質な鉄の忍者刀×2 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:銀貨40枚

竜巻で集めていたものは全部吹き飛びました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。