「アル、そろそろ考えないといけない」
何をだ?
「そろそろ領地を出てから1か月くらい、ご領主様もとっくに帰ってきてアルの家出に気づいてる」
確かにな
「もしかしたら誰か探しにくるかも・・・いや、今も探しているかもしれない」
う~ん、確かにあり得そうな話だ
「探しに来たらどうするの?」
どうすると言われても
「ミアはどうしたいんだ?」
「私は・・・アルと一緒に居たい」
「俺もそうだ」
なら
「うまくやり過ごすしかないな」
「屋敷には帰らない?」
「帰ったら今度こそ騎士学校にぶち込まれるぞ、そしたらミアと離ればなれだ」
「それは・・・嫌」
「だろう?遠出でもして街から一度離れるのも有りかもな」
領地を飛び出し、冒険者となって1か月程立った
ゴブリンの大群との遭遇以降は、特に大きな問題もなく冒険者として生活をしている
ちなみにあの時のゴブリン退治は正式に認められ、金貨6枚を報酬として受け取った
バラバラになった死体を数えたんだそうだ、数が合わない分はサービスしてくれたが・・・ご苦労なこった
今はランクに合った依頼をこなし、鍛錬と冒険者としての知識をつける日々だ
勿論夜にはミアと行為し、愛を確かめている。変わったことと言えばミアの胸が少し大きくなったことくらいか。
「・・・ばか」
声に出ていたようだ
「そういえば、いつの間にか俺とミアのスキルレベルが上がってたよな」
俺の治癒魔法は3に、ミアの風魔法は4になっていた
「実戦で使うと上がりやすいとかあるのかね」
「わからないけど、きっとそう。かなり無茶したから・・・」
「じゃあわざと怪我して治癒魔法を使えば「アル!」冗談だよ・・・」
わざわざ進んで痛い思いをする必要もないか
強くなりたいとは思うがミアを悲しませてしまっては意味がない
「ミア、そろそろ寝ようか」
「・・・うん」
「まぁ、すぐには寝かせないんだけどな」
「・・・えっち」
男はみんなそうだ・・・ミア、耳が嬉しそうに動いているぞ
「遠出する依頼ですか?」
エミリアに聞いてみる
「おう、なんかないか?」
「何日か前に商隊の護衛依頼があったのですが・・・今は特に無いですねぇ」
そうか・・・まぁそう都合良くはいかないか
「どうかしたんですか?」
「いや、ちょっと気分転換にと思ったんだが」
態々貴族であることを明かす必要もないだろう
その時、ギルドの扉を開ける音が聞こえた
入ってきたのは金髪に碧眼、かなりのいい男だ。白銀の全身鎧を着ており、どうも何処かで見たことがある気がする
鎧の男は俺を見ると嬉しそうに近づいてくる
「やぁ、アルバート。探したよ?」
こ、こいつは・・・
「シルバート兄・・・か?」
隣に居るミアが驚いているようだ
「覚えてくれていたようだね」
シルバート・ディレス、俺の6つ上の兄だった。
"シルバート・ディレス"
ディレス家の次男で王国騎士団員でもある俺の兄だ。今年18歳で俺や親父ほどではないが剣技に優れ、これからの活躍が期待される騎士団のホープだ。お袋譲りの金髪碧眼でかなりの美男子。性格も優しく、まさに騎士って感じの自慢の兄だったりする
「どうしてシルバート兄がここに?」
「それはこっちの台詞だよ、アルバート。家を出たんだって?」
やれやれといった感じで肩を竦ませている
「王都に居る僕たちに父上と母上から手紙が届いてね。アルバートが新しく妹になった子を連れて家を出たっていうじゃないか。それでガルバート兄さんと相談して、騎士団に休暇を貰って探しに来たんだよ」
なるほどな・・・
「いや、大変だったよ!冒険者になるって飛び出したそうだから王都に近い順に街を見て回ったんだけど、まさか王都から一番遠いミルスティンに居るなんてね」
領地からは一番近いから、本気で家出したんならもっと王都寄りの所に来ていると思ったんだけど・・・と付け加える
「・・・ガルバート兄も一緒にきているのか?」
「いや?今回休暇を貰ったのは僕一人だよ。それより、隣の可愛い子がミアかい?」
「ああ」
「そうかそうか。ミア、初めまして。アルバートの兄のシルバート・ディレスだ。君のことは手紙でだけど父上と母上から聞いていたよ。お前たちに可愛い妹が出来たってね」
よろしくねっと言いながらミアの手を握る
「初めまして、シルバート様。ミアといいます」
ミアは若干緊張しながらも挨拶をする
「あははっ、そんなに緊張しなくてもいいさ。君は僕らの妹なんだからね!」
うんうんと頷きながら握った手を離す
「さてアルバート、ここじゃなんだ。何処か落ち着いて話ができる所に連れてってもらえるかい?」
「わかった」
俺はシルバート兄とミアを連れてギルドを出る
「アルさんとミアちゃんって・・・何者?」
すまんエミリア、後で説明する
2人を連れだってしっぽ亭に向かい、ラーマさんに説明して1階のテーブル席を借りる
「さて、それじゃ単刀直入に聞こう。アル、領地に帰るつもりはあるかい?」
「ないな」
「そうだろうね・・・ただの家出ならもう帰っていても良い頃だ。でも何故なんだい?アルは昔から騎士を目指していたと思ったんだけど・・・」
「昔はな・・・でも今は違う。俺は世界を自由に見て回りたい。だから俺は冒険者になったんだ。」
「う~ん・・・僕としてもアルには騎士団へ入って貰いたかったんだけどなぁ。君にはやる気もあったし、何より嫉妬してしまうくらいの才能があった。今、刀剣術はいくつだい?」
「6だ」
「やっぱりねぇ・・・僕は今年やっと5になったばかりだよ」
これでも騎士団の同期のなかではトップなんだけどね・・・と付け加える
「それだけの才能を腐らせるには惜しい・・・と父上が嘆くのもわかるよ。僕もガルバート兄さんもアルが騎士団に来てくれるのを楽しみにしていたんだ。兄弟全員で騎士団を・・・王国を盛り上げていこうってね・・・」
そうだったのか・・・
「どうしてもダメかい?今なら僕も一緒に父上に謝ろう。僕もガルバート兄さんもアルが小さい頃に家を出て一度も帰っていなかったから、今更良い兄貴面するなって思われるかもしれないけど・・・」
本当にいい兄だ・・・だが
テーブルの下でミアの手を握り締めてはっきりと答える
「シルバート兄、本当にすまない。でもこれだけは譲るつもりはない。俺は、冒険者のアルバートだ。冒険者を続けるためなら、貴族を捨てても構わない。勘当してくれてもいいと親父にも伝えてくれ。」
シルバート兄はびっくりしたように目を見開く
「・・・そこまで本気なのか。」
シルバート兄は考えこんでいる
「ミアもそうなのかい?君にもとても優れた才能があると聞いてはいるけど・・・辛くないかい?僕としては君には屋敷で安全に過ごしてもらいたいんだけど・・・」
ミアも俺の手をぎゅっと握りしめる
「・・・私は、アルバートについていきます。今の私があるのは全てアルバートのおかげなんです。ご領主様や奥方様にはとても申し訳ないことをしてしまったと思っていますが・・・私も、今更帰るつもりはありません」
俺達の話を聞いたシルバート兄はため息を吐いている
「・・・頑固な子達だなぁ。全く、誰に似たんだろうね・・・」
苦笑しながら続ける
「わかったよ、連れ戻すのは諦めよう。僕じゃ抵抗されたらアルに敵わないだろうしね」
ありがとう、シルバート兄・・・
「でも、勘当なんてダメだ。かわいい弟と妹がいなくなったら、僕はショックで寝込んでしまうよ!」
だから・・・と続ける
「僕はこの休暇でアルとミアを見つけることができなかった、そういうことにしよう。君達も僕には会っていない・・・いいね?」
ああ、本当にありがとう。
「いいさ、でも気をつけなよ?僕は君達の意思を尊重するけど、父上とガルバート兄さんは何としてでも連れ戻すと言っていた。きっと見つかったら何がなんでも連れ戻そうとするだろう」
そうだよな・・・
「それと・・・アルバート、これだけは約束してほしい。ミアを絶対に守れ。僕にとってもかわいい妹を君に託すんだ、彼女が傷ついたり死んでしまうようなことがあれば・・・僕が君を殺しにいくよ?」
シルバート兄の目は本気だ
「約束する。俺は、ミアを絶対に守る」
俺も本気の眼差しでシルバート兄を見据える
「うん、良い眼だ。冒険者になったのは正解だったみたいだね」
シルバート兄の眼が優しくなる
「それと・・・避妊はしっかりしなよ?僕も王都に恋人が居るから気持ちはわかるけど・・・」
なっ!?
ミアは驚いた表情のまま顔を真っ赤にしている
「いやバレてないと思ってたのかい?君達のお互いを見る目・・・特にミアだ。明らかに兄妹に向けるような視線じゃないからね!熱がこもりすぎだよ・・・」
シルバート兄はため息をついている
「いや、いいんだよ。かわいい妹が一度も会うことなく弟の女になってたのが・・・ちょっとショックだっただけだから・・・」
なんか、すまん
「まだ子供なんだから、背伸びするのは家出くらいにしといて欲しかったけどね」
アルバート・ディレス 12歳 身長 157→158cm
スキル:刀剣術:6 火魔法:3 雷魔法:3 治癒魔法:3
装備 :上質な鋼の刀 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:金貨3枚 銀貨77枚
ミア 12歳 身長 155→156cm B→Cカップ
スキル:刀剣術:4 風魔法:4 氷魔法:3 治癒魔法:3
装備 :上質な鉄の忍者刀×2 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:金貨3枚 銀貨98枚
アルとミアは一日平均で銀貨4枚程稼いでいたようです。
生活費でちょっと減ったりします。