「アル、起きて」
「む・・・」
一昨日の疲労がまだとれていない。力があまり入らないせいで目を開けるのも億劫だ
「アル、もう朝。訓練場に行かないと」
昨日サボってしまったしな、鍛錬はしないといけない
「ふわぁ~。おはよう、ミア」
「おはよう、アル」
ちゅっと挨拶してくる
「朝から可愛いミアのキスで挨拶されるなんて俺は幸せ者だな」
「馬鹿を言ってないで早く着替える」
そう言いながらもミアは嬉しそうだ
肩で息をしながらもなんとか鍛錬を終える。こんなに疲れたのなんて屋敷で鍛錬していた時以来だぞ・・・
ミアも木剣を支えになんとか立っているが足はガクガクしている
「まるでイった時みたいだぞ」
「アルも情けない顔をしている。私の中に出した時みたい」
まじか・・・
「今日は・・・依頼はやめとくか」
「・・・賛成」
二人で肩を貸しながらギルドへ戻るとエミリアが俺達より小さい男の子と女の子の相手をしていた
「でも、冒険者って大変なんですよ?君達はまだ小さいですし・・・スキルも持っていないんですよね?あまりお勧めはできませんが・・・」
「大丈夫だよ!リーナは俺が守るから!」
「クリスのお守りかぁ・・・」
「はぁ・・・」
エミリアはため息を吐いている。どうやら彼らは冒険者になりたいようだ
俺はミアの耳元で囁く
「ミア、早く帰るぞ」
「どうしたの?」
「思い出せ、こういう時エミリアに見つかると大体俺達に不幸が訪れる」
「・・・確かに」
「次のエミリアの言葉を当ててやろうか?『あ、アルさんにミアちゃん!丁度良かった。実はこの子達冒険者志望なんですが・・・年も近いので色々と教えてあげてもらえませんか?』だ。」
「凄く説得力がある」
「だろう?今の俺達は疲労困憊だ。正直、今すぐベッドで横になりたいんだ」
「私も・・・」
お互い青い顔をしている
「なら、見つからないように行くぞ」
「わかった」
俺達は四つん這いになってカウンターを通り過ぎる
「大丈夫そうだな」
「うん」
エミリアにさえ見つからなければこっちのものだ
「この人たち何してるんだ?」
「なんだろうね?」
先程の彼らに見つかった。エミリアが身を乗り出してこちらを確認する
いかん!
「誰かいるんですか?あ、アルさんにミアちゃん!丁度良かった。実はこの子達冒険者志望なんですが・・・年も近いので色々と教えてあげてもらえませんか?」
「アルぅ・・・」
ミアは泣きそうな顔をしている
「俺達は・・・負けたんだ」
エミリアを交えて彼らと話をすることになった
「どうしてそんなに疲れてるんですか?鍛錬なら毎日してますよね?」
まさかえっちをし過ぎたせいだとは言えない
ミアにいい言い訳がないかと視線を送るが悲しそうな顔をしている・・・すぐには思いつかないか。ここは俺がなんとかしよう
「・・・必殺技の練習をな・・・」
「アル・・・」
苦しいか・・・
「け、何が必殺技だよ!」
男の子が何故か攻撃的だ。確かクリスとか言ったか
「格好いい・・・王子様みたい・・・」
どうやらこの女の子の所為みたいだ。リーナと呼ばれていたな
「アル、だめ」
なんでお前が居るのに小さい子に手を出すと思われてるんだ
「私には手を出した」
同い年じゃないか・・・
「まぁまぁ!一先ず自己紹介といきましょうよ」
お互い自己紹介をする。
「俺はアルバートだ」
「私はミア」
「俺はクリス・・・です」
クリスは茶髪のに茶色の目をした人族の少年だ。顔は中の上って所じゃないだろうか。先程からずっとこちらを睨んでいる
「リーナです!よろしくお願いします、アルバートさん!」
リーナは金髪に碧眼の人族の女の子だ。まるでお人形さんの様に可愛い。胸は・・・年相応だろう
「先程も言いましたがこの子たちは冒険者志望です。ですが村から出てきたばかりで荒事の経験も無く、特にスキルは持っていないそうです」
なるほど・・・
「お前たちはいくつなんだ?」
「12歳です!」
リーナが元気に答えてくれる・・・クリス、いい加減にその眼をやめないとぶん殴るぞ
「俺達は13歳だが登録した時は12歳だった。特に問題はないんだろう?」
エミリアに尋ねる
「それはそうですが・・・」
ならいいじゃないか、頑張ってもらえよ
「アルさんとミアちゃんとは事情が違いますよ!」
なんでだよ
「スキルです!あなた達はスキルを持っていたばかりか並みの冒険者よりずっと強かったじゃないですか!」
今じゃA級冒険者クラスですし・・・とぼやく
「・・・スキル何て発現するかはやってみないとわからんだろう」
「だからお願いしてるんです!」
何処まで面倒を見させる気なんだ・・・
「嫌、疲れてるから早く帰りたい」
珍しくミアが反論した
「そこをなんとか・・・このまま冒険者になったらこの子達・・・怪我をするか・・・最悪死んでしまうかも知れません」
「なら諦めて貰えよ・・・」
「いやだ!俺は冒険者になるんだ!」
「私は正直どっちでも・・・でもアルバートさんともう少しお話を・・・」
「この様子でして・・・」
・・・きっと断れないのだろうが今日だけは勘弁してほしかった
「わかったよ・・・だが今日は無理だ。明日以降にしてくれ」
「でもこの子達お金もないらしくて・・・今日泊るお金もないそうです・・・」
「行き当たりばったりすぎだろ」
クリスが立ちあがって喚き始めた
「こんな奴に教わることなんてない!それに村では俺結構強い方だったんだ!一つ年上なだけで偉そうな奴なんかに教わらなくたって大丈夫だよ!」
「クリス、失礼なことを言わないで!」
「リーナもなんとか言えよ!さっきからこいつのことばっかり見やがって!」
「やめて!なんなのクリス!危ないから一緒に付いてきてあげたのに!」
なんかケンカが始まった
ミアの方を見ると忍者刀に手をかけていた
「アルのことを・・・くそガキが・・・」
今のはミアの声じゃないよな?・・・そうだよな?
「ケンカはやめてください!」
エミリアが一喝する
「クリスさん!アルバートさんもミアちゃんも凄い人なんですよ!」
「こいつらのどこが凄いんだ!四つん這いでこそこそしてただけだろ!」
それを言われると痛いな
「アルバートさん、すみません!クリス!いい加減にして!」
リーナが諫めようとする
「そういえばなんで四つん這いになっていたんですか?」
エミリアが首をかしげている
こういう面倒ごとになりそうだったからだよ。・・・ミア、落ち着け
「うぅ~」
唸ってもだめだぞ
このままでは収拾がつかない。仕方ないか・・・
「おい、クリスとか言ったな?」
俺は声をでかくして軽く殺気を込めつつ彼に問いかける
「冒険者になりたいのは結構だがどうやって飯を食ってくんだよ?リーナもいるんだろ?今日の宿代もなくてどうするつもりなんだ?」
「・・・依頼を受けて」
「装備もないのにか?」
「うっ・・・それなら薬草採取でも」
「甘いな。薬草が生えてるミルスティン近辺の森にはモンスターが出る」
俺達は依頼を受けた初日に運悪くゴブリン200匹に襲われたぞ・・・
エミリアが俯く
「うう・・・すみません・・・」
まぁそれはいいんだ
「・・・」
「モンスターと戦ったことないんだろ・・・そんなところに装備も経験もないまま行くのか?」
「う、うるさい!そんなのなんとでもなる!」
「・・・なんとでもならないから言ってるんだ」
「腰抜けの癖に偉そうに指図するな!」
なんだこのガキは・・・いい加減頭にきたぞ
俺は重い体を動かして立ちあがるとクリスの腹を思いきり殴る
「がはっ!」
クリスは腹を抑えて床をのたうち回った
「お前が死んでも俺は別に構わん、知ったことじゃないさ。だがリーナはどうするんだ?リーナも一緒に死なせるのか?お前を心配して付いてきてくれた女の子を、お前の勝手な自己満足で殺すのか?」
「アルバートさん・・・」
何故かキラキラした瞳でリーナが見つめてくる
いや・・・俺がやったことだがクリスの心配をしてあげて欲しい
ミア・・・何故満足そうに笑っているんだ
「アルさん、やりすぎです!」
エミリアの反応が普通のはずだ
「殴って悪かったな。代わりに今日の宿代は出してやるから付いてこい。装備も軽く整えてやる」
これでいいんじゃないだろうか
「アルさん・・・別にそこまでして頂かなくても・・・」
エミリアはどうしたいんだ!
「アル・・・こんな子供のために私達の時間もお金も割く必要はない」
俺もそう思う・・・だが
「それではリーナが余りにも可哀想だ。こいつのバカに付き合って可愛い子が死んでしまうのは俺が耐えられん」
「か、可愛い・・・」
いかん、本音が出てしまった
「・・・アル?」
違うんだミア・・・
「後で言い訳させてくれ」
「・・・わかった」
俺はクリスに治癒魔法をかけていく
「うっ・・・腹の痛みが・・・?」
「こういうことが出来てもいつも危険が付き纏うのが冒険者だ。覚えておけ」
かなりの暴論だが今はこの場を収めるために言い切ってしまおう
「先程の話は聞いていたな?」
「・・・はい」
多少は大人しくなったようだ
「なら帰るぞ・・・お前らにも俺達が泊っている宿をとってやるから付いてこい」
俺達はクリスとリーナを連れてギルドの外に出た
アルバート・ディレス 13歳 身長 165cm
スキル:刀剣術:7 火魔法:4 雷魔法:5 治癒魔法:4
装備 :上質な鋼の刀 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:およそ金貨150枚
ミア 13歳 身長 163cm Dカップ
スキル:刀剣術:5 風魔法:6 氷魔法:5 治癒魔法:5
装備 :鋼の忍者刀×2 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:およそ金貨150枚