「と、言う訳だ」
「・・・わかった」
先程の釈明をしてなんとかことなきを得た。ちょっと顔が腫れあがったが・・・
「あいつの・・・特に俺への敵愾心は異常だ。あれじゃまともに話もできんしアドバイスも聞かないだろう。本当ならもう放り出したい気分だ」
だが・・・
「それではリーナが可哀想だと思った。だから一芝居打って俺への反骨心からでもいい、鍛錬だけでもまともにできるようにと考えたんだが・・・」
「あぁ・・・だから私のことを・・・」
リーナはとても残念そうだ
「あれでは近いうち本当に死んでしまうぞ」
「死なせておけばいい」
ひどいな
「そういえばなんでリーナは冒険者になろうと思ったんだ?」
もう彼女が別の道でも探してくれればあいつのことは放っておいてもいいんだが
「・・・実は」
リーナはぽつぽつと事情を話してくれた
「成程・・・貴族ねぇ」
ろくでもないやつがいたもんだが・・・はて?何処かで聞いたような名前の奴だ
「アルがそんな人でなくて良かった」
「当たり前だろう、俺は欲しい女が居たら自分だけの力で手に入れるぞ」
お前を手に入れたみたいにな
「・・・ばか」
ミアが顔を赤くしている。かわいいな、お前は
「それにそんなことは親父が許さんだろう」
「・・・確かに」
殺されてしまいそうだ
「あ、あの・・・」
ん?
「よくわからないのですが・・・その話し振りだとアルバートさんは偉い人なんですか?」
ああ、そういうことか
「没落気味の貴族の三男坊だけどな。俺はアルバート・ディレス、ミルスティンがあるこの土地の隣に領地があるんだ」
特に隠すことでもないだろうから話した
リーナは固まってしまっている
「ほ、本当に貴人だった・・・」
「貴人なんて大層なものじゃないよ、偉いのは親父とお袋だ」
俺は両親の期待を裏切って家出してしまったしな
「アル・・・」
ミアが俺を心配そうに見つめている
「お前が居てくれるんだ。なんの後悔もないさ」
彼女を抱きしめる
「・・・うん」
「あのぉ・・・」
そうだ、リーナが居たんだった。ミアがぱっと離れてすまし顔をする
「アルバートさんはミアさんの・・・恋人なんですよね?」
「そうだ」
「アルは私の男」
「そうですよね・・・」
リーナは俯いてしまった
「リーナはどうしたい?その様子だと村には帰れないだろうが・・・態々危険な冒険者にならなくても他の道を探すという手もあるぞ」
街で暮らすというのも悪くない手だと思うが
「私は・・・本当は村で静かに暮らしたかったです。戦いなんて私にできるとは思えません。それでも・・・理不尽に抗いたかったんです。初めては好きな男の人がいいです・・・好きでもない男の人に無理矢理されるなんて絶対嫌です・・・」
好きな人という所で俺の方をチラリと見た
リーナは一度言葉を切って続ける
「力が無いせいで理不尽に抗えないなら、私は強くなりたいです。束縛の無い自由な冒険者になって・・・自分の人生は自分で決めたいと思います」
ミアがリーナの話を聞いて俯いている。同じ女の子だ、何か感じるものがあったのだろうか・・・
彼女は顔を上げると金色の瞳でしっかりとリーナを見据えて口を開く
「リーナ、あなたにアルはあげない。けど、強くなりたいなら私が戦い方を教える」
ミアが自主的に他人に関わるなんて初めて見たぞ・・・
「えっ?」
リーナも驚いている
「・・・いいんですか?私は・・・私に優しくしてくれたアルバートさんが好きです。それなのに・・・」
はっきりと言われると結構くるものがあるな
「あなたではアルの恋人は務まらない。アルは私しか見ていない、だから問題ない」
まぁそうだが
「はっきりと言いますね・・・そりゃ私はちびですし魅力はないかも知れませんが」
いや、滅茶苦茶可愛いと思うが・・・
二人で睨み合う
「一人で生きていけるようにする。代わりの男でも見つけて」
「強くなったら私がアルバートさんをミアさんから奪うかもしれませんよ?」
「無理、その頃にはアルは私の夫。それにあなたには私やアル程の才能はない」
「ぐぬぬっ・・・」
何故この世界の女性は男を奪うなどと普通に考えているのか
これだと俺がヒロインみたいじゃないか・・・
「大体アルの所為」
何故だ
「わかりました、ミアさん!よろしくお願いします!」
リーナはクリスを探しに行った
「何故リーナを鍛えるなんて言い出したんだ?」
あんなに嫌がってたのに
「・・・彼女の境遇が私と似ていたから」
ミアの言葉に重みを感じた
・・・言われてみればそうか
ミアは理不尽な世界に絶望していたと言っていた。そこを俺に助けられた訳だが
「ただそれだけ」
そうか・・・
「しかしクリスはどうするかな・・・」
もう俺の話なんて聞かないだろうなぁ・・・
どうしたものかと考え込んでいると聞き慣れた男の声がした
「よぉ!やっぱりここにいると思ったぜ!久しぶりだな!」
カイムがアミカとマリアを連れて訓練場にやってきた
「カイムか、久しぶりだな。3か月振りくらいか?」
「ああ」
みんなで久しぶりの挨拶を交わしていく
そうだ、カイムが帰ってきたならミアが言っていた様に彼らに頼んでみるのはどうだろうか?
「なぁ、少し相談があるんだが」
「ん?」
俺は冒険者の後輩を面倒見ていることを話した
「成程なぁ、そのクリスって坊主がお前に嫉妬して言うことを聞かないと」
「ああ」
「アルは格好いいもんね。そのリーナって女の子が惚れちゃうのもわかるよ。でも特に命を助けたとかでもないのに一日で惚れさせちゃうなんて・・・」
ほんと、なんでなんだろうな
「アルさんは罪な人ですね」
何もしてないのに・・・
「そこは私も同感」
ミア・・・
「別に手ほどきくらいならいいけどよ、それだって多少はできる様になるまでは二人だと依頼は危ないだろうが」
まぁな
「お前らに面倒を見てもらうことはできないか?一月か二月もあればなんとかなるだろう」
「冗談言うなよ・・・」
「流石にそれは・・・」
「私は構いませんが命の保証まではできませんよ・・・」
そこでミアが口を開く
「あなた達はアルに借りがある」
はて?貸した覚えはないが
「命を助けた」
そんなこともあったな、だがそれは仲間なら当然のことだ
「アルに情報を隠して危険な所に連れて行った。私は許してない」
「ぐっ!」
「それを言われると・・・」
「何も言えませんねぇ・・・」
そのことは途中で話して貰ったんだが・・・
「わかったよ・・・確かに今回の依頼で金は稼げた。しばらくはここでゆっくりしながら鍛錬を積むつもりだ。次の目標の話も収穫はなかったしな」
レッサーデーモンのことか
「ついでに後輩の面倒くらいは見てやってもいい。ミアちゃんの言う通りお前には申し訳ないと思っていたからなぁ」
「仲間だろう、気にするなと言ったはずだ」
「それでもだ、友人のお前にいつまでも後ろめたい気持ちを引きずってるのは癪だ。これで貸し借り無しってことにしてくれや」
それでいいよなっとカイムが二人に確認を取る
「ええ、構わないわよ。私もアルもに恩返ししなくちゃ」
「私も構いません。むしろ命を助けられた訳ですから・・・わ、私のことを抱いて頂いても!」
「あ、マリアずるい!なら私も!」
「ふざけないで。それだとご褒美になる」
「「ぐぬぬっ!」」
やっぱりこいつらはいい仲間だ
アルバート・ディレス 13歳 身長 165cm
スキル:刀剣術:7 火魔法:4 雷魔法:5 治癒魔法:4
装備 :上質な鋼の刀 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:およそ金貨150枚
ミア 13歳 身長 163cm Dカップ
スキル:刀剣術:5 風魔法:6 氷魔法:5 治癒魔法:5
装備 :鋼の忍者刀×2 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:およそ金貨150枚