「全然眠れなかったぞ」
ミアの提案を受けた昨日は二人別々の宿で泊った
彼女が居ないと寂しくて堪らず、布団を丸めてミアだと思って目を瞑った
そのまま悶々としていたらいつの間にか朝になっていたのだ
「訓練場に行くか・・・」
俺はふらふらとしながらギルドへ向かった
訓練場に着くとミアが既に居たが・・・様子が変だ
彼女は蹲って自分の体を抱きしめている
「ううううう・・・・ある・・・何処にいるの・・・私を・・・捨てないで・・・!?これはアルの匂い!」
バッとミアが顔を上げて俺を見つける
「おはよう、ミア」
「アル!何処に行ってたの!ミアずっと待ってたのに・・・ふぇぇぇん・・・」
彼女は重症だ
「大丈夫だったか?俺は良く眠れなかったぞ」
ぐしぐしと泣いているミアを抱きしめる
ミアは俺の胸で10分程泣くとぽつぽつと話し出す
「最初はベッドで寝ていたはずなのに・・・いつの間にかアルを探して訓練場としっぽ亭を行ったり来たりしてた・・・」
重症にも程があるだろう
「こんなに可愛いお前が一人で夜の街を歩いていたら犯されてしまうぞ!ちゃんと部屋にいないとダメじゃないか!」
「わかってるの・・・わかってるのに頭がぼーっとして・・・何回も知らない男に絡まれた・・・」
まさか・・・
「大丈夫なのか!?」
嫉妬で狂ってしまいそうだ!
「大丈夫、ちょっとやりすぎてしまったけど」
ヤリすぎてしまった・・・だと・・・
俺は気が遠くなって地面に倒れ込む
「ははっ・・・これが俺への罰か・・・ミアが他の男に・・・嘘だろ?」
涙が出てきた・・・
ミアが悪いのではない。彼女をこんな風にしてしまった俺が悪いのだ・・・
「死にたい・・・」
だがそれはできない。俺の命は最早自分だけの命ではないのだ
「アル・・・?どうしたの?」
彼女のきょとんとした顔が見える
「あぁ・・・ミア、お前はもう俺だけのミアではないんだな・・・くそっ!誰だ!誰がミアを犯しやがった!斬り刻んで豚の餌にしてやるぞ!」
俺は刀を引き抜いて訓練場を出ていこうとするがミアが手を掴む所為で進めない
「離せ!その男達は何処にいる?お前は教えてくれるだけでいい、後は俺に任せろ」
「・・・何を言ってるのかよくわからないけど私は犯されてない」
・・・どういうことだ?
「私がアル以外に心も体も許すはずがない。昨日絡んで来た男達は私に指一本触れずに地面を転がった」
「ヤリすぎてしまったというのは?」
「イライラしてたから骨の1本や2本は折ってしまった」
なんだ、そういうことか
「ビックリしたぞ。危うく無実の人間が何人か死ぬところだったな、はっはっは」
「・・・アルがおかしくなった」
寝てないからな
「しかしたった一日でこれだ、あまり有効な策ではない気がするな」
「そんなことはない。今はアルが傍にいればそこまで変な気持ちにならない」
なるほど・・・ミアには結構効果があるのか
「なら俺も我慢の時だな」
ミアが頑張っているのに俺が音を上げる訳にはいかない
「ただ夜に出歩くのは問題・・・」
そうだなぁ
「今晩からはベッドに体を縛り付けておくことにする」
最早病人だな・・・
なんとか一月ほど過ごした所で、俺もミアも問題なく一人で眠れるようになった
「何か愛が薄まってしまった様で嫌だな・・・」
「これが当たり前、依存するのと愛するのは違う。私はだいぶ良くなってきた」
彼女は以前の強さを取り戻している。いや、前より強くなったかもしれない。もう不安になっても体が勝手に動いてしまうようなことはなくなったそうだ
また、確認したが他のスキルが消えても弓術は消えなかった。これで万が一行為ができなくてもミアは戦うことができる
「あのミアも可愛かったけどな」
「冗談はやめて、私は不快だった」
「そうか・・・」
だが涙目で俺を求めてくるミアは格別に可愛かった、勿論今のミアが大好きだが
「・・・演技ならしてもいい」
ミア様・・・
寒さも厳しくなり、年を越した
俺達はとうとう14歳になったのだ
「ミア、そろそろミルスティンを出ようと思う」
「うん」
色々とあったが楽しい2年間だった。
「知り合いに挨拶をして街を出ようか」
何も今生の別れという訳ではない。軽くでいいだろう
「え~!アルさんとミアちゃん街を出て行くんですか!?」
「まじかよ!やっとお前らと酒を楽しめるようになったっていうのによ!」
まずはエミリアとガイエンだ
「ああ、前から決めていた。俺の目的は世界を見て回ることだからな」
「二人にはお世話になった」
俺達は頭を下げる
「二人とももう何時でもB級に昇格できるのに!」
「ははっ別の街で気が向いたら昇格試験でも受けるさ」
「また帰ってくる、その時はよろしくお願いします」
「絶対に帰って来て下さいね!アルさん!ミアちゃんを離しちゃだめですよ!」
当たり前だ
「土産話を期待しているぜ、それを肴に飲もうや」
ああ、期待して待っていてくれ
「そうか、寂しくなるな」
「アルもミアも居なくなっちゃうのね・・・」
「お体には気を付けて・・・うぅ・・・」
カイム達にも挨拶に来た
「数年で帰ってくる、そうしたらまた一緒に依頼を受けような」
「皆には本当に迷惑をかけた、ごめんなさい」
「おう、と言っても俺達もそろそろ別の街に行く予定なんだ」
そうだったのか
「もう俺達でもしっかり準備すればレッサーデーモン一体くらいならなんとかなるからな」
そうだな
「だがここには定期的に帰ってくる、また会おうぜ!」
「ああ」
カイムと握手する
「アル、次に会う時は覚悟しときなさいよ。私達を振ったことを後悔させるくらいいい女になっててやるんだから!」
アミカ・・・
「アミカさん!・・・とはいっても結局私達まだ次の恋を見つけられていないんですが・・・」
マリアもすまないな。
「あなたたちは年齢的にもう成長はしないと思う」
「うるさいわよミア!あなただってそうでしょうが!」
「私はアルに愛されてる」
「きぃぃぃぃ!悔しい!」
本当に面白くていい奴らだった
「アル!ミアを大切にしなさいよ!絶対だからね!」
「そうです!ミアちゃんを泣かせたら私達が許しません!」
任せておけ
「うう・・・アルさん・・・ミアさん・・・お気をつけて・・・」
リーナとクリスにも挨拶した
「けっ!早くいっちまえ・・・お気をつけて」
リーナに睨まれたクリスは慌てて挨拶を返す
「帰ってきたら一緒に依頼でも受けような」
「リーナ、鍛錬を怠らない様に」
そういえばミアはリーナの師匠だったな
「はい!もっと強くなってもっと美人になります!そうしたらアルさんを・・・」
「だめ、アルは私のもの」
ぎゅっと抱き着いてくる
「実力で奪ってやりますとも!」
「無理」
リーナは強くなりそうだな・・・
クリスは項垂れている・・・クソ生意気な奴だったがこればかりは同情してしまう。何時か彼女に振り向いて貰えるといいな。
「そっか、二人とも行っちゃうのかい」
「はい。本当にラーナさんにはお世話になりました」
ラーナさんには一番お世話になったからな
「お世話になりました」
「よしとくれよ、2年も贔屓にしてくれてこっちが礼を言いたいくらいだよ」
「帰って来たらまたお世話になると思います」
「楽しみに待ってるよ」
それ以外にもお世話になった人達に挨拶をして部屋へ戻ってきた
荷物を纏めて部屋を片付ける
「本当に色々とあった」
「うん」
ここで毎晩ミアと愛を交わしたこと、俺の所為でミアを傷つけてしまったことなど思い出すのが億劫な程の思い出がここにはある
「ミア」
「なに?」
「愛してる」
「・・・私も。愛してるよ、アルバート」
キスをして二人で部屋の扉を潜る
「お前は俺が守るよ」
「アルは私が守る」
手を繋いで街の外に出る
幼い頃に憧れた夢を果たすときが来た
これからは長い旅になる、その全てが冒険と言っていいだろう
そんな中でも隣に居るミアは、俺と繋いでいる手を愛おしそうに握って笑顔を見せてくれる。
ふとミアの首元を見てみると見覚えのあるネックレスが見えた
「ミア、まだ持っていてくれたんだな」
「当たり前、これは一生大事にする」
初めてミルスティンへ来た時に買ったハート型の宝石がついたネックレスだ
ミアはそれを手に取ると嬉しそうに頬を緩めて笑みを強める
この笑顔を守り抜く為にも、俺は更に強くなる必要があるな
「ミア、まずは新しい武器でも探しに行こうか」
「うん、アルに付いていく」
俺達はまるで散歩に出かけるような足取りで、ミルスティンを後にした
アルバート・ディレス 14歳(17歳相当) 身長 175cm
スキル:刀剣術:7 火魔法:4 雷魔法:5 治癒魔法:4
装備 :上質な鋼の刀 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:およそ金貨150枚
ミア 14歳(17歳相当) 身長 168cm Fカップ
スキル:※刀剣術:5 ※風魔法:6 ※氷魔法:5 ※治癒魔法:5 弓術:1→2
装備 :鋼の忍者刀×2 カーボンの合成弓 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:およそ金貨170枚
※60時間(870-55=815)