「さて、始めようか」
騎士団の訓練場で俺とガルバート兄は向かい合う
「真剣でいいのか?」
俺達の獲物は木剣ではなく、ガルバート兄は正統派の直剣、俺は何時もの刀だ
「勿論だ、だが急所は狙うなよ。俺達の力量ならそれでも十分なはずだ」
まぁな
「アル・・・」
ミア、大丈夫だ。信じていてくれ
「うん!」
「がりゅばーとにいさんもありゅばーともぎをづけで」
シルバート兄・・・また顔がひどいことになってしまったな
「ミアよ、治してはならんぞ。俺とアルの決闘が終わるまではそのままにしておけ」
「わかりました。ガルバート様」
「しょんなぁ」
あの何時も優しくて格好いいシルバート兄が・・・くっ!
「さて、アルよ。・・・大きくなったなぁ。今のお前を見ているとまるで父上と対峙しているように感じるぞ。容姿も・・・実力もな」
それは嬉しい限りだ。剣士として俺が目指す姿が親父だからな
「実力はまだまださ。だが、この決闘に負けるつもりはない」
「それでいい。お前の全てを俺に見せてくれ」
ちょっと怖いんだが・・・
「いくぞ!」
ガルバート兄は直剣を横に持って真っ直ぐ俺に向かってくる・・・速い!
「そらっ!」
「くっ!」
なんとか刀を合わせて剣を弾く
強い!俺が振り遅れるなんて親父と鍛錬していた時以来だぞ!
「ははっ今のを弾くか!やはりアルの才能は凄いな!若干14歳にして俺の剣を見切ったか!騎士団の中でも俺の初撃を防げる人間は片手の指で収まるぞ!」
初撃を防げたのは正直運が良かった
「お褒めに預かり光栄だ。だが一回弾いたくらいで認めてはくれないんだろう?」
俺もガルバート兄も笑う
「当然だ、さぁ今度はお前の剣を見せてくれ」
「ああ、たっぷりと味わってくれ」
今度は俺から襲い掛かる
ガルバート兄は190cmを超える長身だ。自分よりでかい奴と戦う時はまず足を狙うのが定石だが・・・
「それは流石に読めてしまうぞ」
足を狙った斬撃をガルバート兄は後ろにステップすることで簡単に躱す・・・ここだ!
俺はもう一歩距離を詰めて刀の軌道を無理矢理変え、逆袈裟斬りでガルバート兄の手首を狙う
「なに!?」
ガルバート兄は驚きながらも剣を軽く後方に放り投げ、柄を離すことでそれを避ける。剣を回収するためにステップして更に距離を取った・・・空中でキャッチしやがった。そこまで計算して投げたのか・・・
「・・・今のは危なかったぞ」
結構自信があったんだけどなぁ
「随分と真剣を使った対人戦闘に慣れているな」
「これでも冒険者なんでな」
盗賊や山賊の討伐は日常茶飯事だった
「そうか、冒険者になったのは悪いことばかりではなかったようだな」
ガルバート兄は本当に嬉しそうに笑う
「さぁ、続きをしようか」
勿論だ
その後何度もガルバート兄と剣を交える
本当にガルバート兄は強い、ここまで実力差がないとは思ってもみなかった。
やはり俺達は親父の子供なんだなと二人で笑いながら剣を競い合う
十合、二十合と打ち合う度にこの戦いが楽しくて仕方がなくなってきた。この偉大な兄ともっと打ち合いたい、そう思った
だが、五十合を超えたあたりから俺の体に変化が起き始める
剣を打ち合う度にガルバート兄の動きが見えてくる・・・自分の体の動きが最適化されていくのを感じたのだ・・・これは"上がった"か?
「ふっ!」
「ぬぅ!」
鍔迫り合いになる・・・ガルバート兄は剣を受けた位置が悪い、ここだな
俺は一瞬力を込めて押し込み、そこから刀を手放し屈んでガルバート兄の足を払う
「なんだと!?」
「これで終わりだ」
倒れたガルバート兄に落ちてきた刀を拾って突き付ける
「・・・参った」
俺は偉大な兄に勝利したのだ
「アルよ・・・本当に強いな」
「ガルバート兄も強かったよ、本気で斬り合いができたのは親父と鍛錬していた時以来だ」
そうか・・・とガルバート兄は嬉しそうに笑う
「やはり惜しいな、その力を騎士団で振るうつもりは本当にないのか?」
「ああ、本当にすまないと思う。だが俺の意思は変わらないよ」
俺は、ミアと共に生きていく
「そうか・・・いや、いいんだ。俺が言い出したことだからな。今更どうこう言うつもりはない」
ありがとう、兄さん
「そういえばお前の刀剣術はいくつだ?その腕では7か8はあるだろう」
ふむ、そういえば最近ミアのことばかりで自分のスキルを確認していなかった気がするな。心の中でスキルリストと呟くと刀剣術は8になっていた
「・・・8だな。前に見た時は7だったはずだが」
恐らく、先程ガルバート兄と打ち合っている時に上がったのだろう。途中から明らかに俺の剣速と動きは速くなったからな
「そうか。俺は7なんだが・・・弟に抜かされてしまったなぁ」
あんたも十分化け物じゃないか
「8つも下の弟に負けてしまったのだ、自分を鍛えなおさねばならん」
ガルバート兄ならいずれ剣の頂きに昇れる気がするな
「お前に言われてもな」
「勿論、俺が先に辿り着くよ」
抜かせっとガルバート兄は笑うが顔を引き締めて俺を見据える
「アル、ミアを守れよ。これは兄としての言葉でもあるが・・・剣を交えた一人の男としての願いでもある」
兄さん・・・
「妹を、頼む」
「ああ、任せてくれ」
「アル・・・ガルバート様も・・・格好良かったです」
ミアは頬を染めて俺達兄弟の決闘を見つめていた
「ははっそうかそうか!妹に格好良いと言われるとなんかこう・・・くるものがあるな」
そりゃミアは格別に可愛いからな
「アルは恋人としてだよ?」
ありがとな
「ぬぅ・・・やはりミアは置いていかないか?年始には父上と良く酒を飲むんだが、その時父上はミアの話ばかりしていてな・・・・少し気持ちがわかったぞ」
親父もミアが大好きだからなぁ
「こんなに可愛いくて優しい娘ならそりゃ心配するさ」
シルバート兄もミアに治してもらって復活したようだ
「俺とミアはこのまま冒険者として活動するよ。まだ親父やお袋には会えないが・・・冒険者として功績を打ち立てて、何時の日か会いに行ってくるさ」
そしてその時は決して遠くはないだろう
理由はわからないがミアも復調したし俺もガルバート兄との決闘で成長した。
ミアの復調した理由を調べたら後はもう前進するのみだ
「ああ、その時は俺達も一緒に詫びに行ってやるぞ」
「僕達は兄弟だからね、弟と妹の不始末も兄の仕事さ」
本当にいい兄さん達だ
「ありがとう・・・兄さん」
「・・・ありがとうございます。ガルバートお兄様、シルバートお兄様」
ミア・・・お前が二人をお兄様と呼ぶなんてな
「私はアルの恋人だけど・・・御二人の妹でもあるから」
どうやら彼女の中でも何かが吹っ切れたようだな
「うぉぉぉぉぉぉぉ!シルバートよ!聞いたか!?ミアが俺達をお兄様と!」
「聞いてましたよ。・・・ガルバート兄さん、鼻血が出てますよ」
「お前も出ているではないか・・・」
そ、そんなにミアにお兄様と言われるのは嬉しいのか!?
「ミ、ミア!俺も今だけお兄様と呼んでくれないか?」
「・・・嫌」
頼む!
「・・・アルバートお兄様」
!?
「ははっアルよ、お前も鼻血が出ているぞ」
「アルも妹としてのミアの可愛さに気付いてしまったようだね」
「・・・ああ、ミアは最高だな」
3人でデレデレとした顔をし、鼻血を出しながらミアを取り囲む
「・・・ちょっと気持ち悪い」
アルバート・ディレス 14歳(17歳相当) 身長 177cm
スキル:刀剣術:7→8 火魔法:4 雷魔法:5 治癒魔法:4
装備 :上質な鋼の刀 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:およそ金貨130枚
ミア 14歳(17歳相当) 身長 168cm Fカップ
スキル:刀剣術:5 風魔法:6 氷魔法:5 治癒魔法:5 弓術:2
装備 :鋼の忍者刀×2 カーボンの合成弓 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:およそ金貨150枚