「助けて頂いて本当にありがとうございます!」
山賊に凌辱されることがなかった先程の女冒険者を除いた5人のうち、一人の女の子が俺に話しかけてくる
既にミアが拘束を解いて話をしていたのか、俺を見つけても怯えることなく全員が集まってきた。年の頃は14~17歳くらいまでの女の子ばかりだ
「ああ、気にしないでいいよ。それより君達は大丈夫か?」
ミアが既に確認しているだろうが念のため確認する。・・・警戒されないよう優しく微笑みかけておこう
「あっ・・・。っいえ!大丈夫です!」
女の子が俺の顔を見てぼーっとするが気を取り直して答えてくれる・・・いかん、度がすぎればまたミアに怒られてしまう
「そうか、それならいい。君達は近くの街"カッシーナ"に送って行くがそれでいいか?」
カッシーナは俺とミアが昨日泊って今朝依頼を受けてきた街の名前だ
「はい!私達は全員その街の出身ですので!・・・でも私達、本当に助かったんですね・・・」
今のやりとりで帰れることを実感したのか、全員が目尻に涙を溜めて口々に御礼を言ってくる
どうやらこの子達はカッシーナに連れて行けば問題なさそうだ
「ああ、君達は助かったんだ。よく頑張ったな」
俺は14歳くらいの女の子の頭を撫でて落ち着かせる様に呟く
「あっ・・・お兄ちゃん・・・」
そうか、今の俺とミアは14歳だが見た目は17歳くらいだったな
「うっ・・・うぇぇぇぇぇぇぇん!」
女の子が俺に抱き着いて盛大に泣き声をあげる
「よしよし、もう怖い人達はいないぞ。助かったんだからそんなに泣いてはダメだ」
俺は諭す様に頭を撫でながら呟く
「うぁぁぁぁぁぁぁん!・・・ひっく・・・だってぇ!」
ああ・・・更に泣いてしまった
すると女の子の泣き声が聞こえたのかミアがテントから飛び出してきた
「アル!なんで女の子を泣かせて・・・」
彼女は俺と抱き着いている女の子を見て固まる
「・・・なぜさっき言ったことも守れないの?」
「いや待て。俺は何もしてないぞ」
変なことはしていないはずだ
俺に抱き着いて泣いていた女の子が俺とミアの間に割って入る
「ぐす・・・獣人のお姉ちゃん・・・違うの。お兄ちゃんは悪くないの・・・」
どうやら俺が責められていると思って庇ってくれたようだ。優しい子だな
「お兄ちゃん・・・?」
ミアがまた固まった
「・・・アル。あなたの妹は私」
突然なんだ・・・それに
「おい、妹は嫌って言ってたじゃないか」
「私はアルの妹で姉で恋人」
ミアは我儘だった
「憔悴していた女の子達はかなり落ち込んでる。自殺はしないだろうけど・・・カッシーナには戻りたくない、男は怖いからしばらく見たくないって言ってる」
ミアが詳しく話してくれる・・・そうだよな
「どうするかな・・・」
どうしたものかと二人で悩んでいると俺達に声がかかる
「私に任せて」
声のする方に俺とミアで振り返ると冒険者の女性が居た
「私が護衛して他の街に連れ行くよ。私は・・・彼女達を助けられなかったしね。それくらいは任せて。自立するまではなんとか面倒も見てみるよ」
それはとてもありがたいが・・・
「だがあなただけでは大変じゃないか?」
「まぁなんとかなるわよ。これでも私はC級だからね」
成程、別の街に行くまでの護衛としては問題なさそうだ
「私の仲間が裏切らなければ・・・助かった女の子はもっと多かったと思う。罪滅ぼしをさせてよ」
とても責任感のある良い人みたいだ
「わかった」
俺も誠意を見せるべきだろう。金を入れている革袋を取り出して彼女に渡す
「ん、なに?・・・金貨!?こんなに・・・」
「それでしばらく彼女達の面倒を見て欲しい。俺は・・・何もしてやれんからな」
金しか出してやれないのが口惜しいが今の彼女達には必要なものだろう
「あなた・・・良い男だね。・・・顔もこんなに整っていて強いし・・・あたしもあなたについて行きたくなっちゃったよ」
冒険者の女性は泣きそうな顔をして俺に抱き着いてくる
ミアはもう溜息を吐いてそっぽを向いていた
「すまないな。あなたの名前は?俺はアルバートだ」
「私はフィーリア。アルバート・・・ああ・・・アルバート。もっと早くあなたに会いたかった」
フィーリアの胸はGカップくらいあるんじゃないだろうか。綺麗な金髪を背中まで流していて目は碧眼、どことなくお袋に似た正統派の美人だ。身長は165cm程あるだろう、年は18歳くらいだろうか
「フィーリア、彼女達を任せたぞ。・・・何時か一緒に依頼を受けられるといいな」
「任せて。・・・アルバート」
フィーリアは目を瞑ってぷるぷるの唇を突き出す・・・いかんぞこれは、雰囲気に流されてキスをしてしまう所だった。彼女は魅力的すぎる
俺はぐっと我慢をしてフィーリアの肩を掴む
「俺には恋人がいる。すまないな」
「そっか・・・ごめんね。惑わしちゃって」
彼女は俺から離れると寂しそうに笑う・・・くそ、なんという破壊力だ。ミアという素晴らしい恋人がいなければ俺は一瞬で恋に落ちていたぞ
「構わないよ。さぁ、何時までもここには居られない。そうだ、一人途中で助けた女の子も居たんだ。その子を探して脱出するとしようか」
アリスを迎えに行かなければならない
「ええ、そうね」
「うん」
ちなみに捕えた男達はフィーリアが一人一人叩き起こし、拷問したあと始末していた。少し彼女の怖い一面が見えたな・・・当然か。
リーダー格の男は治癒魔法で止血して洞窟内に縛り付けておいた。女性も居るし連れていくわけには行かない。冒険者ギルドに伝えて人を送ってもらおう
「嫌です!私もアルバートさんと一緒に居たいです!」
アリスを見つけて外に出たところでフィーリアがこれからの行動を伝える。するとアリスが大声で叫んだ
「我儘言わないの!私だってそうしたいけど・・・他人の恋路を邪魔するなんて良くないことよ!」
俺とミアを見てフィーリアが言う
「うぅ~。でも!他の街に連れてってくれるってアルバートさんが約束してくれたんです!」
「だから私が連れて行くって!」
「やだ!アルバートさんと一緒がいい!」
「言うことを聞きなさい!男の子を怖がってる子もいるのよ!」
ふぇ~んとベソをかいているアリスをフィーリアがなだめる
「私達は別の街に行くの・・・そこで新しい人生を始めましょう?アルバートは冒険者よ・・・今のあなたじゃ付いて行っても足手纏いになるわ」
「なら・・・私も冒険者になります!強くなってアルさんに恩返しがしたいです!ミアさんにも助けて頂いた恩を返したいです!」
フィーリアは一瞬驚いたような表情を浮かべるがその後嬉しそうに笑う
「なら私が鍛えてあげる。女でも一人で・・・冒険者として生きていけるようにしてあげるわ」
「ありがとうございます!フィーリアさん!」
助けた時は絶望していたアリスだがどうやら目的が出来て元気になったようだ
ミアがこちらを半眼で見ながら呟く
「アル・・・どれだけ女の子を惚れさせれば気が済むの?」
俺はそんなつもりはなかったんだ・・・
「わかってるけど納得できない」
彼女は顔を背けて足をイラつかせている
最近のミアはぷりぷりしてばかりだ。そんなに怒ばかりでは良いことなんてない、尻でも撫でて落ち着かせよう
「ッ!ばか!」
思いきり足を踏まれた
その後、フィーリアとアリス達が別の街へ向かったのを見送って俺とミア、助けた女の子達は日が落ちる頃にはカッシーナの街へと戻った。女の子達はギルドで保護され、無事家族の元へと帰って行く
「本当にありがとうございました!」
泣きながら御礼を言いつつ、家族に迎えられた彼女達を見送って受付嬢と会話する
「よくご無事で・・・」
受付嬢の名前はシェリナというそうだ
シェリナは泣きながら俺に飛びついてくる
「言っただろう、俺達に任せてくれと」
「それでも心配だったんですよぉ!」
ミアはもう諦めたのかこちらを見てすらいなかった
「山賊達のアジトにボスらしきを男を捉えてある。人を送ってくれないか?」
「任せてください!」
こうして山賊団討伐の依頼は完了した
依頼料は後日支払われるようだ。山賊団の規模が予想以上に大きかったことと助けた女の子達の家族からの謝礼も出るからだ。
「数日は街にいなきゃな」
「うん」
表情の無いミアを連れて夕暮れの街を歩いて行く。今回は彼女を妬かせてばかりだった。露店で何か買ってあげて少しでもご機嫌をとろうか・・・
「アルは無一文」
何を言っているんだ、俺達は金なら腐るほどあるはず・・・
「フィーリアに全て渡してしまった。何も全部渡す必要はなかったのに」
そういえばそうだった。格好をつけて金貨を入れた袋ごと全て彼女に渡してしまったではないか
「アルは今晩泊まる宿代も無い」
ミアは溜息を吐いている
「ミア」
「なに?」
ここは恥を忍んでミアにお願いするしかないだろう
「金を貸してくれ」
「嫌」
ミアは怒っていた
アルバート・ディレス 14歳(17歳相当) 身長 177cm
スキル:刀剣術:8 火魔法:4 雷魔法:5 治癒魔法:4
装備 :上質な鋼の刀 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:素寒貧
ミア 14歳(17歳相当) 身長 168cm Fカップ
スキル:刀剣術:5 風魔法:6 氷魔法:5 治癒魔法:5 弓術:3
装備 :鋼の忍者刀×2 カーボンの合成弓 変異リザードマンの革鎧セット
所持金:およそ金貨150枚