もはや、職場は完全に危険地帯と化した。
「……っ、く、ぅ……」
誰……? 仕事中だというのに……見えないおちんぽに子宮が疼かされている……!
どうやら、このフロアで誰かが
私とて、順風満帆にこの地位まで登り詰めたわけではない。あることないこと騒ぎ立てられても、毅然と黙殺することはできる。
だが、これだけは……
おちんぽの香りには耐えられない。
悔しいけれど、もう……!
私はサッと席を立ち、何食わぬ顔でトイレの個室へ。そして、また――
「ん、んふぅ……はぁん……あ、あぁ……❤」
熟したおまんこをグチュグチュするの……気持ちいい……
また……また…………
「あ、あっ、あぁっ、あ……ん~~~~~❤❤❤」
ビクビクと全身を駆け巡る緊張、そして脱力。不愉快なはずなのに、心地よい。デスクに戻れば、新たにおちんぽを感じられるのだと楽しみになってしまうほど……!
本当にもうダメだ。
もし、岩重のように迫ってくる男がいれば、誰であろうと
例えそれが、職務中であっても……!
早めにこうしてこまめにクールダウンしておけば、最悪の事態は避けられる。
だが、先週のように抜けられないミーティングや来客対応中を狙われたらおしまいだ。
これ以上は、もう誰とも関われない。
男のいない場所に身を隠さなければ……!
本当は仮病など用いたくはない。が、いまは緊急事態である。会社にはインフルエンザだと偽り、私は秘書の浅見にビジネスホテルの一室を取らせた。
会社への連絡はすべて彼女に任せている。辞表も、ここから証明郵便で送付するつもりだ。私はもう、一日足りとも出社することはできない。
だが、これでようやくまともに仕事ができそうだ。日々の業務も、転職の準備も、秘書のお陰で滞りなく進んでいる。
「後任の佐藤さんには、本日分の連絡ですべての引き継ぎが完了しております。一応、別部署への異動だと伝えてはおりますが……」
薄々勘付いてはいるだろうな。私が職場内に留まることはないということに。
「何にせよ、日数は残り僅かだ。もう少しだけ……よろしく頼む」
「はい、部長」
さて……そろそろ浅見は退勤の時刻か。外回りからの直帰というスケジュールにしてもらっているが、業務時間外まで拘束することは憚られる。
「では浅見、明日も頼むぞ。くれぐれも……内密に」
「心得ております」
夫にさえも出張だと伝えており、私がここにいることを知っているのは、自分を除けば浅見だけ。食事の買い出しすら秘書に頼み、私は部屋の外に一歩も出ていない。さすがに今度は大丈夫だろう。
ただ、自社で進める予定だったタスクも含めると随分遅れてしまった。秘書は帰らせたが、ひとりでできるところはやっておかねばならない。改めてノートパソコンに向き直るが……
カチャリ。
……ん? 再び扉が開く音が聞こえる。どうやら、浅見が戻ってきたらしい。何か忘れ物でもしたのか?
「部長、お伝えし忘れていたことがありまして」
「どうした。明日ではダメなのか?」
そういうと、浅見はUSBメモリを取り出す。
「こちらのファイルを早急に確認していただいても宜しいでしょうか」
「ふむ……浅見が言うのなら、見た方がいいのだろうな」
メモリを差すと自動的に読み込みが始まり、そこに映し出されたのは――
『あぁっ、はぁんっ、美沙のおまんこぐしょ濡れですぅ❤』
「なぁっ!?」
突然現れた部下の肢体に、私は慌ててラップトップの蓋を閉じる!
「浅見っ、これはどういう――」
振り返って――変わり果てたその姿に、私は絶望するしかなかった。
「ククク……コイツ、ずっとスーツの下にこの荒縄を仕込んでたんですよ? 気づきませんでしたぁ?」
「い……岩重……っ!?」
「部長……ごめんなさぁい……こうしないと岩重くん、おちんちんくれないって言うからぁ……❤」
裸体の上を蜘蛛の巣のように張り巡らされた禍々しく赤い縄。胸を縛り、股間を締め上げ、その下から突き立てられた厭らしい小道具は……!
脱ぐだけならともかく、退室からこの瞬間までにこんなものを施している猶予はなかったハズ。
まさか、業務中ずっと……!?
「部長は引き続き、仕事でもしてたらどうですぅ?」
この余裕は、この場に刃向かえる者がいないことによるもの。おそらく浅見も、私と同じ薬物に犯されてしまったのだろう。
いや、彼女の痴態は私以上かもしれない。
「あぁん、岩重くんのおちんちん……おちんちん……」
アソコを
「ほら、どうして欲しいか言ってみろよ」
これは、私に対しての命令ではない。全裸で寄りすがる別の女に対して……!
「美沙のおまんこでぇ、岩重くんのおちんちんを気持ちよくして差し上げたいです! どうか美沙のおまんこを使わせてくださぁい!」
ついに耐えきれなくなったようで、浅見は無断でズボンのチャックに手を掛ける。それを大人しく受け入れるなんて……あの男らしくない。それで、すぐにわかった。これは私に対する嫌がらせなのだと。目の前で、私を挑発するために。
だからこそ。
「仕方ねぇなぁ。ほら、貸してやるよ」
ヤツが腰を下ろしたのは扉へと通じる通路の前。そこで、ソレをしまうことなく、大きく膝を開いて――
「あぁんっ、ありがとうございますぅ❤」
私がここから脱出するためには、ヤツラと向き合わなくてはならない。だが、そんな私を嘲るように、岩重たちは自分勝手に楽しんでいる。
「いいっ! あぁんっ、おちんちん……おちんちんでおまんこ悦んでますぅ……❤」
ヤツからの言いつけだろうか。浅見はわざわざこちらに見せつけるように、岩重に背を預けている。そして、はしたなく足を開き、抜き差ししているところがわかるように――!
「
私の腰もガクガクと震え始めている。それは、座面に擦り付けるように。もう下着は気持ち悪いほどにヌルヌルと浸されており、これは外側のパンツまで湿らせているだろう。
だが……勝手なことをすれば、握られている動画をばら撒く準備はできているはずだ。ゆえに、岩重はこんな余裕めいたことを言う。
「おやおや部長さぁん、部下のセックスを眺めながらお仕事なんて、好きですねぇ?」
「くっ、あんな動画さえ撮られていなければ、こんなの……」
いつかは折れてしまうとしても、そう簡単に屈したくはない。せめてもの抵抗の意思を見せていたところ……岩重は、意外なことを口にする。
「おやぁ? もしかしてここから逃げたら部長の動画をネットに流すとでも思いましたぁ?」
「何を……白々しい……ッ!」
これに、岩重は――
「ハハッ、そんなことしませんよぉ」
「な……んだと……?」
ヤツは後ろから浅見の頬をムリヤリ捻じ曲げ、舌先と舌先でキスを交わしている。
「コレを見てわかりません? 部長はもう……用済みだと言っているんです」
「ナニっ!?」
「はぁっ、あぁ……おちんちん……おちんちんで
つまり……私より若い娘を手に入れたから、もう……
「……フッ」
ナメられたものだな。生憎だが、私は浅見ほど薬に毒されていない。アソコは
「なら、私は失礼させてもらうぞ。退職の手続きは他の者に頼むとしよう」
岩重からの歓心が失われたのなら、コソコソと逃げ回る必要はない。ただ夫の会社へ移動すれば、それですべての片が付く。
私が保持しているのは、せいぜいブリーフケースとノートパソコンくらいのもの。手早く荷物をまとめると、私は痴れ者ふたりを見下ろす。
「浅見、せいぜい岩重に可愛がってもらうことだな」
「はいぃぃ♪ 岩重くんのおちんちんで……美沙、何度でも
とはいえ……私とて、ヤツの言い分を真に受けているわけではない。もしかすると扉に……もしくは、扉のすぐ外に、何らかの罠が仕込まれている恐れはある。だが、ドアノブを回し、廊下に出ても……私には危害を加えられる様子はなかった。
本当に……本当に、何もないのか?
「それでは、部長さん。お疲れ様でしたぁ~」
最後まで小馬鹿にした岩重の挨拶を背に受けながら、私はついにヤツの魔の手から開放された。
さて、明日からどうしたものか……と案ずる前に、やはり気になることがある。さっき、無駄に耐えてしまったために、尻のあたりに染みができているかもしれない。背後から見られないよう鞄で隠しながら早足で、私はトイレに駆け込んだ。どちらにせよ、この下着はもう穿いていたくない。
下半身をズルリと下ろすと……まだ濡れているのか。もう私を厭らしくするものなど何もないのに。
これは、少しではあるが当てられた所為か。ならば、中途半端に留めるのではなく、一度
「ん、ん……ん……はぁ……」
私の脳裏に思い描かれるのは……不本意ながら先程の濡れ場。ふたりの秘書が、淫らに絡み合っている姿がどうしても頭にこびりついている。
「はっ、あ、あぁん……んぁ……」
下から突き出した太いモノが、女の股の間に……
「あ、あぁっ、ん……あぅ……」
私の股の間にも、自分の指が出し入れされている。こんなに、膣のあらゆるところが
「あん、あ、
ビクンっ!
「……はぁ……あぁ……あぁ……」
ほら、もうチンポチンポと騒ぎ立てる必要もない。もし不慮の事態があったとしても、自分で収めることもできる。
だが……
……空しい。
なんだ、この虚無感は。私はすぐにでもパンツを穿き直し、残りの作業に着手しなくてはならないのに。
もう充分だろう。
私を束縛するものはもう何もない。
岩重の影に怯えることなく、新天地で一からやり直せば良いのだ。
岩重の、影に怯えることなく――
もう、アイツは私から興味を失った。
浅見で
仮に本社の廊下で鉢合わせたとしても、厭らしい嫌がらせ仕掛けてくることはない。
私に、快楽をもたらしてくれることなど、もう――
「ん、ん、んん……」
私は既婚者だぞ!? 夫がいるのだぞ!?
ならば、然るべき相手と行為を営むべきだ。
だが、蘇ってくるのは岩倉からの愛撫ばかり。
岩倉に陥れられ、乱暴に
夫は、絶対にあのようなことはしてくれないだろう。
無数のおちんぽに囲まれて、前も、後ろも、おちんぽに貫かれて……
「ふぁっ、あ、あぁ……あ、あぁ……」
また……
なのに、満足感がまったくない。
かといって、下腹部が疼く様子もない。
これ以上自分で掻き回しても、私が欲しいものは得られないから。
私が欲しいものはもう、与えられないのだから……!
こんなホテルからは早々に立ち去るべきだろう。なのに、私は再びあの部屋に戻ってきていた。
そっと扉に耳をつけると――
「皆さん
他に人がいるのか、ネットで配信しているのか、浅見は事後の様子を見せびらかしているようだ。
うちの夫は避妊にうるさい。絶対に
私は思わずドアノブを引いてしまう。が、中から鍵が掛かっていて開くことはない。ガタガタと扉を鳴らすことで、岩重も私の存在に気づいたようだ。
「どうしたんです? 部長さん。忘れ物なら、明日浅見に届けさせますが?」
中から聞こえてくる男の声は、つまらなそうで素っ気ない。
「そ、そうか。そうしてくれ」
踵を返して、一歩、二歩と遠ざかってみる。だが、何をされることもない。
何も、してくれない。
私は……本当に……!?
「ぅ、ぅぅ……あぁ……」
これで良かったのに!
これで平穏に戻れるのに!
なのに……ぅ……私の……私の
もうおちんぽを……ザーメンを浴びられないなんて耐えられない!
欲しい! 欲しいの!
おちんぽが!
ザーメンが!
むせ返るほどのおちんぽで私の
これからおちんぽのない日々が待っているなんて、考えただけでおかしくなってしまいそう!
おちんぽ! 私のおまんこはおちんぽを求めているの!
夫の皮付きフニャチンなんかじゃない。
岩重くんの立派なおちんぽを……
次から次へとやってくるおちんぽたちを……!
一度決別に同意しているのだ。それを覆すのならそれなりの誠意を見せなくてはならない。
決して深くもないこの時間帯だ。誰かに見つかってしまうだろう。それでも構わない。従業員に見つかって摘み出されるようなことがなければ――同じ乗客であれば、誰に
幸い、裸になる間には誰も来なかった。しかし、ここを開けてもらえないと、私は……!
「ごめんなさい! 私が悪かったわ! おちんぽを……岩重くんのおちんぽを私にもちょうだい……っ!」
扉を叩きながら、おちんぽおちんぽと連呼する。こんなのいつクレームを入れられてもおかしくない。だから、お願い……早く出てきて……!
さすがの岩重も、これは放っておけなかったらしい。すぐさま中から顔を出すと、あからさまに怪訝な表情。そのクセ、おちんぽだけはそんな元気に……!
「……素っ裸でナニしてるんです?」
そんな……そんな残酷なことを言わないで! そのおちんぽでこれから浅見を犯すのでしょう? だったら……私にも! 私のおまんこにもそのおちんぽを……!
「おちんぽが……岩重くんのおちんぽが欲しいの! お願い! おちんぽを……っ!」
形振り構わず懇願する醜態に、元の岩重に戻ってくれたようだ。
「だったら、頼み方ってもんがあるでしょう?」
ええ、もう、何だってやってやるわよ!
「これまでの無礼をどうかお許しください。私のおまんこも、岩重くんのおちんぽに使ってやってください……」
廊下の向こう側から、誰かに
「ふぅん……なら、もう余計なことはしない、って約束する?」
……その前向きな要求に、私の胸がときめき始める。とくとくと血液が下腹部へと流れ、それが愛液となっておまんこから溢れ出してきた。
もう、引き下がれない。
もう……諦めることなんてできない!
「はい。岩重くんのおちんぽのためなら……私はどんな命令にも従います……」
これまでだって、信じられないほど酷なことを強いられてきた。
それなのに……もし今度拒めば、本当に相手にされなくなるだろう。
だから、何気ない岩重の口調さえ、私は震え上がらずにはいられない。
「へぇ……そんならさぁ……」
***
当初予定していた出張の期間を経て、私は自宅のマンションへと帰された。
辞表はホテルから直接投函されている。いまさら取りやめることなどできない。
だが……会社を変えたところで手遅れだ。
私はもう、岩重から逃れることはできそうにない。
こうなっては、むしろ夫と同じ会社に移ってしまったのは逆効果だ。
あのような不貞行為がいつバレるか……そんな後ろめたい日々を送らなくてはならない。
暗澹たる気持ちで、私は玄関の鍵を開けた。
「帰ったわ」
夜も遅かったので、夫はもう寝ているかもしれない。と思っていたが、リビングの灯りが着いていた。それで、部屋を覗いてみると――
「これは……どういうことだ……?」
「!」
テーブルに腰を掛け、震える夫の背中は痛々しい。
卓の上にはスマートフォンが何かを映し出している。が、それを覗き込まずとも、何が流れているのか私にはすぐに察しがついた。
「これはどういうことだと訊いている!」
何も言えない私に向けて、夫は画面を突きつける。そこに映し出されていたものは――
『ホームレスだと溜まってるのでしょう? ほぉら、おちんぽ
「こ……これは……その……」
……最悪だ。よりにもよって……だが……終電も過ぎてないガード下での淫行である。人通りも少なくないそこで、私はボランティアと称して全裸になり……
『あぁっ、はぁん! 撮ってぇ! おっぱいもおまんこもいっぱい撮ってぇ! ネットに流して、世界中のおちんぽのオカズになりたいのぉっ❤』
通りがかる人たちからカメラを向けられただけでなく、こんなことまで叫んでいたのだ。本人許可済みとばかりに、様々な動画サイトに上げられたのだろう。
「違うっ! これは……これはッ!」
言い訳にもならない悲鳴を上げて、私はその場に蹲る。
「何が違うだ! 大学の友人から気になる動画があるとアドレスが送られてきたんだぞ? 俺は同窓会の笑い者だ!」
妻が法に触れる危険行為を犯しているのに、先ず案ずるのは我が身の世間体か。私がどんな想いで、痴態を晒していたかも知らずに……!
私だって、本当はここまでのことなどしたくなかった。でも、岩重がおちんぽをくれないというから仕方なく……!
「今回の出張だって不倫旅行だったんだろうが! この淫乱女が!」
「わっ、私は淫乱なんかじゃ『私のおまんこ淫乱だからぁ、誰のおちんぽでも
もう止めて! お願いだから、これ以上私の無様な姿を見せつけないで!
「どうせ、俺の会社に移るのだって、こっちでいい男でも見つけたんじゃないのか!?」
「そんなワケないわ!」
誰が好き好んで、あんな小さな会社に移るもんですか!
「黙れ! 身の固さを信じて結婚したのに……このビッチが!」
ガツッ、と頭に画面ごと投げつけられては……さすがに沸々と怒りも湧いてくる。
そもそも、この男がもっとしっかりしていれば……
援助交際や不倫どころか、熱愛報道が流れてもテレビを消してしまうほどのヘタレだ。どんな理由があっても、他の男との不貞行為など許すはずがない。
もし、夫が私を信じてくれて、ふたりで立ち向かえたのなら、岩重の呪縛から逃れられた可能性もあった。
それなのに……!
「うっ……るさいわね……このフニャチンが……!」
「……チッ、本性が出たか、アバズレめ」
「そもそも、貴方がもっとしっかりしていればこんなことにはならなかったのよ!」
「俺に落ち度なんてどこにもないだろ! テメェが勝手に色欲に溺れただけだろーがッ!」
バチンと頬を叩かれたが、叩かれっぱなしでは我慢ならない。こちらからも一発引っ叩いてやって――もう、関係の修復は不可能か。
「……離婚届だ。これにサインして、いますぐ出て行け」
「えぇ、出ていくわよ。アンタみたいなヘタレと結婚なんてするんじゃなかったわ」
彼は用意していた書類で机を叩くと、私にペンを投げつける。それを落とすことなく掴み取り……一筆。あとは勝手に届け出なさい。
「じゃあな、ヤリマン。警察に捕まらないよう気をつけるんだな」
「余計なお世話よ。女ひとり満足させられないチンカス野郎」
いまさらこの家の荷物をまとめようという気も起きない。私は帰ったそのままの手荷物だけ掴み取ると、鍵を投げつけて家から出ていく。
だが――
カツカツと外の廊下を歩いていると、押し寄せてくるのは絶望感。
失ってしまった……すべてを……
仕事もない。
夫もない。
もはや帰る家さえもない。
これから、私はどうすれば……
フラフラと建物のエントランスから出たところで――
「お待ちしておりました、部長」
いまの私は、何を見ても驚くことはない。
マンションの目の前――バス通りに面した歩道の真ん中に、全裸の女が立っていたとしても。陽の落ちた闇の中で街灯を浴びて輝く浅見は、何を恐れることもなく堂々としている。
「私はもう、部長じゃないわよ。辞表はもう提出済みだもの」
「でしたら――」
――再就職など、いかがですか?
どこの会社の、何の仕事か訊く必要もない。
浅見の姿を見れば、その内容は明らかだ。
「これは、異動? いや……左遷、か」
自分にはもう、何も残されていない。そんな自分に役割を与えてくれるのだ。贅沢など言ってられない。
「いえ、栄転ですよ。さあ……いますぐお召し物を……」
浅見はその役職を心から受け入れている。しかし私は、彼女のようにはなれない。だとしても……どうやら私には、既に服を着る権利すら認められていないようだ。そもそも、私の裸体は、性器の中まで全世界に公開されている。いまさら恥じる必要もないか。
時間帯としてはそれなりに夜遅くはあるものの、先程から浅見の背後を何台もの車が左右へ行き交っている。歩道を来る者もあったが……さすがに素通りはできなかったようで、手前の脇道へと逃げていったのが見えた。こんな場所で猥褻行為に及んでいるのだから、通報されるのは時間の問題だろう。だが、そう手間は取らせない。
こんなジャケットなど、これからの私には必要ないものだ。
必要とされているのはおまんこだけ。
それが私に残された、唯一の存在価値なのだから――
***
辞表は提出したものの、事実上の部署異動といえるだろう。
新たな配属先は、肉奴隷部。今日も部長として、会社の地下トイレでおちんぽたちを慰めている。
「いらっしゃいませ……今日はどこをご使用でしょうか。口マンコでしょうか。ケツマンコでしょうか。何なりとご所望くださいませ……」
タイルの上に一糸纏わぬ姿で平伏する冷たさにももう慣れた。私はここでおちんぽ汁を
「ああ、いつものオメコで頼むよ」
「かしこまりました」
第三営業課の課長……結婚して、子供もいるんじゃなかったかしら。まあ、そんなことはどうでもいい。
太い腹周りのベルトを緩めると、そのままスラックスを下ろしていく。そしてパンツも。中から現れた硬く野太い肉塊に……思わず頬も緩んでしまう。これは、薬の効果がまだ続いているのだろうか。いまさらどうでもいいことだけれど。
「先ずは口マンコでご奉仕させていただきます……」
こうして唾液でぬめらせると共に、おちんぽの香りを喉いっぱいに吸い込んでいく。すると……あぁ……胸は高鳴り、おまんこも物欲しげにヒクヒクと疼きだした。この悦びこそが私のすべて。おちんぽのために、私は生きている。
だから、愛しいおちんぽを隅々まで味わいたい。あぁ……口の中で
「ぅ……
まだダメよ。課長は何度も
「射精は、おまんこにてお願いいたします」
口からおちんぽを離した私は、ゆったりと課長に尻を向ける。彼は、バックが好きだから。
「それじゃあ、今日もたっぷり精子をやるからな!」
「はい……ありがとうございます……」
私の胸が高鳴ってくる。やっぱり、私のおまんこは……おちんぽには逆らえない!
「あっ、あぁ……いい……大好きです! おちんぽ愛してますぅぅぅぅぅ❤」
硬い骨盤が打ち付けられて、硬いおちんぽが子宮の奥まで響き渡る。こうしてもたらされる男の人の衝撃こそ、私のすべてといってもいい。何もかも忘れて、ただただ快楽に身を委ねるこのときがずっと続いて欲しいと願うほど。
でも、この男はあまりに頼りない。
「
「はいっ! おまんこに! おまんこで
ビュルッ、ビュルルッ、ビュクッ!
「はぁん、精子ぃ! おまんこが精子で悦んでますぅぅぅ❤❤❤」
……早い。もっとおちんぽを味わわせて欲しかったのに。まあ、いいわ。代わりのおちんぽならいくらでも来るから。
おちんぽを送り出した私は便器の一部として、元の便座の上に腰かけて待機を続ける。次は、もっと活きの良いおちんぽだといいのだけれど。
しかし、次にこのトイレへとやってきたのはおちんぽではなかった。
「外回りより戻りました」
「ああ、お疲れ様」
浅見は岩重に社外まで引っ張り回され、外部の重役を取り込もうとしているらしい。現場としては、素敵なおちんぽを願うばかりなのだけど。
「それで……首尾は?」
「取締役を二名ほど。うち一名はすぐにでも、と私と同伴され、応接室にてお待ちいただいておりますが……部長、接待のご準備は」
「できているわよ。いつだってね」
相手が重役ともなれば、ふたりがかりでご奉仕する必要があるだろう。何より、こんなトイレでは失礼にあたるか。
浅見が私の個室の前まで迎えに来る。私が携えるのはこの
これから二人でエレベータに乗って三階の客間へと上がることになる。社員たちが行き交うフロアを通り抜けて。元同僚たちから投げかけられる奇異の目、そして唾棄するような眼差しももう気にならない。ただ……一階にて扉が開いたとき、待っていた女子社員は我々の姿を見るなり完全に固まってしまった。次のゴンドラまで待たせてしまったことについては申し訳ない。
「ところで部長」
目的階に着く前に、浅見がこちらも見ずに口を開く。
「今回の接待のお相手は、
先日の転職の際に世話になった方だ。しかし、今日は下半身の世話をすることになるのだろう。
「構わないわよ。おちんぽさえ立派ならね」
あの社長、こんなところに堕ちた私を見たらどう思うだろうか。いや、岩重のことだから、伝えた上で誘致してきたのかもしれない。
何なら、今度は私から先方の会社にお伺いしようかしら。出張肉便器として――別れた夫の顔見知りをことごとく食らい尽くしていってやりたい。一本一本、あの男と比べながら。