※この作品はR-18です。

クラスメイト、異世界で勇者やるってよ。   作:bear大総統

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やっとR18っぽい文章が書けたね。でも本番はないよ、ごめんね!
もう少しだけ待ってクレメンス。でも近しいうちにHシーンは投稿できるよ。五月中には絶対書きます。
あとお気に入り登録謝さまの数の増えかたが尋常じゃない。俺が言うのもなんだけど、もっとエロい小説見に行った方が良いんじゃないの?
あと、今回、結構キツイ表現があります。注意して読んでね‼


我が世の春が来た!

 一体どれ程の時間が過ぎたのだろうか?

 数秒のようにも思えたし、何十分も時が過ぎているようにも思えた。

 時間感覚が曖昧になるくらいに俺は目の前で倒れている異形の美女に恐怖し、緊張している。意識せずに、日本刀の柄を握りしめている手に力が入った。

 

「ん…………?」

 

「っ!」

 

 彼女の意識が覚醒した。

 身体は起こされていないが、そんな体勢でも俺を屠るには充分すぎるステータスを彼女は持っている。そんな怯えを隣に立っている俺の《聖魔》──ニュクスに感づかれたのか、彼女は俺を庇うように一歩前に出、手に持った杖で異形の美女──ティアマトの頭を殴打する。

 

「痛ぅ──!」

 

 それはぽかり、という音が相応しいような振りかぶり方だったが、ニュクスもまた俺とは比較にならない程の高ステータス保持者だ。相当痛かったのだろう、彼女は起き上がり頭を大袈裟に押さえた。

 

「ようやく起きましたか、駄龍」

 

「──いきなりご挨拶ね、この無駄乳女神。相変わらず無駄に露出度の高い格好して。男でも誘ってるの?」

 

「無いものの僻みは聞くに耐えないですね。封印されている間に股と一緒に頭まで緩くなりましたか」

 

 ──シリアスが吹っ飛んだんだけど。

 ティアマトとニュクスは俺を放って互いを罵り合っている。うん、俺から言わせてもらえばどっちも男を誘ってるような格好してるよ。

 

 ニュクスは単純に露出度が高い。

 地球にあった水着の一種であるパレオの様な装束を纏っているが、脚部は水着というよりはドレスに近い。ただ、そこに大きなスリットが入っているために肉付きのいい太ももが露になっている。上半身はマイクロビキニというわけでもなく普通のビキニ程の布面積であるのに、仕様なのかワンサイズほど小さいために、布が彼女の爆乳に食い込んで劣情を誘ってくる。大変けしからん。

 

 ティアマトは露出度はニュクスよりは低いものの、格好が大変けしからん。

 ロボットアニメのパイロットスーツのようなピッチリと身体に張り付いた装束は、ノースリーブな上に鼠径部ほどまでしか布が存在していない。そこに彼女の鱗がサイハイブーツの様に彼女の足を覆っているため、非常に扇情的だ。加えて足や手の先端にある鉤爪、側頭部から真っ直ぐと天を突くように生えている角。エロい格好を抜きにしても、フィクションの中にしか存在していなかった存在に俺は歓喜していたに違いない。

 

 にしても……。

 

「仲良いのな、お前ら」

 

「別に仲良くありません」

 

「いやいや、俺のいた世界には『喧嘩するほど仲がいい』って言葉があってだな」

 

 即座に否定するニュクスに俺は苦笑しながら答える。

 俺の事なんて忘れて言い合いしてたでしょう、あなた方は。にしたって、そんな話題で喧嘩するなら是非とも俺の居ないところでやってほしいものだ。気不味さが半端じゃないから。

 

「……あんた、誰?」

 

 そこでやっとティアマトの興味が俺に移ったようだ。戦闘前は俺を見つめながらも、どこか虚ろだったその異形の瞳はしっかりと俺に向けられていた。

 ──ティアマトとちゃんと会話が成立するとわかったからか、彼女に対する恐怖心は吹き飛んでしまっていた。

 

「初めまして、ティアマト。俺は宵坂湊。今世代の勇者で、一応ではあるがニュクスの主ってことになってる」

 

「ふーん、あんた勇者なの。随分と弱そうね。あの大賢者(クソ野郎)とは大違いだわ」

 

「召喚されてまだ一週間なもんでな。ニュクスの主として面目ない限りだ」

 

 俺は彼女の言葉に肩をすくめながら答えた。

 反論なんてできようはずがない。彼女の言葉は否定のしようのない事実だ。

 

 あれだけ《聖魔》が強大な力を持っているというのに、今の自分は勇者の中で突出して強いわけではない。陸堂や桐生先生と戦っても蹂躙できるかと言われれば間違いなく否と答えるだろう。閻魔王とのコンビネーションで常に戦い続ける陸堂と、火に水、風に土属性と四種の魔法を組み合わせて遠距離から弾幕で圧倒してくる桐生先生は中々に鬱陶しい。無論、負けるつもりはないし絶対に勝ってみせるが。

 

 だが、以前決意した『ありとあらゆる策を尽くそうとも、それを叩き潰す絶対強者』にはまだまだ程遠いことは自分でもわかっている。その絶対強者側のものであるティアマトやニュクスには俺はさぞかし弱く見えるだろう。

 

「それでもミナトは貴方に勝ちましたけどね。私の主人は強いのです」

 

 ふふん、と勝ち誇ったように言うニュクス。うん、可愛い。それでもティアマトの前でそうやって煽っていかないで。もう一回戦えって言われたら勝てる気がしないから。

 事実、ティアマトの額に青筋が走ったような気がしたから。

 

「あれは勝ったって言うのか? ほぼほぼ相討ちみたいなものだったろ。それにあのときのティアマトは頭なんて働いてなかったからな、俺はその隙を突かせて貰っただけだ。万全の状態でやりあえって言われたら勝てる気しねぇよ」

 

 そんなティアマトが暴れ狂わないように俺はフォローをいれた。

 ──彼女はニュクス曰く寝惚けていた状態だった。そんな状態でまともな思考力なんてあるはずがない。俺が筋力ステータスも敏捷ステータスも大敗していた相手にあそこまでやりあえたのは動きが直線的であったためだ。剣士として大事な駆け引きなんか微塵もない状態だったため、1分間時間稼ぎが出来たにすぎない。まぁ、大物喰らい(ジャイアントキリング)でステータスが大幅に上昇していたこともあったが。

 それに俺には彼女と同等の力を持つニュクスがいた。だから俺は彼女を最善の状態でティアマトにぶつける作戦を立案しただけであり、もしこれが彼女より少しでも弱かった《聖魔》であったのなら俺の墓場はここだっただろう。

 いや、そもそも自分の腹を貫かせて動きを止めるって行為自体が作戦としては最悪のものだろうが。

 

「気付いたら《黒皇戦域》に放り込まれていたからどういうことかと思ったけど、そういうことだったのね。そう、ニュクスを《聖魔》に…………ねぇ、ニュクス。彼はあんたの彼氏なの?」

 

「は⁉」

 

 彼氏⁉ なんかとんでもないこと口走ったぞコイツ!

 

「彼氏ってどういうことよ⁉」

 

「どういうことってそういう意味に決まってるじゃない。あんたも《勇者》なら知ってるでしょ? 《聖魔契約》の時のあの品定めをするようなあの目線。ねぇ、ミナト。あんたは《聖魔》がどういう基準で契約者を選んでるか知ってる?」

 

「……単純な素質とか? 才能のある奴のところには強い《聖魔》が契約したがる、みたいな」

 

「それは契約したがる、というよりは出来るか出来ないかって感じね。《勇者》それぞれにどれだけの数の《聖魔》と契約できるか、どれだけの強さを持った《聖魔》と契約できるかって感じで」

 

 つまりは個人でキャパシティみたいなものが決まってると。それでその量を超えた奴はそもそも契約すらできないっていう感じか。

 ティアマトの話は続く。

 

「それよりも大事なものがあるのよ」

 

「それは?」

 

「《聖魔》の好みよ。

 あんたもいない? 『コイツすごい優秀だけどどうしても好きになれないわー』とか『この子ちょっと抜けてるけど嫌いになれないわー』って子。《聖魔》──というか《聖魔化》するような魔族にはそんな意思が芽生えるの。『コイツ弱いから、その分俺が手助けしてやりたい!』とか『この子物凄く強いけど、生理的に嫌だから契約してやーんない』っていうのね。勿論素質も大事よ? それが好み以前に自分と契約できるか否かに関わってくるんだから。でも同じような素質だったらそれぞれの好みを優先するの。

 あとは自分が使う能力にどれだけ適性した才能を有しているか。これは魔法系の《聖魔》が最も重視するところだけど、ニュクスや私くらいになるとどうでもいい事ね。契約者の適性云々よりも、私達と契約したことでもたらされる恩恵の方が大きいから適正なんてどうでもよくなるし。事実、あんたの適正は《闇属性》がずば抜けているわ。元がどうだったのか私は知らないけど」

 

「どれだけずば抜けているか聞いて良い?」

 

「1が最低で100を最高とするなら、火が2、水が15、土が3、風が5、聖が1、闇が120ってところかしら」

 

 まさかの限界突破!!

 

「それであんたの素質だけど……まだ《聖魔》と契約できるわね。具体的な数を出すとなると平均的な強さを持った《聖魔》なら5体ぐらい」

 

 え、マジで?

 あれだけ凄いと思った桐生先生の記録をあっさり抜いてしまったんだが?

 しかもニュクスと契約していてそれだ。元の俺のキャパシティは一体どれ程だったのか。

 しかし、そうなると疑問が残る。何故、それだけの容量が空いていながら俺と契約をすることが出来たのはニュクスだけであったのか。

 わからないことはわかっている奴に聞いてみる。正解に辿り着くための最短ルートだ。

 

「じゃあ、なんで契約できなかったんだ?」

 

「そんなのニュクスが睨みを効かせてたからに決まってるじゃない」

 

「と、言いますと?」

 

「《聖魔》の好みの話はしたでしょ? 好みがあるってことは性格があるってことなのよ。それでニュクスはあんたを他の《聖魔》と契約させたくなかったってこと。それでニュクスくらいになると《聖魔》の中でも強さは最上の部類に入るわ。最強の存在に『この子は私が契約する。あなた達には契約なんかさせない』って言われたら、引き下がるしかないわけよ。まぁ、引き下がらなかったら叩きのめせば良いわけだしね。ここまで言ったらわかるでしょ?」

 

 なるほど。つまり──、

 

「ニュクスはすげぇ独占欲が激しいわけか──!」

 

「そう、あんたは容姿性格全てがニュクスの好みドストライク。しかも自分と契約できるっていうんだから、これを逃すはずがないわよね。で、どうせなら私だけの契約者にしようって思って、他の《聖魔》を威圧してたわけ──」

 

「ティアマトォオオォ──ッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」

 

 俺の顔面の横を《闇球(ダークボール)》──といっても俺のとは比較にならないほど速く大きいものだ──が走り抜け、ティアマトの顔に突き刺さる。が、瞬時に赤い煙が立ち上ぼり、時間が巻き戻るように再生する。

 咆哮したニュクスはそのまま、ティアマトの胸元を掴んだ。

 

「……何すんのよ?」

 

「何すんのよ、じゃない! 殺すっ! 今度こそ殺すッッ!! 断じて殺すッッッ!!! そんな根拠もないことを口走って──!!」

 

「じゃあ違うの? そんなこと言っちゃったから、ミナトがあんたの見えないところで悲しげな顔をしてるけど?」

 

 あ、ここで俺に話を回しますか?

 ニュクスが俺の方にゆっくりと顔を向けてくる。その頬は真っ赤に染まっていて、熟れた林檎のよう。そんなニュクスが最高に可愛いので、俺はティアマトの言うとおり悲しげな顔をした。

『ひどい! 私はそう言ってくれて嬉しかったのに!』と無言ながら彼女に告げる。

 

「──ッッ!」

 

 そんな俺に彼女は言葉を詰まらせると、そのうち自棄になったようで、さらに頬を赤くしながら畳み掛けるようにして言った。

 

「──ええ、そうよ、そうですよ! 私はミナトの事が好きですよ! それが何か⁉ ここに来たのもあなたを封印から解くのなんてついでで、私が完全体になる為に来ましたが⁉ そうすればミナトはもっと強くなれますし、私だってちゃんと喋れるようになってイチャイチャできますし! 何なんですか⁉ 悪いんですか、好きな男の子を私だけのものにしたいって思って一体何が悪いんですか⁉ 文句があるなら言ってみなさいよ‼」

 

 ──俺の顔は彼女に負けないくらい赤くなっているだろう。ティアマトがにやにやしながらこっちを見ているのがその証拠だ。

 

「──なぁ、ニュクス。ちょっと耳塞いでてくんね?」

 

「は? ……はい、こうですか?」

 

 彼女は困惑しながらも、赤くなってしまった耳を塞ぐ。

 よし、これで俺も言いたいことが言えるわ。え? 耳を塞いでても聞こえるだろって? 良いんだよ、別に。これは俺が少しでも恥ずかしさを和らげるためなんだから。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 可愛すぎんだろぉおおぉおおがよぉぉぉおおおお──ッ!!!」

 

 俺の声にニュクスの肩がびくりと跳ねる。

 聞こえたんだろうが知らん、俺が続けるぞ。この行き場のない気持ちを解き放つんだ。

 

「何なんだよ、最高かよ、可愛すぎかよッッ! 独占欲が強いところなんて最高だわ、俺だって好きだわ‼ 見た目は美人なお姉さまって感じなのに、中身は純真乙女とかギャップが最高すぎるわ、神か、神だったわ! こんな奴に『好きだ』って言われて断る奴なんているか? いや、いるはずがない! そんな奴は存在していてはいけない! そんな奴がいたら俺がぶっとばしてやるわ! まったく、俺の《聖魔》は最高だぜ‼ ニュクスと契約できてよかったぁぁぁぁぁぁぁぁ──ッッッ!!」

 

「ぅあ……ぅぅ…………!」

 

「ぞっこんね」

 

「当たり前だよなぁ⁉」

 

 完全体になる前のニュクス──長いからロリニュクス──の時から俺は散々可愛い、可愛い言い続けてきたんだぞ? 好きか嫌いかって言われたら好きに決まってるんだわ。

 俺の言葉が聞こえたのか──というか叫んでるんだから聞こえて当たり前だ──耳の先まで赤くして、あまりに恥ずかしかったのか地面に踞るニュクス。苦笑しながら言ってくるティアマトに、それに即答する俺。ここはおそらく、今夜、この国のなかで一番カオスなことになっていただろう。

 

 ティアマトが流れを断ち切るように言う。

 

「ねぇ、ミナト。私とも《聖魔契約》──してみない?」

 

「は⁉」

 

 俺よりも先に困惑──というよりも異論を唱えるように声を出したのはニュクスだ。

 

「なんでですか? 私が大好きな、私の、私だけのミナトに手を出すつもりですか? 許しませんよ。今度こそ殺しますよ?」

 

「ちょっと待って、とりあえずその杖に溜めてる魔力を霧散させて。私はあんたと話がしたいの。とりあえず少し離れたところで、ね?

 ミナト。ちょっとだけ2人で話させてくれない?」

 

「それは別に良いが……ここじゃ駄目なのか?」

 

「乙女の秘密の会話に入ってくる気? そこで気の使えない男は嫌われるわよ?」

 

「ああ、そういうこと。どうぞ、ごゆっくり」

 

 もう吹っ切れたのか、積極的になってきているニュクスとティアマトを見送る。

 さーて、とりあえずはティアマト戦で取得した特殊技術(スキル)の確認でもして待つことにしよう。

 

■ ■ ■

 

 私とニュクスはミナトから距離をとった。数にしておおよそ300メートル──ミナトが元々いた『チキュウ』という場所で用いられた、距離を数える単位らしい──ほど。私は特殊技術である《飛翔》で、ニュクスは魔法を使って天へと舞い上がる。

 

「それで、どういうつもりですか?」

 

 かなり好戦的になっているニュクスが私に向かってこれ以上ないくらい威圧的に言ってくる。彼女は自身が統治していた領域を守るとき以外は──いやその時ですらここまで凶暴ではなかったのに……やっぱり、女は男に惚れたときに変わるんだなー、と再認識。

 

「とりあえず落ち着きなさいよ。最初はその気だったんでしょ? そうじゃなきゃ、魔法戦特化のあんたが契約者であるミナトに《剣術》や《体術》なんて習得させるはずがない。出来ることの幅は広くなるけど、魔法を極めた方が遥かに強くなれるもの。レベルが8に6っていうのは一朝一夕でなるものじゃないから──そうね、あんたと契約した直後ってところかしら。それらの武術系特殊技術を習得させたのは。ねぇ、あんたとミナトが契約してからどれくらい経ったの?」

 

「……ちょうど一週間です」

 

「一週間でそれだけ上げたの……」

 

 どれだけハイペースで戦ってきたのか──いや、称号のところに《大物喰らい》があったから、自分よりも遥かに強い相手に戦い続けて勝利してきたのか。いくらニュクスと契約していたからって、異常だと思うんだけど……まぁ、話の重要な部分はそこじゃないわ。

 魔法戦特化のニュクスと契約していたのなら、その特殊技術は習得させるべきではないと思っている。それは、ひとつを極めた方が強くなれるから。

 

 武芸百般を修めるって聞こえは良いけれど、それは私に言わせればすべてにおいて中途半端だと私は思う。それは武術にしろ、魔法にしろ、芸術にしろ、それらは修めるものではなく極めるものだから。

 相手のしてくる事すべてに対応するためには必要なことだって、私の仲間──まぁ、仲は凄く悪かったんだけど──が言ってたけどその考え方がいけない。

 だって、対応するってことは後手に回るってこと。その行為自体が無駄だ。

 だって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そもそも相手に行動させず、叩き潰せば手っ取り早いと思わない?

 

 私は《剣術》で、ニュクスは《闇魔法》で。その信念を貫き、魔王の中でも十本指に入るくらいには強かったし、他の八人も同じような感じだった。

 だから、ニュクスも広く浅くの危険性は十分わかっていたはずだ。なのに、何故そうしたのか。それは……後にそれを補って足りるだけの存在──つまり私を仲間にすることを最初から想定していたからだ。

 

「とりあえずあんたは私を彼に協力させる気だった。如何なる手段を使ってでもね。完全体になる事も重要だったけど、主な理由はそれでしょ?」

 

「それは……そうですけど」

 

「でしょう? そして魔王2人と契約した《勇者》はいずれ歴代最強の《勇者》になる。それは間違いないし、私もそれに興味があるわ。それに……これは彼だけじゃなく、あんたにも益がある話よ、ニュクス」

 

「益、ですか? 私としては彼と2人っきりの時間を邪魔されて憤慨ものなんですが」

 

「まぁまぁ。最後まで話を聞きなさいよ」

 

 私は彼女に向かって宥めるように言う。

 

「私があんた達の仲を取り持ってあげるわ」

 

「余計なお世話です。私とミナトは充分仲良くできますから」

 

 まさかの即答。

 それでも諦めきれない。私は続ける。

 

「あんたはそうかもしれないわね。それでもミナトはどう?」

 

「…………え?」

 

 よし、興味を引けた。

 ──ニュクスは私なんかよりも賢い。だからこそ私がミナトと契約することで、彼がどれだけ強くなれるかはわかっている筈だし、そうすべきだって理解はしている。それでも、恋心がそれを邪魔している。

 なら私はその恋心を利用するだけだ。

 

「あの反応を見るに、ミナトはこれまで異性と愛し合った経験はないわ。そうじゃなきゃいくら容姿が優れているあんたから告白されたからって、もう少し冷静に対応ができたはずよね?」

 

「それは…………」

 

「今は深夜ということもあって興奮しているけど、朝になって冷静になってみなさいよ。あんたから話しかけても、まともに対応はできないと思うわよ? 当然よね、だって経験したことがないんだから。そんなことになったらあんた達の間には気まずい空気が流れる。夢見るイチャイチャ生活なんて夢のまた夢よ」

 

「ぅぅ…………」

 

「そんなの嫌でしょ? いっぱいキスしたり、ハグしたり、セックスだってしたいわよね?」

 

「せ、セッ…………!」

 

「したくないの?」

 

「………………したいです

 

「でしょう? そんなときに私がいたらどう? 確かに2人っきりの時間は減るかもしれない。それでもまともに会話ができなくなるよりはマシなんじゃない?」

 

「で、でも…………!」

 

 あと少しで、落ちる。

 そう確信した私は、鬼札を使うことにした。

 

「…………滅茶苦茶にされるわよ?」

 

「────ッッ!!」

 

 そう、それはニュクスの性癖だ。

 ──彼女は筋金入りで、拘りが物凄く強いタイプのマゾヒスト。自分が愛する人から欲望のままに身体を穢され、滅茶苦茶にされることに歓喜する生粋のドMだ。

 真逆の性癖である私からしてみれば、到底理解できないものなんだけど……私の知り合いにもその手の変態はいたから、どこが良いのか聞かされたんだけど最後までわからなかったわね。

 

「な、なんで知って──」

 

「そんなことどうでも良いでしょ? 実はね、ニュクス。あんたも《聖魔》の種族によって、契約者にある程度の影響を与えることは知ってるわよね? それで龍族が契約者に与えるのは……三大欲求、なかでも食欲と性欲の異常強化。そしてその欲求を満たすために身体が変化を始める──私が言いたいこと、わかるわよね?」

 

 ごくり、とニュクスが固唾を飲んだ。

 

「そう、絶倫になるの。あんたがちょっと誘っただけで、セックスに応じてくれるケダモノになっちゃうの」

 

「……何が、目的なんですか?」

 

 流石にそれは聞いてくるわよね。私が今まで提案したことは全部ニュクスにとって得になりすぎていて、私に利益が無さすぎる。ここで生半可なことを言っちゃったらここまで築き上げてきたことも水の泡になりそうだし……ここは正直に言うしかないわね。

 

「私にもミナトを貸してくれない? ちょっとだけでいいから」

 

「却下です。これだから何人もの男性を食べてきたビッチは嫌なんですよ。この話はなしで──」

 

「本当にそれで良いの? あんたはどうしたい──ううん、どうされたいの?」

 

「…………」

 

「滅茶苦茶に、されたくないの? 身体中にいっぱいいっぱいキスマークをつけられたくない? 耳元で『お前はずっと俺の物だ』って囁かれたくない? 1日中ミナトに跪いて、彼のチンポにご奉仕してみたくない? 無理やりチンポを喉奥まで突っ込まれて精液をいっぱい流し込まれたくない? その爆乳を欲望のままに揉みしだかれたくない? 膣内(なか)をミナトのチンポの形に変わるまで、あんたが絶頂して気絶するまで好き放題に犯されたくない? お尻の穴をミナトの精液便所みたいに使われたくない? ミナト以外の男じゃ絶対にイケないくらいに……調教されたくない?」

 

「────ッッッ!!」

 

 彼女の身体がびくりと痙攣した。

 想像しただけで絶頂してしまったんだろう。その目は完全に蕩けきっていて、品のない牝の顔になってしまっている。

 そもそも、私達魔王は他の魔族とは比べ物にならないくらい性欲が強いのだ。それを押さえつけて、ニュクスはひとりでそれを処理していたようだけど──いえ、だからこそこれぐらいの変態になってしまったのか。

 

「普段は最強の魔王。

 それでも愛している人の前ではたったひとりの女になる。たったひとりの牝になる。愛しい愛しい彼から与えられる快楽を貪って、溺れて、絶頂する。潮を吹いて。涙と汗と鼻水と唾液で顔をぐちゃぐちゃにして、舌をべろんと出して。性器から愛する人の精液を垂れ流して、それでも股を開いてもっと犯してほしいと欲望のまま誘う。彼から言われる罵詈雑言に謝罪しながらも、心の中では歓喜して、もっと罵ってほしいと求めている。

 そんな惨めで、無様な自分に興奮する。そんな変態なんでしょ? あんたは」

 

「…………!」

 

「彼はそんなあなたでも受け入れてくれるわ。最大限、その欲求を満たしてあげようと努力するでしょうね。それでも魔王の性欲を《勇者》といえども人間が満たしてあげられるとは思えない。

 それでも龍族──そのなかでも初代魔王にして最強の龍族である私と契約したら、その限りじゃないわ。そう、少し。ほんの少しだけ、私にも彼を犯させてくれればその無限の歓喜が味わえるの。

 勿論、彼の童貞を奪うのは──彼のありあまる獣欲を最初に受け止める権利はあんたにあげるわ。本当は私が奪ってしまいたいけど、後から来た女にくれてやる気はあんたもないでしょうし。

 どう、悪い話じゃないんじゃない?」

 

「…………彼が2人纏めて犯したいと言ってこない限りは、互いの情事には不干渉を貫く。これでどうですか?」

 

「取引成立ね」

 

■ ■ ■

 

「お待たせ」

 

「おー、お帰り。……ニュクスの顔がまだ赤いが、大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫です。問題ありません」

 

 そっか、なら良かった。

 風邪でも引いてたんなら──《聖魔》が病にかかるなんて思えないが──心配だったが、大丈夫だと言うのなら問題ないだろう。

 

「それで、ミナト。私達はあんたが了承してくれるなら構わないってなったわ。あんたはどう? 私と契約してくれる?」

 

「あぁ、勿論。願ったり叶ったりだ」

 

 ニュクスに匹敵する強さを持ったティアマトが俺の仲間になってくれるのなら断る理由などあろうはずはない。

 

「でもどうするんだ? あんな大がかりな魔法陣はここにはないぞ?」

 

「《聖魔》に選ばせず、ただ契約するだけなら魔法陣なんて使わなくていいわ。ただ私に身を委ねさえしてくれればいい。こっちで勝手にやるから、あんたは目を瞑ってて」

 

「了解」

 

 俺は彼女の言った通りに、目を瞑る。そして間を置かずにティアマトのものだろう、俺より一回り小さい両手が俺を包み込んできた。

 そして彼女の魔力が俺の体内に流れ込んでくる。活気と言うべきものが身体中を循環し、全能感が溢れ出す。

 

「もういいわよ」

 

 言葉に従って、瞼を開けた。

 ティアマトが言う。

 

「これで終わり。私──初代龍族魔王ティアマトはあんたに協力する。よろしくね、ミナト」

 

「ああ」

 

 こうして王城地下の激闘は幕を閉じ、俺は完全体となったニュクスに、新たな仲間であるティアマトを仲間に加え、大幅な強化を実現できたのであった。




魔王はだいたい変態です。
ニュクスはむっつり拗らせすぎて、あんな風になっちゃったけど。え? なんであんなに変態なのかってかって? 俺の趣味だよ、悪いかコンチクショウ!
読者の事なんて一切考えず、己のリビドーぶつけたらあんな風になったわ!

あ、解説コーナーはあとがきで書くことなくなったら書いてくから不定期です。前回に次話って書いたけど、変えときます。ごめんね。

あと、リドルジョーカー、買えよな!!!!

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