どないなっとんねん。
とりあえず《鑑定》
名前:宵坂湊
種族:人間族
年齢:17歳
称号:《異世界人》《勇者》《
レベル:13
体力:1277(-851)
物攻:1410(-705)
物防:1096(+1096)
魔攻:1873(+14980)
魔防:1178(+9420)
敏捷:1976(-988)
《言語理解》《聖魔契約》《闇魔法Lv.9》《鑑定Lv.4》《剣術Lv.5》《体術Lv.4》《隠蔽Lv.6》《闇属性無効化》《超高速演算》《未来視》《制裁Lv.1》《投擲Lv.1》《集中Lv.1》《????》
わぁお、魔法系統のステータス補正が10倍に跳ねやがってやがる。ということは今までのニュクスは単純に考えて、今の状態の10%の力しか発揮できていなかったということで…………10%であれかよ、マジやばくね。
鑑定をしたのは、現在の自身の状態を把握するためだ。それが分かっていなければ作戦の立案実行に大きく問題が出てくるのは間違いないからな。
とりあえず一番の問題は体力と敏捷の圧倒的な低下だ。敏捷の低下は当然ながら時間稼ぎをするためには痛すぎるし、体力の低下は攻撃をあと何回もらってもいいかという目安になる。ちなみに体力のステータスはゲームでいうところのヒットポイントとスタミナを足したようなもので、長距離走をしたあとにも若干ではあるが減っていた。
ランニング程度で減る値くらいならば自然回復での回復も見込めるが、この重症ではまず見込めないだろう。《闇魔法》で感覚神経の働きを阻害して、脳に伝達される痛みを軽減してやっと動けているような有り様だ。正直に言えば1分の時間稼ぎもなかなか厳しいものがある。
だが、やる。
ニュクスは現在、己の最高火力を放つべく俺の影に潜んでいる。
彼女の合図で俺はその場から瞬間離脱。魔法を放ち、ティアマトを倒すという算段だ。
俺はエリザさんから賜った日本刀を抜き放ち、それを右手に持つ。ティアマトに持ってかれた腕が利き手じゃなかったのがまだ幸運だったな。
俺は日本刀に身体に纏っている闇を纏わせた。妖刀、という雰囲気が出てとてもいい感じだ。こんなことを考えている余裕なんてないのだが、こうでもしなきゃやってられないというのが本音のところだ。
出来ることならこのまま気絶とかしていてくれればな──。
そんな俺の希望は呆気なく吹き飛んだ。うん、知ってた。
ティアマトが起き上がる。
土煙を纏いながらも、その装束や彼女の身体にはかすり傷ひとつない。並みの人間なら頭が潰れたトマトみたいになる殴打を受けておきながら、何で平然と立っているんですかねぇ……というツッコミは今さらだ。神話の戦いが始まった時点で薄々察してはいた。
そして俺はこれからその神に挑む。
やってられねぇよ、でもやるしかねぇんだよ!
『称号:《大物喰らい》の効果発動。全ステータス値に特大上昇補正』
あぁ、ありがてぇ!
ステータス差が隔絶しているのは、《鑑定》をせずとも分かっている話ではあったが少しでも差を埋められるというのなら嬉しい限りである。敏捷の値がプラスマイナス0──出来ることなら少しでも+になっていてほしい。そうすれば逃げ回るにも多少の希望は見えてくるから。
「《
俺は身体から《侵食の霧》を放出する。霧の濃さは低めではあるが、この空間を満たすように広範囲に放出する。
続けて──、
「《
闇の中での隠密に最適な《純黒の羽衣》を発動させる。水晶の光があったせいで効力をなくしていたが、現在は《侵食の霧》を発動中だ。先程彼女の気を引いたものに比べれば遥かに濃度は低いが、水晶が放つ水色を塗り潰すには十分すぎるほどの黒だ。
あと、僅かながらティアマトのステータスを減少させることもできるだろう。焼け石に水だろうが、ないよりはましだ。その僅かなものも時間が経てばやがて大きな差になってくるだろう。
爆音が響く。
《純黒の羽衣》の効果を完全無視し、《侵食の霧》のステータス降下の効力も意に介さず彼女は突撃してくる。
《未来視》が発動し、想定通り俺に向かって真っ直ぐ疾駆してくるティアマトの姿が見えた。ったく、『お前の魔法なんて避ける価値もない』ってかぁ⁉
真正面から衝突する。
刀から右腕へ、右腕から全身へ、一瞬ではあるが全身体機能が麻痺したのではないかと錯覚させてくれるような衝撃が身体を貫いた。だが、俺はその衝撃に抗うことなく吹き飛ばされる。空中で何度か身体が回転しながらも《
「チィッ!」
分かってはいたことだが、やはり俺の魔法程度では彼女に届くことすら叶わない。《大物喰らい》の能力で彼女の動きを至近距離であってもなんとか追っていけるだけの動体視力や、ただ吹き飛ばされるだけだった剣の衝撃をある程度受け流し、操作できる程度に身体能力が強化されている。だが、それであっても彼女からしてみれば何の問題にもならないのか。
俺はだいぶ威力を落とした《
瞬間、ぞくり、と得体の知れない悪寒が全身を走り抜けた。
ここにいては不味いという根拠もない勘、直感と言ってもいいものだ。だが、それが窮地に陥った際どれだけ信用できるものであるかは、漫画などで描かれる戦闘のプロフェッショナル達が証明してくれている。
なりふり構わず跳躍。そのまま飛び込むように前転し、10メートル程移動した瞬間──、
「《海龍尾刃》」
俺が先程いた延長線上がまるごと水の刀身で切断されていた。
切り裂かれた範囲は3メートルほど。前転一回程度であれば間違いなく水の刃の切断範囲内だった。射程を無視した一斬必殺の剣──近遠距離共に隙が無さすぎて泣きそうになってくるわ。
にしてもこっちは《純黒の羽衣》のお陰で隠密率100%なのよ? それを平然と無視して、斬りかかってくるとか馬鹿なんじゃないの? 近距離ならばともかく、それを遠距離でも的確に当ててくるとかやっぱり化け物だわ。
なら、手段はひとつだ。
近距離戦闘ならばただでさえ彼女よりも弱い俺は片腕しか使用できないというハンディキャップを背負わなければならない。そして遠距離戦闘では俺の攻撃は一切通用せず、彼女の遠距離からの攻撃には一切太刀打ちできない。
それに、ニュクスの《
海の女神であるティアマトにとって水中は彼女の領域だ。そこに俺が入ってしまえば為す術なく蹂躙されてしまうだろう。
だから、こうやって俺の小細工だらけの戦闘に付き合ってくれているうちに何とかしないとな……!
「──《闇球》」
黒い霧の中にさらに濃縮した闇が浮かび上がる。
その数は10。それをティアマトを中心とした半球上に浮かび上がらせ、それを一気に発射。
いくら薄いとはいえ霧の中ならばまともに視界が働かなそうなものだが、それはこの霧がただの霧であればの話。
この霧は俺の魔法である。
つまりは俺の魔力を用いて展開されているものだ。そしてこの世界で魔力とは、血液と同じくらいに人体にとって必要なものである。故にどんなに魔法に適正のない人間であっても魔力関連のステータス──魔法を使えなければ最高でも30程度までしか上昇しないと言われている魔攻でも、最低1は存在している。しかし大事なのはそこではなく、魔力が『生物にとって生命を維持するために必要不可欠なもの』であるというところ。
魔力が生命の一部分であるということは厳密には異なるが、この黒い霧は俺の身体の一部分であるようなものなのだ。故に現在のティアマトを雰囲気を台無しにして例えるのであれば『自分の身体についた異物』である。だからこそ大体の位置はリアルタイムで観測できる。いや、魔力操作に優れているニュクスが《聖魔》である以上、その精度は実際の身体よりも優れているかもしれない。
そのため、霧の中で視界が働かなくても問題はない。
俺は浮遊させたそれを、一斉に発射。しかし、それをティアマトは持ち前の圧倒的な脚力で霧の中を走り抜ける。
大丈夫だ、問題ない。これで想定内。彼女が止まって迎撃するか、それとも駆け抜けて回避するかはどちらでもよかった。行動を起こした瞬間に、一瞬──本当一瞬であるが俺から意識は離れれば。
そして、その瞬間を待っていた。
──いない。
ニュクスといたあの男がいない。あのちょこまかと魔法を飛ばし、ニュクスの《侵食の霧》に比べればあまりに効力が弱い《侵食の霧》を展開するあの男がいない。
私の気配察知能力はすぐ近くにいると報せているのに、水を使った探知ではこの空間には私以外の生命体は存在していないと報せている。なら、アイツは一体どこにいったんだろう?
「……鬱陶しい」
つい言葉が漏れる。
──あぁ、面倒くさい。まともに戦ってやっているのが馬鹿らしくなってきた。
戦場を彼方から彼方まで薙ぎ払うとしよう。
──俺との戦闘で初めて、ティアマトが両手で剣を持った。そしてそれを一気に振るう。
それは剣が振るわれた時の音とはまるで思えない、まるで超巨大台風が一瞬だけ発生したようだった。轟風が《侵食の霧》を吹き飛ばし、それは霧散する。だが、そこに俺はいない。
この空間には現在、彼女を残して俺もニュクスもいない。水晶の光が水晶とティアマトを照らし、影を作っている。
え? なら、俺はどこにいるのかって?
俺は《闇球》を放ち、ティアマトの意識が俺から離れた瞬間に《
これぞ作戦、トウダイモトクラシー!
だが、これには明確な弱点があり自分からは攻撃するのが不可能なこと。ここで取れる手段と言えば球系統魔法であるが、前にいった通りあれには産み出せる最低距離というものが存在している。
水属性魔法を使うとなれば水の球系統魔法を使えるだろうからその条件にも当然気付くはず。そうなれば逃げる場所がなくなっている俺は終わりだ。
ここで数秒稼げばいい。そう思っていたときだ。
ティアマトの視線が自身の影に──そこに潜伏している俺に向けられる。
くっそ! あと2秒くらい稼がせてくれよ!
俺は瞬間離脱を図る。《闇球》を作り出し、その爆発を活かして距離をとろうとするがそれよりもスウィングスピードが早い。俺の身体に彼女の刺突が突き刺さる。
「ごふ…………っ」
ぐちゃぐちゃになっていた臓器が剣によってさらに滅茶苦茶にされる。肉を掻き分け、背骨を貫いて、俺の身体に風穴が空いた。その激痛に意識を手放そうと身体がしても、継続して襲いかかるその痛みが俺を叩き起こしてくれる。
あぁ、チクショウ、ここで終わりか──。
にやりと俺の口角が歪む。血が口内を埋めつくし、鉄の最悪な風味が広がるがそんなことはどうでもいい。
身体からいくつもの紐が伸びる。俺の魔力、それを一滴残らず注ぎ込んだそれだ。お前の膂力がどれだけ馬鹿げたものであっても、引きちぎるのに一秒はかかるだろう? 魔力の紐を抜けたとしても、剣に肉はよく絡み付いて抜けにくいだろう?
俺は彼女の目の前で中指を立て、さらに笑みを歪ませる。全部は俺の掌の上だったんだとはっきりと解らせてやるように。
「チェックメイトだ、クソアマ」
俺の影からニュクスが出てくる。
そして、その杖を輝かせて彼女の最高の魔法が放たれる──!
「ぶちかませぇぇぇええぇぇぇえええぇぇぇ──ッッッッ!!!!」
「──《黒皇戦域》」
それはティアマトの背後に出現した。
黒い点だ。
《黒の顎門》に比べれば遥かに小さいそれ。そこから出現したそれから、黒い鎖が出現した。金属音を響かせ、ティアマトを絡み取っていく。肉に食い込み、肉を抉り、彼女がその黒い点に引きずり込まれる。
剣から彼女の手が離れる。そして俺は魔力の枯渇で地面に倒れ込んだ。
血が零れすぎたのか、意識が朦朧としている。だが、痛みがそれを眠らせてくれないので収納スペースから下級治癒魔法薬を数本取りだし、それを一気に煽る。その瞬間に剣を引き抜いた。
「あ゛ぁぁぁ…………!!」
血が俺の周囲に水溜まりを作っていく。
その痛みと一気に血が失われたことによって、痛みを通り越して意識を喪失しそうになるが次に来るものがそれを繋ぎ止めた。
『戦闘の終了を確認。《海神龍》ティアマトに勝利。
経験値の取得を確認。宵坂湊のレベルが13から67にまで上昇。
体力、魔力の全回復を確認。
体力ステータス値が5157上昇。
物攻ステータス値が5594上昇。
物防ステータス値が4478上昇。
魔攻ステータス値が7533上昇。
魔防ステータス値が4622上昇。
敏捷ステータス値が7943上昇。
特殊技術熟練度の取得を確認。
特殊技術:《剣術Lv.5》が《剣術Lv.8》に上昇。
特殊技術:《体術Lv.4》が《体術Lv.6》に上昇。
特殊技術:《闇魔法Lv.9》が《闇魔法Lv.MAX》に上昇。
特殊技術:《集中Lv.1》が《集中Lv.7》に上昇。
一定条件の達成を確認。
特殊技術:《深淵魔法Lv.1》を獲得。《闇魔法Lv.MAX》の統合を確認。
特殊技術:《深淵魔法Lv.1》が《深淵魔法Lv.3》に上昇。
特殊技術:《苦痛耐性Lv.1》を獲得。
特殊技術:《苦痛耐性Lv.1》が《苦痛耐性Lv.MAX》に上昇。
特殊技術:《激痛耐性Lv.1》を獲得。《苦痛耐性Lv.MAX》の統合を確認。
特殊技術:《激痛耐性Lv.1》が《激痛耐性Lv.3》に上昇。
称号:《神の契約者》を取得。《闇黒女皇》ニュクスとの特殊技術を完全共有。
特殊技術:《
称号:《神への挑戦者》を取得。
称号:《神を打ち倒すもの》を取得』
「お、おう」
アンドリュー戦とは比較にならないほどの情報量が俺の脳内に飛び込んできたことによって、口から呆けた言葉が漏れた。
まぁ、それも当たり前と言えば当たり前か。ティアマト戦はアンドリューとの戦闘がごっこ遊びに思えるような戦闘だった。いや、事実命の保証がされていたアンドリューとの模擬戦はどれだけ熾烈を極めようともごっこ遊びの域をでないものだった。
だが、ティアマトとの戦いは違う。命の保証なんてされていなかった。事実俺は何度だって死にかけたし、ニュクスがいなければ俺は何が起こったのかもわからないままにその命を刈り取られていたに違いあるまい。
そしてニュクスと連携しても、俺には『俺の身体に剣を突き刺させることによって彼女の動きを僅かながら停止させ、その隙にニュクスに魔法を叩き込んでもらう』という、自分の命を賭け金にした手段しかティアマトを倒す手段が思い浮かばなかった。何度命の谷底へ落ちるかと思った視線を潜り抜けたかいあって、得られたものは莫大なものだった。
これは後々確認するとして──、
「あれ、どうなってんだ……?」
黒い点はいつしか2メートルほどの黒い霧のドームに変化しており、その周りをわずかに色素が薄い靄が蠢いている。生物の要素はどこにもなく、見た目はプロミネンスを彷彿とさせるのだが、その動きは生物的にすぎる。
そこから、肉が砕ける音、肉が軋みをあげる音、そしてティアマトの絶叫が聞こえるのだが──あの中はいったいどうなっているのだろうか?
彼女の持つ最強の魔法をぶっぱなしてくれ、とは頼んだが俺はどんな魔法なのかを知らなかった。戦闘も終わったことだし聞いてみるかと思ったとき、彼女から答えてくれる。
「《黒皇戦域》。私の持つ最強の魔法ですがその説明をする前に……ミナト、そもそも《闇属性》はどんなことができると思いますか?」
「どんなことって……そりゃ、闇や影を操るんだろ? 《闇球》や《影路》なんかがその最たる例だよな。あとは《侵食の霧》なんかの
闇属性という属性を簡単に言えば『敵を殺すことに特化した属性』だ。《影路》なんかは暗殺に、妨害魔法は毒のようなものであるし、闇属性は攻撃力が全属性中最強だと図書館の本で書いてあったし。
俺の持つ知識と言えばそれくらいだ。
だが、彼女は違うらしい。首を小さく横に振る。
「ミナトの考え方は少し攻撃的すぎますね。戦闘から考えを切り離して考えてみましょうか。あなたは戦闘以外でも《闇魔法》を活用していたはずですよ」
ニュクスにさとされるように言われてしまう。
俺の考え方は少し攻撃的すぎる。戦闘から切り離して考える。……日常生活か? しかし、そんなものを活用している覚えは……あ。
「収納スペース……」
俺は武器を取り出すとき、魔法薬を取り出すときによく使っていたものだ。俺の認識と言えば、魔力をほとんど使わない──日常を過ごしているうちに回復してしまっていて、減少していることにすら気づけなかったほどだ──便利な無限バックパック程度の認識だったんだが、あれはたしか闇属性の魔法のひとつだったはず。
となると、『闇』という概念からはかなり外れてしまうが──、
「空間への干渉、とか?」
「ええ、正解です。影や闇を用いるのは《闇属性》の初歩中の初歩。しかし、《闇属性》の真髄とは時間や空間への干渉にある。これがあるからこそ《闇属性》は攻撃力最強の座を思うがままにしているのですよ」
「じゃあ《黒皇戦域》は……?」
「あの中は時が巻き戻る現象と、圧倒的な速度で時が経過する現象が同居しています。そしてあの空間内のすべての物質は引き伸ばされたり、圧縮したりを繰り返し崩壊へと向かう。そんな滅茶苦茶な動きをした物体の移動や衝突は灼熱を起こし、超磁力場や超重力場が合わさっている状態です」
「つまりは?」
「入った瞬間、死です。あの魔法はありとあらゆる属性耐性を無視して肉体に損傷を与えますから。勿論、私も含めて」
過去に向かう現象と未来へ向かう現象が同居しているとか、言葉では理解できても実際はどうなっているのかは理解できなかったりするが、とにかくやべぇ空間だというのは理解した。
「じゃあ、最初にあったあの鎖は?」
「あれは闇属性の空間に干渉する部分を多用した魔法です。私とティアマトが以前戦った際に、私の魔法で空間に穴を空け、そこにティアマトを叩き込んだ。そしてあの鎖で扉をし、そこの
「殺すわけにはいかなかったのか?」
俺としてはそんな小難しいことをするよりも先程の魔法──《黒皇戦域》で殺した方が手っ取り早いんじゃないかと思うんだが。
「そうしたいのは山々だったんですが……彼女、死なないんですよ」
「へぇ、死なないのか。じゃあ仕方ないな……は!?」
意識もせずにノリツッコミを決めてしまった。
いやいや、死なないってどういうことよ!?
「彼女の持つ特殊技術:《不死》の能力です。頭を潰そうが、心臓を抉ろうが、身体を毒が侵食しようが絶対に死なないんです。だからこそ私は渋々人間族の代表──当時は大賢者と呼ばれていた男と手を組んで、ティアマトを封印することに成功しました。……ですが」
そこで表情が暗くなるニュクス。その表情で何が起こったのか大体察した。
「……裏切られて、自分まで殺されたってところか?」
「……えぇ。情けない話です」
「やっぱか。大賢者クソ野郎だな。死ねばいいのに」
俺のニュクスを利用するだけ利用して殺すとか大賢者はクズだ。きっと次々と女をヤり捨てていくヤリチン野郎だったに違いない。俺がそこにいればぶん殴ってやったものを。
人間は汚い。はっきりわかんだね。
「もう死んでますよ」
「そうだったわ。……話は戻るが、じゃあアイツどうするんだ? 俺が封印を解いておいてまた封印し直すとか、罪悪感がヤバイんだが」
「ミナトは優しいのですね。……いえ、ただの女たらしですか」
「ち、違いますがな!」
確かにティアマトは美人だったし、褐色白髪美女というのにロマンも感じるけども!
いきなり殺されかけたから吊り橋効果も効力ないよ! むしろまた襲いかかってきたらどうしようかっていう不安しかないわ!
「どうだか。あのミハロヴィーナとかいう女にも鼻の下を伸ばしてましたし」
「うぐぅ!」
ニュクスが俺の核心を突いてくる。
だって俺、童貞だし! 異性とあんな近距離で触れ合ったことなんて一度もなかったんだからしょうがないでしょうよ! 男って皆そんなもんよ!
「で、だ! ニュクス! 結局ティアマトはどうするんだ!?」
「……はぁ。まぁいいです。とりあえずは彼女を解放します。ミナトは念のため武器を構えていておいてください」
溜め息をつきながら、彼女はティアマトを《黒皇戦域》から解放する。
どしゃり、という音と共に彼女の身体が落下してくるがそれはひどいものだった。魔物狩りや戦闘で血を見る機会が増えたとはいえ、この有り様はひどすぎる。
全身の肉は爛れ、焼け落ち、それでも辺りに血の沼を作っている。
加速する時間軸と遡る行時間軸が同居していると言われたときにはあまりピンとは来なかったが、一部は老婆の細腕のようになってから炭化していたり、また一部は幼児のように小さくなっていてから炭化している様を見せられれば嫌でも納得してしまう。
これでも彼女は死ねないというのだから、彼女の持つ《不死》は恩恵というよりも呪いという意味合いが強いのではないかと思ってしまう。
そんなときだった。
彼女の全身から赤い煙が──彼女の肉体が再生していく。だが、それはニュクスの最初の《黒死の触手》を食らい、臓器が吹き飛んだ時とは比べ物にならない遅々としたものだった。
俺は思わず、収納スペースから治癒魔法薬を使おうとしてしまうが、ニュクスに手で制されてしまう。
俺は襲いかかってくるのではないかという不安を抱えながら、ティアマトの肉体が完全に再生する様を固唾を飲みながら待った。
簡単にステータスについての説明。
体力:作中でも語っている通り、ゲームで言うところのHPとスタミナを一緒くたにした感じ。ある程度自然に回復する。1レベアップすると全回復します。レベルあげときゃ傷は治る。
魔力:具体的な数値を決めると消費魔力量とか決めなきゃいけないので決めてませんが、基本は魔法関連ステータスに応じて魔力量は上昇する。あと、まとめてここで言っとくと魔法のスキルレベルが上がるに応じて消費魔力量は減少します。燃費が良くなるって認識でおk。
物攻:名前の通り物理攻撃の強さを表す。武器とか装備すると対応するスキル効果で若干数値が上昇したりする。武器自体には斬属性とか、打撃属性とかがついてて武器の優劣はその属性がどれだけ強いかで現れる。湊くんがエリザさんから貰った日本刀は切れ味マジヤバイ。
物防:名前の通り以下略。盾とか鎧とか装備すると数値が上がったりするけど、大体の装備が敏捷値が減少する。一番ステータスが高いところが減少するならいらねってことで湊くんは鎧なんて装備してない。当たらなければどうということはないのだよ。
打つのめんどくさくなってきたので続きは次話で。
投稿時間についてのアンケート※一週間程度を目安に〆
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0時(今まで通り)
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6時
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12時
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18時