「うぅっ…、やっぱり外は寒いなぁ…。早く家帰ろっと」
大学の建物から一歩踏み出すと肌に刺さるような冷たい風が私の頬を痛めつける。
私、木下沙耶は震える体にもう一度やる気を起こしてあげ、いそいそと帰路についた。
4年制大学も後半に入ろうとする2年生の冬、今年最後の講座を終えた今日はどうしても顔がニヤけてしまう。
だって明日から休みだよ?
丁度なんにも予定は入ってないし、こたつでゆっくりとした自堕落な生活が出来るなんて!
周りの人達はサークルとかで忙しそうに動いているけど、生憎私はサークル入っていないんでね。
新入生対象の新歓コンパで誰からも声をかけてもらえなかったとか幸先不安だったけど、お蔭様で単位も順調に取り続けて先生からの評価も最高だよ!
今向かっている私の家は、大学近くの駅から3つ隣の駅付近に今年の春から借りているアパートだ。
本当はアパートとか一人だと金銭的にも不安だったけど、なんと!一緒に住む人が出来たから安心して住んでいるんだ!
最初の出会いは学生センターの周りで困ってたとこを助けたのが始まり。
そこから色々話す内に仲良しになったんだ。
そしたら向こうから共同生活すればアパートも半額だって提案してくれて。
私としても定期的なイベントがある寮よりも、心許せる友達と気兼ねない生活が出来るんだったらって即OKしたの。
そこからはとんとん拍子に話は進んでいって、無事今のアパートに引っ越すことが出来ました!
そこまでは良かったんだけどね…。
階段を上がり、201と書かれた扉の前に立つ。
ここが私達の部屋だ。
1LDK八畳一間の一般的な部屋に私達は身を寄せ合って住んでいる。
狭くないかって?
それが私の身長は155センチ、一緒に住む友達が170センチでなんだかプラマイゼロなんだよね…。
「ただいまー」
まだ帰ってきてないのか奥から返事は聞こえない。
廊下と一体となった台所を抜けリビングに入ると、そこには…。
「ん?ああ、おかえり~♡」
ゲーム機をこたつに乗せて遊ぶ友達の姿があった。
赤いちゃんちゃんこを身に纏い、体を丸めてゲームをする姿はまさにニート。
いや、ちゃんと働いているし、料理も小学生からやっていた私よりも上手いし。
むしろ私の方がヒモでは?と思えるほどしっかりとした友人ではあるのだが。
「愛のこもった、愛のないお出迎えありがとう」
精神上この友人、刀打音奈(かたうち おとな)は私のヒモだった。
不思議な苗字から想像出来るが、彼女の家は江戸時代から続く名門の鍛冶職人の家なのである。
そして当然のように彼女はぶっちゃけご良家のお嬢様だったのだ。
品行方正、清廉潔白。
職人気質な家で育った彼女は真っ直ぐ素直で目を奪われるような美少女だったのだが、両親にある秘密を抱えていたのである。
それが…、
「さやせんぱ~い♡こっち見てくださ~い」
いつの間にかこたつから出て来ていた音奈は私の両頬を手のひらで優しく包み込むと唇を重ねた。
―――ぶちゅぅぅぅ……
そう。筋金入りのレズビアンだったのだ。
話は念願のアパート生活が始まった初日の夜まで遡る。
あの時の私はそれまで寮で借りた布団で生活していた為、引っ越し直後は自分の布団を持っていなかった。
一方音奈は家からの引っ越しであった為、布団もちゃんと運び込んでいた。それもダブルスのだ。
当然一緒に寝ましょ?という音奈の誘いを受けた。
私はありがたく、その誘いを受け入れた。あとで何度も自分の行動を後悔する羽目になるとは知らずに。
午後10時。
人と一つの布団で寝たことのない私はどうすればいいのか分からず、照れくささもあいまって音奈に背中を向けて寝た。
しかし、背中から漂うお嬢様な雰囲気にドギマギして電気を消してから悶々と寝られずにいた。
その時である。
私の両脇から腕が生えてきて、私の胸を揉みし抱きしめ始めたのだ。
「ほぇっ!?」
人に胸を揉まれるという初体験に頭の中がゴチャゴチャと思考が飛び散る。
私がパニックに陥る間にも手は動き続け、延々と胸を揉んでいる。
「うぅ…はぁっ…はぁっ…んんっ♡」
胸を揉む手は優しく揉んでいたかと思うと急に激しくなったり、すぐに速度を緩めたりと私の感情を安定させてくれない。
時折、気持ちいい所を刺激されると私は声を抑えつつも喘ぎ声をあげる。
今考えると、ここが問題だったかもしれない。
手は徐々に私が気持ちよく感じるポイントを重点的に揉んできたのだ。
「はぁっ♡…ふぅっ♡…はぁっ♡…」
初めてのことだったが、私が出来上がっているという事が頭で理解出来た。
体の火照りを感じる。
こう、胸の中からゾワゾワと熱く広がる感覚が快感に思えた。
昂ぶる気持ちはだんだん慣れ始め、未知なる快感を求めようとしている。
そんな体が快感を求めた瞬間に私の首はべちょっ、という音と共に熱く濡らされた。
もしかしなくても分かっている。
後ろにいた音奈が私の首を胸を揉みながらしゃぶっている。
私自身、音奈は可愛い子だと見ていたしキュンキュンすることもあった。
だけども、私はノーマルな性癖の持ち主だ。
興奮するなら俄然男のはずだった。はずだったのに。
「な、なんでわたしっ、こんなに気持ちいいのっ♡」
緩急の激しくなる胸を揉む手と同時に、舌を使って凝り固まった筋肉をほぐすように舐められていく。
体は素直にその快感を受け入れた。
「はぁぁ…♡ダメだよ…こんなことりょっ♡…」
「どうしてですか?」
返ってきた声がいつもの冷静な音奈の声で不覚にも心が跳ねた。
音奈はこんなに冷静なのに、先輩の私は後輩に良いように弄ばれて、いやらしい声を出して、更にはもっといじって欲しいなんて考えていて…。
羞恥で顔が熱くなるのを感じる。
「先輩?聞いてますか?どうしてダメなんですか?」
耳に熱い吐息が当たるほど近さで聞こえる美声で私は興奮していく。
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい…。
「黙ってないで答えたらどうですか、先輩?それともこんな私は嫌いですか?」
「ち、ちがぁあっ♡うんっ♡…ちがうんん…だよぉっ♡はぁっ♡…ぁぁぁ♡」
音奈のテクは相当なものだった。
私の体は完全に音奈の支配下にあって、次いで思考も奪われてしまっていた。
執拗に襲う愛撫と、後輩に昂ぶらされているという羞恥と、聞く人を不安にさせるような淋しそうな声は私を2度とは戻れない深い谷へ堕としていく。
「じゃあ、なにがダメか説明してもらわないとですね」
「あぇぇ…?え…っと?んんっ…ぇ?」
震える声を無理矢理抑えて発声するも思考が間に合わずなにを答えるのか分からなくなった。
背後で音奈は呆れたように溜息をつくと、私の耳に唇を当てながら
「理由もないのに私の好きなこと否定したのですか?イケナイ人ですね…」
といった。
その突き放すような声を聞いていると私の心は不安でいっぱいになる。
「ぁあぅ…、ごめん、なさい…ぃぃ♡」
「そうです、先輩は悪いコなんです。ほら言って見てください」
音奈はその柔らかい胸を私の背中に押し付けると、グイグイと小刻みに揺らして私の言葉を促していく。
「わたし、はっ…わるい、こですっ…」
一定のリズムで振動させられる胸は不安溢れ出しそうになっていた。
「よく言えました♡ご褒美にもっと気持ちいいコト、してあげますね♡」
音奈がそう言うと、左の胸を揉んでいた手は私の体を撫でながら、パジャマのズボンの中に突っ込まれた。
手はショーツの上から、私の下腹部をまるで何かを探すように撫で回していく。
そして、ようやく私の秘部に辿り着いた指は、優しくゆっくりと窪みをなぞっていく。
「ふっ、はぁぁああぅぅぅ……♡♡」
とろける程の脱力感が腰を襲ってくる。
ガクガクと膝が笑い、腰には踏ん張る力が無くなっていた。
そんな私の反応を楽しむように手は、今度は再び窪みをなぞりながら最初の位置に戻ってくる。
先ほどとおなじような反応をして喘ぐ私のなんと情けない事か。
「先輩がこんなにスケベだとは思っていませんでした。もっと真面目な方だと思っていたのに…」
残念そうな音奈の溜息は私の心を孤独な感情にさせる。
私はもしかして捨てられる?
そう思うと、どんどん体の震えが止まらなくなる。
「ごめんな、さい…んっ…ごめ、ん、なさい…」
目から熱い涙が出てくる。
心が不安定になり、次から次へと涙が溢れていく。
そんな私の状態を見て、音奈はなにを思ったのだろう。
包み込むような優しい声で声を掛けてくれた。
「私はそんな変態な先輩が大好きです。付き合って頂けませんか?」
いつの間にか全身を襲っていた愛撫は止み、私の体をいたわるように撫でられていたもの。
嫌われたと思っていた音奈からの愛の告白に心が掬われたように言葉が紡がれる。
「ふ、ふつつか者、でっ、すが、よろしく、おね、っがい、します」
先輩の威厳は跡形もなく消え去って、一人の女として音奈が好きになった瞬間だった。
「最っ高です!先輩!」
「は、はぇ?」
さっきまでの優しい音奈はそこにおらず、今私を抱きしめているのはもっと邪悪で邪なモノだと体が感じとった。
「さて!先輩の承諾も得ましたし、本気で愛してあげますよ♡」
いたわるように緩やかに動いていた手は一転。少女を搦め取る触手の動きに変わっていたのだ。
「嫌われていたら、心に傷を付けちゃうかもって思ってショーツの上から撫でていたのですが、もう私達はカップル♡挿れて中からぐちゃぐちゃに気持ちよくさせてあげますよ♡」
「えっ!?ま、まっt…」
私の静止虚しく、ショーツの中に入れられた手は私の膣へと中指を差し入れた。
「あっ、うっ、んむ!?んんんんんん♡♡♡♡♡」
目の前がチカチカする感覚。
お腹を無理に満たされる違和感。
突如咥えさせられた指。
全てが全て、気持ちよく感じている私がいた。
「ふ~、危ない所でした。あとちょっと遅れていれば近所迷惑間違いなしの声が響いてましたよ?咄嗟の判断をした私を褒めて下さいよ、先輩?」
くちゅくちゅといやらしい音を出しながら私の舌と戯れる音奈を前に私はどうすることも出来なかった。
「さて、先輩もイった事ですし、私も気持ちよくなりたいですよ?先輩として後輩を気持ちよくさせて下さいな?」