一面ガラス張りの窓。正面に向き合えば、高層階からの夜景を眺めることができる。
人々が営む証である人工的な光が街に広がっている。作り物ではあるが、のんびりとした時間を楽しむ肴にはなる。皮張りのソファーに深くもたれかかった男は、傍にある丸テーブルに置かれたワイングラスを手に取ると、中の赤ワインをぐいっと呷った。
グラスが空になったが、まだ喉は潤っていない。男は引き続きワインを楽しもうと、ボトルに手を伸ばした。
しかし、その手がボトルを掴むよりも先に、横から伸びてきた手に掠め取られた。
手の先を目線で辿れば、女が立っていた。
照明の光を抑えた薄暗い部屋であっても、その黒髪の色艶の良さが見て取れた。触れてみたいとさえ思える美しい髪は紫色のリボンで縛られ、長いポニーテールにしている。顔立ちにはまだ幼さを残しているものの、和風美人に相応しい艶やかさを有しつつある。
谷間がはっきりと見えるほどに胸元が大きく開き、丸々と膨らんだ腹の輪郭を浮き彫りにする黒いマタニティドレスを着たその女。男から奪ったボトルを両手で持ったまま咎めるように、けれども優しさの隠し切れない声音で言った。
「全く。飲み過ぎだぞ」
「まだそれほど飲んでいないつもりだが。もう駄目なのか? 箒」
女の名は、篠ノ之箒。亡国機業の実働部隊に所属する兵士の一人。そして、総帥の立場にいるこの男の妻だ。婚姻はまだ先の話だが、男に目をつけられた女たちと同様に、そう遠くない将来に男の姓を与えられ、家系図に組み込まれることになっている。
勿論、そろそろこの世に産み落とされる予定の、箒の胎内にいる子供も。
「もう少しくらい、いいだろう?」
「駄目だ。我が子の父親になるのだから、健康のことも考えてもらわないとな」
箒はテーブルの端にボトルを置くと、男がテーブルに手を伸ばせないように、ソファーに座って男の腕に抱き着く。男の温もりをしっかりと感じるために、ここ数か月でさらに大きく実ってきた乳袋と膨らんだ腹を腕に密着させている。
最愛の夫と愛を育む妻。その関係に不自然なところはない。九か月前まで、敵対していた関係などと言われても誰も信じないだろう。それもこれも洗脳による脳内調整の結果なのだが、それを除いても、二人の間には明確な愛情が形作られていた。
「それで、そろそろ娘の名前は考えてくれたか?」
「ああ。まだ絞りきれてはいないがな」
箒は会話をしながら、そっと伸ばした手で男の股間を弄る。
「そうか。楽しみだ」
箒の手はズボン越しに男の肉棒を揉み解す。丁寧に、優しく揉むこと一分間、股間は大きく膨らんでいた。布地の内側で窮屈そうなそれを見て箒はくすりと笑うと、ズボンのベルトを外し、チャックを下ろし始めた。
「……大切な最初の娘だ。いい名前をつけてやらないとな」
箒の細い指先が開かれたチャックの穴に忍び込むと、手慣れた動きで肉棒を取り出す。まもなく、内側から硬く勃起した一物が姿を晒す。目を細めて喜んだ箒はそのまま、手の平の熱を伝えるように、太く長い竿の一部を手で掴む。
「もちろん、二人目も、三人目も、その後も……。他の皆の子供もそうだが、子沢山になると名付けが大変だな……? だが、楽しくもある……。ああ、私は今、とても幸せだぞ……? 愛する男とこうして、夫婦の共同作業を行えているのだからな……」
男の耳元に顔を近づけ、箒は息を潜めた囁き声を送り、肉棒を扱き始める。
先ほどから箒の様子を眺めていた男は、箒が発情していることを理解していた。
妊娠し、出産を来月に控えた段階に至って、男は箒とのセックスは控えていた。肉体的な接触ができない代わりに、無理しない程度にと箒を旅行に誘うことにし、今はこうして旅行先の高級ホテルに泊まっている。
だが、旅行を楽しんだところで、肉体の疼きが収まるわけもない。
それに、この旅行は男と箒の二人旅だ。念のためにボディガードを連れてきていて、箒にばれないように配置しているが、互いに干渉することはない。箒がどれだけ男に甘えようと、邪魔する者はいない。
箒は積極的だった。
それでも、自分から誘いの言葉を投げかけることはなく、男から誘われるように仕向ける。男に愛されることで自分の魅力を理解した箒は、そんな駆け引きができるようになっていた。
「どうしたことか。こんなに、硬くなってしまったな。溜まっているのか? 裏筋を指でくりくりと擦るだけで、ほら、またビクンッて跳ねたぞ?」
人差し指で裏筋をなぞりながら、箒は期待の眼差しを向けてくる。誰のせいだと思っているのだと、男は呆れた目を送っていたが、ここまで肉棒を育てられては仕方がない。
「箒」
「何だ?」
わかっているくせに、箒は素知らぬ振りをして、肉棒をぬこぬこと手で扱く。できるだけ広く手の平にチンポの臭いを擦りつけるみたいに。熱心に弄り回し、尿道から漏れた我慢汁を手の平全体に薄く広げている。
「ベッドに移動するぞ」
「……ああ、誘われては仕方がないな」
期待通りの結果になって、箒は穏やかに笑顔を見せた。
その瞳は昏く、内には消し去れない欲望の闇が宿っていた。
脱いだ衣服をベッドの端に放り投げ、男は中心で大の字になった。その気になってからは箒よりもやる気を見せた男に対し、箒は小さな子供を見るような微笑ましい表情を浮かべていた。くすくすと笑った後、意気揚々と存在を主張する極太チンポを見下ろし、舌なめずりをした。
「今、鎮めてやる」
箒は男の下半身に跨って立つと、マタニティドレスの裾をたくし上げる。レースをあしらった紫色の下着が全貌を晒す。透けたシースルー生地では肌が殆ど隠されておらず、代わりに煽情的な色香に覆われていた。
箒が下着を指で横にずらせば、女陰がそのままの姿で男の目に留まる。
男に何度も抱かれ、生殖棒を受け入れた秘所。しかし、箒の指で左右に開かれた陰裂から剥き出しになったのは、未使用であるかのような綺麗なピンク色。とても純潔を散らしたとは思えないが、しっかりと男を知ったわかりやすい証拠もあった。
「私も、これ以上は待ちきれないからな」
箒の膣穴から甘い蜜が垂れる。濃い雌の芳香を放ち、ローションのように直下の肉棒に垂れかかる。全体が愛液まみれになるのに時間は要さず、本格的に交わる前の事前準備はあっという間に完了した。
「ずっと、これが欲しくて堪らなかったんだ……」
念願叶ったとでも言いたげな様子で、箒はその場でしゃがみ込む。赤子が詰め込まれた胎を軽く弾ませ、直立チンポの間近まで膣を寄せる。相手の存在を察知し、こぽりと追加で溢れてきた愛液が肉棒を濡らした直後、交合が始まった。
「ぁ、あぁあ、ぅぁあああっ……!」
箒が腰を低くし、男の下半身に尻を寄せていく。しばらくお預けを食らっていた膣穴は肉棒を咥え込んだ瞬間にぎゅうっと強く締めつけていて、それが逆に箒への快感を跳ね上げる原因にもなっているようだった。
当然、大切な場所を掴まれ、体表よりも熱い粘膜で熱せられる男の快感も凄まじいものだった。徐々に奥へと穴に呑み込まれる快感を箒と共有しながら、同様に声を漏らし、そのまま自分の娘が眠る子宮の近くまで亀頭が辿り着いた。
数か月振りの生ハメセックス。
「おかえり……」
「ああ、ただいま」
最愛の夫の帰宅を歓迎する新婚妻のような甘ったるい声で、箒は男を歓迎した。
歓迎は決して、熱い抱擁だけでは終わらない。
箒は完全に男の下半身に着席すると、右手を持ち上げて綺麗に敬礼をしてみせた。
妻としてだけでなく、部下として上司に敬意を払うことも忘れていない。雄様のおチンポ様を迎え入れることを許された幸福に浸った雌顔を見せながら、敬礼を続けながら、箒は騎乗位ピストンを始めた。
「はっ……ぁあっ……んぁぁっ……あぁあっ……!」
まだ十代の少女が、来月出産予定の子供を仕込まれたボテ腹をゆさゆさと揺らしている。敬礼をするその右手は、既に数万人の人間を殺めて血に濡れている。一人の人間が生涯を費やしても贖いきれない罪を背負うことなく踏み倒し、男の下で幸福と快楽を与えられて自由に生きる女兵士。
もう誰も彼女を元には戻せない。かつて箒が愛した少年、織斑一夏に呼び掛けられたとしても、箒の心は惑わされない。いつまでも男を慕い、男の欲望を満たすためだけに生きるだろう。そうなるように調整をした。
一人の人間が、それも、類まれな容姿の美少女が人生を狂わされた姿を目にして、男は凶悪な笑顔を見せた。これだから女を悪に堕とすのはやめられない。湧き上がる興奮はそのまま肉棒の成長へと置き換えられ、箒の膣内を生殖棒が占有する。
「はぁっ……あぁ、硬い……。腹ボテセックスで、随分と興奮してくれているようだな……。んぁっ、んっ……。む、娘のいる子宮の入口を亀頭でノックする気分はどうだ……? あぁんっ……私は、最高だ……。も、もっと、突いてくれっ……。娘が嫉妬してしまうくらいに、私の妊娠済みおマンコをハメ倒してくれぇっ……!」
箒の騎乗位が速度を増していく。様子を窺う目的でゆっくりと動いていたが、お腹に影響はないとわかると、高速に切り替えていく。
「あっ……ぁはっ……気持ち、いいっ……。あぁぁあっ……ぉぉっ……ぉっ、んぁあぁっ……! セックスっ……。旦那様とのセックスっ……。わ、私は、この人を愛し、この人の子供を産むためだけに生まれてきたんだ……。早く、この子を産んで、子宮を空けて、また次の子種を植えつけてもらわないとっ……」
自分の役目を理解し、使命感に燃えている箒。男は箒の発言を訂正することはなかった。男もまた、箒と同様の考えを抱いているためである。
全ての見目麗しい女は、自分の下で管理すべきである。そして、より多くの女を愛し、時には残酷なまでに精神と肉体を弄ぶ。その上で、より深い愛情を注ぎたいと思った者は全員、自分の伴侶として最上の祝福を施す。
その過程で自分が楽しめるのであれば、どれだけの人間が不幸になっても構わない。そうした身勝手な思いの積み重ねによって、この状況が成り立っている。
「ぁぁっ、んぁああっ、ぉおぉっ、ぉっ、おぉおおぉおっ……!?」
箒が暴れる。男を食らわんとするように覆い被さって、間近に顔を寄せる。温められた吐息の全てが男の顔面に吹きかけられ、蕩けた表情が男の視界を塞ぐ。仮にどれだけ性格が破綻していようと、整った顔と官能的な女体で多くの異性の好意を引き寄せていたはずだ。そんな少女がただ自分だけを想い、快楽に狂う光景は男の股間に酷く響いた。
興奮によって精子が汲み上げられる。
熱い衝動を感じてすぐに、男は猛る欲望を無言のまま放った。
「ん、ぁっ、ぉっ、奥で、出てるっ……ぉおおぉおおっ……」
子を孕んでいるとき、子宮は完全に口を閉ざしているため、中に精液が入ることはない。だが、それでも膣の奥で高熱を感じたようで、箒は身震いしていた。鼻先が触れ合う距離で男を見つめながら、唇に吸いつく。
「ちゅっ、ん、ちゅ、ぷっ、はぁっ、ん、ぐぢゅっ、ぬ、ぢゅ……」
男はそれを受け入れ、されるがまま身を任せた。
精液の受け渡しとともに、箒の口づけが繰り返される。肉と肉が接触する音が消えた代わりに、唾液が絡む音が鳴る。
誰にも邪魔されず、ただ気の向くままに肌を重ねる。
出会い、ここに至るまでの過程は最悪ではあったが、箒は幸せそうだった。
「よし、そろそろ二回戦だ……」
口の周りについた男の唾液をぺろりと舐め取り、箒は腰を揺する。我が子を抱えた分だけ重くなった体重を乗せ、男の股間に尻を振り下ろす。その動きは先ほどと比べて陰りを見せておらず、まだまだやり足りないようだ。
とことん付き合ってやろう。
男は箒のボテ腹を撫で、もう片方の手でドレスの上から乳房を揉みしだく。手に伝わるのは冷めるどころかますます上がっているように感じる箒の体温と、暴れる母親に触発されるように胎の中で蹴りを放った愛娘の胎動だった。