今回はエロ無しです。
アニメも今日で3話になりますが、ようやくメインヒロインの一人・千紗希ちゃんの出番です。
彼女の母である日和ママの出番もあるかなー…?と期待しております。
アニオリで出番作ってほしい。
てかOPで姿出てるって事はちゃんとした出番あるって捉えて良いんですよね?
忌まわしきあの日から数週間が経ち、日和の心の傷も完全には治らないまでも、徐々に塞がりつつあった。
曇った表情は段々と元来の明るさを取り戻していき、禍々しい記憶は…当然一生彼女の心に影を差すのだが、薄れつつあった。
「宮崎さんっ!ご飯一緒に行きませんか!?」
「宮崎さんがお休みしてる間に良い所できたんですよ~!」
職場では活気のある中心に、常に日和がいた。
「あら、良いわね…私も行こうかな」
後輩の女性社員に連れられて、近くのレストランへ行く日和。
もうすっかり元来の姿を取り戻しつつあった。
「宮崎さん良いよなぁ…美人だし優しいし、仕事できるし…」
「それに巨乳でスタイル抜群だしな♪たまんねーよ」
そして、その後ろ姿を見て表情を緩める男性社員達。
彼女は常に、男性からも女性からも憧れられる存在であった。
しかし、そんな魅力が時に行き過ぎた盲愛を生み出してしまう事もある。
彼女がレストランから帰ってすぐの事であった。
「宮崎さん…ちょっと、いいですか?」
「ん?何かしら」
若い男性社員が日和を人気のない部屋へ連れ出す。
「あの…何か用?」
同じ所属の人間だから信頼はしている。
だが、こんな事は初めてだ。
日和は静かな倉庫へ連れてこられ、自分より若い男性社員と向き合っている。
どうやら仕事の事ではなさそうだ。
「み、宮崎さん…」
「ん?」
何か言いづらそうに、口をもごもごさせながら言葉を切り出す男性社員。
人生経験のある日和からすればもう大体どんな用事なのか分かっていた。
「宮崎さん!僕…宮崎さんの事…好きです」
「えっ」
予想はできていた。
しかし、いざその気持ちをストレートにぶつけられると流石に驚く。
こんなにもストレートに気持ちをぶつけられるとは思っていなかったのだ。
そして、夫も娘もいる自分に告白して、一体どういうつもりなのか。
だが、日和はその気持ちを無下にはしない。
「ん、んー…その気持ちは嬉しいけど、でも…私もう結婚してるし…」
キラリと左手の薬指を閃かせながら、微笑む日和。
なるべく相手を傷つけずに断る方法を頭の中で模索する。
「それに…君だって私みたいな年上、嫌じゃないの?」
「嫌じゃないです!大好きです!」
必死に返す男性社員。
その言葉に偽りはなかった。
「宮崎さん…分かってます…分かってますけど!お願いします、僕の思いを…受け止めてください!」
断片的に言葉をつなぎながら、男が必死に懇願する。
うーん、と困った様子の日和。
どうやら相手に引き下がるような様子はない。
「お願いします…お願いします…」
呟きながら日和へ迫る男性社員。
「…えっ?」
気付けば、相手の顔が目の前にあった。
なんか近い…そう思った瞬間。
「なっ!」
ガッと手首を捕まれると、いきなり壁に押し込まれる。
異性に強引に迫られるのは、あの日の惨劇を思い起こさせた。
「ちょっ、あなた…!」
「宮崎さんすいません…すいません…!」
何故か謝り始める男性社員。
頬を近寄せると首筋をぞろりと舐め上げる。
「嫌ぁッ!」
バチン!
反射的に飛んだ日和の平手。
男の行為はあの日のトラウマを想起させた。
「うぅ…すいません…すいませんっ」
「はぁ…っ、はぁ…っ!」
まだ謝るのをやめない。
日和は何か男性社員の行為に他意があるのではないかと思った。
その瞳は明かに自身へ迫ってきたあの痴漢オヤジやセクハラ上司のものとは異なっていたからだ。
ビンタされても怯まず、今度はガバッと抱き付きにくる男性社員。
「や、やめなさいっ!」
先日の事もあり、日和はパニックになって拳を振り回してしまう。
バキッ!
「ぶふぅッ!」
顎に拳がクリーンヒットして、思わず倒れてしまう。
倒れた彼を見た時、日和も思わず(しまった…やり過ぎた!)と目が覚める。
「痛てて…」
口を切って血を流す彼。
「ご、ごめん!大丈夫!?今すぐ手当てするから!」
倒れた彼を心配して、ハンカチで彼の口元を拭う日和。
その様子を一人、影ながら傍観している者がいるとは知らずに…
「ご、ごめんなさい…宮崎さん、ごめんなさい…」
涙目になりながら彼は最後まで謝り続けた。
「お疲れさまです~」
「お疲れ」
今日は何だか仕事に身が入らなかった。
昼間のあの事があったからだろう。
結局、彼も日和もあの後は何事もなかったかのよう振る舞い、業務を続けたのだが、二人の間にはわだかまりと疑問が残った。
何故、彼はいきなりあんな行為に踏み切ったのか?
部署は違えど、日和は彼の事は少し知っていた。
温厚で真面目で、到底あんな破廉恥な事に踏み切るような性分ではないと思うのだが。
そして、何故最後まで謝り続けていたのか。
日和は難しい顔で顎に手をやる。
「宮崎」
聞きたくもないあの声。
とともに、肩に手をぽんと置かれる。
「!」
それだけでハッと息を呑んでしまうような、とてつもない不快感。
振り向けばセクハラ上司こと部長がそこにいた。
「な、何ですか?」
「ちょっと話があるんだが…良いか?」
淡々とした口調で答える部長。
何か自分が問題でも起こしたのだろうか?
ふとそんな事を思うが、覚えはなかった。
ガチャリ…
「失礼します…」
入り慣れない部長室。
そもそも部長と自分ではやってる仕事が違うので、あまり仕事間の関係は濃くなかった。
それが何故ここ最近急に自分にまとわりつくようになったのか。
日和は理解できなかった。
「ま、そこにかけたまえ」
以前彼が見せた情けない負け犬の表情とは打って変わって、部長の顔は余裕で満ち溢れていた。
不気味だった。
何か良からぬ企みがあるのだろう。
日和は緊張した面差しでソファへ座る。
部長が対面のソファへ座ると、彼のノートパソコンの画面を見せられる。
「話というのはこれなんだが…君の口から説明してくれるかな?」
開かれたのは一つの動画。
再生ボタンを部長がクリックすると、"劇"が始まった。
―そこは薄暗い倉庫のような場所。
上からのアングルのために最初日和はそれがどこだか分からなかった。
『な、何するんですか!?』
『黙りなさい!』
バチン!!
といきなり響く肌を叩く音。
「…えっ?」
全く動画の状況を理解できず、動画に映っているのが自分と先程の若い男性社員だと気付くのに数分を要した。
『ちょっと…やめてください…!』
『ふざけないで!』
ゴッ!
拳が男性社員の顔に当たる音が聞こえた。
どさっと彼が床に崩れ落ちる音が聞こえたところで動画が終わる。
「これはどういう事なのかを説明してもらたくってね」
部長がニヤニヤとパソコンの液晶を抱えながら日和に問う。
そんな事、日和が一番聞きたい事だったのだが。
「これは…何ですか?」
「何ですか?じゃないよ、宮崎君」
くっくっく…と笑いながら自らの術中に嵌った日和を見る部長。
その動画が精巧な合成技術を使ったものだと容易に日和も分かった。
だが、それを合成だと言い切る証拠は日和の手元にはなかった。
「君がやった事だろう?」
そもそもよく出来過ぎている。
何も知らない者が見たら合成だとは気付かず、動画に映った女性…日和が相手の男性社員に暴力を振るうパワハラ動画にしか見えないだろう。
一体どこでこんな高度な技術を仕入れたのか。
そもそもあの男性社員は部長のグルだったのか。
そう思うと何だか失望してしまう。
同じ会社で働く同志としても、一瞬でも期を許しそうになってしまった男性としても。
「…言っておきますけど、私は一切こんな事をやった覚えはありません」
「証拠がここにあるのにかい?」
凜として言い切る日和にニタニタ笑いながら液晶を見せつける部長。
(良い気になって…!)
ギリリと怒りで奥歯を噛み締める日和。
部長はこの動画をダシに何をしてくるだろう?
それも大体想像がついた。
「この男の子はもう帰ったんですか?」
「あぁ、帰ったよ。そもそもこの件を私に打ち明けに来たのが彼だしねえ」
予想の範疇だと言わんばかりに余裕を持って返答する部長。
どうせ彼も部長の息がかかった者なのだろう。
だとすれば、彼の謝り続けた態度も納得がいく。
憎たらしい事この上ない。
こんな変態で無能で親の七光りな中年オヤジに勝手に自分のパワハラ動画を作られた挙げ句、言いなりにさせられるだなんて。
自分の脇が甘かったのか。
いや、自分に何も落ち度はない。
部長の自分に対する執着心が異常すぎるだけなのだと、心の中で合点していた。
「…それで、そんな動画作ってどうするつもりですか?」
「作っただなんて…くっくっく!酷い言い方じゃないか…」
日和の睨むような鋭い視線を受け流すように笑い出す。
その笑いには日和が自分の思い通りに動いているという、支配している喜びを孕んでいた。
「君が全部した事なのだろう?一社会人として自分のした事くらい責任を持ちたまえぇ」
この動画が公表されれば世間は皆部長を支持するだろう。
一流企業の御曹司の人脈は伊達じゃない。
各業界や海外の大企業だけでなく、政界にも太いパイプを持ち、数々の黒い過去をもみ消してきたという話をまことしやかに聞く。
特に目の前にいる男の場合はキナ臭い話もよく聞くものだ。
「私は…何をすれば良いんですか?」
「話が早いじゃないか、宮崎君」
タバコの煙をくゆらせながら、太い脚をどかっとソファを揺らしながら組む部長。
勝者の余裕を漂わせているのがただただ不快だ。
しかし、日和もいつまでも部長の思い通りに動いているつもりはなかった。
強引にでも彼の目論見を打ち砕かなければならない。
そのためのチャンスを窺い続ける。
「なに、話は簡単だ…とある所に、それも一週間の間だけだ、出向してほしい」
出向。
どうせ碌な話ではないのだろう。
しかし意外な答えではあった。
もっと単純にセクハラされたり家に連れ込まれたりするのかと思っていたが。
はあっ…とため息をつきながら、部長から差し出された出向先の名刺を受け取る。
「な、何これ…?」
紫色を基調とした妖しげな名刺。
それは36年間生きてきた日和にとっても縁の薄い、予想の斜め上をいく出向先であった。
次回からバニー編入ります。
できれば今日明日中に投稿してしまいたい…