「君が小鳥かい?弟ともども、世話になったね」
「…えっと、僕が小鳥だ。あんたは?」
「僕は、源氏の重宝、髭切さ。…いや、鬼切だったかな。まあ、とにかく鬼を斬った太刀だよ。鬼退治なら任せて」
「・・・」
小鳥は数珠丸の後ろに隠れたまま僅かに首を傾げる。髭切は小鳥と目線を合わせて微笑む。
「怖がらなくても平気だよ。僕が退治るのはあくまで鬼であって幼気な子供ではないからねぇ」
「…うん」
小柄で肉付きの悪い痩身は抵抗する力を殆ど持っていない。否、そもそも抵抗の意思があるのか怪しいところだ。
「…抵抗しなくても、いいのかい?僕が何をしようとしているのか、わからないわけじゃないんだろう?」
「…此処に来てから、時々頭が痛くなって、こんのすけの薬、よくきくけど、体の奥がきゅんきゅんして、きもちわるくなって、でも、えっちいことすると、おさまるの」
「…それ、薬は止めた方がいいんじゃないかな」
「頭痛いの、あんまり恒次を心配させたくない」
「・・・」
触れてみれば、彼女のショーツはじっとりと湿っている。脱がせてみれば、そこからは女の匂いがした。発情状態におかれているらしい。
「…僕が美味しくいただいてしまってもいいということかな」
「えっちいこと、すきじゃないけど、したいなら、いいよ」
小鳥は目を細める。少し気だるげでもある。
「じゃあ、遠慮なくいただいてしまおうかな」
割れ目に指をはしらせる。すぐに蜜が指を濡らし、溢れだそうとしてくる。
小鳥の白い躯には幾つかの赤い痕が付けられていた。彼より前に彼女を抱いたものが付けたものなのだろう。頓着した様子はない。場所によっては気付いていないのかもしれないが。
「政府ってやっぱり碌でもないよねぇ」
「突然どうしたのだ、兄者。…というか、確か小鳥のところに行っていたのではなかったか」
「うん。こんのすけが…というより、政府が、なのかな?あの子を使い潰そうと思っているようでねぇ」
「…使い潰そうとしている、とは、穏やかではないな」
「加担する形になった僕にどうこう言う資格はないかもしれないけどねぇ」
「…?…どういうことだ、兄者」
「…。兄者」
「まあ、据え膳はいただいちゃうよねぇ」
「わかっているのか、兄者、それは」
「碓氷が一部の刀剣にしていたことと同じ、だろう。…けど、僕がヤらなくても他の刀剣がヤると思うんだよね。その為の薬なんだろうし。…というか、態々飲ませるなら自分からしなだれかかってくるような奴でもおかしくないと思うんだけど」
「…幼子に
「うん、そういうことじゃなくて…」
髭切は悩むような素振りを見せる。膝丸はきょとんとした。
「…実際そんなものがあるのか見たことはないけれど、艶本で出てくる媚薬ってこう…自分から求めさせたり、自分から乗っからせたりするだろう?あの子は拒まないだけだからねぇ」
「い、一体どんな本を読んだんだ兄者ァ?!」
「碓氷の持ってたやつ。おっぱいの大きな女の子をあんあん喘がせるやつ」
「・・・」
膝丸は深く溜息をついた。
「…小鳥様」
眠りこんでいる小鳥は反応しない。こんのすけは、絞り出したような声で呟く。
「申し訳、ございません。こんのすけは、あくまでも時の政府の
こんのすけとて、小鳥の事は嫌いではない。だが、契約によって審神者の不利益になることはできても政府の不利益になることはできないのだ。その上、彼女に関して言うのなら、色々と担当官の方で悪だくみがされている。数珠丸の警戒も、あながち大袈裟ではないのだ。
「あなたを損ねることは、この本丸にとって不利益でしょうに、あのものたちは…」
意味のない懺悔だという自覚はある。こんのすけは上の命に逆らえない。命じられていない事をする事は出来るが、命じられたことをしない事は出来ないのだ。
「…どう転ぶのが良いか、私にはわかりません。ですが、どうか、どうか…壊れないでくださいませ。こんのすけは、主さまにも幸せになっていただきたいのです」
何が彼女の幸せなのかは、わかっていないのだけれども。
「・・・」
わかっている。自分が使い潰されようとしているのは理解している。政府の人間が自分の"味方"ではないこともわかっている。こんのすけが完全にこちら側ではないことも。
「…(自分に大切にされるだけの価値がない事は、知っているよ)」
だから、大切にしてくれる恒次が、大切な相手に思えるのだ。