鶴丸は小鳥を一種の幽閉状態においた。
幽閉場所は鬼丸の封印されている地下空間である。一部空間を生活空間として改造した。刀剣である鬼丸はともかく、人間である小鳥には寝食が必要だ。ついでに衛生環境もあった方がいい。
何が原因なのか、小鳥は少しぼんやりした様子である。その一端は鶴丸が担っているだろうし、もしかしたら鬼丸も関わっているかもしれないが。
そして現在、鶴丸はそもそも突発的な来訪だったとかで、妖横町に出かけていった。地下空間に鬼丸と小鳥のふたりきりである。鬼丸は視界を奪われたままなので小鳥がどうしているかはよくわからない。
「…主、おれの封を外せないか」
鬼丸が呼びかけると、小鳥がゆっくり近づいてきた気配がした。彼のものより小さな手が、頬に触れる。
「できれば、視界を解放してくれると助かるのだが」
小鳥の手で、拍子抜けするほどあっさりと、鬼丸の視界を遮っていた札が剥がされた。少しとろんとした目で己をのぞき込んでいる小鳥と目が合い、鬼丸の手が無意識に彼女の頬に伸びる。それが当然のことであるとでもいうように、鬼丸は小鳥に口付けていた。
「んぅ…」
「んむ…」
舌を絡め、深く口付ける。小鳥はされるがまま口付けに従い、力が抜けたように鬼丸の腕の中に倒れこんだ。薄い衣を一枚羽織っただけの無防備な格好である。下着もない。
「…なんて格好をしてるんだ、あんたは」
いや、八割がた鶴丸の所為だろう。彼は視界を封じられてはいないし、意識も明瞭だ。いくらでも指摘できたはずである。
「おにまる、怒ってる?」
「怒って…いるのかもな。…寒くないのか」
「ん…からだ、ぽかぽかするから」
小鳥の躯はほのかに熱を持っている。確かめるように鬼丸の手が撫でると、小鳥は甘い吐息を零した。鬼丸は小鳥を胸に抱き寄せる。
「…抱いていいか」
「ん…」
わかっているのかいないのか、小鳥は鬼丸の胸に頬を摺り寄せる。腕の中にすっぽり収まる小さな躯に、鬼丸は口付けた。肩口に舌を這わせると、小鳥は小さく震えた。
「…おれは、主の嫌がることはしないつもりだが…」
鬼丸は両手の小手を外して素手になる。割れ目を撫でられ、小鳥は甘えた声を漏らした。
「…歯止めがきかないかもしれない」
小鳥に口付けながら、割れ目を愛撫する。いくらもたたずに、小鳥の瞳は快楽に蕩け、甘い声を上げた。花芯は指で愛撫されて水音をさせている。
「あ、ひ…おにまぅ…」
「きもちいいのか、主」
小鳥の呼吸は浅く、腕だけで必死に鬼丸に縋りついている。それが、鬼丸にはとても愛らしく感じられた。
「あんたは愛らしいな」
また口付け、男根を取り出す。鬼丸の体格相応のものが内股に触れ、小鳥の口から上ずった声が漏れた。
ゆっくりと、挿入されただけで、小鳥は息も絶え絶えになった。
「おに、まうぅ…」
「大丈夫か」
小鳥の背を撫でる。小鳥は自分の躯を支えていられないのか、鬼丸の胸に抱き着くようにして脱力している。鬼丸が緩く腰を揺らすと、小鳥は甘い喘ぎ声を漏らした。
「はぁ、あぁ…んぅ…」
「気持ちイイんだな」
「う…あ…きもち、い…あ、んっ…」
「…それはよかった」
鬼丸は微笑して小鳥に口付けを落とす。
何に由来しているかはよくわからないが、幸福感を覚えていた。主と情を交わすという行為にか。愛しく感じる相手が己の腕の中に納まっているからか。それが己の行為で甘い声を上げているからか。いずれにせよ、今の状態を好ましいと感じているようだった。
「…おれもあまり鶴丸のことを言えないな」
鬼丸が小鳥を抱いているのは、単純な性欲…抱ければ何でもよかった、というわけではない。"ムラっと来た"のも確かではあるが。
そもそも、元々が器物、刀の付喪神である刀剣男士は本来は性欲を持ち合わせておらず、降ろした主の影響が大きく出る。大抵は主と同程度になるし、主の偏見の影響を受ける場合もある。
彼の主は性欲は強くも弱くもない、まあ平均程度の審神者だった。だが問題は、彼は主に神と祀られてしまった転神個体であるとおうことである。神は、基本的に性欲が両極だ。といっても、"ある"ものは豊穣系の権能、子孫繁栄系の力を持つものなので、よほど刀剣には関係ない。そして"ない"ものは、更に好意と連動するものとしないものに分けられる。
神の性欲は所有欲、征服欲、独占欲、その他何らかの強い欲求に結びついていることが多い。鬼丸の場合はどうやら…庇護欲に近いものと結びついてしまったようだった。簡単に言うと、おれの手の届くところなら安全だから離れるな(物理)という感じである。若干バグっている。
「はぁ、ん…おに、まぅ…」
「主…小鳥。何であろうと、あんたを傷つけるものはおれが斬り捨てよう。だから…おれのそばにいてくれ(…おれを、ひとりにしないでくれ)」
もっとも、今の鬼丸は本体を封じられているのだが。