小鳥はとても適応能力が高かった。本丸から出られないことにも、抜丸の求愛にもすぐ慣れた。やらなければならないことというのがないので、本丸内の掃除や整備をして過ごした。眠る時と風呂やトイレなどの時以外、本丸にいる間ほぼ常に抜丸は小鳥の傍にいた。
「もしや駆け引きという言葉をご存知ない?」
「小鳥は引いたら追わないでしょう」
「うん」
小鳥も抜丸とすごすこと自体は嫌ではない。求愛中で対応が優しいからかもしれないが。
「やっぱり番いとかってよくわからないから」
「抜丸も知識としては知っていますが、実際に伴侶を持ったことはありませんよ。でも、要はお互いが特別で、繋がっていて、永遠なのです。我はそう考えています」
「永遠はちょっと…」
「小鳥は、永遠が嫌なのですか?」
「簡単に変わってしまうものが変わらないでいるのが尊いのであって、変わらないのが当然のものが変わらないのは別に、じゃない?…それに、あんまり長生きはしたくないというか…」
「…確かに、人の世は諸行無常が常ですね」
ちなみにこの会話を抜丸が小鳥を抱き込んだ状態でしている。慣れすぎである。
「やっぱり僕、結婚願望とか子供が欲しいとかナイし、単に一緒に過ごすという以上、ってなると、ううん…」
「我は伴侶と情を交わしたりしたいですが」
「それは別にいいんだけど」
「いいんですか?そんなことを言うと抱き潰しますよ」
「経験ないからよくわかんないけど何かとんでもない脅しをかけられてることはわかる…いや、拷問的なことなら止めてほしいですけど。…こう、抱きしめられたりすりすりされたりしても、何も嫌じゃないので、多分エッチなこととかするのはまあいいかなって…でも何事も終わりがないのは無理かなって」
抜丸の腕に力が入る。
「…つまり、期限付きなら我の番になっても良いと」
「そうなるかな」
抜丸は考え込む素振りをした。
「……いや、積極的にしたいわけではないんだけど。抜丸がしたいならまあしてもいいかな~くらいのやつ」
「ではしましょう」
「ヒェ」
抜丸は小鳥の首筋に口付ける。そのまま指で顎を撫でると小鳥はびくりと肩を震わせた。
「真昼間から?」
「何か問題がありますか?」
「そういうのって、準備とか色々いるものなのでは…」
「そのあたりはまあ、どうにでもなります」
「どうにでも」
抜丸は不思議そうに首を傾げる。
「抜丸が望むのなら、しても良いのでしょう?」
「したことないからわかんないけど、初めてだからもっとムードというか、流れを大事にしてほしいかなって…!」
「なるほど」
抜丸は小鳥をくるりと振り向かせて対面座位にして口付けた。突然のことに混乱する小鳥の、何か言おうとした口に舌を入れて絡める。
「っ、ふ、んぅ…」
唾液を混ぜるように口付けを深める内、小鳥の瞳がとろんとしていく。酸素を求めるように開いた口の端から唾液がこぼれ、控えめに、縋るように、手が抜丸の袖を掴んだ。
「可愛いですよ、小鳥」
「あ、う…」
赤面した小鳥の口端を舐め、頬を撫でる。息が浅い。
「もしや、神気に対する耐性があまりないのですか?ならば、あまり注ぎすぎないよう気をつけねばなりませんね」
額に、頬、首と順に口付けていく。小鳥は躯を震わせながら抜丸の衣をぎゅっと掴む。
「…本当に抱き潰してしまうかもしれません。確かに、先に準備をしておくべきことのようだ」
既に腰が抜けたようになっている小鳥を抱き上げ、抜丸は寝室へ向かう。小鳥はどうしていいかわからない顔で抜丸にしがみついている。ちなみに抜丸が使っている方の部屋である。
「とりあえず水差しと…ううん、まあ大丈夫ですかね」
鳥の巣みたいになっているところに小鳥を下ろして、抜丸は席を外した。小鳥は上気した顔で所在無げに手近なところにあったクッションを抱える。
「…はじめてだっていってるのに…」
小鳥とてそういう知識が全くないわけではないのだが、己が体験するものとして深く考えたことはなかったし、詳しいわけではない。酒を飲んだ時のように躯が火照ってていて、落ち着かないが、どういうことなのかもよくわからない。まあ体質的に酒で酔ったことはないのだが。
「…というか、抜丸的に僕って対象になるんだ…」
「――ええ、勿論」
「はわっ」
「伴侶として望むのですから、当然でしょう。共に過ごすだけなら伴侶でなくとも良いのですから」
水差しを文机において、抜丸は小鳥を抱きしめる。
「最初からそのように言っていたつもりでしたが、小鳥には伝わっていませんでしたか?」
「…そういう感情を向けられたことなかったから、実感なかったというか…」
「小鳥の周りには見る目のない者しかいなかったのですね。もっとも、だからここにいるのでしょうけど」
価値を見出す者がいれば、凍結本丸に不正に送り込むなんて非人道的な生贄のような役目を与えられるわけがないのだ。ほとんど死亡前提の策だ。使い捨て同然の扱いである。勿論大っぴらに行われることではない。
「そこは価値観の問題だと思うけど…」
小鳥は苦笑する。
「だからこそ抜丸と会えたとも言えるし…」
「小鳥は実は被虐趣味があったりしますか?」
「なんで???」
「そんな可愛いことを言って、暫く寝床から出られなくなりますよ」
「ヒョエ…被虐趣味はないよ!?ただ素直に思ったことを言っただけで…」
「抜丸は、小鳥に惚れているのだと…わかっていますか?」
情欲に満ちた瞳で見つめられ、小鳥は唾を飲み込んだ。
「あんまり可愛くされると、止められなくなってしまいます」
「手加減してください…」
乱暴にならないよう気を付けながら、抜丸は小鳥の衣を緩めていく。下着をずらして胸や股間を露出させられると小鳥も流石に恥ずかしがった。無駄な肉のついていないスレンダーな躯に口付ける。敏感なところを舌先で転がされ、小鳥は甘えた声を漏らした。
「あ、ひ」
「小鳥は敏感なんですね。沢山気持ちよくしてあげますから」
「ひゃ、う、あ」
口付けと愛撫で小鳥の躯から力が抜けていく。本能的なものなのか、ゆるく股が開いている。割れ目を指でなぞると、ぎゅっと目をつぶった。
「此処を触られるの嫌ですか?小鳥」
「…や、じゃ、ない」
「そうですか」
ほんの表面を触られただけで、小鳥は躯を震わせる。初めてのことで戸惑っているのだろう。
「怖くないですから、抜丸を見ていてください」
「み、あ」
腹への口付けの延長とでもいうように、割れ目に口付け舌を這わせる。腰がびくんと揺れた。
「あ、あ、やっ…そこ、だめぇっ…」
快感で力が入らないのか、抵抗は弱い。足をびくびく揺らして、いやいやとゆるく首を振る。
「でも、気持ち良いのでしょう?」
「ひゃっ、くち、らめぇ…」
「濡らした方が痛くないですから」
「にゅ、うぅ…ひゃ、あぅ…」
唾液でたっぷり濡らすように舌と口で愛撫する。舐めたり、甘噛みしたり、吸ったり、息を吹きかけたり、優しく丁寧に刺激していく内に、小鳥は完全に腰が抜けて震えながら甘えた声を出すばかりになった。そしてふやけた穴から少しずつ蜜を垂らし始める。
「ふふ、とろとろになってしまいましたね、小鳥」
「う、ひぇ、うぅ…うぁ、う」
「可愛いですよ」
頭を撫でながら口付ける。深く口づければ、すぐに先程と同じく瞳がとろんとしてきて、指が抜丸の衣を頼りなく掴んだ。
「にゅう…」
「小鳥は素直ですね」
半開きになった口から小さな舌が覗いている。バードキスを繰り返し小さな胸を撫でる。甘えるようにほおずりされた。
「ではそろそろ、もっと奥まで解しましょうね」
唾液と蜜で濡らした指をゆっくり穴に沈めていく。
「は、あっ…にゅへ、まぅ…ふぁ…」
「大丈夫ですよ。少しずつ広げてあげますから」
中指を付け根まで沈めて、一拍置いてまたゆっくり引き抜き始める。何度か抜き差しして、つっかえる感じが薄まれば指を増やす。確かめるように軽く内壁を撫でれば甘い声を漏らした。
指が三本入るようになったら、ただ出し入れするだけでなく、指を曲げ伸ばしたりくねらせたりの刺激を始める。
「あ、あっ…しょ、あ…ひ、にゅへ、あぅ…ああ…」
「気持ちいいですか?小鳥」
愛しげに口付けながら穴を慣らしていく。途中で小鳥は軽くイった。
「可愛いですよ、小鳥」
「あ、あ…」
蜜まみれになった指が、くちゅくちゅと水音を立てる。
「痛みはありませんね?」
「ひゃ、うぅ…」
小鳥は甘い声を漏らしながら僅かに腰を震わせるばかりになっている。その瞳は快楽に蕩け、何を見ているかもさだかではない。弛緩した躯で、縋るように手に衣の端を握りこんでいる。
「そろそろ、一度入れますよ」
下衣を緩めると、勃起した男根がぼろんとこぼれ出た。蕩けた穴に先端をあてがい、自らを焦らすように擦り付ける。
「いいですか?小鳥」
「あ、ひ…」
ぐんっと抜丸のものが突き入れられる。逃れようとした腰をしっかりと捉えて、根元までずっぷりと沈みこませた。
「はいりましたよ、小鳥。わかりますか?」
「あ、ひゅ、ふぁ…にゅ、へぁ、う…」
腹を撫でれば、皮ごしにどくどくと脈打つものが感じられそうだった。奥を撫でると甘えた声が漏れる。
「しばらくこのままでいましょうか」
抱き寄せると、小鳥の方も抜丸にしがみつこうとする。腕も足も使って全身でしがみつく。力が入りきらないのか、弱い力でだが。抜丸は小鳥の背を撫で、うなじに噛みついた。歯形が付く程度には力の入った噛み方に、小鳥はあえぐばかりで反応がない。
「抜丸と小鳥はもう番ですよね、小鳥」
しばらくそのまま抱き合って背を撫でていると、小鳥の意識がはっきりしてきた。
「…ぬけ、まる?」
「ええ、抜丸ですよ、小鳥」
抜丸は返答と共に口付けを落とす。小鳥もおずおずと口付けを返した。抜丸は嬉しそうに唇を合わせ、口付けを深めていく。小鳥は瞳をとろんとさせて口を開いた。
「にゅけ、まりゅ…」
「すぐに我の名が呼べなくなってしまいますね、小鳥は」
唇を舐め、頬を摺り寄せる。そして耳に口付け、軽く食んだ。
「ふ、あ」
「ここ、好きなんですか?」
水音を立てて舐めると、小鳥は抜丸にぎゅっと抱き着いた。びくっとするたび穴もキュッと締まる。
「あっ、ひんっ…」
「可愛らしいですよ、小鳥」
背けようとはしないので、嫌なわけではないのだろう。赤い顔で抜丸にしがみついている。浅い呼吸が耳に届いた。
「う、う、う」
「嫌ですか?」
「ひぅ…」
ぎゅっと衣が握られる。トロ顔で縋りついている。瞳は完全に快楽に蕩けている様子だ。
「…とけ、ちゃう…」
「それだけ気持ちいいんですね、小鳥」
ふぅ、と耳元に息を吹きかけると、小鳥はびくんと躯を震わせた。
「にゅえ、あぁ…」
「可愛いですよ、小鳥」
反対側の耳も同じように愛撫していくと、小鳥は軽く達して脱力した。抜丸に縋るようにもたれかかる。
「にゅへまう…」
「敏感な躯をしているんですね、小鳥は」
首筋に口付け、甘噛みする。小鳥は甘えた声を漏らして頬を摺り寄せる。
「可愛すぎて歯止めが利かなくなってしまいそうです」
軽く腰を揺らしてナカを突くと、小鳥は躯を震わせて甘く啼いた。まだ動けないのか、自分から腰を振ってはいないが、快感に蕩けた顔をしている。
「痛みは無さそうですね。女人の初めては痛いものなのだと言いますが…」
この抜丸は遊郭で女を抱いた経験はあるが、処女を抱くのは初めてである。小鳥は神気酔いもあってかちゃんとした意識があるかすら危うい。
「痛苦がないのは良いことですが…ちゃんとわかっていますか?小鳥」
動きを止めて頬や顎などを撫でる。ゆっくりと瞬きをして頬を摺り寄せる小鳥に口付ける。そのまま上半身に口付けを降らせていると、小鳥の瞳がまたしっかりしてきた。
「にゅけまる…」
「抜丸が入っているの、わかりますか?小鳥」
「ん…」
一度引き出して潤滑剤を足して入れ直す。ぐちゅりという音と共に、小鳥は肩を震わせた。
「痛みはありませんか?小鳥」
「ふ、あ…にゅけまる、はいってる…きもち、い…」
「それはよかった」
奥を突かれて小鳥は甘い声を上げる。腰を掴んで、本格的な抽挿を始めると、小鳥は縋るように抜丸の腕を掴んだ。奥をノックされるたびに意味のない音が喉から漏れる。動きが力強いものになるほど、小鳥は嬌声を漏らした。
「奥に、出しますよ、小鳥」
「あ、あぁんっ」
ぴったりと股を合わせて、射精の後の余韻にひたる。しがみつく小鳥のうなじを噛む。
「わかりますか、小鳥」
「…おく、どくどくしてる…」
「小鳥は抜丸の伴侶です」
ぐちゅ、とナカがかき混ぜられると、甘えた声が漏れた。噛んだところを舐めて、口付ける。
「我の、番い」
「…だんなさま」
「…人は、番いをそう呼ぶこともあるのでしたか」
愛おしそうに口付ける。
「抜丸は、小鳥が幸せに過ごせるように努めますから」
一度出しても萎えていない男根が小鳥のナカを擦る。小鳥は甘えた声を上げて抜丸にしがみついた。
「…そんなに可愛くされると、抱き潰してしまうと、言ったでしょう?」
尻を撫でる。ずぷりと指を穴に入れた。
「ひっ…あ、やっ…そこ、やらぁ…」
くに、と指を動かされると、びくんと肩が震える。前後を同時に責められて、小鳥は嬌声を上げながらいやいやした。
「そこぁ、いじるとこじゃにゃいからぁっ…にゅへまう、やらぁ」
「だって、あまりにもすんなり入ってしまったものですから…でも、気持ちいいんですよね?小鳥」
その内に小鳥は絶頂した。抜丸もそのままナカに射精する。獣のように首筋を甘噛みする。
「あ、あ…」
「小鳥…素直にこたえてください」
「らめぇ…」
小鳥の瞳は興奮具合を示すようにとろんとしている。本当に嫌なのか、建前なのかわからないぐらいだ。いずれにせよ、尻穴を弄られて感じてしまったことに変わりない。
「悪い子ですね?小鳥」
「は、あ…おこらないれ…」
「抜丸は小鳥を傷つけたりはしませんよ」
口付けながら尻穴をさぐる。動かされているのは尻穴だけなのに甘い声が漏れる。
「気持ちいいですか?小鳥」
「あ、あ…おしり、きもちい…」
濡れた音がするたび、小鳥の息が浅くなる。恥ずかしがるように顔を抜丸の胸にぐりぐりした。