小鳥は餌付けされている。主に、平安太刀連中に甘味を振る舞われていることが多い他、料理に自信のあるものが自分の作ったものを食べさせたがる。それ以外の刀剣も、気が向けば何か食べさせたがったりする。短刀たちはおやつを一緒に食べたがる。
基本的に小鳥は出されたものは全部ぺろりと食べる。どうしても受け付けないと口を付けないものも偶にあるが、多くても少なくても不味くても美味くても、出されたものは全部食べる。
しかし、太る様子がない。いわゆる痩せの大食いというやつだろう。燃費が悪いらしい。ついでに言えば、間食を幾らしても三食を(好き嫌い以外の理由で)残した事がない。
「…でもだからっておじい様たちは主ちゃんに食べさせ過ぎだと思うんだよね」
「茶には菓子が付きものだろう」
「主はもう少し肥えるべきだと俺は思う。胸とか腿とか」
「余計な御世話だ」
「…うん、主ちゃんの肉付きが悪いっていうのは僕もそう思うけど、それはお菓子でカロリーを取らせるよりちゃんと栄養を取った方がいいんじゃないかな」
「俺今も十分食べてると思うんだけど」
「でも体型変わってないよね」
「…まあ、エネルギーはその分消費されてるんじゃない。…というか、女の子に太れって言うのはどうかと思う。僕これでも標準体重だよ」
「標準…?」
「もっと肉がある方が抱き心地が良い」
「それはどうやって算出された数値なの」
「身長(cm)-100(kg)」
光忠にそう答えた後、小鳥は鶴丸を見る。
「後、俺鶴丸にだけは肉付きの話されたくないんだけど」
「…あーうん。確かその位だったね」
「…光忠、主の体重を把握しているのか?」
「?抱っこしたら大体わかるでしょう?」
「わか…るか?」
「大まかになら…」
「寧ろ僕がざっくりしか把握してないけど。ヘルスデータ記録する時くらいしか測らないし。…前測った時とそう変わらないはずだけど」
「まあ、この本丸は維持するだけで大量の霊力を消費するようですから…その分主さまの躯はエネルギーを必要としてよく食べよく眠るのではないでしょうか。それとは別枠で刀剣を維持する霊力も必要なわけですし」
「…つまり、主ちゃんが痩せだしたりしたら拙いということだよね」
「それより睡眠時間が増える可能性の方が高い気がしますが。現在も随分長く眠っていらっしゃいますし」
平均して9~10時間は眠っている。
「一度眠ると朝まで起きないんだよねぇ」
昼寝なら一刻もすれば目を覚ますが。
小鳥は、刀剣たちとまぐわうことそのものについて、特に何とも思っていない。快眠を得る為の対価ぐらいに捉えている。疲れるが苦痛はそんなにないし、したいようにさせておけばいいと思っている。自分から求めたことはないし、これからもないだろう。肉体的に、というと未だよくわからないが、少なくとも精神的に快いものではない。
端的にに言えば、何故彼らがそれを求めるのかがわからない。
「小鳥、君は本当に、愛らしいなぁ」
朱格子の中、小鳥は赤い布で格子に爪先立ちに括りつけられている。そうすると、眠れないからだ。小鳥は条件がそろえばまぐわいの最中でも眠りこんでしまう。本人は生理反応のようなものだから仕方ないと思っているが。
「だが、いけない子だ。いや、そう躾けられてしまったのだから仕方ないと言うべきか」
鶴丸はじっとりと濡れた股間に指を這わせる。穴はどちらも簡単にほぐれた。
「誰に対してでも、こんな風に股を濡らすのかい?」
「…此処に入ってきてもいいヒト以外に大人しく抱かれるつもりはないよ」
"必要な知識"以外を喪ってしまった小鳥にも、性行為の際には避妊が大切だという知識には覚えがある。具体的な事は知らないが、不用意な妊娠を避けるだけでなく、病を避けるためのものでもあるのだと。つまり、性行為が原因で起こる病があるということだ。
「知らない人とする理由もないし」
小鳥はまぐわうことが好きなわけではない。求められれば応えるだけだ。
「それはつまり、俺たちとは、する理由があるということかい?」
「鶴丸はしたいんでしょ?」
「…ああ、したい」
鶴丸は歪な笑みを浮かべる。
「…俺が求めても、君は求めない。…はは、君はそれでいい。小鳥はただ俺の差し出した手を掴んでくれるだけでいい。俺が潰れた時はそのまま見捨ててくれればいい。君は誰にも捕らわれない自由な小鳥であればいい」
鶴丸は小鳥の片足を掴み、穴を貫く。頬に、唇に、額に、何度も口付けを落とす。
「小鳥、ああ…どうか、どうか、君はそのままでいてくれ。気持ちを返そうなんて思わなくていい。ただ、君を求めることを許してくれれば、俺はそれでいいんだ」