「さて、今日はちょっと趣向を変えさせてもらうぜ」
翌日、エレインドゥースが睨み付ける先にいるバルゲスは、そう言って笑うと部屋の片隅にあるレバーを操作する
「っ!」
するとエレインドゥースの両腕を吊ってしていた鎖が伸び、かろうじて爪先がつくほどの高さだった身体の位置が変わり、その膝が地面につくまでになる
「さて、これはなにか分かるか?」
膝立ちの状態になったエレインドゥースの許へ歩み寄ったバルゲスは、その手に持っている透明な液体の入った瓶を見せつける
「簡単に言えば、お前のメシさ」
エレインドゥースが答えないことを気にも留めず、口を開いたバルゲスが持っていた瓶の蓋を開くと、そこから漂う甘い香りが室内に漂う
「
にやけた笑みを浮かべ、透明な液体が入った瓶を見せつけながらバルゲスが言う
本来精霊に飲食は必要ないが、物質化をして肉体を得ている間はそれを維持するために食事を必要とする。バルゲスが取り出した透明な液体は、いわば高濃度の栄養分なのだ
バルゲスにとってエレインドゥースは玩具。だからこそ、そのケアは怠らない。力を失わないように、より長く楽しめるようにと食糧を用意したバルゲスは、粘性のあるその透明な液体を勃起した肉棒に絡める
「さあ喰いな」
肉棒に液体を絡め、その場で胡坐をかいたバルゲスは、それをエレインドゥースに差し出す
「私がそんなことをすると思いますか?」
それが何を求めているのかを分かっているエレインドゥースは、冷ややかな視線と声で抵抗と拒絶の意志を示す
だが、エレインドゥースが簡単に言いなりにならないことなどバルゲスにとっても想定の範疇。予想通りの反応に、獣の精霊は口端を吊り上げて嗤う
「するさ。お前が死ねば、お前の力で延命している契約者がどうなるか分かってるんだろ?」
「――ッ」
その言葉に、エレインドゥースは言葉を失う
エレインドゥースの契約者である「シダラ・レイトス」はエレインドゥースの命と力で延命している。それが失われればどうなるかなど考えるまでもない
「ところで、お前がここでこうしている間、大切な契約者様がどうしていると思う?」
その最大の弱点を責められ、明らかに動揺するエレインドゥースを見下ろしながら、バルゲスはおもむろに話を切り出す
そしてそれは、エレインドゥースの首に縄をかけるためのものだった
「奴は、とっくに俺達に捕まってるんだぜ?」
「っ!」
その言葉に、エレインドゥースが目を瞠るのを見たバルゲスは、契約者のいる精霊の因果を内心で皮肉に思いながら話を続ける
「その意味が分かるだろ? 奴の命は俺達の手の中ってことだ」
「嘘です。レイトス様が……」
その言葉に懸命に否定の言葉を上げるエレインドゥースだが、契約者と精霊として培ってきた絆がそれに一抹の疑念を抱かずにはいられない
「まあ、信じる信じないはお前次第だが、契約者の安全はお前の態度次第だぜ? 今は殺すなって言われてるけど、腕の一本や指の一、二本折っても問題ないんだ。それとも、目玉や舌を抉り出した方がいいか?」
その言葉に、エレインドゥースの美貌が青褪める
もちろんバルゲスの言葉は嘘だ。だが、今エレインドゥースにそれを確認する術はない。大切な契約者の命が危険にさらされていると分かっていて、囚われの精霊がそれを見捨てることなどありえない
状況が状況ならば、「連れて来てみせろ」ということもできただろうが、今の状況でエレインドゥースが強く出ることはない。下手に機嫌を損ねれば契約者の身が危ないばかりか、穢された自分の姿を見られることになってしまうのだから
「――わ、分かりました」
しばしの逡巡の後、エレインドゥースが絞り出すように発した予想通りの言葉に、バルゲスは内心でほくそえみながら、突き放すように言う
「オイオイ、違うだろ? こういう時は、なんて言うんだ?」
その言葉にバルゲスが何を言わせようとしているのか即座に理解したエレインドゥースは、にやけた笑みを浮かべている獣の顔を見て屈辱に唇を引き結ぶ
本来なら、そのようなこと口が裂けても言いたくはない。だが、契約者の命を握っているかもしれない相手の機嫌を損ねることは、今のエレインドゥースにはできなかった
「――っ、お、お願いします……バルゲス、さ、ま……」
契約者を思う一心で屈辱を噛み殺し、エレインドゥースは散々求められてきた言葉を口にする
「全てはレイトス様のため」。そう自分に言い聞かせながら言ったエレインドゥースに、バルゲスは下卑た笑みを浮かべて答える
「聞こえねぇなぁ!?」
自身の決意を弄ぶ獣の言葉に、エレインドゥースは断腸の思いで声を発する
「お願いします、バルゲス様」
「クク、まあ、いいか……じゃあたっぷり味わいな」
その言葉にニヤついた笑みを浮かべたバルゲスは、甘い蜜を絡めた肉棒を差し出す
「っ……」
眼前でそそり勃つ肉棒を見たエレインドゥースは、自身に言い聞かせるようにしばし瞑目し、意を決して男の象徴へ口を触れさせる
「歯を立てるなよ。全体を万遍なく舐めるんだ」
「っ、……ッ、ん」
今はバルゲスの言いなりになるしかないエレインドゥースは、言われるままに舌を出して肉棒に絡みついた甘い蜜と共に口淫を行う
バルゲスの目的は、ただ単にエレインドゥースの尊厳を踏み躙り悦に浸るためだけのものではなく、快楽に堕ちることを拒むその高潔な精神を手折るためのものだ。
「契約者のため」という名目で奉仕させ、言いなりにすることで、肉体のみならずその心に従属を刻み付けることができる。
さらに、最初は契約者のためと言い聞かせて強要されるままに淫事をさせられていても、やがてそれを大義名分にして自分から快楽を求めるようにすることができる。そう仕向け、エレインドゥースを快楽に堕とすことがバルゲスの目的だった
「ん……んふ、ぅ……ッ」
そんな思惑を見通しているエレインドゥースだが、それが分かっていてもなにもすることはできず、ただ言われたままにバルゲスの肉棒に舌を這わせる
何とか触れないように最低限の配慮を行いながら舌を這わせているが、エレインドゥースが肉棒を舐めなぞり、白い喉を鳴らして甘味を嚥下する姿にバルゲスはその肉棒を固く勃起させる
「どうだ、美味いだろ? 全体を万遍なく舐めるんだぞ」
「――」
エレインドゥースがある程度肉棒の甘蜜を舐めとるのを見計らって、更に追加して息ながらバルゲスはいやらしい笑みを浮かべて言う
だが、エレインドゥースは例のごとくそれに応えない。ただ屈辱を噛み殺しながら、可能な限り機械的に肉棒の蜜を舐めとる
「ん……んっ、ん……」
嫌悪感に顔をしかめながら、舌先でバルゲスの肉棒に絡みついた液を舐めとるエレインドゥースは、甘い蜜を嚥下して小さく喉を鳴らす
差し出された赤い舌が、自分の赤黒い怒張を舐める姿を愉悦に満ちた表情で見つめるバルゲスは、柳眉を顰めて苦悶の表情を浮かべるエレインドゥースに冷淡な口調で言い放つ
「咥えろ」
「……っ」
その言葉が意味するところを正確に理解しているエレインドゥースは、張りつめた肉棒から顔を離し、下卑た笑みを浮かべているバルゲスを睨み付ける
しかし、そんなことをしたところで二人の優劣は覆らない。
「早くしろ」
急かすように告げられたその言葉に、バルゲスに従うしかないエレインドゥースは、屈辱と恥辱を噛みしめながら、そそり勃つ巨大な肉棒の先端を口に含む
「ん……っ」
小さな口を大きく開き、自分の肉棒の先端をエレインドゥースが咥え込んだところで、バルゲスはその手でその美しい翠の髪を無造作に掴んで頭を固定する
「んんっ!」
「へへ、
大きな肉棒に口腔内を蹂躙され、喉の奥までも咥え込まされたエレインドゥースが苦悶の声を漏らす中、バルゲスは口端を吊り上げていやらしい笑みを浮かべる
肉棒に伝わってくるエレインドゥースの口腔の温もりと舌の感触を楽しみながら、バルゲスはゆっくりと腰を動かしていく
「歯を立てるなよ。そんなことをすれば、その分の痛みはお前の契約者に返してやる」
「ん、んんぅ、んっ、んぁ、んんッ……」
ただエレインドゥースの口腔内を出し入れさせるだけのその動きは、口淫というよりは、口辱といった方が適当なもの
エレインドゥースの口腔内を肉棒が往復するごとに、口の端から絡んだ唾液が零れ、形の良い顎を伝って豊満な胸の谷間に滴り落ちていく
「んぉ、んっ、んんっ、んぐっ……」
口腔内を出入りするたびに、エレインドゥースの口から苦悶の声と息遣いが漏れる
そうやってただエレインドゥースの口腔を犯すバルゲスだが、それだけでも穢れのない聖域を踏み躙る様な支配欲と嗜虐心が昂り、その興奮は十分に高まっていく
「射精すぜ。全部飲めよ」
その悪辣な快楽に伴って昂ぶってきた欲望が、肉棒の根元に充満してきたのを感じ取り、バルゲスは冷淡な声と共に容赦なく、白濁した精を放つ
「ん、んんんッ!?」
これでもかと口腔内に注ぎ込まれた白濁の欲望に、エレインドゥースは苦悶の表情を浮かべる
「げほっ、げほっ」
喉の奥に注ぎ込まれた大量の精液に咽せ、口腔内を満たす白濁の欲望の匂いに耐え兼ねてそれを全て吐き出すエレインドゥースにバルゲスは冷ややかな視線を向ける
「オイオイ、飲めって言っただろ?」
「……っ」
エレインドゥースの唾液が絡みついた肉棒を向けるバルゲスは、注ぎ込んだ精液のほとんどを吐き出した翠髪の美女を見る目を鋭くする
「――そんな態度でいいのか?」
「っ」
口腔内を精で穢されながらも、全く屈することなく反抗心に満ちた視線を向けていたエレインドゥースだったが、バルゲスのその言葉に精液で汚れた唇を引き結ぶ
今、契約者であるシダラ。レイトスの命は敵の手にある。少なくとも、それを否定できないエレインドゥースには、この穢れた獣に逆らうことはできなかった
「――も、申し訳、ありません、バルゲス様」
屈辱と恥辱に塗れながら、契約者を守るという高潔な意志を崩さないエレインドゥースが断腸の思いで声を絞り出すと、バルゲスはそれを愉しそうに睥睨して暗い愉悦の笑みを浮かべる
「さぁて、どうするかなァ?」
わざとらしく言って聞かせたバルゲスは、エレインドゥースの頤に手を添えて強引に顔を上げさせると、曇りのないその瞳を見据えて嗤う
「本当にそう思ってるなら、ちゃんと俺様のいうことを聞けるよなァ!?」
自分が逆らえないことを分かった上で言うバルゲスの言葉に、エレインドゥースは従うことしかできない自分の無力さを嘆きながら、震える声で答える
「……はい」
その声を聞いたバルゲスは、その口端を吊り上げ、より一層淫らな欲望に満ちた残虐な笑みを浮かべるのだった