「司令官さん。こちらはいかが致しますか?」
羽黒に渡された書類を受け取り、内容を確認する。最近の我が鎮守府の備蓄状況を報せる内容が書かれていた。
「思ってたより減っているな。一旦出撃回数減らさないといけないかな」
「すみません」
「何で羽黒が謝るの?」
ただの事実確認をしていたはずなのに、机越しに立っている羽黒が何故か俯いてしまっていた。目端も垂れ下がっており、本当に落ち込んでいる様子で、戸惑いよりも疑問が先立ってしまう。
「いえ、私が改二になってからですよね、資材の消費量が増えたのは。統計で出ていますし」
「あーそういうことか」
改二になってから以前に比べ明るくなり、出撃回数も増えていた羽黒だが、一度の出撃で使用する資材の数が増えたことで、自分が鎮守府の資材を圧迫しているのではと心配しているのだ。
「それなら大丈夫。減る以上に戦果も上がってるし、何よりこれは羽黒だけのせいじゃない。だってその指輪をつけてから資材の消費も減ってるよね」
別の紙を取り出し、羽黒に渡す。
左手の薬指にハメられた指輪を覗かせながら資料を受け取り、中身を確認していく。
「あ、本当です」
「でしょ? 一応これでも個別の消費量も日毎に出してるからよく分かるはずだよ」
「はい、有難う御座います。司令官さん」
「お嫁さんが悲しんでいる姿なんて見たくないからね」
お嫁さんの言葉に反応してか、顔を真っ赤にしながら狼狽える姿は、自分の嫁になる存在ながら大変可愛らしかった。
そう。まだ正式な夫婦となっているわけではない。
ある日を境に明石が指輪を作れるようになった。これは提督と艦娘の絆を深めるための道具として新たに組み込まれたシステムのようなもの。副次効果に燃費の軽減などあるのだが、如何せん物が物。おまけに作った明石によると必ず一枚の紙まで着いてくるそうで、その紙の中の内容がなんと結婚に関するものだったりする。
しかし大本営より艦娘との結婚はまだ正式には認められていない。あくまで仮の物ならばとして一応は許可されているが、一部の者からはいい顔をされないのも現実。
それでも羽黒を仮でも良いので嫁とし、深海棲艦との戦争が終わった暁には正式に結婚する約束も取り次いでいる。
ただ正式に結婚はしていなくとも夫婦は夫婦。男と女であることは変わらない。
艦娘の特性上子供は産めないものの、することには何の問題もなく、そして目の前で赤面顔で見てくる羽黒に欲情しないほど自分は大人しくもなかった。
「ねぇ羽黒。ちょっとこっちに来て」
「な、何でしょう……」
疑問を持ちながらも机を迂回しやってくるのは人のいい彼女の性格をこれでもかと表している。
そんな娘にこれからやることを考えると胸の高鳴りは抑えられそうもなかった。
「ここでしないかい」
「しないかって何――――もしかして」
落ち着き始めていた赤面が更に赤く染まり、今では耳の先から首筋まで伝播していた。
そんな彼女がいじらしく、立ち上がりながら近寄った羽黒の腕を引き、その唇を塞いだ。小さいながらも柔らかいを数秒振れつつ背中に手を回して抱き寄せる。三度ほど啄むようなキスをしてから息のかかる距離にいる彼女の瞳を覗き込み、一言尋ねる。
「嫌だった?」
「その言葉はずるいです」
潤んだ目元は興奮を冷めさせるどころかヒートアップし、それだけで股間は痛いくらいに膨張を始めた。
「羽黒!」
「きゃあっ。で、でもまだお仕事が」
まだどこか割り切れていないのか、弱々しい抵抗をする羽黒の服を脱がし、前を開けさせる。
「後でやるから」
「で、でもせめて部屋で」
「たまには良くない? こういうところでするのも」
普段は互いの部屋でする二人だが、今日はそこまで移動するのももどかしい程に熱が入っており、邪魔が入らない限り止まれそうもなかった。そして他の艦娘達は仕事を上がるように一時間前に伝えているため、割って入る者など誰もいない――――はずだった。
「ちょっと聞きたいことがっ――――あ、あ、あなた達ここで何やってるの!?」
「叢雲!? 何で。仕事はもう終わっていいって」
「気になることがあったから聞きに来ただけよ! それよりも二人して何を」
ビシッと音が鳴りそうなほど勢い良く刺された指は、抱き合っている二人の間を。正確には羽黒の少し大きめの乳輪辺りを刺していた。
「み、見ないで!」
「見ないでじゃないわよ!」
「ま、まぁまぁ落ち着いて」
「これが落ち着いていられるとでも!?」
完全に頭に血が昇っているのか。叢雲は聞くよりも先に自分の感情を爆発させるように喚き散らす。
「あんたはどうしてこう考えているようで何も考えてないの! 私と最初に会った時だって」
「いやでもあれは叢雲の方がやらかしてたじゃん」
「うるさい黙れ!」
うちの最初の艦娘である叢雲は言うまでもなく一番付き合いが長い。
羽黒と結婚の話をした時も一番に祝福してくれたのが彼女だが、執務室でこのようなことをやっていたことに余程立腹なのか、涙目で怒ってきていた。
どうしたものかと思案していると腕の中にいた羽黒がスルリと抜け出し、叢雲に手を差し伸べる。
「宜しければ叢雲さんもどうですか」
「ちょっと羽黒」
それは火に油を注ぐだけではと止めに入る。が、
「いい、の? え、だって羽黒あなた」
「はい。叢雲なら私はむしろ歓迎です」
「そう、なんだ」
涙を浮かべた表情から一変。急にしどろもどろとしはじめ、指先をこねくり回す。
「あ、あんたはどうなの。嫌じゃ、ないの?」
唐突に振られ、返答に困る。
嫁を前に堂々と浮気宣言しているようなものなのと、何より叢雲は相棒のような存在で、異性よりも親友や戦友といった言葉のほうがしっくり来ていただけに困惑する。
「あ、あははでしょうね。私じゃ駄目ね。わかってたから気にしないで」
「駄目ですよ叢雲さん。自分に正直にならなくちゃ」
「うっまさか羽黒に言われる日が来るなんて……」
まだどうしたら良いのか悩んでいると、大きく深呼吸した叢雲が意を決したのか、目に力を込めて言ってきた。
「私、あなたのこと好きなの。重婚しろだなんて言わない。だけど一晩だけでも良いから、相手してもらえないかしら」
この言葉にどれだけの勇気が込められているかなどわかるはずもなく、一度羽黒を見るもただ頷くだけ。
これはもう逃げていられない。
だからハッキリと言い放つ。
気持ちに応えるために。
「うん、こちらこそよろしくお願いします」
「ちょ、ちょっと。電気くらい消しなさいよ」
「おっとそうだね。妖精。明かりを控え目に」
光量と調整するため、その手の物を担当している妖精に指示を出すと、豆電球程の淡い明かりが室内に落ちる。
あれから移動し、現在は自室に戻った三名は、ダブルベットの上で裸のまま向き合っている。
「本当にいいの」
「ここまで来て駄目なんて言ったらぶっ飛ばすから」
「じゃあ力を抜いて」
緊張しているのか、明らかに体を強張らせているのがわかるだけに、触れるだけのキスを一度交わす。
「――――あ」
唇に振れた感触におっかなびっくりに指先で確認する叢雲。
じれったいと思いつつも、叢雲のペースに合わせるため、彼女が目をつむるのを待つ。数秒してもう一度目を閉じ、少し顎を出してきたのを確認してからもう一度唇を重ねた。今度は長めに。
時折口を薄く開き、叢雲の唇を摘むようにする。
再び離れて互いに顔を見合わせると、叢雲は何か期待するような目で見てくる。喉を鳴らし、恥ずかしさより興奮が勝っているのが見て取れるのが、自分の興奮を促した。
三度目のキスで彼女の唇を割り、舌を口内へと伸ばす。
「んんっ」
わかってはいても初めてのことに驚いてしまったのか、声を上げるが直ぐに受け入れ、舌を合わせてくる。唾液と唾液が絡み合い、徐々に音が激しくなっていく。
負けず嫌いなところがあるからか、叢雲に舌を追い返され、逆にこちらの口内を蹂躙しようとやってくるが、そうはいかない。少なくとも経験はこちらのほうが上のため、好きなようにさせるつもりはなかった。
「――――ひぁっ」
口の中に入ってきた叢雲の舌を吸い上げる。
唐突な感触に驚きが隠せないのか、及び腰になるが逃がすものかと抱き寄せて更に吸い続ける。
暫く続け、離した頃にはお互い口の周りをベッタリと唾液で汚してしまっているが、気にすることはない。
「はぁ、はぁ、はぁ。意地悪」
呼吸を落ち着け、不貞腐れるように言ってくる叢雲だが、表情と言葉があっておらず、ここに来て初めてドキッとした。
戦友が。親友が異性へと変化したのを自分の中で感じ取る。
満更でもなくドギマギとしていると、今度は羽黒が擦り寄ってきた。
「司令官さん。私にもお願いします」
寂しかったのか、いつになく積極的にキスをせがんでくる羽黒に応え、唇を重ねつつ胸の先、乳首を軽く擦れるように触れる。
「ん。もっと」
続きを求めながらも抱き寄せてくる羽黒に困りつつ、望みどおりに胸に触れる。今度は下から揉むようにして。
「んぁ」
短い吐息を漏らすも唇は離さない。
何度か胸をもみ、続いて乳輪をなぞりながら焦らし、触れる触れないかを繰り返してから乳首に再び触る。
「――――んんっ」
興奮が高まっていたのかビクビクと腰を震えさせ、切なそうな声を上げる。
だがこのまま相手をしていると今度は叢雲が羨ましく見てくるため、羽黒から叢雲へと唇を重ね、左手は羽黒の胸を弄りながら叢雲の小梅のような乳首にも触れる。
サイズは羽黒がCで、叢雲はBといったところだろうか。
「触り方が、いやらしい」
「そういうことやってるからね」
「そういう、意味じゃない」
顔を離し、叢雲の右の乳首を振れながら左の乳首を舌で転がす。
「あんっ」
刺激が強かったのか、今までにない艶っぽい声を上げる。
だが、これでは終わらない。
押し倒してから更に舌を這わせ、臍の辺りを刺激しつつ、太ももにキスを繰り返しながら足を上げさせる。
「は、恥ずかしすぎる」
これまで叢雲とは共に風呂に入り、互いの裸など何度も見てきているが、どうやらこれは別なようで、下手なツッコミなどせずにヒップライン辺りを舐めつつ、何度かフェイントを入れてから目的の場所へと口を近づけた。
慣れていないからか自分が下手だからか、膣は余り濡れていないようで、唾液を絡ませながらゆっくりと濡らしていく。
「ちょっはぐん」
羽黒に手をやる余裕もなくなったため、叢雲に集中すると、羽黒が叢雲の口を塞ぎ、胸元を揉みしだいていた。
二人に攻められたからか、先程まで濡れていなかった膣からは愛液は溢れ始め、隠れていたクリトリスも顕になる。クリトリスに唾液を絡めてから指先で弄りつつ、舌先は膣内へと潜り込ませた。
「――――ひぅ!」
今日で一番の反応を見せる叢雲に、胸の鼓動が鳴り止む気配はない。
正直なところ、とても可愛かった。
もっとこの娘を感じさせたいという欲求が強まり、舌の動きを更に活発化させる。
行為が始まって三十分は経ったろうか、ゆっくりと続けていた愛撫の影響で、叢雲の体全体は汗ばんでおり、呼吸も荒くなっていた。
「待って、何か来る。来ちゃう」
「イクんですね叢雲さん。良いですよ。私が見てますから」
「い、く? これが。だめ、見ないっで」
「駄目です」
珍しく悪戯な声で拒絶する羽黒に背中を押されるように、愛撫を続けると、遂に限界が来たようで、腰が浮き上がる。
「そん――――駄目イクイクイク!」
次の瞬間には舌を締め付ける感覚に襲われつつ、数度ピクピクと震え、力が抜けた状態で叢雲はだらしない姿を見せるも一瞬。布団を引き寄せてから顔ごと体を隠す。
「やばい。恥ずかしすぎてどうにかなっちゃいそう」
「その気持ち、わかります。でも」
羽黒が一度そこで区切り、布団を除けてキスをしてから微笑む。
「本番はこれからですよ」
羽黒が手を伸ばし振れたのは、自分の股間でこれでもかと膨張した息子だった。
「これ、本当に入るの……」
「安心してください。艦娘にも処女膜はありますが、人よりは緩くなっていますから痛みは殆どありませんよ」
「でも……」
「ごめん。これ以上は僕が待てそうにない」
最後の覚悟が決まらないのか、やや怯んでいた叢雲の布団を完全に引剥し、膣の前で上下に擦りつけながら濡らしていく。
「入れるよ」
「まっ――――」
待ってと言おうとしたのか、その言葉を聞き終える前に完全に挿入した。一回で奥まで。
「あんっ――――なに、これ」
また違う刺激に戸惑っているのか、少なくとも痛みを感じている素振りはないだけに安心して腰を振る。
比べるのは失礼かもしれないが、羽黒より膣内が狭く、締め付けてくることから長くは持ちそうにない。
「きもち、いぃ」
喘ぎ声を上げ、蕩けたような顔はより一層劣情を高める。もっと犯したいと。
「司令官さん。羽黒も寂しいです」
擦り寄ってくる羽黒は左手を取って自分の膣へと誘ってくる。
「羽黒も随分といやらしくなったね」
「司令官さんがいけないんです」
ほとんど前戯をしていなかったが、見ているだけで興奮したのか、触れる膣はクチュリと音を立てた。目の前まで上げると指は糸を引いており、尚更興奮する。
「これは何かな」
「もう意地悪しないでくださひぃっ」
言い終える前に膣内に指を滑り込ませたからか、語尾が崩れてしまっている。
「もっと。もっと下さい。激しく!」
羽黒の要望に応え、指の動きを加速させる。
正常位をしながらは中々に堪えたが、それでも気持ちよさそうに喘ぐ二人に興奮は収まるところを知らない。だが、射精感は興奮が高まるに連れ加速し、もう直爆発寸前にまできていた。
「だめ、これ、またイク。イッちゃう!」
「私も、指だけでイッちゃいますっ」
二人もカウントダウンが始まったようで、ラストスパートとばかりに腰を振る。三人の汗が交じり合うが、誰も気にするものはいない。
獣のように貪り合う三人は、遂に絶頂へとたどり着く。
「駄目だ。イク」
「私もイ――――クぅっ」
「ダメ、出ちゃう!」
三名同時の絶頂は一瞬空間の呼吸が止まったかのように見せ、震える体が元へと戻す。
叢雲の膣内でドクドクと注ぎ込まれている精子。
大きく絶頂を迎えたのか、小さく痙攣している叢雲。
そして潮を吹いた羽黒。
各々が絶頂の余韻を感じながら、布団へと倒れ込む。
「今日は無性に疲れたな」
「私もいつも以上に興奮しました」
何度もやっている二人は、いつにない興奮に満更でもない雰囲気を作るが、一人叢雲だけはやや違っていた。
「うぅ、何あれ。知らない。あんなの」
思い出して恥ずかしがっているか、一人布団を被って隠れようとするのを阻止する。
「で、どうだった」
「どうって、その……」
少しデリカシーがなかったかと思いつつも、今更後には引けずに待つが、どう答えたら良いのか叢雲も見つからないのか、目が泳いでいる。
そんな彼女に助け舟を羽黒が出した。
「おめでとう御座います。叢雲さん」
「ありがとう羽黒。これで吹っ切れるかも」
自分を間に挟んで女性陣だけで何か示し合わせたかのように語り合う。だが、羽黒は否定した。
「いえ、これからももし叢雲さんさえ宜しければ」
「羽黒あなた。それで良いの?」
「はい」
「敵わないなぁ」
一つの決着がついたのか、叢雲は細く長いため息を吐いてから、目をこちらへと向けてくる。その瞳は恥ずかしそうでありながら、どこか嬉しそうでもあった。
そして思いを口にする。
「また、今度もお願いね」
次回もあるのだと。
後日また体を重ねようと言ってきているのだと察せてしまうほど、この瞬間の叢雲は乙女な雰囲気を醸しだしていた。