おぉ、なんて綺麗な575なのでしょうか…!
いつから、と聞かれると困ってしまうのだが、私はマスターのことが好きだ。
マスターの性格が好きだ、マスターの髪が好きだ、目が、鼻が、口が、耳が、マスターを構成する全てのものがまとめてぜーんぶ大好きだ。
困り顔も、悲しそうな顔も、真顔も、変顔も、マスターの浮かべる表情が大好きだ。
そして、私はマスターの笑顔が大大大大好きだ。
『ははは!沖田さん、そりゃないって!あはははは!!』
この世の悪いこと全てを笑い飛ばしてしまうような明るい笑顔が私は大好きだ。
『ふ、ふふ……なんですかね、またやられ放題やられちゃったのにマスターが笑ってるとこ思い出したらどうでもよくなっちゃいました…マスターはずるいなぁ…』
先程までの事を思い出す。夢現ながらも確かに思い出される凌辱の記憶。
『……どうせ、今頃ジャンヌさんと色々やってるんだろうなぁ……むむ、そう思うとムカついてきました…』
半ば強引に体へ起きるように命ずる。夢の中だろうと弛まぬ努力を忘れない幕末志士の鏡だと自分でも思う。
『おっっ、き、ぃぃぃぃ…るぅぉぉぉぉ!』
意識が体に戻るような感覚に体が囚われる。私の念が届いたのか、どうやら私は起きるようだ。自分の体なのに少し他人事のようなのは仕方がないことだと承知願いたい。少しずつ意識が薄れていき…
〜〜〜
「………ん?」
体が重い。お腹の辺りが特に重いような気がする。
「……あれ、私……なにして?…あれ、この部屋…?」
割れるように痛む頭に手を添えながら、すぐ近くに落ちている服を拾う。
「…私の服じゃないですか…あれ、これは……マスターの………あれ、私、服着てない?……あっ」
ふと、記憶が蘇る。確か、私はマスターとしてて…
「…そうでした…また私めちゃくちゃにされたんですね……」
辺りを見渡すが、マスターの姿はおろか付近に人の気配のようなものは無い。そっと自分の肩を抱く。
「…マスターにとって私ってなんなんですかね……仲間、友達…都合のいい女…?………そんなの…やだよ……」
脳裏に浮かぶのはマスターの姿。その隣には誰かがいて、私はそれを後から見ていることしか出来なくて…
「……もう…置いていかれたくない……」
溢れそうになる涙を必死で堪える。まだ泣いちゃダメだ。まだ終わってない、私はまだ戦える。ここで泣いてしまったら自ら負けを認めたようなもの。例え、マスターにとって私がただ簡単に後腐れなくヤレるだけの女だったとしても諦めるわけにはいかないのだ。
「…そうでした、そういえば私って実は負けず嫌いだったんですよ……」
悲しい気持ちを吹き飛ばすように頬を叩く。負けられない、例えこの身が散ろうとも付いていくと決めたのだ。マスターにどのように思われていてもそう簡単に諦められるわけが無いし、そんなつもりもない。そう心に決めると気持ちが楽になったような気がした。
スッ、と立ち上がり目を閉じる。マスターの服があるということは恐らくマスターはマイルーム内にいるはずだ。
「…そこですか」
微かに聞こえる物音の方へと歩いていく。例え、なにがあろうとももう決めた。私は…
「負けませんよぉ…ジャンヌさん!テンカウントは過ぎたかもしれないけど、スポーツでもあるまいし、私、まだ諦めてませんから…!」
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「…り、立香くん……離して…」
「…ご、ごめん……その、なんて…?」
先程の言葉を理解するのに時間を要しすぎたせいか顔を真っ赤にしたジャンヌが風呂を出ていこうとしまい、それを阻止しようと立ち上がるジャンヌの手を掴み、今に至る。
「だ、だから……もういいですから…」
「…いや、え、もう1度って言ったよな…え、あの……え、いいの?」
重い体にムチを打ち、立ち上がる。背中を向けるジャンヌの顔色は見えないが、その赤い耳を見るとやはり俺の聞き間違えではなかったのだろうか。ジャンヌの肩を掴む。
「……だ、ダメ!やっぱダメです!見ないでください!私は出ますから!!それじゃあお先に失礼します!!」
「ちょ、ま、!」
何かが癪に触ったのか急いで湯船から出ようとするジャンヌ。当然肩を掴んでいた俺もここ数日の疲労からか体勢を崩してしまい…
「きゃっ!」
「…っ…つつ〜、ジャンヌ……大丈夫……か…?」
顔を上げ、ジャンヌの方を見る。そもそもあのような状況で転ぶことがまずおかしいのだが、俺は今それ以上に驚いていた。…え、なにこの恋愛漫画とかジャンプに掲載されるお色気漫画のやってない正常位みたいな姿勢…
「…り、立香くん………」
小さな声で俺の名を呼び、熱い瞳で俺を見つめながら背中に手を回し、唇を重ねてくるジャンヌ。何も言わずにその唇を受け止める。
「…ん、………ズルいです、立香くんはズルばかりです…女の子にだって性欲はあるんですからね…私だって、本当はもっと……立香くんとエッチしたいんです…」
「…そうか」
「………い、嫌ですか…?……沖田さんにはしたのに…私とは、嫌…ですか…?」
今にも泣きそうな顔でこちらを見つめるジャンヌ。とても唆る表情もとい可愛い表情なのだが、俺がただジャンヌの言葉に興奮しすぎたせいでぶっきらぼうになった返事を悪い風に聞き取ってしまったらしい。いや、そのセリフはずるいだろ、と心の中で叫ぶ。
「…そんなわけないだろ、ジャンヌ」
「立香くん……」
1度離れた唇を今度は俺から繋げようと顔を近づける。
「マスター!!探しましたよ!!もしかしてですけどあの程度で私を屈服させたとでも思っていたのですか!?甘い、その考えみたらし団子より甘いですよ!私を倒したいのなら乱暴さだけじゃなくて愛情も注いでくれないと!ということで!真選組一番隊隊長、沖田総司、ここに完!全!復!活!です!!」
あと少しで俺とジャンヌの隔たりが無くなろうとしたその瞬間。ドオォン、という半端じゃない音と共にドアが開けられる。そちらを見ると先程まで完全に意識を失っていた沖田さんが申し訳程度にバスタオルを巻き、こちらを曇りなき眼で見ていた。
「…お、沖田さん…?え、も、もう起きたの?」
「えぇ、起きましたとも。記憶が少し曖昧ですが、まぁ、マスターとすると毎回こうですからね…もう慣れました……で、マスター、今からジャンヌさんとするんですか?」
「…え、あ、いや…」
「えぇ、そうです、私は今から立香くんに沢山愛してもらうんです。次は私の番でしたので…沖田さんも文句はありませんよね?」
怒気を孕んだ声を沖田さんに放つジャンヌに少し怯んでしまう。最近ジャンヌも沖田さんも凶暴化が始まっているような気がするのは俺だけだろうか?
「えぇ、分かっていますよ。私ただお風呂に入りに来ただけですから。ご存知の通りあんなにめちゃくちゃにされてしまったものでして……この汗と血を流したいのです。あぁ!遠慮はいりませんのでそのまま続けちゃってください!」
それに対し、沖田さんは最近のお怒りモードが嘘だったかのように淡々といつも通りの喋り方で返した。俺だけではなくジャンヌも意外だったようで少しバツの悪そうな表情を浮かべている。
「……そ、そうですか…じゃあ、立香くん……ここじゃなんですし」
「ちょっと待ってくださいよ!本当に私から何かしたりしませんから!!……それにジャンヌさんだって私とマスターの見てたでしょ?じゃあ私だってちょっとくらい見てもいいじゃないですか!」
「………はぁ、わかりました」
根負けしたのか、1つため息をつき、首を振るジャンヌ。
「…う、うん、少なくとも沖田さんのせいでさっきまでのムードは無くなったよな」
小さく放った俺の独り言は、2人には聞こえていないのか、それとも無視されたのか。分からないけどこれだけは言える。沖田さん、もう少し空気読んでくださいよ。
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頭を打つお湯が私のこの感情を流してくれればいいのに…珍しく詩的な考えをしてしまい、自分を嘲笑してしまう。
「…ん、あっ……り、立香、く、ん…!ダ、ダメ…っ、沖田さんいる、のに…っあ、ん、ふっ、う」
今日はとても疲れた。魔力こそ身体中に満ちているが体力と精神的に私は今とても危険な状態にある。
「…ジャンヌ、もしかして見られて興奮してる?」
「っ、あぁ、な、なにを…っ!そ、そんな、っ、ぁふ」
必死に聞かないようにしていたのにどうしても耳に入ってきてしまうマスターの声。つい止まっていた手を再び動かす、私は今後悔していた。
「前から敏感だったけどこんな早くはなかったよね…?」
「ま、まだ…ん、やっ、イッて、な、ぁう、んっ、いですからぁっ!」
シャワーのお湯とは違う水温が聞こえる。ついさっきまではただの好奇心で見たいなどと思っていたがどうやら私はそういうことが許容出来る人間ではなかったらしい。
「…うぅ、マスター……」
微かに視線を2人に逸す。私とする時と同じようにとても愉しそうな顔を浮かべ、ジャンヌさんの秘部を弄っている。
それを見るだけで私の心は嫉妬に染まってしまう。私の時はあんなこと聞いてこなかったのに、私の時はあんな風に顔を見てしてくれなかったのに、いくつもの恨み言が頭から浮かんでは消え、浮かんでは消える。
「…も、もう、いいですから……はやく、きてください…立香くん」
「うん…ところで、もう痛くは…?」
「もう、大丈夫ですよ、ご心配ありがとうございます……だから…立香くん……」
「うん、なんかあったら言ってくれよ?」
「…はい…ん、あぅ…」
私を煽っているのかと勘違いしてしまうほどにイチャイチャし始める2人に思わず手が震えてきてしまう。なんだ、なんだというのだこの人達は、目の前に私がいるというのにすぐ隣でよく行為に及べるものだ。心の中でもう1人の私が『私もジャンヌさんが見てる目の前でやりましたけどね』などとほざいているがそんな自分に都合の悪い話はガン無視だ。立ちバックの体位で交わる2人を見ないように自分の膝を穴が開くほど見つめる。
「…ジャンヌ、やっぱ興奮してるでしょ……?」
「っ、ち…っ!違いま、すっ…!」
「…嘘が下手だね?」
「あ、っ、ふぅ…違い、ますっ、うぁ…なんかゆっくり、あっ、だから…んっ、感じすぎちゃうんです…っ!」
ジャンヌさんはまだしも問題はマスターだ。あんなに私のことをめちゃくちゃにしてくれたくせしてまだ平気そうな顔してジャンヌさんとエッチをしているなんて…一体どんな体の作りをしているのだろうか?それだけではなく、なんとなく彼のジャンヌさんに対する声のかけ方が私の時より優しいというか感情がこもってると言うか…愛おしいような声をしているというか…
「ジャンヌ、ごめん、早くする」
「…っ、ぁ、っは、い…どうぞ…!」
沸々と私の暴走メーターが上がっていく。私の時はあんなこと言わなかったじゃないですか!!という言葉はブツっという血管のキレる音が代弁してくれた。が、それでも怒りは全く収まらない。
「…っ、ジャンヌ…っ、いくぞっ…!」
「んっ、ぁあっ、っは、っはい…っ!立香くんっ!んんっ、あ、愛して…っ、ます…っ!」
「…っ!…全く……わざとやってんのかな…はぁ、俺も好きだよジャンヌ」
私がいるからか若干気まずそうに愛の言葉を囁いたマスター。そこから先の私の行動は我ながら中々最低だったと思う。
「……やっぱダメです!!!」
「…お、沖田さ…んっ……!?」
「っ、〜〜〜〜〜〜〜〜…………!!…は、ぁ…はぁ…立香くん……え?」
ジャンヌさんの間の抜けた声が聞こえる。が、どこかそれが小気味よくて、目の前の驚いた顔をしているマスターの舌に私の舌を溶かすように絡ませる。
「…っ、む…ぅ………ん、はぁ…はぁ…」
「…っ、はぁ…お、沖田さん……何もしないんじゃねぇのかよ」
「だ、だって!!おかしいじゃないですか!!なんでジャンヌさんの時だけあんなにイチャイチャしてるんですか!?私の時なんて最初から乱暴的でしたよね!!」
「…あ」
「…あ、じゃありませんよ!!話を聞きなさい!!そもそもね!!ちょっと!!聴いてます!?」
私から目を逸らしそちらを凝視しているマスターに頭が来る。思わずもう一度ディープキスをしてやろうか、と思った途端に肩を叩かれる。
「……あ」
そこには、聖女とは思えないような恐ろしい形相をし、私を睨むジャンヌさんがいた。
なんか忙しい中書いてるからか書いた直後なのに内容が思い出せません…変だったら申し訳ない…ということで!次回は恐らく3人で…?