最近寝ても寝ても眠いんですよね。病気でしょうか?
「……」
「……」
「…も、もう!!二人とも何か話したらどうなの!?」
ここは無人島。ふとしたことがありこの島に流れ着いた俺達だが…
「…はっ、話すも何もまともに聞いてもらえないんじゃどうしようもねぇだろ」
「……」
その内1人は軽い傷と全身筋肉痛を患っていて、もう1人は全身に切り傷、頭に結構な怪我と記憶喪失を起こしている。
「…オルタ、貴方本当に何も覚えてないの?」
「……」
先程からオルタは明後日の方向を向き、こちらの言葉にピクリとも反応しない。聞く耳を持つ気にさえならないのだろう。俺は苛立っていた。
「…なぁ、少しは聞けよ」
「…ま、マスター」
「……」
話を聞かないジャンヌオルタにもだが、それ以上に自分自身に苛立っている。
ジャンヌオルタは口こそ悪いが心優しい娘だ。本人に言っても絶対に否定するだろうが、俺は知っている。困っている人や助けを求める人がいたらついつい罵倒をしながらも手助けをしてしまうオルタのことを。
優しいオルタのことだ。自分が泳げないにも関わらず俺達が波に飲み込まれるのを見て助けに来てくれたのだろう。こんなにボロボロになってまでも。
そんな優しいジャンヌオルタに少しでも苛立ちを感じている自分にとてつもない嫌悪感とそれをはるかに上回る苛立ちを感じるのだ。
「……」
ジャンヌオルタの方をチラリと覗く、よく見ると少し涙目だ。強がってはいるものの今の自分の状況とよく知らない男から怒られている状況のせいだろう。最近は減ったけど前にオルタのあまりに素っ気ない態度にへこんだ俺がジャンヌオルタを避けていた時も涙目になっていたことを思い出す。
「…ふっ」
思わず笑ってしまう。俺はなんて馬鹿なんだろうか?
「マスター?」
記憶が無くなったのならまた作ればいいだけだ。急に笑う俺に驚いた様子で呼びかけてくるメイヴちゃんの耳を借りる。
「メイヴちゃん、ジャンヌオルタとまだ仲良くなかった時にやったアレ覚えてる?」
「……いつもの調子出てきたじゃない、マスター!」
俺の言葉の意味を理解したのか意地悪そうな笑顔を浮かべるメイヴちゃん。恐らく俺も今似たような顔を浮かべているのだろう。
〜〜〜〜
「…あーあ、オルタは話さないからつまらないなー、メイヴちゃん遊び行こうぜ〜」
「全く〜マスターってばそんなに私と遊びたいの?いいわ!じゃあ折角海に来てるんだし、泳ぎましょうよ!さっき手取り足取り教えて貰ったしね!」
「……」
俺らはわざとらしく声を上げ会話をする。そう、これこそが俺が生み出したジャンヌオルタと仲良くなる方法(必勝法)だ。ジャンヌオルタは基本素直じゃない、素直ではないが楽しそうなことをそう簡単に諦められる程淡白でもない。これはその心理を利用した天才的な作戦であり、実際記憶喪失前のジャンヌオルタはこの方法で釣れなかったことは一度もない。
「いいねそれ!じゃあ水鉄砲も持ってきたし行くか!!二人で!」
「いぇーい!」
「……」
今でこそ素っ気ない態度をとってはいるが、数分後には自分も遊びたくなってアホ毛が大暴れしていることだろう。そのタイミングで俺はオルタに水鉄砲を渡し、笑顔でやっぱ2人より3人の方が楽しいと思うんだ。こういうのだ。
これで落ちなかったことはない。あまりにも完璧な作戦に思わず震える。クックックッ、クール気取ってる今のオルタが俺には道化にしか見えないよ。
〜〜〜〜
「…あははー、たのしーね、メイヴちゃん」
「…マスター、本当にこれで大丈夫なの?」
「……」
おかしい、なにかがおかしい。普通のオルタだったらこんな時間放置されてたら泣きそうな目でこっちを見つめているはずなのだが…
俺の見る限りアホ毛は最初の状態からなにも変わっていない。元気がない時のアホ毛のままだ。
「…メイヴちゃん、作戦変更だ。やっぱちゃんと聞こう」
「…マスターのこの作戦ってたしかオルタとまあまあ仲良くなってから使ってた作戦よね?」
「え?まさか、これはジャンヌオルタに毛嫌いされてたから生み出した作戦だよ?」
「…あぁ、そういえばマスター鈍感なんだったわ」
「え?」
メイヴちゃんは呆れた様子でため息をついた。
その後、メイヴちゃんは木を取ってくると言い、森へ言ってしまった。あの巨大ゴキブリの事忘れてるんじゃ…?まぁ、いいか、彼女なら強く生きていけると俺は信じている。そんな薄情なことを考えながら俺はジャンヌオルタの前に座る。
「…はぁ、ただいま。それでジャンヌオルタ、まだ何も思い出せない?」
「……」
相変わらず、ジャンヌオルタはそっぽを向きこちらと話そうとしない。
「…あ、そういえば包帯まだ変えてなかったな。変えるよ」
「…触んな」
オルタは頭の包帯に手を伸ばした俺の手を払う。自分じゃ変えられないのに他人の手を借りようとしない所、前のオルタと全く同じだ。俺は再び包帯に手を伸ばす。
「いいから任せとけ」
「…ぅ…変なことしたらころすから」
オルタは渋々と言った様子で手を下ろし、大人しくしている。
「なんかこういうオルタ久しぶりだな〜」
「……」
最初の方は本当にこんな感じで無視はされるわ話せても本当に必要最低限のことだけ、焦ってでしゃばったことをすると殺すとか言われるし、近くにいるだけで不機嫌そうな顔をされたりと最初は本当に酷かったものだ。
「でも…仲良くなれて、オルタとも色々な話して、最近じゃやっと普通の会話で笑ってくれるようになったと思ったんだけどな」
「……」
「…まぁそんなに仲良くなっちゃったから多分助けに来ちゃったんだもんな。一概にいいこととは言えないか、はは」
「……その」
「っ!な、なに!?」
「…アンタ、このカバンの持ち主なのよね?」
オルタは自分の足元にあるカバンを指さし、言う。
「あぁ、そうだよ」
「……そう」
「う、うん」
聞きたいことだけ聞くともう会話は終わりのようでまた明後日の方向を向いてしまった。
「…はぁ、まぁ、コツコツ頑張るしかないのか」
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「…はぁ、まぁ、コツコツ頑張るしかないのか」
小さな声だけど確かに聞こえた。知らないけど知ってる声。
まともに目を合わせると恥ずかしくてつい変な方を見てしまう。なんて言えばいいのか分からないから黙ってしまう。触られるとその箇所が熱くなるから手を払ってしまう。
私は彼を知らない、けど私の体は彼を知っている。
前の私は彼とどのように接していたのだろうか、自分が何者かよりも彼のことの方が気になってしまう。
「…オルタ」
「……」
このオルタというのは私の呼び名らしい。私の名を呼んだものの彼はそれ以上喋らない。少し気になり、彼の方を向く。
「…あ、あの、軽く蹴散らしてもらえたりする?」
「…っ、きゃ、きゃーーーー!!!」
そこには謎に黒光りする巨大な虫がいた。
「オルタでも無理か!!だよね!まぁ無理だよね!?俺もこいつだけは無理!!つかまずデカいし!!逃げるぞ!」
「…ちょっ、勝手に触らないで!ひゃっ、ど、どこ触ってんのよ」
「悪い!けどこうでもしないと走れないだろ!」
私をお姫様抱っこし、走り出す彼。恥ずかしくて顔から火が出そうだ。重くはないだろうか、この心臓の音が聞こえてはいないだろうか…そんなことが気になってしまう。その間にも後ろの巨大な虫は近付いてくる。
「…ちょ、オルタ!あいつら燃やせる!?アレならパパッて殲滅できるでしょ!?」
「な、なんのこと!?燃やす!?アレってどれよ!?」
「そこも記憶にないのか!!…あまり、やりたくないけどやるっきゃないか」
燃やすだの殲滅だの不穏な言葉が出てくる。もしかして前の私は思ったより凶悪な女だったのだろうか?
「…令呪を持って命ず、メイヴちゃん助けて!!」
「来ると思ってたわ!!」
突如、右手を構え、叫び出す彼。すると手にあったタトゥーのようなものが輝き始め、それが収まる頃には彼がメイヴチャン…と呼んでいたピンク髪の少女が1本の木を持って現れた。思わず驚いてしまう、一体どこにいたのだろうか?私にはまるで瞬間移動をしてきたようにしか見えなかった。
「えいっ!」
その少女はその木を振り下ろし、巨大な虫を叩き殺した。
「ふぅ…ナイスメイヴちゃん。助かったよ、ありがとう。もしねして木ってそのために拾ってたの?」
「いいえ、ただとりあえず護身用に持ってたら使える時が来そうだなって思って」
「なるほど」
「えぇ、助けられてよかったわ!」
二人は仲睦まじく話している。相変わらず仲がいい。
「ごめんね、あまり戦闘とか得意じゃないのに前回も今回も」
「気にしないで!こんなこともあろうかとちゃんと鍛えてるのよ!ほら、今なら木くらいなら振り回せるの!」
「流石はケルトって感じだな…」
相変わらず…?何故、私は今相変わらずなどと思ったのだろうか。名前も知らない二人を見てそんなことを思うのはおかしい。
ふと頭にいつかの光景が浮かび始める。
『お疲れ様…二人とも大丈夫か?』
『…えぇ、大丈夫よ…にしても、あなた、ジャンヌオルタだったかしら?強いのね…羨ましいわ』
『まぁ、戦闘には向き不向きがあるからな…オルタ、今回もありがとう。助かってるよ』
『そ、それって私は戦闘に向いてないってことかしら!!マスター、流石に傷付いたわ!!今日こそ、白黒はっきりつけようじゃないの!!』
『そういうわけじゃないんだけど…受けて立とう!しかし、メイヴちゃん、今日は一切手加減なしだ!』
『それでこそ倒しがいがあるというものよ!私だってもう負けないように将棋の本読んだもの!』
『本で勝てるなら誰でも勝てるんだよ?まぁ本読んだなら今日は飛車と角行使っていいよね?』
『ダメ!!』
『…あ、ダメなんだ』
「…これ、は?」
「…どうした、おい!ちょっと!?」
頭が割れるように痛い。微かに目を開くとそこには心配そうな表情をするメイヴチャンと焦った様子であたふたする彼の姿が見える。
またか、何度目かになる意識が薄れていく感覚に身を任せ、私はそのまま意識を手放した。
途中で寝てしまったのでどこか重大な誤字脱字。設定的におかしいことがあるかもしれません。優しい気持ちで見逃してください。お願いします!なんでもしますから!!