めっちゃ時間かかりました…すみません、一応前話書いた直後に書き始めたんですけどどうしても上手くまとまらなくてこんなにかかっちゃいました…
『邪ンヌ〜!』
何も無い暗闇の中ひとつの声が聞こえる。そういえば昔はこう呼ばれていたな、なんてどうでもいいことを思い出す。
『穢らわしい…え、俺穢らわしいの?』
思い出が走馬灯のように駆け巡る。存在自体が泡沫の夢のようなものである私に確かな形をくれた人。でもどう接すればいいかわからなくて冷たく接していた。
『地獄だろうがついて行くよ、寂しがり屋だもんなオルタは…怒るなって…』
それなのに彼は何度も何度も馬鹿みたいに付きまとってきて、いつからか私も彼がいないと不安になるようになっていて。
誰かを、何かを信じることが怖かった。裏切られた時が怖いから、大切だった物に裏切られるくらいなら最初から信じない方がいい。そう思っていた。
『オルタ!!任せた!!』
そんな私とは正反対に彼は誰も彼もを信じた。私みたいなひねくれてる小娘のことを彼は何も疑わずに信じるのだ。
暗闇に光が灯る、一筋の小さいけれど明るい光が。そこからヒビが入るように暗闇が割れていく。
目覚めが近い。この夢が覚めたらまた私は忘れてしまうのだろうか?また彼を困らせてしまうのだろうか?
「それは、嫌ね…でも」
これからどうなるかなんて分からない。だけどそんなことはどうだっていいのだ。どんな状況でも私はーーー
「…信じてるわ。マスター」
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
「……」
「…ごめんなさい」
俺は今窮地にいる。目の前には阿修羅のような表情をしたジャンヌオルタ。俺の少し後ろにはメイヴちゃんが隠れるように身を小さくしている。
「…あなた、死にたいのかしら」
「いや…あの、本当にこれは事故というか」
「…事故」
「転んで、あっ、いえ、その…あの…実は…」
事は昨日まで遡る。
突如倒れたオルタを支え、メイヴちゃんと安全な場所を探した俺はそれっぽい場所にたどり着くなりそのまま疲れて寝てしまった。とまぁ昨日の行動は実はほとんど関係ないのだが問題は今日、ついさっき起きた時のこと。
〜〜〜
『ん…んぁ、あれ、俺寝ちゃって……メイヴちゃん、なにしてんの?』
『…んぅ、あら、マスターおはよう。昨日は凄かったわね』
『……な、なにがっ!?』
起きた時に俺のすぐ隣でメイヴちゃんが寝ていたのだ。
『なにって…言わせないでちょうだい』
『はっ!?なに、なにしたの俺!えっ、なにされたの俺!』
『…うふふ、忘れちゃったのね。なら思い出させてあげる』
『ちょ、ばっ!やめっ、やめろーー!!…あっ』
迫り来るメイヴちゃんに思わず立ち上がり逃げようとしたが何故か足がふらつき
『わぷっ…あれ、なんか柔らか…あ』
『きゃっ!な、なに!?…は?』
〜〜〜
と、見事にオルタの胸にダイビングしてしまい今に至る。
「…と、まぁかくかくしかじかでして…」
「…へぇ、それで?」
身体中から冷や汗が止まらない。この目は昔オルタと遊びに行くと言ったのに前日夜更かしをしてしまいオルタを3時間ほどまたせた挙句迎えにこさせた時のあれと似ている…!
「…いや、あの…もう気が済むまでボコボコにしていいです…」
こうなったオルタを止めるにはもう手がない。前は本気で謝ってたら許してはくれたがあれは仲が良かったからだ。前にジャンヌがオルタに話しかけただけでビンタを喰らい泣きそうな顔をしていたのを思い出す。
「…そのことはもういいわ。そうじゃなくて…あそこのピンクのと、結局何してたのよ」
「…はい?」
「だから!!あのピンクのと一緒に寝てたんでしょ!?…そ、その…結局……な、なにかしたのかって!!」
顔を真っ赤にしメイヴちゃんと何をしたのかを聞いてくるオルタ。何故そんなどうでもいいことを聞くのか、なんて聞いたら焼き殺されそうな雰囲気だ。
「…いや、なにもなかったけど」
「ふん……そうですか、別にどうでもいいけど」
聞くだけ聞くとオルタは俺に背を向け歩き始める。
「ちょっ、どこ行くの!」
「…別にどこでもいいでしょ。そこら辺を散歩してくるだけです、鬱陶しいからついてこないで」
ぶっきらぼうな言葉を吐き捨て、そのままどこかへ歩いていくオルタ。
「…相変わらず変にツンツンしてるなぁ」
別にどこでもいいでしょ、と言っておきながらいる場所と目的を話すあたりやはりオルタは記憶を失ってもオルタらしい。
微笑ましい気持ちでオルタの後ろ姿を見送る。
「…うぉっ!いってぇな…なにすんだよ!」
そんな平和的な光景をぶち壊すように後ろから何者かに蹴りを入れられる。
言わずもがなメイヴちゃんである。
「…マスター、何もなかったってなによ」
「…へ?」
またいつものおふざけかと思い、軽口で返そうとした俺だがメイヴちゃんの顔を見て思わず固まってしまう。
「…本当に、忘れちゃったの?」
「…ど、どうしたのメイヴちゃん?」
「…呆れた。本当に忘れちゃったのね…私…あんなことされたの初めてだったのに…」
メイヴちゃんは泣いていた。初めて見る泣き顔に思わずオドオドしてしまう。
「…え、な、なに…俺がなにしたの…?え…」
「あ、あんな酷いことしといて本当に忘れたって言い張るつもり!?」
「…え、何!?本当に俺は何をしたの!?」
「酷いことをしたのよ!!あんなに…マスターじゃなかったら殺してたわ!!覚えてないようだから教えてあげるわ!!」
そう言い、涙を流しながら話された内容は耳を疑うものだった。
「…マスターは昨日私のことを犯したのよ!!」
「…は?」
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目の前の男は、なにをすっとぼけているのか未だにポカンとしている。ふつふつと怒りが沸いてくる、昨日のことは確かに私にも悪い所があったけどあんな事をしておいて忘れるなんて…
思い出すだけで悔しさのあまり涙が出てくる。そう、昨日はーーー
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「水、水飲んでマスター!」
「…オォエ…くそ…ふざけやがって…なんで酒なんて持ってきてんだよ…ひっく」
「ごめんなさい!マスターがこんなにお酒に弱いって知らなかったの!!」
「弱いもなにも俺は未成年だ!!…ぅえ…やばい、気持ち悪い…」
事の発端は私が飲ませたお酒だった。喉が渇いたと言ったマスターに軽い気持ちで渡したのだがどうやらマスターは下戸らしい。
「だ、大丈夫!?…うーん、薬は持ってきてないし…とりあえず横になっちゃいなさい」
「…うん、メイヴちゃ〜ん」
「きゃっ、ふふ、もうマスターってば」
早速酔いが回ってきたのか私の腰に手を回して抱きつきそのまま寝ようとするマスター、思わず笑ってしまう。あぁ、なんて可愛いんだろうか。私もマスターの頭に手を回し、抱きしめる。
「…あー、メイヴちゃんいつもいい匂いするよねぇ…もう大好きぃ…」
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない!酔うと素直になるのかしら?私もマスターのこと、大好きよ」
そのまま私のお腹に顔を埋め寝ようとするマスターに私も横になる。少し大胆なことを言ってしまったと今更思うがマスターのことだどうせ聞こえてすらいないのだろう。
「…やっぱり」
スヤスヤと健やかな寝息が聞こえてくる。彼はいつもそうだ、告白まがいのことなど今まで何度もしてきたがその度に聞こえなかったりちょうどそのタイミングで他の人が来たりとまともにそれらのことを言えた覚えがないのだ。
「…思い出すと少しむしゃくしゃするわね」
寝ているマスターの腕を解き、膝の上に頭をのせる。ぐっすり寝ているのか反応はない。
「………寝てるわよね…」
辺りを見渡す。カルデアでは完全に二人きりという状況はほとんど無かったためマスターと特にそのようなことをしたことは無い。強いて言うならつい先日マスターに助けられた際に初めてキスをしたくらいだ。
「…い、今ならいけるかしら」
今はマスターと二人きり、厳密に言うとジャンヌオルタもいるので3人だが彼女はあと数時間は起きないだろう。そう思うと心臓が暴れだしてくる。
マスターの顔を見つめる。私の知る男達とは違うどちらかというと可愛らしい顔、寝ているとそれはより顕著に見える。
「…」
マスターの胸のあたりに手を添える。彼の甘いマスクとは裏腹に体は私の知る勇士たちのように鍛え抜かれている。いや、厳密には引き締まっていると言った方が良いかもしれない。無駄のない筋肉は見ているだけで少しばかり情欲をそそられる
「……す、少しだけ…」
思えばカルデアに来てからはマスター一筋だったので誰とも交わっていない。今ならいけるだろう。手をマスターのズボンに伸ばす、マスターの初めての経験が寝ている内というのも少し酷な気がするがそんなことは気にしていられない。
「…そうよ、先っぽだけ…先っぽだけ…」
私の清らかな心が絶叫しているがそれを無視し私の手はマスターの最後の砦を壊す。属性が混沌・悪である私にそんな清らかな心はあってないようなものだ。悪いがマスターには羊の数でも数えていてもらおーーー
「…なにしてんだ?」
「きゃっ!!」
予想外の場所からの声に思わず跳ね上がる。
「…ま、マスター…いつから起きてたの!?」
「……」
私の膝で薄く目を開いているマスターは状況を把握しようとしているのか自分の格好、場所を見ている。
不味い、このマスターは2つほど冗談じゃない怒りを見せる時がある。一つ目は誰かを助ける際に邪魔をされること、もう1つは夜這いやそれに連なる行為。卑猥な行動をマスターに行った際だ。私は過去にそれを行い、何度も殺の修練場へ連れていかれるという拷問を受けた。その上労う言葉も無し、マスターからの返事もそっけないものになったのだ。
マスター曰く、無理やりとか乱暴は良くない合意でいこうよ…らしい。
「…あ、あの…その…」
それ以降私は出来るだけいい子でいることに努め、マスターに好かれるよう頑張ってきたのだがここまでやってしまったのだ。前回とは比にならない仕打ちを受けるのだろう。そう思うだけで身体中から冷や汗が溢れてくる。
「…おい」
「ひゃいっ…!」
マスターは立ち上がり脱げかけていたズボンを履き直す。声がいつものトーンより3つほど低い。こんなに怒っている彼を見るのは初めてな気がする。
「…立て」
「…はい」
「……」
彼は無言で私の目の前に立っている。マスターは私より大体身長が20cmほど高いのでこの距離まで来られるとほぼ上を向く形になる。
「…ま、マスター」
「前もこんなことあったな…」
そんな距離にも関わらずさらに距離を詰めようとしてくるマスター。距離を空けようと少し後ろに下がると木にぶつかってしまう。
「…っ!」
「…いけない娘だ」
「…っマ、マスター!むぐぅ…」
下がりようの無くなった私に口塞ぎと壁ドンを同時に行うマスター。その目はいつもとは違ったクールな色が怜悧に光っている。
「…お仕置きが必要だな?ん?」
耳元で囁くようにいう彼に思わずときめいてしまう。いつもの優しいマスターもいいがこの冷たいマスターもいいかもしれない。初めてこんな乱暴なプレイをされたがこれはこれでよし、新たな道が開けた気がする。
この時、私は気付いていなかった。その目に潜むもうひとつの光に…
時間がかかったから出来がいい?何を言うかねワトソン君。時間がかかるほど難しかったから中途半端に挫折して中途半端な作品が出来るのだよ。…もしかするとスランプかも
ということで次回は少し息抜きの番外編書きます