夢を見ていた。
『こう、ですか?』
とてもじゃないけど現実では考えられないような出来事。ジャンヌが俺の布団に潜り、イチモツを舐めているなんて夢じゃない限り有り得ないだろう。
『ジャ、ンヌ…うぁ…やばいって…』
ジャンヌは俺の顔を見ながら舌をチロチロと動かす。
『気持ち、いいですか?』
『…うん、正直もうやばい…』
俺の反応を見て学習しているのかどんどん快楽は増していく。
『ますたーけがだいじょーぶですか?ようすをみにきましたー』
外から何者かの声が聞こえてくるが、夢だからだろうかよく分からない。しかしそれを聞いたジャンヌは明らかに焦った様子になった。
『…っ!?…ま、マスター、失礼しますっ』
俺に断りを入れるとジャンヌは俺のぶつを咥え、そのまま喉奥まで挿入する。
『ちょっ、ヤバい、射精るっ!ーーーっっっう…ふぅ、っ、はぁ…』
『〜〜〜っっ!!』
そのまま俺はジャンヌの喉奥に吐精する。ジャンヌは目を見開き、苦しそうにビクンビクン、と震えている。
『…っ、で、では失礼しました!!』
少しの間惚けていたジャンヌは、ふと起き上がるとそのまま部屋を出ていってしまった。
ーーーにしても、こんな艶めかしくでリアルな淫夢なんて初めて見た。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
部屋を出る。ガチャ、という音と共に凄まじい感情の波が私を呑み込む。な、ななななにしてるんだ私!?初めて男の人の…アレを触って、舐めて、咥えて、最後には喉の奥に…
「おや、ジャンヌさんもマスターの部屋にいましたか。マスターの怪我どうですか?」
「…今は寝ているのでそっとしてあげてください。では…」
熱い、体がとてつもなく熱い。火刑に処された時以上に熱い、燃えそうだ。目の前にいる恋敵兼友人のことなど微塵も気にかけられないほどに私の頭の中は立香くんで溢れていた。
「ま、待って!どうしたんですか口なんて押さえて?」
「…っ、いえ、少し体調が優れなくて」
知らずの内にしていた行動をつっこまれ、思わず下手な嘘を吐いてしまった。頭から水をかけられたかのように先程までの熱が鎮まる。サーヴァントがそう簡単に病にかかるわけがないのだ。しかし、ここで正直に言うわけにはいかない、もしそんなことを言った時には彼女は今すぐにでも立香くんの元へ行き、問いただし、私と同じようなことをしろと迫るだろう。彼女にはそれだけの行動力がある。と私は思っている。
「…」
「…い、いえ、本当に…げほ、げほげほ」
「ーーーっ、ジャンヌさんも病に、苦しいですよね、分かりますとも!私も生前から病には苦しい思いをさせられました…」
しばらく私を見ていた沖田さんに思わず猿芝居を見せてしまったがなんとかごまかせたようだ。彼女の純粋な心を弄んでいるようで心痛い。
「…はい、とても苦しいです。ということで、私はこれで」
「待って」
「…なんですか?」
いつも以上に執拗な沖田さんに少し苛立ちを感じる。そもそも、この人が来なければ私はもっと立香くんといれたのに、もっと先にいけたのかもしれないのに。そう思うと、少しずつ沖田さんに対し怒りが沸いてくる。
「…はい、どうぞ!薬です、これ飲むと少し楽になるんですよ〜!私も本当に大変な時はいつも飲んでるんです!よろしければ使ってください!」
「…あ、ありがとうございます。それではまた」
私はなんてことを考えていたのだろうか。
自分の手の中にある薬を見る。彼女は純粋に私の身を案じてくれていたにも関わらず私は彼女を邪険に扱ってしまった。申し訳なさから逃げるように沖田さんに背を向け、自分の部屋へと向かう。
「……気付かないとでも思ったんですか?」
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
「マスター!!起きてください!!」
ペチペチと頬を叩かれ目を覚ます。
「んぅ…あれ、いつの間に俺寝ちゃってたんだ?…あれ、沖田さんじゃん」
あたりを見渡すとジャンヌの姿はなく代わりに沖田さんがいた。シフトでも組んでいるのだろうか?まぁ、ジャンヌのエロい夢を見てしまった手前ジャンヌと話すのは少し気まずいので丁度いいと考えよう。
「…そういえばマスター」
「ん?」
珍しく真面目な様子で俺のことを呼ぶ沖田さん。表情もどこか真剣だ。
「前にジャンヌさんがマスターと交わったことがあると聞いたのですが本当ですか?」
「…は?」
突然の質問に固まる。俺が…ジャンヌと?
「おや、反応的に違うんですかね?」
「ち、違うも何もそんなわけないだろ!!特異点修復のために何回か同じ場所で寝たことはあるけどそれだって同じ場所で寝たってだけで布団は別だし!?」
「そうですか、ならよかったです」
珍しく真面目な話かと思ったけどまさかこんな話をしてくるとはおかげで変な汗かいちまったぜ。
「…つかジャンヌがそんなこと言ってたのか」
「えぇ、ジャンヌさんマスターのこと大好きですからね」
「まぁ、長い間一緒だからな。俺もジャンヌ大好きだよ」
「…………ぇ?」
ジャンヌがそういう下の話をするとは少し予想外だった。そういう話を振ると毎回顔を真っ赤にするあの聖女が自ら下世話な話をするとは。にしてもなんだか今日は体がだるい。何故だろうか?
ふと、先程の夢を思い出す。もしかして…いや、おかしい話ではない。ここ1ヶ月ほど忙しくて抜いている暇なんてなかったし、見た夢の内容も内容だ。あんな美女にあのようなことされる夢を見たら誰だってそうなる可能性はある。パンツの中は感じる限りいつも通りだが念には念を。
幸いなことに沖田さんは今なにか考え事でもしているのかぼうっとしている、パッとトイレで確認してきた方がいいだろう。
「…ちょ、ちょっとトイレ行ってくる〜」
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
「ちょ、ちょっとトイレ行ってくる」
マスターの声が聞こえる、が、その声はどこか遠い。先程のマスターの声が頭の中をずっと回っている。
俺もジャンヌ大好きだよ。
と、彼は言った。心のどこかではマスターは誰にでもそういうことを言うじゃないか、という声が聞こえてくるが今はまともに考えられない。
先程のジャンヌさんの様子を思い出す。部屋から出てきたのを見ただけで分かった。赤く染まった顔で目は少し蕩けており、口を押さえて出てくるなんてもう露骨にも程がある。
ーーージャンヌさんはマスターと接吻をしたのだろう!!
分かっている、ジャンヌさんはマスターのことが大好きでマスターもジャンヌさんのことが大好きならもう私が付け入る隙なんて無いんだってこと。
だけどこんなに人を好きになったのは、人を愛したのは生まれて、否、死して初めてのことなのだ。それを簡単に諦めるわけにはいかない。
「…負けません、沖田さんは負けられないんです。沖田さんは大勝利するんです!」
声に出すと、先程までの暗い雰囲気が飛んでいくような気がした。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
「おまたせ〜、沖、田…さん?」
「お、おかえりなさい…ご主人様」
無事、パンツの中に誤射による汚れが無いことを確認した俺は爽やかな気分で先程まで俺がいた部屋へ戻った。するとそこにはーーー
「…え、なに、どうしたの」
「どうしたもなにも、マスターメイドさんが好きって…」
恥ずかしそうな表情でメイド姿をしている沖田さんがいた。ヒラヒラしたスカートになれないのかスカートの裾を抑えている。
「…え、ちょ、待って…え…え?待ってね?」
思わず自室のどこかにあるはずのカメラを探してしまう。そう、何を隠そう俺はメイドというものが大好きなのだ。
「…あ、あった…ちょ、ちょっとこっち見て。はい、ピース」
「あ、はい…ピ、ピース?」
見つけたカメラでそのままレンズを沖田さんに向け写真を撮る。戸惑いながらもこちらに向けポーズを決める沖田さん。
正直に言おう。俺は未だかつて無いほど興奮している。
「…沖田さん」
「な、なんですか?」
沖田さんの肩を掴み、目を見ながら伝える。
「…超っっっっっっ絶可愛い!!写真撮らせて!!」
「…っっっ!そ、そうでしょう!?い、いいでしょう!!撮らせてあげましょう!!」
俺の声に一瞬ポカン、とした沖田さんだったがすぐに戻ると今度は顔を赤くし喜び始めた。そんなに被写体になるのが嬉しいのだろうか?撮られたことはあまりないから分からないがそういうものなのだろうか?俺にはわからないが嬉しそうなメイドさんを見ると俺もウキウキするので良しとしよう。
〜〜〜
「いいね〜、もっと健気な感じ出していこうか」
「こ、こうですか?」
「いや、ちょっと表情固いかな…そうだね、想像してみて…自分の大切な人が病気になってしまった…なんとかしてあげたい、だろ?…そう!!その表情、最高!!…え?最高…最高だよ!!」
「…え、えへへ」
あれから数十分。俺は沖田さんを撮り続けている。理由は簡単、目の前にメイドさんがいるから、それだけだ。
「次は…ミスをしちゃったメイドさんってテーマでいこうか!!」
「は、はい!」
「そうだね、ポーズは…手は、ここで首の角度はこう。…うん、完璧!んで、申し訳なさそうな顔して〜」
「はぅぅ、ち、近いです…」
「その表情もいいけどその顔は完全に主従関係なのに主に恋をしちゃったって顔だから違うかな〜。もっと、そうだな…自分のせいで主人に怪我負わせちゃったとかそういう体で…速い!そして完璧な表情!!沖田さん天才か!?天才剣士だけじゃなくて天才メイドでもあったのか!?完全にその表情出来てるよ!!もしかしてご主人様に何か怪我でもさせたことあるのか!?ドジっ子メイドもいいよな!!」
あぁ、分かってる。気持ち悪いのは自分でも痛いほど分かってる。しかし、止まらないのだ。このメイドさんを撮りたいという気持ちが止まらないのだ。
「そんじゃあ次!次は…セクシーな感じでいこうか!!ちょっとごめんね」
「え、えっ!?ま、マスター!?」
沖田さんに近づき、ベッドの方へ連れて行き押し倒す。
「あ、服もちょっとごめんね〜」
「え、きゃっ、ま、マスター?!」
そして、服も少しはだけさせる。素晴らしい、どっからどう見ても完璧な『ピュアなメイドさんが下手な色仕掛けをしかけたがご主人様に予想の100倍ほどすごいことをされて戸惑いながらも嬉しいしかし恥ずかしくもあるメイドさん』だろう。
そしてこの際に大事なのはカメラマンがご主人様になりきることだ。俺は押し倒した沖田さんの足と足のあいだに入り、カメラを構える。決してメイドさんの近くにいたいとかそういう訳では無い。
「おっと、そっぽ向くのもそれっぽくて良いけど今回は取り敢えずカメラ見ようよ。そう、その顔いいね!撮るよ…ん?バッテリー?」
ふと、部屋の時計を見る。なんてことだ、まだ数十分しか経ってないと思ったけどよく見たら数時間経ってやがる。シンデレラの魔法同じくカメラマンもカメラという魔法が切れてしまったらただのマンに戻ってしまう。楽しかった撮影会も終わりだ。カメラをベッドの近くの棚に置く。
「はぁ…長い間ありがとう。すげぇ楽し、かった…よ…」
モデルに感謝を告げようと沖田さんの方を向く。
「…っ、う、うぅ」
「…え、ど、どうしたの!?」
驚くことに沖田さんは泣いていた。何か悪いことでもしたのだろうか?
「…無、理やりっ…布団に…っ、連れ込まれて…ぅう…しかも服まで…乱されて…ぇう…私っ…こういうこと、したことないの、にっ…」
「……」
先程までの自分の行動を振り返る。前に沖田さんは男性と恋愛というものをしたことがないと言っていた。なのに今日の俺のアレはなんだ?途中から俺は沖田さんをただのモデルとしてモノのように扱っていた。彼女とてちゃんと考え、意思がある人間なのに…
「…ぇぐっ、しかも…っ、それが、終わったら…っ、私なんて、どうでも、いいみたいにっ…ぅえっ…扱って…」
「……」
「…わ、私そんなにっ、魅力無いのかなって…っ、…凄く、悲し、くて、っ…」
「…俺、馬鹿だ」
「っ!?…な、なにを…」
俺は左の手を思い切り握り、自分の頬を殴る。俺のしたことに驚いたのか涙に濡れ、赤くなった目を俺の方に向ける沖田さん。
「…ごめん、俺馬鹿なんだ。たまに自分でも制御効かないこととかあってさ…沖田さん、言いたいことがあるんだ」
「…っ、は、はい…」
沖田さんに目を合わせる。
「…押し倒したりしてごめん。怖かったよな、しかも…服脱がすようなこともして、本当にごめん、許してくれとは言わないよ、なにしたって構わない、殴りたいなら殴っていい、俺が怪我人だなんてこと気にしない本気でやってもいい。俺は甘んじて受けるよ」
「…」
「…俺、メイドさんってのがすごく好きなんだ。だからさっきもあんなにテンション上がっちゃったんだけどさ…でもね、あんなにテンション上がったのはメイドさんだからってだけじゃないんだ。沖田さんが、とても、とっっっても魅力的で…だから、あんな…ことに…」
「……」
「で、でもっ…あ、あぁもう!!なんて言えばいいんだ?!とりあえず!!沖田さんはすごく可愛い!!超魅力的だから!!以上!」
「……」
空間に静寂が走る。何を言ってるか分からないような稚拙な言葉だったし最後は勢い任せだった。沖田さんも無言だ。
「…マスター、さっき何してもいいって言いましたよね」
「…う、うん」
いつもとは少し違うトーンで話す沖田さん。何をされてもいい覚悟を決める。
「じゃあ…マスター」
「…うん」
「…このまま、私と、一夜明かしてください」
長くなってしまった。まさか5000文字を越えてしまうとは…沖田さん可愛いから…
あとがきで書くのもいかがなものだと思ったのですが感謝の言葉を皆様に!おかげさまでUAが10000を突破しました。お気に入りも60も!ありがたい!これからも頑張っちゃいますよ〜!
ということであとがき以上になります。次回はついに本格的にやっちまうのか!?