羊が1匹、羊が2匹、どうも、藤丸立香です。
突然ですが問題です。先程の俺のように眠る時に羊を数えるのは何故でしょうか?
答えは簡単。ものを数えるなどと言った単純作業が人に眠気を覚えさせるから…だけどなんで羊なんだろう、って思う方いますよね?その答えは数え始めた国にあります。
寝る時に羊を数えるという文化の始まりは確かイギリス、英国から始まったものなのです。ここまで来れば聡い皆様方ならお分かりになるでしょう。そう、羊は英語でsheep,sleepと響きが近いことから言葉遊びのようなもので生まれたのが羊を数えるという文化。
実際に眠る時に自分に『sleep,sleep』と暗示していたのが段々眠くなり『sleep...sheep』となっていた説を提唱する人もいるくらいですし?
まぁこんなに長々とよく分からないことを語って何が言いたいかと言うと。
「…マスター、起きてます?」
「……うん」
日本人の俺には羊なんて数えてもなんの意味もないんだよ、ってことだ。
〜〜ちょっと前〜〜
「このまま、私と、一夜明かしてください」
「………へぁっ!?」
時が止まったかと思った。改めて沖田さんの姿を見る。暗くてよくは見えないが赤く染まる頬、俺を見つめる瞳、はだけた胸元、沖田さんを構成する全てが扇情的に映る。
「嫌…ですか?」
「そ、そうじゃなくて!!…え、それはその…俺と一夜って…あの、そういう意味で?」
沖田さんのことだ。ただ一緒に眠るだけ…とかあるかもしれない。そうなってしまったら俺は恥ずかしくて死んでしまう。
「……はい…そ、その…マスターに抱いて欲しいんです」
今にも破裂してしまいそうな程顔が赤く染まっていく沖田さん。
「…沖田さんが、そうしたいなら」
触らなくても分かる。恐らく俺の顔も沖田さんと同じように真っ赤なのだろう。
「…お、お願いします」
沖田さんはおずおずと上半身を起こし、俺に抱きつく。何故女の子はこんなにいい匂いがするのだろうか。
「っ…!や、優しく出来るほど余裕ないと思う…」
「…優しくする必要ないです…思いっきりやっちゃってください」
耳元でそう囁かれ思わず沖田さんを押し倒す。
「きゃっ、ま、マスター!?」
可愛らしい悲鳴をあげる沖田さん。悪いけどこんな雰囲気の中あんな事を言われても狼でいられないほど俺は男をやめていない。
「そんな風に言われちゃ俺も我慢できないよ…俺も初めてだけど頑張るから」
「ちょっ、マスター、マスター!!」
ズボンを下ろそうとする俺を止めるように沖田さんは抱きついてくる。なんなのだろうか、まさか沖田さんはズボン下ろしてあげたい派の英霊なのか?
「…なに?」
「ち、違くて!いや、私の言い方が悪かったのかもしれないけど…」
違う?何が違うのだろうか。あ、なるほどズボン下ろしてあげたい派の英霊ではないと。
「その、あの…さっきの抱いて欲しいっていうのは…その、エッチなことじゃなくて…ただ、純粋に…抱きしめて欲しいなぁって…」
「…は?」
先程の沖田さんの言葉を思い出す。いや、いやいやいや…あれはどっからどう聞いてもエッチな方の抱くの言い方だった…
「その、一晩中抱きしめて欲しいなぁ、って…」
「…ふ」
「…ふ?」
「ふっざけんなぁぁぁ!!俺は童貞なんだよ!こんな雰囲気作ってやる事が一晩中抱きしめて欲しい!?あぁ、いいよ!!もっと甘い雰囲気作ってそれやるんだったら全然良いよ!最高だよ!!だけど違う、違うんだ沖田さん!!お前が出してたのは甘い雰囲気じゃねぇ!エロい雰囲気なんだ!それで一晩中抱きしめろだと!?そんなんただの生殺しだ!!」
「…ご、ごめんな、ふぎゅっ」
「おら!!これが良かったんだろ!?一晩中抱きしめて欲しかったんだろ!!俺が泣かせちゃったのが悪いんだしこれくらいの報いは受けてやるよ!!」
とても恥ずかしい思いをした。何がズボンは下ろしてあげたい派の英霊だ。そんな英霊いたらくびり殺してやる。沖田さんを抱きしめながら俺はそんな決意を抱く。
「…ぅ」
「…え?」
「…なん、でもない、です…ぅ、うぅ」
俺がさっきの己の行動を悔やんでいると沖田さんはまた泣いていた。なんで今日はこんなに涙脆いのだろうか。先程怒鳴ってしまったのがダメなのだろうか。
「ご、ごめんね…ちょっと怒りすぎたかもしれない。けど、沖田さん童貞はね?」
「うぅ、こっち、見るなぁ…」
「あ、はい」
〜〜〜〜
そして今に至るのだ。
「少し、落ち着きました…」
「あぁ、そう…」
俺は目を閉じたまま答える。とりあえずこのまま寝に入れば俺の勝ちだ。この昂りかけている愚息も寝れば鎮まることだろう。再び羊を数え始める。あ、羊は関係無いんだった
「…あの」
何を数えれば効果に寝れるのか。俺の中では素数が圧倒的に票を集めている。数学が大嫌いな俺からすると素数というのはもはや呪文。素数という文字を想像するだけで少し眠くなるまである。
「……マスター、その」
そもそも素数ってなんだ?ていうか数学ってなんだ?もしかすると俺は記憶喪失なのかもしれない。どこぞの誰かの記憶が頭に流れ込んでーーー
「マスター!!」
「ふぁっ!!」
大きな声で目を覚ます。あぶない、寝かけていた。沖田さんがこちらを赤い顔で見つめている。
「…な、なに?」
「無視しないでください!!」
「ご、ごめん寝かけてた…それで、なに?」
「…さっきなんで私が泣いたのかとか気にならないんですか?」
先程までプンスカと怒っていたにも関わらず今度は急にしおらしくなる沖田さん。
「いや、別に…」
「マスターは私に興味ないんですかね!?」
「いや、あるよ?仲間だし」
「ちが、そういうわけじゃ…リセットです!この空気無かったことにしてください!私また泣きますから最初の空気に戻してください!」
「え、眠いんだけど…」
「酷すぎる!?うわぁん、マスターが酷い!」
段々と先程までの沖田さんは消え、いつもの沖田さんが戻ってきた。よかった、正直ああいう空気も悪くは無いけど心臓に悪い。沖田さんはこうじゃなきゃ。
「酷いとかよく言えるよね…あー、痛てぇ、肋が痛てぇ…これやったの誰だろ」
「…」
「…あ」
突如、部屋の空気が凍る。話題の選択を間違えてしまったようだ。沖田さんは俺の腕の中から抜け出すとベッドから下りた。
「あ、いや本気で言ってるわけじゃないよ?」
「マスター」
真剣な声で俺を呼び、こちらを見る沖田さん。その顔は真剣そのものだ。
「…私、マスターのことが好きです、大好きです。仲間としてとか、マスターとしてじゃなくて…私が、沖田総司が女として、マスターのことを好きなんです」
「……は?」
思わず馬鹿みたいな声が出てしまう。そりゃ当然だ、突然告白をされるなど誰も思わないだろう。
「…答えはいいです。なんとなく分かってるから…だけど、それでも私、マスターが…好き、なんです…!」
「…沖田さん」
涙を流しながら彼女は続ける。
「私、ダメな英霊ですっ…マスターに、怪我させちゃうし…すぐに、倒れちゃうし…っ、マスターの、ことも…期待だけさせて、殺しちゃうし…」
「…そんな、ダメな私でもっ…マスターは傍にいさせてくれますかっ…!」
あまりにもあんまりな質問に思わず頭を抱える。沖田さんがビクリと震えるのを空気で感じた。
「はぁ…そんな質問されるとは思わなかった」
「…そ…そう、ですよね…私、みたいな」
「…そうだよ、沖田さんみたいに可愛い子が近くにいるだけで男は幸せになれるってもんだ。むしろこっちからお願いしたいくらいだよ。傍にいて下さいって」
「…え」
立ち上がり、俯く沖田さんのことを抱きしめる。
「俺もね、沖田さんのこと大好きなんだ。まぁ、女の子にこういうこと直接言うの恥ずかしいからいつもは言わないけど…これがどういう好きなのか俺はガキだから分からない。ジャンヌとか他の娘に同じような質問されたら多分、今と同じこというかもしれない…けどさ、間違いなく俺は沖田さんのことも好きなんだよ」
自分で言っておいてなんだがすごい最低なことを言っている気がする。ヤバい、かっこつけて沖田さんのこと抱きしめたりしちゃったけどもしかするとドン引きされてるかもしれない。
「…だからさ、いいんだ、そんな許可なんて取らなくても…っ!!あっぶね!!」
突如体を襲った浮遊感に驚くがそれもつかの間、気付くと俺はベッドの上にいた。肩に残る感覚と沖田さんの手を見る限りどうやら俺は沖田さんに突き飛ばされらしい。流石に引かれたか…沖田さんの表情を窺おうにも、暗くて見えない。恐らくその顔は怒りに染まっているのだろう。自分は告白をしたのに返ってきたのはみんな好きとかいうクソみたいな返事。そりゃ誰でも怒るに決まっている。
「ごめんな、流石に引く、っ!?」
とりあえず謝ろうと上体を起こした俺の言葉は途中で止まった。驚くほど近くに沖田さんの顔があったからだ。思わず目を閉じた直後、口に柔らかいものが当たる。
「んぅ……」
「…っ……」
ぎこちないただ唇と唇を軽く当てただけの行為。それだけで触れた箇所が熱くなる。
「沖田さん…」
「マスター…」
触れていた口を離し、互いに顔を見合わせる。沖田さんは蕩けた瞳で俺を見つめ、俺もそれに答えるかのように再び口を合わせる。
「んっ、はぁ…んぅ」
薄く目を開く、沖田さんは目を閉じ俺の唇を全身で感じどっているかのように小さく声を上げる。その姿がとても愛おしい。
「んぅ…ぷは…んっ、んぁ…」
彼女も俺に応えようと背中に手を回してくる。
「…んぅ!?…んっ…」
俺はそのまま、彼女の口の中に舌をいれる。一瞬驚いた様子で跳ねたがすぐに気持ち良さそうに異物を受け入れたようだ。
「…っはぁ…マスター…私、私…んぅっ!」
キスを終え、何かを喋る沖田さんを口で塞ぎ、そのままベッドに押し倒す。
「…んぅ…ぷはっ…はぁ、はぁ…その、私、初めてなんで優しく…してください」
「…善処する」
俺はぶっきらぼうに答え、再び沖田さんの口を塞いだ。
次回ついに本番ーーー