とりあえず、羽黒を押し倒すと、抵抗は特になかった。何かからかおうとするが、言葉を思い浮かべる前にやめた。何しろ羽黒が口では嫌がっていた割にせつなそうだったし、提督は提督で押し倒すくらいには余裕がなかったのだ。
「っ……うぅ」
提督の穂先を羽黒の女陰にこすり付ける。既に出来上がっていた羽黒が、むくれたように提督を見てから、真っ赤になって目をそらした。無自覚だったらしいし――無意味でもあった。提督に焦らそうという意図はなかったし、そもそもこすりつけた端から、まるで吸い込まれるかのごとくすんなりと膣内へ入ってしまったのだ。
「ん、あぁっ!」
ぬるんと置くまで入ると、提督の腹が羽黒の肌に密着する。羽黒がくすぐったそうに身を捩らせた。提督の首元を、羽黒の鼻息がくすぐった。
「動くぞ」
羽黒がこくこくとうなずき、そのたびに髪が触れてきて、良い香りが広がった。期待するかのように羽黒が顔を提督に押し付ける。それがきっかけと言わんばかりに、提督が腰を動かし始めた。
「ぅゃぁ、んっ」
ゆっくり、こすり付けるように動くと、羽黒が強くしがみついてきた。顔を押し付けてきたのは、慕情というよりは声を抑えるためだったらしい、というのは、唇が強く押し付けられてきたからである。ちら、と見れば目もきゅっと瞑られており、まず間違いないだろう。提督がムッとしたように頬を膨らませた。
「今更我慢する必要はないだろうに」
羽黒の黒髪がぶんぶんと振られ、肌をくすぐられた。こうなれば、強硬手段やむなしである。
「ひぁっ!?」
胸を思い切り揉み込むだけで、羽黒の鉄壁の守りはいともたやすく打ち破られた。矢継ぎ早にもう片方の手で尻を揉む。どちらも張りがあり柔らかいが何とも甲乙つけがたい感触の違いがある丘達は、提督の強引な力で思い切り歪められてしまい、羽黒がたまらず提督を強く抱いた。にやり、と笑った提督が腰を一突きする。
「あ、だめ、ひうっ!」
びくりびくりと体を震わせ、膣がきゅうと縮こまった。それだけで、準備万端だった提督もはてそうであったが、必死にこらえる。既に一度イッている羽黒はまだ耐えられそうだったし、何よりもったいないのだ。
「何が」疲労からではなく荒んだ息を落ち着かせながら提督が問うた。「駄目なんだ?」
「ぁ、うぅ」
羽黒がこれまで以上に提督に顔を押し付けた。相当恥ずかしいのだろう。意地でも言いたくないらしい。もちろん、提督だって意地でも言わせたのだからあとは双方の根気の争いだったし、闘争というものは基本的に事前準備ですべてが決まるのである。提督が、軽く音が出るように羽黒の尻を叩いた。
「ひゃんっ!」
羽黒の口から、痛みを感じたときには出てこないような声が出てきた。羽黒の顔が押し付けられていた部分が熱くなる。赤熱する熱源に触れられているのだから当然である。
「何が、駄目なんだ?」提督が優しく聞こえる声音で問うた。声で人を判断してはならない好例である。
「……き」
羽黒がようやっと口を提督の肌から離した。ねっとりとした唾が、濡れた唇と提督の間に架かって落ちる気配が無かった。そんなことにさえ、口を動かそうというのに必死な羽黒は気づいていないようである。伏し目がちに、ところどころつまりながら、羽黒がなんとか言葉をつなげた。
「気持ちよく、なりすぎるから、その、ダメです」
「答えになってないな」
羽黒の努力は提督に一瞬で否定された。まぁ冷静に考えてWhatにWhyを返してはそうなって当たり前であったが、この状況で冷静を期待するほうが酷という感想を提督は抱かないことにしている。代わりに、胸の手を動かして、乳房を揉みながら乳輪を優しく撫でさすってやる。無論、乳首には触れさえしない。
「あ、ぁ、あぁぁっ」
羽黒がせつなそうに鳴いた。上目が、非難がましく提督を見つめていた。もちろん、何も非難されるいわれなど無い提督は、掠れるように乳首をちょんと刺激してやる。ひゃん、と甲高く羽黒が鳴き、うぅとうめき声が漏れてきた。
「もう一度だけ聞こう」提督が尻をなでながら言った。「何が、ダメなんだ?」
口が開きかけ、また閉じられ、たっぷり十数秒は逡巡してから、結局羽黒の口は閉じられてしまった。往生際が悪い、と羽黒の尻を揉み込む。んんっ、と羽黒が軽くのけぞり、提督と目が合う。諦めたように、ぼそりぼそりと言葉が出てきた。
「その、さ、さっきので、乳首敏感になってて、お、おっぱいさわられちゃうと、気持ちよすぎるからダメなんです」
「よく言えたな」
提督が、羽黒の頭をぽん、と撫でた。いつの間にか臀部から消えていた温もりを探したのか腰を軽く振りながら、羽黒がにへらと微笑んだ。提督がため息をついた。こういう場合、そういう振る舞いが状況を悪化させるとなぜ気づかないんだろうか、と思う。が、まぁ、可愛いし良いか、と話をそれで済ませた提督も提督で大概であったが。
「つまり、こういうのがダメなわけだ」
「……へ? ひゃ、あぅ、やぁっ!?」
羽黒がのけぞるようにはねた。提督に乳首を摘まれながら膣を思い切り突かれたのだから当たり前である。
「そ、んなっ!? ダメ、ダメってぇっ!」
「や、別に止めるとは言ってないし」
臆面もなく言い放った提督に、涙目になった羽黒がぽかぽかとげんこつをお見舞した。だが、普段は打撃力の強い重巡娘の拳も、このような状態ではただの甘えに他ならなかったし――実際本人の意図としてもそうだったのだろう。ぷぅ、と頬をふくらます様は普段の様子からは想像できない程に感情的であり、だからこそ提督はより強く腰を動かしてしまう。
「あっ、やっ、いきな、激しっ!?」
羽黒のふくれっ面がすぐに蕩けて崩れ去る。おまけに身を捩らせたからか、自身の胸を揉み込んでいた提督の指に、尖りを思い切りこすりつけてしまった。
「ひぁっ! やぁっ!」
やぁと言われても、こればっかりは不可抗力だから仕方がない。と開き直りつつ、提督は無心に腰を動かした。真っ赤になった蕾が刺激されるたびに締まる柔肉の感覚を楽しむ。それがあんまりにも心地よくて、その感覚がやけに長く続いているのに気づいたのは、それなりに時間が経ってからのことであった。
「……羽黒さんや、自分でも気づいてるよな?」
やだやだと羽黒が首を左右に振った。吐息と汗の濃い匂いが提督の鼻腔をくすぐった。潤んでいるであろう瞳は瞼の裏側へと引っ込み、その様子は目尻に浮かぶ涙くらいからしか伺いしれない。まぁ、とどのつまり。
「ダメダメ言う割には自分でこすりつけちゃうんだな」
「~~~ッ!!」
言った瞬間、羽黒の中が収縮した。既に大洪水であるにもかかわらず、痛いくらいのきつさである。喘ぎ声にすすり泣くような音が混ざった。
「羽黒、締めすぎだ」
「うぅ~ッ!」
それでも腰を動かすのを止めない提督も提督だったし、そう言われてますます膣肉を縮こまらせる羽黒も羽黒である。ある意味似た者同士と言っても良いのかもしれない。もはや仰け反りそうになるのを食い止めているのか、乳首をこすりつけて快感を得ようとするためか分らなくなっている羽黒が、ひときわ強く提督を抱きしめた。口の抑えに使われている提督の胸元など、唾液とちょっぴりの汗でびちょびちょである。幾度となく羽黒の吐息が降りかかるが、元が熱すぎて冷たさなど感じる余裕もない。
「羽黒?」
「だ、だってぇ」非難がましく名を呼ぶと、何かに耐えかねたかのように羽黒がこちらを向いた。かと思うと、切なさに支配された顔をちらとそらして続ける。「だって、んっ、乳首っ、司令官さんに弄って、あっ、もらうの、気持ちよくてっ、止まらないのっ」
一瞬、惚けたように羽黒の告白を聞いていた提督を尻目に、羽黒は再び提督で口元を抑えにかかった。が、それも長続きはしない。提督が、止めと言わんばかりに腰を前後し始めたからである。
「ひゃぅあっ!?」
「お前なっ」提督が胸の先端を強く転がしながらぼやいた。「こういうときにそういうこと言われたらなっ」
そりゃこうなるというわけだ。俺に非はない、と提督は断言する。何しろ、口をついて出てくる喘ぎ声と、止まらない羞恥のうめき声の合間に隠れて、提督のその言葉に関して喜色ばんだ笑みがこぼれているのが丸わかりなのだ。なまじ、唇と肌がくっついているせいで、羽黒の慕情は空気など媒介にする必要もなく提督に伝わっているのだ。
「司令官さっ!」羽黒が上目で提督を見遣った。「キス、して良いですか?」
「イきそうなのか」
こくりこくりと黒髪が揺れる。提督に拒む理由など無い。顔を近づけると、羽黒が頭を上げた。赤らんだ白い喉が、汗と唾液で濡れたくって妖しくてかっていた。
「んっ、ふっ、ぅ」
唇に自身のそれを当てれば、迎え入れるように舌が伸びてきた。提督の舌を絡みとるように引き込みながら、一緒に流れてきた唾液を羽黒がこくこくと嚥下する。当然、腰も胸の頂きで蠢く手も止まってなど居ないから、酸素を欲した羽黒が鼻息を荒くする。だが、相当キツい体勢だと言うのに、羽黒は一切離れようとしない。どころか、腕にぎゅっと力を込め、提督と更に密着しようとさえしている。提督の腰が俄然速く動き始めた。手も、乳首に刺激を送るべく動き続ける。
「んじゅ、んっ! んんっ! ふっ!」
全身を貫かれる衝撃と、それ以外の何かによって羽黒が小気味よく震えた。閉じられた瞼がゆっくりと開かれ、顕になった瞳が提督をじっと見つめる。男が、羽黒から舌を脱いた。糸がかかるのと同時に、甘ったるい息が漏れ出した。
「もう少し、我慢してくれ」
提督がやっとの思いでそれだけ言うと、羽黒がブンブンと首を縦に振った。愛おしさが溢れんばかりに湧き出てきて、もう一度唇を近づける。羽黒が目を閉じ、食んできた。
「ちゅ、む、んっ、ぁ、あ、んんっ!」
羽黒が堪えるように唇を舐め回しているのを見計らい、提督が腰の動きを更に早めた。遠の昔に限界スレスレであったのに、更に締め付けてくるひだと口先に感じる感触で、あと一押しさえあればすぐに果てそうだった。そして、それは羽黒も同じようで、羽黒の大きめな瞳が提督をじっと見つめていた。なら、やるべきことは決まっている。
「ふぁ、やぁっ! ちくびぃっ! つまんじゃっ!」
胸に感じた刺激に、羽黒が唇を離して震えた。散々提督の肌にこすりつけ、提督に揉まれ、提督に弄ばれ、そして今の今まで提督の手にこすりつけていたそこは、こりこりと自己主張すること著しい。搾り取る、という意思しか感じないように膣がうごめいた。
「しれいかんさっ」羽黒が提督の耳元に口を寄せた。「イクっ! イキそ、なのっ! いっしょがいいっ!」
提督は何も言わず、無言で手と腰の動きをより大きくした。口を開け、目の前に差し出された羽黒の耳を食んだ。真っ赤になったそこは、想像通り熱かった。
「あっ」羽黒の腰がビクビクと不規則に動き始めた。達したらしい。「あっ、あんっあ、やぁあああああああああッ!」
「ぐっ」
言葉でのおねだりなど有ってもなくとも同じように、膣が収縮する。腰を深く叩きつけ、提督がそのまま力を抜いた。
「あ、あぁぁあぁっ。しれいかんさんの、いっぱいぃ…………」
白濁を注ぎ込むと、押し返すような力を腰に感じる。羽黒が、力の限り腰を押し付けてきていたのだった。喘ぎ声が心地よさそうなため息に変わっても、なかなかその力は抜けなかった。
「満足できたか?」
羽黒の呼気が落ち着いた頃を見計らって、提督が囁いた。真っ赤な耳が前後に振れる。汗のいい匂いが漂ってきた。
「べちょべちょに、しちゃいました」
提督の鼻息に気づいたのか、焦ったように羽黒が顔をあげた。「お湯だけ浴びましょうか。急げば、まだ朝食にも――」
「間に合わないよ、多分」
「ふぇ?」
羽黒がキョトン、と首をかしげる。だが、その意味はすぐに理解できたらしい。顔が再び真っ赤になった。
「な、なんで、またおっきく」
「今更言わないとわからんか」提督が羽黒の乳首を弾いた。あん、と小気味良い喘ぎが漏れてきた。
「人の体使ってチクニーするような娘がそばにいて、こうなるなという方がおかしい」
羽黒が真っ赤になったのと、提督が再び羽黒の唇を奪ったのは同時であった。
まぁ、んなことしてて遅れるんだからそりゃ大淀も怒るよね、とは提督私室の鍵をこじ開けるために大淀に同行し、n回戦に臨みそろそろろれつが回らなくなり始めていた秘書艦を目撃してしまった明石の言である。
めでたしめでたし。
それにしてもこの提督と羽黒、ノリノリである。
なお、大淀は(書類仕事で)瀕死がデフォルトの模様