※この作品はR-18です。

もう二度と剣を持てないモードレッドとの優しい隠匿生活   作:オリスケ

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第22話

「……そう上手く行く訳ないでしょうが」

 

 ランサーの低く鋭い声がする。

 突き出された槍の鎚が、オレの額を捉えた。

 衝撃。重い痛みに、首が身体に置いてけぼりにされる感覚。

 平衡感覚が一気に喪失し、オレは落ち葉の上に身体をしたたかに打ち付けた。

 両腕の傷から与えられる痛みが、グラグラと揺らぐ脳味噌をミキサーのように掻き混ぜてくる。

 

「っづ——おおぉ……!」

「あぁ、効いた効いた。いい一撃だったぜ、今のは」

「クソッタレ……軽く言いやがって」

「逆境には縁があってね。防衛と打たれ強さには自身あるのよ、俺」

 

 ランサーがひらりと着地し、血痰を地面に吐き出す。蹴りのダメージは確かに入っているようだが、槍を握る手は未だ健在だ。

 足取りは未だ力強く、声からは慢心が消えている。

 

「やっぱ、オジサンもどっかで油断してたみたいだ。お前さんも立派な戦士だ、手を抜いちゃいられない。そうだろ?」

 

 言うが早いか、ランサーは槍を担ぐと、明後日の方向に照準を向け——投擲。

 英霊が放った槍の一撃は、超常の速度で飛来し、着弾。周囲の木々を吹き飛ばす大きな爆発を産む。

 短く、馬の嘶きがした。後に続く筈の彼の声は、爆音でかき消されて届かない。

 

「マスター!」

「やっぱり、あっちを追いかける方が楽でいいや」

「っ……待ちやがれ!」

 

 落ち葉を跳ね上げ、ランサーがマスターのいた方角へ走り出す。オレも直ぐさまその後を追い、舞い上がった落ち葉のヴェールを抜け——

 

 

 

 

「だって、獲物の方から飛び込んで来てくれるからな」

 

 その先でランサーが、オレに向けて槍を振りかぶっていた。

 野球のバットのような構えからの、フルスイング。突き出た金属の鍔が、狙い違わず、オレの手首を打ち据えた。

 

「ぎゃああああああああああああああああああ!?」

 

 バチン、と視界に火花が散る。視界が明滅し、意識が飛ぶ。

 土手っ腹を蹴飛ばされ、オレは大地に倒れ込む。受け身も取れなかった身体がぐしゃりと潰れる。

 痛い、痛い、痛い。意識が、感覚が、痛みに塗り潰されている。打ち据えられた左腕が、木っ端微塵になったようだ。

 けれど、呻く暇などある筈が無い。早く立ち上がらなければ。

 朦朧とする意識で、オレは両脚を大地に押しつける。

 

「良い声だな、もう一回聞かせてくれよ」

 

 痛みに震える左腕に、今度は投げつけられた石が激突した。

 パァン! という音。肉が波打ち、骨の砕ける音。オレの腕が跳ね上がる。

 

「ふヴあああああああああああ!」

 

 意識を離れた両脚が力を失い、オレは大地に倒れ伏す。落ち葉が舞い上がり、口に苦い土が飛び込んでくる。

 生皮を剥がされ、剥き出しの神経を殴りつけられるような衝撃。身体が痛みに呻き、矢鱈目鱈に暴れ回り、オレの身体を土と落ち葉に塗れさせる。

 

「セイバー!」

 

 荒れ狂う嵐のような痛みの中、オレの意識がマスターの声を捉える。悲痛な声が近づいてくる。

 

「っ馬鹿。来るんじゃ……!」

「そうだぜ、今は折檻の途中だ。野暮な真似はよしな」

 

 冷たいランサーの声が割り入る。奴はマスターの放った宝石を砕くと、土手っ腹に拳を叩き込んだ。深く腰の入った綺麗な一撃。それだけで常人のマスターは吹き飛び、大地にぐったりと倒れ込む。

 気絶したらしいマスター。けれどもランサーは彼に目もくれず、オレを静かに睥睨する。

 

「聖杯の為、依頼されちゃしょうがねえと渋々納得して……それでもオジサンは、てっきり手負いの奴を、せめて苦しまず楽にしてやるのが勤めかと思ってたんだ」

 

 起き上がろうとするオレの腹に、つま先がめり込む。内蔵がメコリと軋む。身体が宙を舞う。落下と同時に両腕が潰され、激痛が悲鳴になって、オレの喉を駆け抜ける。

 

「けれど、アンタは立派な戦士だった。それじゃ困るんだよ。誇りある戦士を負傷した状態で殺したんじゃ、夢見が悪いだろう? できればお前さんにゃ、全部擲って、諦めて欲しいんだよね」

 

 呻く事も許されず、今度は槍の石打が突き出される。

 オレは直感で首を逸らし、顔面に向けられたそれを避ける。暴れる神経を強引に押さえつけて、魔力を乗せた脚を奴の鳩尾に繰り出す。

 反撃は完全に予想されていた。ランサーはひらりと身を躱すと、反対にオレの足首を鷲掴みにし、勢いよく振り回した。オレの身体が浮き上がり、木の幹が頭部に迫る。

 防ぐには腕を使うしかなかった。顔の脇に翳した腕が木の幹と衝突。深く穿たれた消えない傷が、魂まで割れる程の激痛をもたらす。

 

「っ——づあああああ!! 畜生、畜生がぁあぁぁぁ!」

「ほおら、まだ突っかかってくる。追い詰められる程、獣みたいにな」

 

 痛み。激しく我を忘れる痛み。オレは激情のままにクラレントを蹴り、魔力を放ち、蹴りを見舞う。その全てが精細を欠き、ランサーの付け入る隙となる。

 ランサーはオレを打ち据えた。柄でオレを殴りつけ、石打で叩き、蹲れば蹴りを穿った。反撃を狙えばこれ幸いと拳を見舞い、距離を取ろうと背を向ければ、その瞬間石を投げつけられた。

 いずれも執拗に腕を狙って。どんな些細な痛みも、悪巫山戯のような攻撃さえも、途方も無い痛みとなってオレの魂を砕いた。

 逃げる事もできない。反撃の手も出てこない。

 ランサーはオレの傷を抉る。痛みを与え続ける。

 執拗に、丹念に、徹底的に。完膚なきまでに。

 

「ぎゃ……ああっ! う゛ああああ!」

「オジサンが戦ったのも負け戦でね。圧倒的有利な相手さんの猛攻を、あの手この手で切り抜けたもんさ。知ってる? アカイアってんだけど」

「ぐう! ぐぅいいいいいいい! クソ、クソォ! クソがぁぁ!!」

「学んだのは、不利が負ける理由になるわけじゃないって事だ。道具でも弁舌でも何でもいい。やってやるって気概がありゃ、逆境は覆せるんだよ」

 

 石打。鍔。柄。蹴り。拳。石まで使って。

 けれども、穂先についた刃だけは使わない。決して殺さず、最大限の苦痛を俺に与え続ける。魂がどんどんひび割れていく。

 

「砕くのではなく、挫かせなきゃいけないのさ。アンタが戦士であるなら、まだ戦う気でいるなら、オジサンも最後まで付き合ってやるよ」

 

 両腕の血管が、沸騰した油を流し込まれたように震える。自分の身体である感覚がしないのに、痛みだけが鮮明に俺の脳に針を突き立ててくる。

 それは虐待だった。支配者が奴隷に、自らの立場を思い知らせる為の。

 虎の牙を抜き爪を剥がすかのような、尊厳の剥奪。オレに対してのそれは、両腕の決して癒えない傷と、耐えがたい痛みだった。

 

「ひぃっぎ、いいぃいぃぃ! ふあ゛あ゛、があああ!!」

 

 死ぬ。死ぬ。死ぬ。

 喉がちぎれても尚、悲鳴が止まらない。耳鳴りが音を塗り潰し、血の味が口内を埋める。バチバチと弾ける視界が、溢れる涙で濁る。

 脳がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられる。死ぬ。このままでは痛みに狂ってしまう。自分が壊れてしまう。

 鎧……せめて鎧を纏わなければ。反撃は愚か、この地獄から抜け出す機会さえなくしてしまう。

 

 

 

 藁にも縋る心で、オレは鎧を現出させようとする……させようとした。

 そこでようやく、オレは自分が何を喪失したのかを知る。

 

 

 

「……な……?」

「出なくなったかい? しょうがない、むしろよく粘った方さ」

 

 ランサーがやれやれと溜息を漏らす。その声が遠い。

 自分の身に何が起きているか、分からない。分かりたくない。

 

 鎧は……? 

 オレの鎧は、どこにいった?

 

 信じられなかった。念じれば応えたオレの鎧、その存在が感じられない。

 あるはずの物がない感覚。財布を忘れた時のようなすっとぼけた感情が、一瞬オレを支配する。

 その感覚の後に、途方も無い恐怖が、オレの中から込み上げる。

 

「……う、そだ……」

 

 愕然とする。見開かれた涙塗れの眼前に、痣の浮いた力ない両腕が擲たれている。

 痛みに苛まれていたオレの感覚が、今度は奈落に落ちていくように暗くなる。

 そんな馬鹿なことあるか。鎧だ。オレの霊基に刻まれた、オレの一部だぞ? 財布や携帯なんかとは訳が違うんだ。

 オレ自身だ! オレの一部で、オレそのものだ! それがどうして……。

 

「同情するよ。自分を信じられないのは、心底辛いよな」

 

 頭上から哀れむような声。ランサーの下ろした石打が、オレの手首に落ちた。

 固い槌を痣になった傷にねじ込まれ、身が裂けるような痛みが劈く。

 

「だあああああああ! ふ、ざけんなああああああああ!!」

 

 オレは地面を転がり、現出したクラレントを蹴り上げる。

 突き上がったクラレントは、ランサーの頬を掠めただけ。即座にオレの脇腹に、振り下ろされた柄が食い込み、吹き飛ばされる。

 

「傷を負ったくらいじゃ安心できない。武器を奪っても油断は禁物。心が砕け、泣きじゃくって頭を抱えて蹲って、初めてソイツは敗北者になるんだよ」

「っひ……」

 

 陵辱の継続を宣言しながら、ランサーが迫る。オレの口から、短い悲鳴が飛び出した。

 

「く、来るな……来るんじゃねえ!」

 

 殆ど悲鳴のような叫び声を上げて、オレは奴に向けて蹴りを見舞う。

 どれだけみっともなくとも、藻掻く他に手は無かった。鎧を無くした喪失に立ち向かうには、怒る以外の方法はなかった。

 その怒りが——生前オレを最期まで突き動かした義憤が——ランサーによって打ち砕かれていく。両腕の痛みに萎んでいく。

 

 脚が震える。意識が制御を外れて、矢鱈目鱈に暴れ回る。

 当然、そんなものは赤子の駄々にしかならない。ランサーは一転して退屈そうに、オレの抵抗をいなし、お仕置きのように激痛をぶち込んでくる。

 何もできない。抵抗すらできない。ただただ痛みを流し込まれるだけの屈辱と恥辱にまみれた時間。足掻こうという思いが、負けてたまるかという気概が、砂糖菓子のように崩れていく。

 抵抗は全て無駄だった。グズグズのボロ雑巾になって、オレは何十回目か分からない地面の味を舐める。

 

「っ……か、ぁ……」

 

 痛い。痛い……痛い……。

 身じろぎし、落ち葉が身を擦る事さえ痛い。

 痛くて、疲れた。うんざりだと思う程に、痛みばかりだ。

 

 

 昏く淀んだ気持ちが、オレに沈殿していく。魂が淀み、曇っていく。

 そのオレの脚を、ランサーが持ち上げ、引き摺った。

 ぞりぞりぞりという耐えがたい音。グズグズになったオレの両腕が、土くれで凸凹になった地面に削り取られる。

 

「ふう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!」

 

 大地に顔を押しつけ腐葉土を噛みしめながら、くぐもった絶叫を轟かせる。

 これ以上なく惨めな虐待。凌辱。泥に塗れ、プライドを踏みにじられる。

 もう沢山だ。助けて欲しい。オレは縋り付くように、痛みにガクガクと震える手を藻掻かせて、掠れた声を上げる。

 

「く……ら、れん、と……」

 

 余りにもか弱く、情けない声。それに応える鋼の輝きは、無い。

 差し出した手が虚空を泳ぐ。

 オレの目にじわりと涙が滲む。

 

「クラ、レント……!」

 

 嘘だ。嘘だと言ってくれ。

 この手に力が入らなくても、オレに応えてくれたじゃないか。ついさっきまで、オレの一部で、オレの力だったじゃないか。

 共に戦ったじゃないか。

 晴れやかな戦いなど数少なかった。オレが不本意に簒奪したかもしれないが……それでもお前は、一緒に王の前に立ったじゃないか。オレと生涯を駆け抜けたじゃないか。

 お前はオレだろう。オレはお前がいたからモードレッドなんだ。

 応えてくれ。力を貸してくれ。

 モードレッドを否定しないでくれ。

 オレを助けてくれよ。なあ。

 

「クラレントぉ……!」

 

 理解はできない。

 けれども、オレの声の情けなさが事実だった。

 とうとうオレは、最期まで連れ添った刃にまで見放された。

 

 

 涙が止まらない。心が崩れていく。

 胸に空いた空洞が、オレ自身を飲み込んでいく。

 オレという存在を闇に覆い尽くし、無かったことにしようとする。

 

「——だんだん、遠くなってきただろ?」

 

 いつの間にか眼前に立っていたランサーが、虚空に浮いていたオレの手を、ゆっくりと踏みつけた。

 地面に押しつけられ、ぐりぐりと踏みにじられる。

 痛みは、消えていた。何も感じなくなっていた。

 動かし方すら思い出せなくなっている。まるで両手なんて、最初からなかったように。

 

「……諦める時だぜ、()()()()()

 

 オレを戦士として見なさなくなった男は、驚くほど優しい声音で、そう言った。

 

「俺は数え切れない死を見てきた。この手で殺めたのも、腕の中で看取ったのも沢山だ」

「……」

「武勇に秀で、活力に満ちた奴ほど、死に顔はみっともなかったよ。反対に助けも来ない絶体絶命の決死戦に逝った奴らは大抵、あるがままの死を受け入れた安らかな顔をしていた……人は生に執着するほど苦しむのさ。死の間際の諦めは、降り注ぐ神サマの光を受け入れる、最期の救いだ」

 

 槍の穂先が、顔の横に添えられる。

 

「随分粘ったよ。こんなにいたぶることになるとは思わなかった。同じ時代に産まれたら、お前さんは俺と肩を並べる、良き守り手になったろう……だが、ま、もういいでしょうよ」

 

 ランサーがオレを脚で小突き、仰向けに転がす。

 奴はオレの顔を見て……露骨に不服そうな顔を見せた。

 土と涙に塗れたオレの無様な渋面に、奴の冷ややかな目が降り注ぐ。

 

「……藻掻かないで貰えんかね。死に様くらい楽にしてやりたいっていう、オジサンの優しさなんだぜ?」

「……ふざ、けんな……!」

 

 痛い。怖い。苦しい。悔しい。

 プライドなんてない。自尊心なんて欠片も残っていない。

 ここにいるのは、剣を奪われ、蹂躙され、土を喰わされる、余りに弱く情けない片輪者だ。

 地獄だ。こんな苦しみは沢山だ。自分自身が信じられなくなる恐怖は、もううんざりだ。

 何もかも嫌になる。

 いっそ白紙に戻されれば、全部全部楽になるのかもしれない。

 

 

 

 ……それでも。

 それでも、だ。

 

 

 

「オレは、英霊だ……モードレッドなんだよ……! 畜生、ちくしょうが……!」

「……よくやるよ。信じる根拠なんて、もう自分の中にすら残ってないだろうに。俺にはもう、お前さんを楽にはしてやれない」

 

 泣きじゃくるオレの首に、黄金色に輝く穂先が乗る。鋭く冷たい金属が、オレの喉に添えられる。ツプと肌が裂けて、鮮血が一筋流れ落ちた。

 

「悲しむ時間が欲しいだろう? 自分の血で、ゆっくり溺れ死ぬといい」

 

 今までと違う冷たい痛み。終わらせる為の致命の刃が、オレの喉に触れる。

 嫌だ。嫌だ。このまま消えるのだけは。オレを忘れたまま、否定されたまま消えるのは嫌だ。

 怖いよ、畜生。

 オレは、何なんだ。何でオレはモードレッドなんだ。

 オレは……何で…………。

 

「お前が選んだんだ。何者でもないまま、みっともなく無様に死にな」

 

 宣告の声が落ちる。

 物のように冷たい目つきで睥睨し、魚を捌くような無感動さで、槍が首を滑り、先端が柔肌を裂き——。

 

 

 

 

 

 

 ——横合いから割り込んだ一撃が、その穂先をはじき飛ばした。

 鉱物同士がぶち当たる凄まじい音。オレの視界が、一瞬の火花で真っ白に光る。喉を食い破っていた先端が、オレの薄皮を横一線に払い、鮮血のアーチを宙に描いた。

 夢から覚めるような鋭い一撃。絶望に曇っていたオレの目が、急速に開かれる。

 

「チッ。主従揃って生き汚い事で! 急がなくても、後を追いたければ直ぐに——」

 

 苛立ちを隠さない声。怒気を孕んだランサーの声が、ふと止まる。

 宝石を投射し、オレの窮地を救ったマスター。

 彼は地面に倒れ伏したまま、右手を静かに翳していた。

 

 

 

 

 残り一画になった令呪に、真紅の光を宿して。

 

「マスター……?」

「分かったよ、セイバー。分かったんだ」

 

 彼は苦しげに息を吐ながら、オレに向けて柔らかに微笑んで見せる。

 彼の目がオレを真摯に覗き込む。左手の輝きが一層強く灯る。

 誰よりも優しく、誰よりもオレを案じてくれた、彼の瞳。

 今この瞬間、何より澄んだ、迷いの無い心。

 いくよ、と彼の目が言った。

 だからオレは、小さく頷いて、彼の全てを肯定した。

 右手の真紅の輝きが、眩くオレを包み込む。

 

 

 

 

 

「令呪を以て命ずる——()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()

 

 

 輝きが吹き出し、絶大な魔力が命令に従い、オレに流れ込んでくる。

 温かい力が血潮を駆け巡る。魔力はマスターの声を忠実に実行し、指向性を得てオレの中に飛び込んでくる。

 どくん、と一度鼓動が高鳴る。生まれ変わるような力の奔流。

 魔力はオレの血流を巡り、霊基を張り巡り、魂に染み込んでいく。

 それに従い、感覚が遠くなっていく。

 オレの意識が、彼方へと消えていく。

 失いかけていた物を、呼び覚ます。

 

 

 

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