「ふんふんふんふんふふ~んふんふんふんふんふふ~ん♪」
私たちの思い出の結晶である私たちの歌を鼻歌で奏でながら、羽のように軽い足取りで私は歩きます。周りの視線も気にせずに向かうのは、もちろん大好きな天都君がいる隣の教室。
「天都君っ♪」
「寧々さんっ」
ひょいっと教室の後ろの入口から顔を覗かせて、愛しの天都君の名前を呼ぶと、天都君は弾んだ声でそれに反応してにこやかな笑みを浮かべながらこちらへと向かってきました。その柔らかい笑顔を見て、私の心はそれだけで舞い上がっていきます。
「授業の間、会えなくて寂しかったです」
「私も、授業中ずっと寧々さんのことを考えてました」
「えへ、えへへ、両想いですね、私たち」
合流してからすぐに会えた嬉しさを噛み締めながら、一刻も早く二人きりになりたい衝動を足の速さに反映させて、私と天都君は学院の廊下に愛を振りまきながら歩き始めました。
向けられる様々な感情が込められた視線もなんのその。私たちはもうお互いのことしか気になりません。
「ふう、ご馳走様でした」
「ん、お粗末様です」
あれから真っすぐ中庭まで移動して、私たちはいつものように天都君が作ったお弁当を二人で食べさせ合いました。時間はかかってしまいますが、幸せのためにはそれも仕方ありません。
「時間、余ってしまいましたね……♡」
しかし、それでも昼休みというのは案外長いもので、あと数十分は自由にできる時間が産まれてしまいます。
そんなわけで、私は隣に座る天都君に寄り掛かりながら、上目遣いで天都君を見上げてゆっくりと制服のボタンを外していきました。そして、追い討ちをかける様に天都君を誘惑する様に甘く蕩けた声で問い掛けます。
「そんな風に外で誘ってくるなんて、寧々さんはイけないお方だ」
「あっ……♡」
それを受けた天都君は、今までと違って妖艶な笑みを浮かべながら私の腰にするりと腕を回して、私の耳を擽る様な声でそんなことを言ってきました。その拍子に力強く抱き寄せられたことで私は今から
「イけない娘には何が必要でしょうか?」
「オシオキ、してくださ、んむっ……」
期待で胸がはち切れそうな私に、天都君は意地悪く問いかけてきました。
自分から言わせることで私の被虐心を煽る様な、本当にイジワルで、私のことをよく理解した問い。それに私は逸る気持ちで答えを返すと、言い切る前に天都君が私の唇を塞いできます。
「ちゅっ♡ じゅるっ、じゅるじゅる……っ♡ れろっ、くちゅるっ♡♡」
顎をくいっと指先で持ち上げられて、食後のデザートを味わう様にして天都君は私の口内をじっくりと舌で蹂躙してきました。舌と舌が絡み合うことで身体に纏わりつく熱さも増していって、天都君の舌が私の上顎をなぞる度にゾクゾクとした快感が背中を駆け巡っていきます。
先程食べたお弁当の味を仄かに感じる白昼のキスに、私の思考はあっと言う間に幸せに満たされていきました。
「ひゃっ!? あ、まとくん、そこは……はぅぅっ♡♡」
「静かに、声を出したらダメですよ、寧々さん」
そんなキスが数分続いたかと思うと、天都君は徐に私の太ももに手を添えてから、這い擦らせる様にスカートの中に侵入させてきます。
少し前までの天都君からは想像もできない積極性に驚いた私が反射的に声を上げようとすると、天都君は意地の悪い命令を私の耳元で囁いてきました。それによって、私は魂がその命令を受け入れて、口を噤んで静かに天都君のすべすべとした右手が私の敏感な所に辿り着くのを待つことになります。
「んっ、ふぅ……っ♡ はぁ、はぁぁっ♡」
「イイ子ですね……」
「は、ひぃっ♡」
快楽で震える太ももを焦らす手付きで侵食していく天都君が、腰に回していた腕を私の頭に移動させてきて、優しく頭を撫でながら私の理性を削り取る言葉を口にしてきました。私はつい嬌声が漏れそうになるのを堪えつつ、それに喜色を抑えきれずに甘える様な声を天都君の胸に頭を預けながら零していきます。
「あ、うぅ……っ♡ ひんっ♡♡」
そして、とうとう天都君の指先が下着越しに私の秘裂に触れて、私は天都君のワイシャツを握りしめて快楽で溢れようとする声を抑え込みました。学内での密会という背徳的な行為に、私の意識は強くいやらしい方向に振り切れていきます。
「天都君、それ、らめぇ……っ♡ ひぅぅっ♡♡」
「お仕置き、ですから」
でも、天都君は必死に声を抑える私にお構いなしに、下着をずらして既にびしょびしょに濡れた私の蜜壺に二本の指をつぷぷと挿入させました。懇願する様な私の言葉を嗜虐的な笑みで受け流す天都君を見ていると、私の中のマゾヒズムが強く天都君の引き起こす快楽を求めてきます。
「聞こえてますか? 学院内なのに寧々さんのここ、とっ……てもえっちな音出してますよ……」
「もっと、あ、くぅぅっ、♡ もっ、とぉ……っ♡」
無抵抗で天都君の指の感触を味わっていると、今度は乱暴に下着に手を突っ込んで私の陰唇を手のひらで覆い隠す様に被せながら、天都君はわざと私に聴かせるためにぐちゅぐちゅと蜜壺を掻き回す水音を大きく立てて、私の奥の方へと指を出し入りし始めました。
淫猥な水音と天都君の蕩ける様な甘い声で脳を直接犯されて、私は天都君の胸板に顔を押し付けて喘ぎ声を隠しながら、ただひたすらに天都君を求める声を上げることしかできません。
「っ、あぅぅっ♡♡ イくっ、イくぅぅぅっ……♡♡♡」
やがて、天都君にされるがままに乙女の領域を蹂躙されて、私は声を押し殺して絶頂しました。声を抑える代わりに身体は大きく痙攣して、私は下腹部に植え付けられた天都君の右手を太ももで抱きしめる様にしながら、反射的に脚が閉じていくのを何となく知覚します。
「よくイけました」
「は、ひぃぃ……♡」
天都君はゆっくりとそんな私の蜜壺からわざと膣壁を擦る様にして指を引き抜きながら、胸板に沈む私の頭を撫でて慈しむ声をかけてきました。
私は事後のこの時間が大好きです。結局二回目の人生でもあまり享受できなかった親からの愛情に似た何かを、それとはかけ離れた愛欲に満たされた状態で堪能できるこの特別な時間が。
「えへ、天都君……」
「寧々さん……」
なので、私はそれを精一杯味わうためにずりずりと顔を上げて、快楽で蕩け切った表情を天都君に向けて愛しの人の名前を甘えた声で呼びました。それからどちらからともなく交わす特濃のキス。お互いにお互いの虜になって、熱く燃え上がる様なベーゼを重ねていきます。
失意の中の光に堕ちて、最終的にその光をも愛という監獄に引き摺り下ろした私の物語。それは何時までも、何処までも二人並んで続いていくものです。
「ぷはっ……天都君……」
「何ですか、寧々さん?」
「絶対、ぜーったいに、私を離さないでくださいね?」
だから、私のしつこいくらい繰り返してきた問いかけを耳にして、目の前には堕ちた天からの遣いの見惚れる様な笑顔が咲いていました。
Chapter.Extra1 -深紅の絶望、白銀の執着- THE END
気が向いたら小話とかも書くかもしれません。