※この作品はR-18です。

神戯姦濫 -外典-   作:水晶水

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 ヤンデレっていうか、依存してる女の子が大好きなのよね。


D.記憶の手掛かりを探して

「ん……っ……?」

 

 日差しが瞼を刺激する気配を感じて、私はゆっくりと意識を浮上させる。そして、ぼんやりとしながら目を開けると、目の前には満面の笑みを浮かべた寧々さんの顔があった。

 ……………………うえぇ!!? 何で寧々さんが私のベッドに?!

 

「ふふ、おはようございます天都君♪」

「あ、お、おはようございます……?」

 

 内心荒れ狂う私を他所に、私の寝顔を覗き込んでいた寧々さんはにこやかに挨拶の言葉を口にする。それに釣られて、私も吃りながら挨拶を返した。

 ……って、そうじゃない!

 

「な、何故寧々さんが私のベッドに……?」

 

 どうにか気を取り直して、身体を密着させてくる寧々さんに対して私はそれだけ問いかけた。

 というか、何か妙に接触部から柔らかい感触が伝わってくるが、まさかこれ私たち、お互いに裸で同衾してるんじゃなかろうか。

 

「昨夜のこと、覚えてないんですか?」

「昨夜のこと? …………あっ」

 

 布団で見えない部分に悶々とした気持ちを抱いていると、キョトンとした表情の寧々さんからそう返ってきて、私は昨日のことに記憶を巡らせる。すると、私は十秒もしないうちにこうなった理由を思い出した。

 そうだった、昨日寧々さんとヤらしい雰囲気になってから行為に及んで、身を清めるために入ったお風呂でもしっぽりヤって、ダメ押しで更にベッドに移動して後戯をしていたような気がする。この身体になって初めての経験で、終わってからは泥のように眠ったような気がするので今の今まで忘れていたが、きっかけがあれば芋蔓式に思い出していくもので、私の脳裏に昨日の私たちの痴態がフラッシュバックしていって、一瞬で顔が熱を帯びていくのを感じた。

 

「ふふふ、天都君、真っ赤になって可愛いですね」

 

 それを見た寧々さんは揶揄う様な、はたまた慈しむ様な、色々な感情を織り交ぜた表情をして、私の真っ赤に茹で上がる頬に手を添えてくる。

 されるがままで恥ずかしいやら情けないやら思うところはあったが、寧々さんが嬉しそうにしているなら、何だかそれも良い気がしてきた。……いや、良いのか?

 

「今日は学校もお休みですし、このままベッドでゆっくり過ごすのも悪くはないですが……」

 

 一人で百面相をしていると、寧々さんは笑みを浮かべたままそう言葉を紡いで、一度口をの動きを止める。

言われてから気づいたが、そういえば今日は土曜日だったな。

 

「折角の二人きりの時間ですし、有意義な時を過ごしませんか?」

 

 浮かべていた笑みを深めて、寧々さんは少し思考が逸れていた私にそう語りかけてきた。その笑顔はとても蠱惑的で、真正面からそれを受け止めた私の心臓はみるみるうちに高鳴っていく。

 

「そういうわけですし、一先ず起きましょうか。よいしょっと……」

 

 そう言いながら寧々さんは私の頬を撫でていた手を放して、横たえていた身体を少し重そうにしながら一気に起こした。そうすることで二人に被さっていた布団も押し退けられて、それに隠されていた寧々さんの裸体も露になってしまい、突如目の前に現れた、ぷるんと揺れる張りのある乳房から私は全力で目を逸らしながら猛スピードで半身を起こす。

 

「じっくり見てもいいんですよ? 何でしたら、見るだけでなくても……♪」

「さ、流石に昨日のが少し腰にキてますので……」

 

 そんな私を見て、彼女は再度揶揄う様な言葉を零し、私はそれに翻弄されつつもどうにか断りを入れた。

 寧々さんは恥部を隠すこともせずに、その朝日に照らされる珠玉の肢体を惜しげもなく私に晒していて、本当に何をされても良いと心の底から思っているようである。そのことに関しては昨日の行為中に何度も伝えられたこともあって、手を出してしまった時より前と比べると、幾分かそ(・)う(・)い(・)う(・)関(・)係(・)であることを受け入れている自分がいることを何処か客観的に認識している自分がいた。

 ……あれだけ激しく交わっておいて、何をまだうだうだ言っているのだとも思えなくはないが。

 

「着替えを持ってきますから、少し待っていてください」

 

 頭を冷静にするために自身の心境の変化について分析していると、寧々さんは揶揄う口調を止めてから慣れた足取りでクローゼットの方へと向かっていき、少しも迷うことなく私の私服を取り出し始めた。

 こういった何気ない動作からも、寧々さんが以前私の家に入り浸っていたのだということが分かって、それと同時に未だに記憶を取り戻すことができない自分を不甲斐なく思う。十五年この世界で生きてきて欠片すら戻ってこなかったものなのもあって、私の心にじわりと不安が滲んでいくような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この身体にとっては初で、更には数時間に及んだ天都君との性行為を終えた翌朝、私はまだ初心な彼を揶揄った後に彼の着替えを手伝って、遅めの朝食を摂ってから、昨日ここへ来てすぐの時と同じようにソファーで隣り合って座って会話に花を咲かせていました。

 しかし、昨日と違う点も幾らかあって、天都君がピッタリと身体をくっつけるような距離でも間を開けないようになっていたり、時折私が天都君の手を握って指を絡めた時に自然な動作で絡め返してきたり、少し積極的になってくれたように思えます。まだ恥ずかしいみたいですけど、その様子が可愛いので良しとしましょう。

 ふふ、少し無茶をして熱烈に交尾に及んだ甲斐がありましたね♪ 身体の方は筋肉痛などで重い感じはしますが、幸せの重みと受け止めましょう。

 

「天都君」

「はい、どうかしましたか?」

 

 一時間ばかり話し込んで話の区切りがついてちょうどお昼になろうかという時、私は天都君に呼びかけて一旦会話を止めました。彼は私の言葉を受けてにこにこと笑いながら私の次の言葉を待っているようです。

 可愛いですね……ではなく。

 

「着替えたいので、一旦家まで戻っても良いでしょうか?」

「ああ、はい、構いませんよ。申し訳ありません、気が利かずに」

 

 雑念に囚われながら放った私の言葉に、天都君は私の格好を一瞥してから、言葉通り申し訳なさそうな顔をしました。

 そう、昨日天都君の家に学院から直行して、そのままの流れでお泊りしたので、私は今制服を着ているのです。以前であれば半同棲状態でしたので、お互いの家に何着か着替えを置いていたのですが、出会ったばかりの今世では当然私の服が置いてあるわけがありません。

 この際ですし、序でにこちらに置いておく用の服も持ってきておきましょう。……いえ、学院から遠い私の家では天都君の移動も大変ですし、もういっそ今度は半同棲ではなくて天都君の家で同棲するのもありでしょうか……? ありですね。天都君のお世話のこともありますし、そちらの方が色々と都合も良いです。一緒にいれる時間も増えますし良いこと尽くしですね。

 そうと決まれば、今週中に引っ越し作業も済ませてしまいましょう。水道料金の引き落としなんかで両親にもすぐバレてしまうでしょうから、そちらの説得の方も大事ですね。やることが多くて大変ですが、私は天都君と幸せになるためには一切妥協しないつもりです。

 

「寧々さん?」

「いえ、何でもありませんよ。すぐに戻りますので天都君は待っていてください」

 

 天都君の掛け声で夢想していた思考が引き戻されて、私はすぐに気を取り直しました。そして、少しでも天都君と長く一緒にいるために、私は小さく笑いかけてから走り出さんばかりの勢いでスクっと立ち上がりますが……。

 

「えっと、私も寧々さんの家まで着いて行ってもよろしいですか?」

 

 少し戸惑い気味に発された天都君の声に足を止めます。

 

「結構距離もありますし、今は明るい時間ですから、送ってもらわなくても大丈夫ですよ」

「あ、いえ、その、寧々さんの部屋を見れば何か記憶の手掛かりを掴めるかなぁと思いまして……」

 

 振り返って口にした、天都君の手を煩わせるほどのことではないという意思を込めた言葉に、彼は少し視線を下げてそう口にしました。

 天都君が乗っている車椅子は脳波で操作する最新の技術がこれでもかと詰まった物らしく、その分多機能で便利とはいえ、長時間の使用は身体的な疲労はともかくとして、精神的な疲労が多い代物なのだそうです。

 なので、私の部屋と天都君の家を往復させて疲れさせるのも忍びないと思って断りの言葉を伝えたのですが、天都君は引け目を感じているような顔つきで食い下がってきました。

 

「無理にとは言いません。お邪魔でしたら大人しく待っておきますから……」

「邪魔だなんてとんでもないです。一緒に行きましょう♪」

 

 しかし、辛そうな表情へと変化して目に見えて落ち込んでいく天都君の姿を見て、私はすぐさま前言を撤回します。

 想い人にあんな庇護欲を激烈に刺激する顔をされてはそれも仕方ありません。私は心の奥底から湧き出てくる母性に身を震わせながら、それを何とか表情に出さないようにして天都君の身体を抱き上げて、傍らにあった車椅子に乗せてあげました。ですが、我慢できたのはそこまで。今の私はとても人に見せられる表情をしていないので、それを天都君に悟られないように素早く背後に回ります。

 

「それでは出発しましょうか」

「はい、ありがとうございます、寧々さん」

「ふふふ」

 

 にこりと力の抜けた表情で微笑む天都君を見て、私は下腹部がキュンと疼きますが、今はそれを無視して車椅子を押し始めました。

 ここで衝動のままに天都君に襲いかかってしまえば、また家に帰らずに夜まで行為に及ぶことは必定です。今はもう代償もありませんし、我慢すること自体はそう難しいことではありませんので、この疼きは今夜のために取っておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着替えてきますから、自由に部屋の方を見てくださって構いませんよ」

「はい」

 

 記憶の手掛かりを探すために寧々さんが借りている部屋まで同行して、今私は寝室へと消えていく寧々さんをリビングで見送っているところである。そして、姿が見えなくなってから視線を動かして、私はかつて何度も訪れたという寧々さんの部屋をぐるりと見渡した。

 私が想像していたものよりは寧々さんの部屋は落ち着いた──忌憚なく言えば何処か殺風景な部屋で、それを見た私は心の隅の方で何かが引っかかる様な感覚を覚える。それはまるで、この部屋に対して魂が違和を感じているような感覚だった。

 車椅子を動かしながら細かい部分を見ていっても、私の心からその違和感が拭われることはない。例えるならば、何かが欠けている感覚。単純に考えると、以前はもっとたくさんの物があったということだろうか。

 私はこの部屋の空虚さが、寧々さんが過ごしてきたという灰色の数年を表しているような気がして、心に何かが突き刺さる様な気がした。

 

「おや……?」

 

 そうして物が少ない部屋を見て回っていると、私は棚の引き出しの中からピンク色の細い紐状の何かがはみ出ていることに気が付く。

 私は何故かそれに強く気が惹かれる感覚がしたので、申し訳ないとは思いつつも引き出しを開けて中を見てみると、その紐……というよりコードが可愛らしいポーチの中へと続いているようだった。そして、そのポーチを取り出して中身を手のひらに落とすと、触覚が幾つかの硬い感触を察知して、次いで視覚でそれを捉えた私の動きが石のように動きを止める。

 まず、見えていたコードは、手のひらに収まる程度の調節ねじのような物が付いた細長い形の物と、卵状の小さい物とを繋いでいた物だったようだ。それはそういった知識に乏しい私でも分かる物で、紛れもなくローターそのものであった。

 次いで目に入るのはワイヤレスタイプで遠隔操作ができるリモコンローターで、その数は一、二、三……って多いな!? そんなにたくさん使う物なの?!

 

「あ、イけませんよぉ、あ、ま、と、く、ん♡」

 

 寧々さんが隠し持っていた大人の玩具を手に取って、驚愕やら羞恥やら色んな感情を噴出させていると、いつの間にか着替えを終えていた寧々さんが私の後ろから絡みつく様に抱き着いてきて、耳元で脳みそが蕩けるような甘い声を漏らす。

 それはその時妄想していた、大人の玩具を使う寧々さんの痴態も相まって、瞬時に私の下半身を臨戦態勢までもっていった。

 

「天都君のえっち……♡」

「ッ……!」

 

 寧々さんは私が想像していることを見抜いたのか、片腕を動かして細い指を私の頬に蛇のように這わせながら、息を耳に吹きかけるようにしてそう囁いてくる。私はそれに思わず息を呑んで、ローターを手にしたまま動くことが出来なかった。

 

「ふふ、私がこれを使ってオナニーしてるところ、見たいですか?」

 

 彼女は指先でローターを一つ摘まみ上げて、それを私の眼前に持っていきながら、心を惑わす声で私を誘ってくる。その甘美な誘いに私は無意識の内に生唾を飲み込んだ。

 私の欲望の象徴も昨日の一件で味を占めたのか、ズボンを持ち上げるほど膨れ上がって完全にその気になっているようだ。

 

「いいんですよ、遠慮なさらなくても。天都君には何度も見られてますし、私からお願いして見てもらったこともありますから」

 

 前の私、そんなことしてたの!? 普通にセックスするより恥ずかしくないかな?! 

 これでもう何度目の驚愕になるか分からないが、本当に以前の私は性に積極的だったみたいだ。しかし、そう言われると、その寧々さんの自慰を見ることが記憶に繋がるような気がして、元々そっちよりに傾いていた気持ちの天秤がそちらへ錘を増やしていく。

 

「天都君、私のオナニーを見て下さいっ……♡」

 

 そして、頭が手にしているローターと同じピンク色に染まっていく中、最後のダメ押しで放たれた寧々さんの誘惑に、私の心は完全に陥落した。




 本編より先にそのネタ消化するんですか?(自己への問い掛け)
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