どうも、ポンズと一緒にハンター試験の会場にたどり着いたリョウです。
無事にハンター協会会長でハンター試験の最高責任者であるネテロの爺さんの秘書、ビーンズに、受験者の証である番号札を貰いました。
ちなみに番号はポンズが402番、俺が403番でした。
と、ここまでは順調だったんだけど……。
「フフフフフッ、やっぱり今年も会ったね◆」
こいつだ。去年絶対合格するだろうと言われていた、いや、俺は毎年合格できるって言われてるのに落ちてる奴だけど……。それは今関係ない。今はこいつの事だ。
こいつ改め、ヒソカっていうピエロなんだけど、うぜぇ。
男につきまとわれる趣味はねえし。
「なんなのこいつ……」
ヒソカの禍々しいオーラにあてられてすっかりポンズが怯えちゃってる。
ほんとうにうざい……。戦闘狂で、幻影旅団の団長であるクロロと戦うために幻影旅団に入ったとかいうバカ。もう面倒だ。
「とりあえず、ヒソカ」
「なんだい? 僕と戦ってくれる気になったのかい★」
「――っ!」
さらにヒソカから禍々しいオーラが放たれ、そのオーラで周りの、まあ、あからさまに危ないヤツなヒソカを恐れて2メートルぐらい離れてる奴らまで怯え、身構えた。
はあ……、迷惑なヤツ。男をどれだけ怯えさせられたり殺されても特に何も思わないけど、今はポンズがいるんだ。
「戦う気はないから、とっととその禍々しいオーラを引っ込めてくれ」
「え~、戦ってくれないのかい◆」
今度はあからさまに気を落とすヒソカ。
「俺が戦闘狂じゃないって事知ってるだろ」
「でも~◆」
ヒソカの視線が俺の少し後ろで身構えていたポンズへ向けられた。
「あ~……◆ ん~、その娘が今回引っ掛けた娘かい◆」
「――っ」
「その娘を殺せば、僕と戦ってくれるかい?」
「――っ!?」
殺気を向けられたポンズは身構え、いつでも蜂を出せるように戦闘態勢をとる。
ポンズには悪いけど、ポンズ程度じゃ10秒とかからず殺されるだろう。ポンズ自身その事を分かっている様子で顔色が悪く、震えている。
ポンズを庇うように前へ出る。
ここでのポイントは闘気や殺気を出さないことです。
ヒソカを刺激するといけません。考え無しに襲ってくるので、注意しましょう。
あ、でもヒソカは気まぐれなので、不意な攻撃にも対処できるように、体を覆う「纏」のオーラの密度だけはできるだけ増やしておきましょう。
「ヒソカ、俺がそういうのが嫌いだって知ってるだろ?」
「う~……◆」
ゆっくりと殺気を引っ込め始めるヒソカ。さらに追い討ちをかけるように言う。
「それに先約をきちんと片付けたら戦ってやるって約束してやったんだ。今は新しい芽でも探してろよ」
「う~ん……、それもそうだね☆」
完全に、ではないけど、殺気がおさまり、ヒソカはどこかへ消えた。
新しい芽……。
まあ、才能ある新人を探しに行ったんだろう。
ヒソカって成長途中の人間を見つけて、成長させて刈り取ったり、強い相手を一対一で倒して悦に浸る変態だからな。
そういう事で、成長途中の人たち、ヒソカに目をつけられる事になるだろうからゴメン。
「……リョウ。あんたあいつと知り合いなの?」
殺気から解放されたポンズが訊ねてきた。
――あれ? さっきまで震えていたはずなのに予想よりぜんぜん元気だ。ん~? もしかして、「纏」でオーラの密度高めていた所為かな? ヒソカの禍々しいオーラを遮ったからかな? まあ、どっちでもいいんだけど。
「知り合いっていったら知り合いだけど、全然知り合いたくはなかったね。あいつって戦闘狂でさ~、前に目をつけられちゃったわけよ」
「そ、そうなんだ……」
嫌そうに言った俺にポンズは同情するような視線を向けてきた。
っと、ヒソカが話しかけてきた所為で、他の受験者まで俺達を警戒するように距離をとった。
まあ、女の子に距離を取られているわけじゃないし、ポンズと2人っきりになれるから逆に得した気分だね~。
「はぁ……」
あれ? ポンズ? どうしてため息吐くの?
◆
リョウと一緒にハンター試験の会場に無事にたどり着いたんだけど、なんていうか化け物ばかりね。
さっきもリョウに話しかけてきたピエロの格好をしたヒソカっていう男は特に別格だったわ……。
ヒソカがリョウに戦いを挑んだ瞬間に放たれた禍々しい殺気。全身を針で刺されているような禍々しさ。
その殺気の矛先が私に向けられた瞬間――。
私は気づけばすでに戦闘態勢に入っていた。
生物の本能が私に戦闘態勢を取らせていたのだ。
だけど、戦闘態勢をとれている状態でも、ヒソカには勝てない……、いや、何も出来ずに殺されると頭のなかで理解していた。
息が出来ない。全身から冷たい汗が流れる。逃げ出したいのに動けない。
帽子のなかの蜂ですら怯えきっていたのだ。
私は死を覚悟した。
このまま死ぬんだと諦めたその時、リョウが私をかばうように前に出た。
その瞬間――。
リョウが私をかばうように前に立った瞬間――。
不思議な感覚を体をおそった。
リョウの体から熱を感じない温かさを感じたのだ。
ヒソカからは相変わらず殺気が送られているのに、私は恐怖を感じない。
それどころかリョウから感じる何かによって安心してしまっている。
この感じ……。
そう――、リョウに抱き枕にされて寝ている時に似ていた。
なんなんだろう?
リョウが何かしてるの?
そうでもないと、ヒソカの禍々しい殺気を感じているというのに、安心できるわけがない。
この数日の間にも感じていた不思議な感覚……。
気になっていたから、試験中2人になった時に、思い切って聞いてみようと思っていたけど、今すぐにでも聞きたくなったわ。
それからヒソカはリョウが戦わないと分かったようで、他の受験生達のなかへ消えていった。
こうして突然起きた命の危機は回避されたんだけど、明らかに他の受験生達から警戒されたわね……。
みるからに危ないヤツに話しかけられて、しかもそいつの異常なまでの殺気を浴びても平然としていたぐらいだから、リョウは相当の実力者と思われてたんだろう。
それとリョウの同行者というか協力者扱いになっている私も。
うん。
私とリョウの周りには誰も近寄ってこない。まるでイジメにあってるみたい……。
はぁ~……。
ガコンッ。
エレベーターが到着した音。何度目かもう分からないため息を吐いていると、新しい受験生が来たようだ。
すでに会場で開始を待っていた受験生達がエレベーターから入ってくる受験生を見定めるために視線を集めた。
かくいう私達もライバルとなるだろう受験生の力量を測るためにエレベーターから入ってくる受験生に視線を送った。
入ってきたのは3人。
20代後半から30代前半ぐらいの黒いスーツ姿に、丸いサングラスをかけた短髪のおじさん。
どこかの民族衣装を着ている10代前半から後半ぐらいの金髪の女? いや、女好きのリョウが反応していないからたぶん男。かなりの美形。
最後は10代前半ぐらいのツンツンと髪を立ててる特徴的な髪型をした黒髪の緑色の服を着た男の子で何故か釣竿を背中にさしてた。
受験番号は私達のすぐ後だから、404番、405番、406番だろう。渡されているところも見たから確実に。
……う~ん、見た感じでいうと1番は金髪の405番が落ち着いていて強そう。2番目は、404番のおじさん、3番目は406番の釣竿の男の子。
とりあえず、3人を観察するのは一旦止めて、他の受験生も警戒ておかないといけないわね。
と視線を戻ろうとした時。
「ポンズ」
リョウに小声で話しかけられた。
「なに?」
目線で私を誘導するリョウ。どうしたの?
リョウの誘導に従ってついて行くと、先ほど来た3人の近くで止まった。
丁度その3人に背の低い4角形のおかしな鼻のかたちをしたおじさんが話しかけているところだった。
「あれがどうしたの?」
話しかけてるだけじゃない。
「静かに聴いてよ?」
「……わかったわ」
「あいつの名前はトンパ。新人つぶしのトンパっていうんだ」
新人つぶし……ね。
「あいつは受験生が落ちるところが見たくて、今まで35回もハンター試験に落ちているある種の異常者でね」
35回も……。ある意味ハンター試験のベテランね……。っていうか12回もハンター試験に落ちてるリョウよりもっと上がいたんだ。
って、それよりも――。
「妨害に気をつけろって事?」
「それもあるんだけど。まあ、4人の会話を盗み聞きしてれば分かるよ」
リョウはそう言うと他の受験生達のなかに紛れた。
――っ。すごい……。一瞬で気配を溶け込ませた! なんて技量なの……! 近くにいなかったら分からなかったわ。
「よーし、色々紹介してやるよ!」
――っ。そういうことなのね。私は即座に4人の会話に聞き耳を立てる。
親切なベテラン受験生を装って、新人の受験生に他の受験生の情報を与えて油断を誘っているのね。
でもリョウが新人つぶしだからっていう警告だけで終わらせなかったって事は、トンパがあの子達に話す情報は本物って事ね。
だから、しっかり聞き耳を立てて聞かせてもらった。
ふ~ん……。
103番、執念深く敵に回すと厄介な蛇使いのバーボン。
76番、格闘家のチェリー。
254番、パワーはダントツで意外に頭も切れるレスラートードー。
197~198番、私達の他にグループで参加しているアモリ三兄弟。
383番、棍棒と吹き矢の使い手、猟師ゲレタ。
要注意ってわけね。
「ぎゃあぁ~~!!」
悲鳴!? なにが!?
慌てて周りを確認すると――。
「アーラ不思議、腕が消えちゃった◆」
「お、オ、オ、オオレのォォ~~」
あのピエロ……ヒソカが他の受験生の両腕を消していたところだった。
やっぱり危ないヤツだったのね……。
トンパも嫌そうな顔でヒソカの説明をしていた。
44番、奇術師ヒソカ。
去年合格確実と言われながら気に入らない試験官を半殺しにして失格したそうだ。
……ほんとやっぱり危ないヤツ。しっかり警戒しないと、殺されるわね。
「あれ? さっきまでいたんだがな~。今は女の方しかいねえな。あと1人、毎年合格確実っていわれてるくせに、毎回落ちてるヤツがいるんだけどな。どこ行きやがったんだ?」
キョロキョロと周りを観察するトンパ。毎年合格確実で毎年落ちてる? それに女のほうしかいないって――。
「合格確実っていわれてんのに毎回落ちんのか!?」
サングラスのおじさんが驚きの声を上げた。金髪の男や黒髪の子も驚いているようだ。
トンパは3人の疑問に答えるように説明した。
「ああ。その野郎は確か14回ぐらいハンター試験を受けてんだけどよ。毎回女関係で落ちんだよ」
「女ぁ!?」
サングラスのおじさんは呆れ顔で驚いた。
ああ……、確信した。
「ああ、そいつがすげえ女好きでな。今年も受験生の女に手ぇだしてみたいなんだがよ。そいつ、マジで強いから気をつけた方がいいぜ。なんせ要注意のヒソカの知り合いで、ヒソカの殺気あてられてもまったく動じねえし、明らかにヒソカより上っていう貫禄だしやがるし」
「お、おい……、さっきのヤツより上がいんのかよ?」
「そんなヤツまで参加するのか……」
「へ~そうなんだ」
やっぱり、リョウだったわね……。
って、あれ?
さっきこっちを見たよね?
4人ともリョウにまったく気づいてない? 少なくとも10年ぐらい前から知っていて注目している相手なのに?
リョウってどれだけ強いんだろう……?
「おっと、そうだ」
ん? トンパがジュースを4本取り出した。
ずっと親切そうなベテランを装っていたけど、明らかに不自然ね。十中八九何を仕込んでいるでしょうね。
しかも、自分の分もだして3人の前で自分が最初に飲んだ。何も仕込んでいないってアピールするように。
それにジュースを出したとき、周囲の受験者達が明らかに反応を見せた。
含み笑いをしている者や呆れている者。苦笑している者や3人の受験者がどういう反応を見せるか観察している者などを見つけた。
新人つぶしのトンパって呼び名があって、35回もハンター試験受けてるらしいから、大勢の受験者も知ってたんでしょうね。
あら? 結局ジュースは飲まなかったようね。まあ、普通飲まないわよね。
とりあえず、注意する受験者の情報が得れたわね。
でも、それにしても、
「リョウ。あなたってかなりの有名人みたいね?」
話しかけると、リョウは受験者達の気配に隠れるのを止めた。そして苦笑しながら頷いた。
「まあね」
ずっと気になってたけど、嘘をつく気がなのかしら?
口説くつもりなら嘘ついた方がいいと思うんだけど、嘘をつく気配がないし、全部正直に答えてるみたいなのよね。
ジリリリリリリリリリリリ…………。
ここで鳴り響く音。
思考を断ち切って音のする方を見ると、口ひげを生やした執事みたいな初老の男性が立っていた。
いったいいつの間に? さっきまであそこにはは誰もいなかったはずなのに……。
その執事みたいな初老の男性は受験者の視線が集まったのを見てから言った。
「ただ今をもって、受付け時間を終了いたします」
この人はたぶん試験官ね。でも今受付けが終了したって事はさっきの3人組が最後の受験者!? もう少し遅れてたら試験を受けれなかったかもしれなかったの?
はぁ……リョウが試験に落ちた理由聞いてたんだから、もう少し注意しとけばよかったわ……。
「では、これよりハンター試験を開始いたします。こちらについて来て下さい」
ハンター試験の始まりを宣言した試験官は、通路の奥へ向って歩き出した。
私達も試験官についていくために歩き始める。
はぁ……、一応ハンター試験の受験者のなかで1番の実力者であるリョウが手伝ってくれる事になってるけど、色々と不安だわ……。
主に貞操の危機とか、貞操の危機とか、貞操の危機なんかで……。
試験中に襲われて落ちるなんて事は絶対嫌よ!
たぶん無理やりこられたら戦闘力的にみて、200%犯されるだろうけど、警戒だけはしておこう……。
ってだんだん歩くスピードが早くなってない?
走らないと着いていけないぐらいペースが速くなってきたんだけど?
受験者が走りだしてすぐに、試験官は後ろを振り返りさも当然のように言った。
「申し送れましたが、私、一次試験担当官のサトツと申します。これより皆様を二次試験会場へと案内いたします」
やっぱり、試験官だった。
試験官から告げられたのは一次試験官は二次試験会場まで案内するからついて来いっいう話しだった。試験内容はマラソンね。隣で並走するリョウにも確認してみると、頷いたから確実。
「で、ハンター試験ではどれぐらい何キロぐらい走らされるの?」
私がそう訊ねるとリョウは、
「ん~……、とりあえず今は聞かない方がいいよ」
と苦笑しながら答えた。
いったい何キロ走らされるんだろう……?
◆
ハンター試験が開始し、第一次試験が始まってすでに6時間ほどが経ちました。
もうすでに80kmぐらいは走っているけど、マラソンはまだ終わる気配はありません。
それどころかコースは階段に入り、どんどん脱落者が出でいるところです。
「はぁはぁ……いったいどこまで走るのよ……」
隣でずっと並走しているポンズがゆっくりと疲労の色を濃くしていく。
だけど、大の男が何人も脱落していっているのに、まだ余裕を残して走り続けているポンズはやはりすごい。
走っている位置的にも真ん中の少し後ろの方でペースをまるで乱さないし。
「はぁはぁ……、まるで汗ひとつかかないあんたには言われたくないわよ! 息も乱す気配もないし、あんたって化け物なの!?」
疲労している所為かやけくそ気味に叫ぶポンズ。
「まあまあ、落ち着いて」
「……ふんっ……」
あらら、そっぽ向いちゃったか~。
それから無言で体力の消費を抑えて走り続けて行くと、すぐ後ろから会話が聞えてきた。
会話の主は俺とポンズのあとに入ってきた3人組で、404番と405番だった。
お互いハンター試験をなぜ受けてるかを話していた。
「……クルタ族の生き残り、か」
「リョウ、急にどうしたの?」
「リョウだと?」
「はぁはぁっ! あの実力あんのに毎回女関係で落ちてるヤツだったよな!?」
俺の独り言を聞いてポンズが話しかけて、さらにポンズが俺の名前を呼んだ事で、404番と405番の奴らがあからさまに警戒しだした。
警戒する2人を無視して走ろうと思ったら、あちら側がわざわざ近づいてきて話しかけてきた。
「はぁはぁ……私の名はクラピカ。……賞金首ハンター志望だ。あと、聞えていたと思うがクルタ族の生き残りだ」
「はぁはぁっ! はぁはぁっ、お、俺はレオリオ! 医者志望のイカした10代だぜ!」
自己紹介……。男の名前なんか覚えるつもりないんだけどなぁ。あ、レオリオって奴の最後の言葉は無視な。っていうか10代だったんだな、こいつ……ポンズも意外そうな顔してた。
「はぁ、はぁ……、私はポンズ。幻獣ハンター志望よ」
ポンズが自己紹介してしまった所為で、視線が俺の方へ集まった。この流れは自己紹介するしかないよなぁ。
はあぁぁぁ……、しょうがないなぁ。皮肉を込めて言ってやる。
「俺の名前はあんたらもご存知の通り、リョウだよ。何度も女関係でハンター試験に落ちてる、とんでもない女好きです」
「……自分で言うんだ」
「まあね」
苦笑するポンズに同じく苦笑して頷く。
「はぁはぁっ! はぁっ! あんたすげぇな! 汗ひとつもかいてねえし、息も乱れてねえんだから!」
レオリオが息を大きく乱しながら叫ぶように言ってきた。っていうか、なんで裸にネクタイしてんだ?
「……すまないが、少しいいだろうか」
ここで金髪のクラピカという男が俺の顔をジロジロと見ながら訊ねてきた。
「……なんだ?」
正直いうと今の俺の機嫌はすごく悪いからあまり話したくないんだが。
クラピカは不機嫌オーラを若干纏った俺に構わず、話しかけてきた。
「先ほど私がクルタ族だと話していた時に、かなり気分を害ようなに見えたのが気になったんだ」
「…………」
クラピカの言葉に俺は無言で正面を向いて走る事で無視する。無視を決め込む俺にクラピカは何かを感じ取ったようで距離を詰めてきた。
「やはりクルタ族となにかあったのか?」
「…………」
俺は答えない。思い出すだけでも嫌な事だったし、野郎に答えてやる義理もないからな。
だけど、ここでポンズまで会話に参加してきたんだ。
「ねえ、何かあったの?」
恐る恐るといった感じで、訊ねてくるポンズ。
はぁ……。
「話さないとダメか?」
「何かあったなら是非に」
クラピカ君、おまえには聞いていませんので。
「興味はあるわ。でも言いたくなかったら聞かない」
ポンズが興味あるなら、嫌だけど話してやるか。あ、ポンズが興味あるなら話すんだからな、ここ大事だから。
「はあ……わかったよ」
ため息を吐いて話す。試験中だし、簡単にな。
「クルタ族の女に知り合いがいたんだよ」
「「――っ」」
それを聞いた瞬間。ポンズとレオリオは苦い表情を浮かべ、クラピカは落ち込むような、残念そうな表情を浮かべた。
「……そうだったのか」
だから話すのは嫌だったんだ。
「まったく……、旅団の奴らめ……。クルタ族は美人が多いってのに滅ぼすなんて惜しいことしやがって! しかも緋の目ってのは生きている人間の目だからこそ美しいのに!」
「「「――っ!」」」
おっと、ほんの少しだけ殺気が漏れちまったようだ。ポンズが怯えちゃった。反省しないとな。あ、野郎二人は当然無視です。
殺気を完全に引っ込める。大きく息を吐いて思い出す。
「はあぁぁぁ……、まったく、勿体無い事をしやがった。アクラダ、エルパ、ペトラ、ノーム、アイシャ、ミーシャ、カリネアに、クレスタ……」
「おいおい……まさかそれ全部女の名前か?」
次々に名前を挙げていく俺に、ポンズは呆れ顔になり、レオリオは驚くような反応を見せた。
「はあ……、まったく愛し合ってた女が村ごと滅ぼされたってニュースで知ったときは本当にショックだったよ」
「…………」
「…………」
ポンズとレオリオは俺の悲しみを感じたようで、無言になった。オーラの感じからみても心に負の感情を感じているようだ。
だが、ここでクラピカだけは違う反応だった。長い沈黙のあと、別の汗をかいて恐る恐るという感じで訊ねてきたのだ。
「…………すまないが、先ほど名前を挙げた人達と、その……、肉体関係にあったということだろうか?」
隠していてもしょうがないので俺は頷く。
「ああ、そうだ。皆すげぇ美人で深く愛し合った仲だった。特にクレスタは俺の事を愛してくれていたな~」
「…………………」
本当に気高く、それでいて気立ても良くて美しい女性だった。スタイルもずば抜けていて、俺の要求するどんなマニアックなプレイに対しても全力で取り組んでくれて、一緒に楽しんでくれた。
ああ……、涙がでそうだ……。
「はぁはぁ……! おい! クラピカ! どうしたんだ!? なんか変だぞ!?」
ん? 騒がしいな。感傷に浸っているところだから邪魔しないで欲しいんだが。
振り返って少し後ろで走っている2人を見ると、――クラピカの瞳が紅くなっていた。
「リョウといったな? 先ほどの話。事実か?」
いきなり殺気を飛ばしてくるクラピカ。どうしたんだこいつ。
「ああ、間違いなく事実だ。今でも愛しているし、全員の容姿や性格、クセなどよく覚えてるよ」
「…………おまえのあげた女性の名前のなかには、夫がいた者もいたが本当に事実なのか?」
「……はぁ……」
「はあっ!? こいつ複数の女だけじゃなくて、人妻にも手ぇ出してたのか!?」
クラピカの言葉を聞いて、ポンズは諦めたように息を吐き、レオリオは叫んだあと俺の方を睨んできた。
うん、妬ましそうな視線。視線はポンズにも注がれている。ポンズが俺の女。もしくは、俺が狙っている相手だと思ってるんだろう。
まあ、当たらずとも遠からずだし、実際に聞かれたわけじゃないから、こちらからは何も言わないけど。
クラピカはレオリオを無視して俺に尋ねてくる。
「そのクレスタという女性は――」
「ん? ああ、クレスタか。そういえばあいつも人妻だったな~。確か子供もいたはずだ」
「はぁはぁっ! おまえ人妻の子持ちに手ぇ出してたのかよ!」
「まあな。クルタ族の男ってのは美形が多いが大半が淡白らしくてさ。満たされない欲求不満な女が多かったから、結構のってきてくれる美人が多くてさ」
「……無理やりは――」
「するわけないだろ。きちんと口説いて落としたよ。まあ、驚くほど簡単に口説けてこっちも驚いたがよ」
「そうか……」
クラピカの瞳の色がゆっくりと元に戻っていく。なんだこいつ?
「なんだ? クレスタとなんか関係でもあったのか?」
「………………」
俺の問いに答えないクラピカ。無言で、それに気まずそうだ。
「おい、クラピカ! まさか、そのクレスタって奴が初恋の相手だったり――」
疲労困憊だが話が気になる様子のレオリオがクラピカに問いかけようとすると、クラピカは小さな声で気まずそうに答えた。
「――母だ」
「はあ!? なんて!? 聞えねぇよ!」
小さな声でレオリオには聞えていなかったようだが、俺にはしっかり聞えていた。
「なんて言ったんだ!?」
「――ちっ。私の母親だと言ったんだ!」
やけくそ気味に叫ぶクラピカ。お~い瞳がまた紅くなってるよ~。
っていうかクラスタの息子だったのかよ。
世界って狭いな~。
ヒソカの記号をいちいちやるのはメンドイので◆に統一してます。ハートとか変換無理。